精神科医連携加算ってどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「精神科医連携加算」って初めて見たんですけど、これってどういう場面で出てくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬でいうと、区分番号B009「診療情報提供料(Ⅰ)」の注12にあたる加算です。基本の診療情報提供料(Ⅰ)に、200点を上乗せする形になっています。
みらい(新人医療事務)
診療情報提供料って、他の病院に紹介状を書いたときの点数ですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。ただこの加算は「精神科以外の診療科」が主役になっているのが特徴です。厚生労働省の告示ではこう定められています。「精神科以外の診療科を標榜する保険医療機関が、入院中の患者以外の患者について、うつ病等の精神障害の疑いによりその診断治療等の必要性を認め、当該患者の同意を得て、精神科を標榜する別の保険医療機関に当該患者が受診する日の予約を行った上で患者の紹介を行った場合は、精神科医連携加算として、200点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、内科とか外科の先生が「あれ、この症状はうつ病かも…」と気づいて、精神科に紹介したときの加算ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのイメージで合っています。身体の症状を訴えて来院した患者さんを診た結果、精神科的な要因が疑われて、きちんと予約まで取った上で紹介する。その一連の連携を評価する加算です。
どんな医療機関・患者が対象になりますか?
みらい(新人医療事務)
うちは精神科がないクリニックなんですけど、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は資料上こう整理されています。「精神科以外の診療科を標榜する保険医療機関」です。診療所・病院のどちらも対象になり得る点、外来(入院中の患者以外)が前提になっている点がポイントです。精神科そのものを標榜している医療機関は、この加算の主体(紹介元)としては想定されていません。
みらい(新人医療事務)
患者さんの条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では「入院中の患者以外の患者について、うつ病等の精神障害の疑い」とあります。つまり外来患者が対象で、入院中の患者は対象外の可能性が高いです。在宅医療の患者についても、条文上は外来受診・紹介の場面が前提になっているため、在宅の枠組みでそのまま使えるかは資料の範囲では確認できておらず、要確認と考えたほうが安全です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、精神科以外なら何科でも対象になり得るんですね。
あおい(元・医療事務)
条文には診療科の限定(内科だけ、とか)は書かれていません。ただし、実際にどの診療科で算定候補になるかは、その場面ごとの診断・紹介の実態次第なので、断定はできません。あくまで「精神科以外を標榜していること」が条件です。
点数はいくらですか?
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
表にすると次のようになります。
| 項目 | 点数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 診療情報提供料(Ⅰ)基本点数 | 250点 | 告示(区分番号B009) |
| 精神科医連携加算(注12) | 200点 | 告示(区分番号B009 注12) |
| 合計(基本+加算) | 450点 | 上記2点を単純合算 |

みらい(新人医療事務)
加算だけ単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「所定点数に加算する」という条文の書き方なので、基本の診療情報提供料(Ⅰ)250点があって、その上に200点を乗せる形になります。合計450点というのは、この2つの点数を単純に足し算した金額であって、算定単位や回数まで含めた最終的な請求額を保証するものではありません。
回数制限は要確認
診療情報提供料(Ⅰ)の基本部分(注1)には「紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定する」という定めがあります。ただし、精神科医連携加算(注12)そのものに固有の回数制限が明記されているかは、今回確認した一次資料の範囲では見当たりませんでした。同一患者・同一月内で複数回の紹介が生じるようなケースは、審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した告示・留意事項通知の範囲では、精神科医連携加算に固有の施設基準や届出を求める記載はありませんでした。届出不要というのが資料の範囲での整理ですが、最終的な取り扱いは自院の届出状況や審査支払機関の判断で確認してください。
算定要件を詳しく教えてください
みらい(新人医療事務)
「うつ病等の疑い」というのが結構あいまいに感じるんですが、もう少し具体的な要件ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知にもう少し詳しい記載があります。「「注12」に規定する精神科医連携加算については、身体症状を訴えて精神科以外の診療科を受診した患者について、当該精神科以外の診療科の医師が、その原因となりうる身体疾患を除外診断した後に、うつ病等の精神疾患を疑い、精神医療の必要性を認め、患者に十分な説明を行い、同意を得て、精神科を標榜する別の保険医療機関の精神科に当該患者が受診する日(紹介した日より1月間以内とし、当該受診日を診療録に記載すること。)について予約を行った上で、患者の紹介を行った場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
情報量が多いですね…。順を追うと、どんな流れになるんですか?
あおい(元・医療事務)
条文の流れをそのまま追うと、次のような順番になっています。
算定要件の流れ(留意事項通知ベース)
- 身体症状を訴えて精神科以外の診療科を受診する
- その診療科の医師が、原因になりうる身体疾患を除外診断する
- うつ病等の精神疾患を疑い、精神医療の必要性を認める
- 患者に十分な説明を行い、同意を得る
- 精神科を標榜する別の保険医療機関の精神科について、紹介した日から1か月以内の受診日を予約する
- その受診日を診療録に記載する
- 患者の紹介を行う
みらい(新人医療事務)
「身体疾患を除外診断してから」というのが結構重要そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。いきなり「精神科っぽいから紹介」ではなく、まず身体的な原因がないかを確認するプロセスが条文上明記されています。この除外診断のプロセスをどう記録に残すかは、各医療機関の診療録の運用次第になるので、資料に書かれている以上の具体的な様式や記載例までは、今回の一次資料からは確認できていません。
1か月以内の予約と診療録記載を忘れずに
留意事項通知では「紹介した日より1月間以内」に受診日を予約し、「当該受診日を診療録に記載すること」と明記されています。予約を取るだけでなく、その受診日を診療録に残しているかどうかも、算定候補かどうかを振り返る際の確認ポイントになります。
レセプトへの記載はどうすればいいですか?
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトに書くときは、どう表示すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
診療報酬請求書等の記載要領では、次のような略号が示されています。「B009 診療情報提供料(Ⅰ)の精神科医連携加算を算定した場合 情Ⅰ精 「医学管理」欄」。
みらい(新人医療事務)
「情Ⅰ精」という略号を医学管理欄に書くんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。同じB009の中でも、認知症専門医療機関連携加算や肝炎インターフェロン治療連携加算などは別の略号になっているので、混同しないように注意してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直なところ、前回改定(令和6年度)と令和8年度を比較できる一次資料は、今回当サイトが参照した範囲では見つかっていません。そのため、点数・算定要件・対象医療機関のいずれについても「変更あり」と断定できる材料は今のところありません。
みらい(新人医療事務)
「特に変化なし」と考えていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
「変化なし」と積極的に確認できたわけではなく、「今回確認した一次資料の範囲では変更点を示す記述が見当たらなかった」というのが正確な言い方です。前回改定(令和6年度)時点の告示・留意事項通知まで遡って照合したわけではないので、正確な経緯を知りたい場合は、厚生労働省が公表している個別改定項目の資料や、過去の告示との突合をおすすめします(確認日: 2026年7月・厚生労働省一次資料ベース)。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの医院で「これ、算定候補になるかも」と思ったとき、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で見ていくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が精神科以外の診療科を標榜しているか確認する
- 対象の患者が入院中ではなく、外来(入院中の患者以外)であるか確認する
- 身体疾患を除外診断した上で、うつ病等の精神疾患を疑ったプロセスが診療録に残っているか確認する
- 患者への説明と同意の記録が残っているか確認する
- 精神科を標榜する別の保険医療機関について、紹介した日から1か月以内の受診日を予約し、その受診日を診療録に記載しているか確認する
- ここまで揃っていれば、精神科医連携加算の算定候補として、レセプトへの記載(情Ⅰ精)を検討する

みらい(新人医療事務)
全部そろって初めて「候補」なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。1つでも欠けている段階では、算定候補というより「要確認」の状態と考えたほうが安全です。
よくある取り漏れ・注意点
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取りこぼしって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみます。
除外診断のプロセスが記録に残っていない
うつ病等を疑った経緯だけでなく、その手前の「身体疾患を除外診断した」というプロセスが診療録にきちんと残っているかは見落としやすいポイントです。紹介状の内容だけでなく、自院のカルテ側の記載も一緒に確認しておくと安心です。
対象外になる可能性がある場面
入院中の患者や、在宅療養で通院自体が発生していないケースについては、条文が想定する「入院中の患者以外」の外来紹介の枠組みと合わないため、対象外の可能性があります。ただし個別の状況によっては解釈が分かれる余地もあるため、判断に迷う場合は自院の届出状況や審査支払機関への確認をおすすめします。
紹介先が精神科を標榜しているか
紹介先の保険医療機関が「精神科を標榜」しているかどうかも条文上の要件です。心療内科など、名称だけでは判断しづらいケースもあるため、紹介先の標榜科を事前に確認しておくと、算定候補かどうかの整理がしやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
この加算は病院でもクリニックでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
条文上は「精神科以外の診療科を標榜する保険医療機関」となっていて、病院・診療所を区別していません。ただし、実際に算定候補になるかどうかは、紹介の実態と診療録の記載状況次第なので、自院の状況に照らして確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した告示・留意事項通知の範囲では、届出を求める記載は見当たりませんでした。ただ、資料に明記がないことと「必ず不要」であることは同じ意味ではないので、不安な場合は審査支払機関に確認してください。
みらい(新人医療事務)
精神科医連携加算と、他の似たような連携加算って違うものなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別物です。同じB009診療情報提供料(Ⅰ)の中にも、認知症専門医療機関連携加算や肝炎インターフェロン治療連携加算など、対象患者も条件も異なる加算が複数あります。名前が似ている加算同士を混同しないよう、条文の対象患者像で見分けることが大切です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する基本の点数については 診療情報提供料(Ⅰ) の記事もあわせて確認してみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。