みらい(新人医療事務)
部長、紹介状を送るときに「検査・画像情報提供加算」ってスタンプが押してあるのを見たんですけど、これはどういう加算ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある加算ですね。区分番号はB009、診療情報提供料(Ⅰ)の「注18」に規定されています。他の医療機関に患者さんを紹介する際、検査結果や画像情報などを電子的な方法で提供した場合に、診療情報提供料(Ⅰ)250点に上乗せして算定できる加算です。
みらい(新人医療事務)
「電子的な方法」というのがポイントなんですね。紙で渡すのとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。ネットワーク経由で常時閲覧可能にする、または電子的な診療情報提供書に添付するという、電子的な提供が条件になっています。点数は提供する場面によって2区分あるので、まずはそこから整理していきましょう。
この加算は何のためのものか
みらい(新人医療事務)
そもそも、どんな場面で算定するイメージですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、診療情報提供料(Ⅰ)の注18として「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、患者の紹介を行う際に、検査結果、画像情報、画像診断の所見、投薬内容、注射内容、退院時要約等の診療記録のうち主要なものについて、他の保険医療機関に対し、電子的方法により閲覧可能な形式で提供した場合又は電子的に送受される診療情報提供書に添付した場合に、検査・画像情報提供加算として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
つまり、患者さんを他院に紹介するときに、検査結果や画像を電子的に渡した側が算定する加算、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)にも同じ趣旨が書かれていて、「①医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを通じ他の保険医療機関に常時閲覧可能なよう提供した場合、又は②電子的に送受される診療情報提供書に添付した場合に加算する」とされています。紹介状に検査結果や画像を添えて渡す、その電子版を評価する加算というイメージですね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関の条件を教えてください。
あおい(元・医療事務)
診療情報提供料(Ⅰ)を算定して患者さんを紹介する保険医療機関で、施設基準の届出が済んでいることが前提です。病院・診療所のどちらも対象になり得ますが、後で説明する電子的なネットワークへの参加や記録の保存体制が整っていることが条件になります。
みらい(新人医療事務)
どんなクリニックや病院だと対象になりやすいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
目安として、次のようなケースは確認する価値があると思います。
対象になりやすいケース
紹介患者が多い: 他院への紹介時に検査結果や画像を日常的に提供している医療機関 地域連携ネットワークに参加: 地域の医療機関間で診療情報を電子的に共有する仕組みに参加している 退院時サマリーの電子提供を行っている: 退院する患者の情報を電子的な方法で紹介先に提供する運用がある
みらい(新人医療事務)
入院患者と外来患者、どちらも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、どちらも対象になり得ます。ただし点数の区分が異なっていて、退院する患者への提供と、入院中でない患者(外来患者)への提供とで点数が分かれています。ここが次の点数のところで詳しく見ていきましょう。
点数と算定単位

みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)では、診療情報提供料(Ⅰ)本体250点に対する加算として、次の2区分が定められています。
| 区分 | 対象となる場面 | 点数 |
|---|---|---|
| イ | 退院する患者について、退院日の属する月又はその翌月に、必要な情報を提供した場合 | 200点 |
| ロ | 入院中の患者以外の患者について、必要な情報を提供した場合 | 30点 |
みらい(新人医療事務)
イとロで点数がずいぶん違いますね。退院患者への提供が200点で、外来患者への提供が30点、という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。退院時に検査結果・画像情報・退院時要約など、まとまった量の情報を電子的に提供する場合が200点、それ以外の入院中でない患者への提供が30点、という2段階の点数構成になっています。
みらい(新人医療事務)
200点と30点、両方同時に算定できることもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、告示には「ただし、イについては、注8に規定する加算を算定する場合は算定しない」と明記されています。注8は、紙の書類で退院後の治療計画や検査結果・画像情報を添付して紹介した場合に200点を加算する規定なので、紙媒体での退院時情報提供加算(注8)と電子的な検査・画像情報提供加算(注18イ)は、同じ紹介について両方は算定できない関係にあります。
注8との重複算定に注意
退院する患者について、紙媒体での情報添付(注8・200点)と電子的な検査・画像情報提供加算(注18イ・200点)を、同じ紹介について重ねて算定することはできません。どちらの方法で情報を提供したかを確認したうえで、いずれか一方を算定候補として検討する必要があります。
算定要件(提供する情報の範囲と方法)
みらい(新人医療事務)
「主要な情報」というのは、具体的に何を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(31)に、対象となる情報の範囲が示されています。「検査結果、画像情報、画像診断の所見、投薬内容、注射内容及び退院時要約等の診療記録のうち主要なもの」とされていて、少なくとも検査結果及び画像情報を含むことが条件です。画像診断の所見を含むことが望ましいとされ、退院する患者への提供(イ)については、退院時要約を含むものに限るとされています。
| 情報の種類 | 扱い |
|---|---|
| 検査結果 | 少なくとも含む必要がある項目 |
| 画像情報 | 少なくとも含む必要がある項目 |
| 画像診断の所見 | 含むことが望ましいとされる項目 |
| 投薬内容・注射内容 | 主要なものとして対象に含まれる情報 |
| 退院時要約 | イ(退院患者への提供)では含むものに限るとされる情報 |
みらい(新人医療事務)
提供の方法にも決まりがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では「①医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを通じ他の保険医療機関に常時閲覧可能なよう提供した場合、又は②電子的に送受される診療情報提供書に添付した場合」のいずれかとされています。加えて「多数の検査結果及び画像情報等を提供する場合には、どの検査結果及び画像情報等が主要なものであるかを併せて情報提供することが望ましい」ともあるので、大量の情報をまとめて渡すだけでなく、要点がわかるようにすることも意識したい部分です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
届出が必要ということは、施設基準もありますよね?
あおい(元・医療事務)
あります。疑義解釈資料(その8・令和8年6月17日 保険局医療課事務連絡)に、診療情報提供料(Ⅰ)の検査・画像情報提供加算又は電子的診療情報評価料に共通する施設基準として、次の3点が示されています。
施設基準として示されている主な内容
電子的な連携体制: 他の医療機関等と連携し、患者の医療情報に関する電子的な送受信又は閲覧が可能なネットワークを構築していること 情報の範囲: 原則として検査結果・画像情報・投薬内容・注射内容・退院時要約が含まれること(診療所は画像情報・退院時要約を閲覧できるのみでも可) 記録の保存: 提供側は提供した情報の範囲・日時の記録、受け取る側は保管又は閲覧した情報・閲覧者名を含むアクセスログを1年間記録していること
| 施設基準の項目 | 内容(概要) |
|---|---|
| 電子的な連携体制 | 他の医療機関等と電子的に情報を送受信・閲覧できるネットワークを構築していること |
| 情報の範囲 | 検査結果・画像情報を少なくとも含み、投薬内容・注射内容・退院時要約等も対象とすること |
| 記録の保存 | 提供側は範囲・日時を記録、受領側はアクセスログ等を1年間記録すること |
みらい(新人医療事務)
ストレージについても条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。同じ資料に「常時データを閲覧できるネットワークを用いる際に、ストレージを活用する場合には、原則として厚生労働省標準規格に基づく標準化されたストレージ機能を有する情報蓄積環境を確保すること」とあります。ただし、システム改修が必要な場合はそれを行うまでの経過的な取り扱いも示されています。
みらい(新人医療事務)
「厚生労働省標準規格」って具体的に何を指すんでしょう?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈資料(その2・平成28年度)によると、「保健医療情報分野の標準規格(厚生労働省標準規格)について」の一部改正(平成28年3月28日医政発0328第6号・政社発0328第1号)に定める標準規格を指すとされていて、ストレージ機能についてはSS-MIX2が含まれると説明されています。この部分は個別のシステム状況によるので、自院のシステム担当者と一緒に確認するのがよいと思います。
ネットワーク要件は「共有できる状態」が必要
疑義解釈資料(その8)では、単に医療関係職種等がチャットやメーリングリストで日々の報告や情報の一部を共有しているだけのネットワークでは、この施設基準を満たさないとされています。「関係者間で連絡が取れている」ことと「施設基準を満たすネットワークを構築している」ことは別物なので、自院の仕組みがどちらに当たるか確認が必要です。
届出について
みらい(新人医療事務)
届出はどこにすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知ともに「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」が対象と明記されています。届出済みであれば算定候補になりますが、届出をしていない場合はまず届出の要否から確認する必要があります。
届出の有無を必ず確認
届出をしていなければ算定の対象になりません。「ネットワークに参加していそうだから大丈夫」と思い込まず、実際の届出状況を必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料(告示・留意事項通知・疑義解釈)の範囲では、検査・画像情報提供加算そのものの点数(200点・30点)や算定要件に大きな変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。前回改定(令和6年度)の疑義解釈では、電子カルテ情報共有サービスを通じた送受信でも他の要件を満たせば算定の対象になり得る、という考え方が示されていて、令和8年度の疑義解釈でも同じ考え方が踏襲されています。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
「当サイトが確認できた一次資料の範囲では」という条件付きです。令和8年度改定全体では電子カルテ情報共有サービスまわりの評価が広がっていて、初診料の電子的診療情報連携体制整備加算のように、検査・画像情報提供加算や電子的診療情報評価料の施設基準を土台にした新しい加算も登場しています。検査・画像情報提供加算そのものの点数・要件は大きく変わっていませんが、周辺の制度は動いているので、最新の一次資料を確認する習慣は続けたほうがいいですね。
前回改定(令和6年度)から令和8年度への流れ
令和6年度: 電子カルテ情報共有サービス経由の送受信でも要件を満たせば算定の対象になり得る、という考え方が疑義解釈で示された 令和8年度: 同じ考え方が維持され、関連する新しい加算(初診料の電子的診療情報連携体制整備加算)でも同様の施設基準の考え方が参照されている
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どんな順番がいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
紹介の場面を確認する: 患者を他院に紹介する際、検査結果や画像情報を電子的な方法で提供しているか 提供方法を確認する: 医療機関間の電子的ネットワーク経由か、電子的に送受される診療情報提供書への添付か 区分を確認する: 退院する患者への提供(イ・200点)か、入院中でない患者への提供(ロ・30点)か、注8との重複がないか 施設基準への適合を確認する: 電子的な連携体制・情報の範囲・記録の保存という3つの施設基準を満たしているか 届出状況を確認する: 地方厚生局への届出が済んでいるか、済んでいなければ届出の要否を検討する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、紙の書類とファクスなどアナログな方法で情報提供した場合にも算定してしまうケースです。この加算はあくまで電子的な方法での提供が条件なので、紙媒体での提供は対象外です。また、退院患者への情報提供で、注8の紙媒体加算とこの加算を両方算定してしまう重複算定にも注意が必要です。
見落としやすいポイント
電子的方法が条件: 紙・ファクスなど非電子的な方法での提供は対象外 注8との重複算定: 退院患者への提供で、紙媒体加算(注8)と電子的加算(注18イ)を同時に算定できない 主要情報の明示漏れ: 多数の検査結果・画像を提供する際、どれが主要なものかを併せて示すことが望ましいとされている
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。