みらい(新人医療事務)
「歯科医療機関連携加算」って名前を初めて見たんですけど、これって歯科医院さんが算定するものですか?うちは歯科がない診療所なんですが…。
あおい(元・医療事務)
実はその逆で、歯科を標榜していない病院や診療所が、患者さんを歯科の医療機関に紹介したときに算定候補になる加算なんです。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、「B009 診療情報提供料(Ⅰ)」の加算として位置づけられています。まずは条文から確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
診療情報提供料の加算なんですね。点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の点数表には次のように書かれています。
点数表 原文(B009 注14・注15)
「くう 14 保険医療機関が、患者の口腔機能の管理の必要を認め、歯科診療を行う他の保険医療機関に対して、患者又はその家族等の同意を得て、診療情報を示す文書を添えて、当該患者の紹介を行った場合は、歯科医療機関連携加算1として、100点を所定点数に加算する。」 「くう 15 保険医療機関が、周術期等における口腔機能管理の必要を認め、患者又はその家族等の同意を得て、歯科を標榜する他の保険医療機関に当該患者が受診する日の予約を行った上で当該患者の紹介を行った場合は、歯科医療機関連携加算2として、100点を所定点数に加算する。」 (厚生労働省 医科点数表 令和8年度)
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
加算1と加算2、それぞれ100点ずつなんですね。この2つはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
表にすると整理しやすいですよ。
| 区分番号 | 加算名 | 点数 | 算定単位 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| B009 注14 | 歯科医療機関連携加算1 | 100点 | 紹介1回につき | B009注14 |
| B009 注15 | 歯科医療機関連携加算2 | 100点 | 紹介1回につき | B009注15 |

あおい(元・医療事務)
加算1は「歯科への紹介そのもの」に対する加算、加算2は「紹介にあわせて受診日の予約まで行った場合」に上乗せする加算、というイメージです。留意事項通知ではもう少し詳しく、算定できる場面が2つのパターンに整理されています。
対象になりうる場面
みらい(新人医療事務)
「2つのパターン」って、具体的にはどんな場合ですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(留意事項通知)の記載を、そのまま引用しますね。
留意事項通知 原文(歯科医療機関連携加算1の算定場面)
「(27)『注14』に規定する歯科医療機関連携加算1は、保険医療機関(歯科診療を行う保険医療機関を除く。)が、歯科を標榜する保険医療機関に対して、当該歯科を標榜する保険医療機関において口腔内の管理が必要であると判断した患者に関する情報提供を、以下のア又はイにより行った場合に算定する。なお、診療録に情報提供を行った歯科医療機関名を記載すること。 ア 歯科を標榜していない病院が、医科点数表第2章第10部手術の第1節第6款、第7款及び第9款に掲げる悪性腫瘍手術(病理診断により悪性腫瘍であることが確認された場合に限る。)又は第8款に掲げる心・脈管系(動脈・静脈を除く。)の手術、人工関節置換術若しくは人工関節再置換術(股関節に対して行うものに限る。)又は造血幹細胞移植の手術を行う患者について、手術前に歯科医師による周術期口腔機能管理の必要性を認め、歯科を標榜する保険医療機関に対して情報提供を行った場合 イ 医科の保険医療機関又は医科歯科併設の保険医療機関の医師が、歯科訪問診療の必要性を認めた患者について、在宅歯科医療を行う、歯科を標榜する保険医療機関に対して情報提供を行った場合」 (厚生労働省 留意事項通知〔令和8年3月5日 保医発0305第6号〕より)
みらい(新人医療事務)
なるほど…「ア」は手術前の口腔管理の紹介、「イ」は在宅歯科医療への紹介、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。「ア」は、歯科を標榜していない病院が、悪性腫瘍手術や心・脈管系の手術、人工関節置換術(股関節)、造血幹細胞移植など、対象となる手術を行う患者について、手術前に歯科医師による周術期口腔機能管理が必要だと判断し、歯科を標榜する他の医療機関に情報提供した場合。「イ」は、医科の医療機関(または医科歯科併設の医療機関)の医師が、在宅で歯科訪問診療が必要だと判断した患者について、在宅歯科医療を行う歯科医療機関に情報提供した場合です。どちらも、診療録に紹介先の歯科医療機関名を記載することが条件として明記されています。
みらい(新人医療事務)
加算2のほうは、どういう場合に算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
こちらも留意事項通知の原文を見てみましょう。
留意事項通知 原文(歯科医療機関連携加算2の算定場面)
「(28)『注15』に規定する歯科医療機関連携加算2については、(27)のアによる情報提供を行う際に、患者に十分な説明を行い、同意を得て、歯科を標榜する他の保険医療機関に当該患者が受診する日(手術前に必要な歯科診療を行うことができる日とし、当該受診日を診療録に記載すること。)について予約を行った場合に算定する。なお、『注14』に規定する歯科医療機関連携加算1と併せて算定することができる。」 (厚生労働省 留意事項通知〔令和8年3月5日 保医発0305第6号〕より)
あおい(元・医療事務)
つまり加算2は、先ほどの「ア」(手術前の周術期口腔機能管理の紹介)のケースに限って、さらに受診日の予約まで行い、その受診日を診療録に記載した場合に算定候補になります。「イ」の在宅歯科医療の紹介では、加算2の対象にはなりません。そして条文にあるとおり、加算1と加算2は併せて算定することができると明記されているので、条件を満たせば同じ紹介について合計200点の加算候補になる場合があります。
算定条件を混同しないための注意
歯科医療機関連携加算2は「ア」(手術前の周術期口腔機能管理に関する紹介)のケースにのみ関係し、「イ」(在宅歯科医療の紹介)では加算2は算定候補になりません。自院のケースがア・イどちらに該当するかを、まず条文に沿って確認することが大切です。
施設基準・届出について
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、施設基準の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認したいところです。当サイトが収集した一次資料の範囲では、歯科医療機関連携加算1・2そのものに専用の施設基準や個別の届出様式が定められている記載は確認できていません。ただし、これは「届出不要と断定できる」という意味ではなく、B009 診療情報提供料(Ⅰ)本体の算定要件や、自院の施設基準の届出状況とあわせて、地方厚生(支)局や審査支払機関に確認していただくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
関連する加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。似た名前で紛らわしいのですが、「口腔管理連携加算(A233-3)」という、入院料の加算として別に存在する項目があります。これは歯科を標榜していない病院が、歯科医療機関との連携体制を構築し、施設基準の届出を行った場合の加算で、その施設基準の実績要件のひとつに「退院時に歯科医療機関連携加算1を算定した実績が前年度3件以上」という条件が含まれています。つまり、歯科医療機関連携加算1の算定実績が、別の加算(口腔管理連携加算)の届出要件にも関係してくる場合がある、ということです。両者は別の加算なので混同しないようにしましょう。詳しくは 口腔管理連携加算 のページもあわせてご確認ください。
あおい(元・医療事務)
なお、歯科医療機関連携加算1・2はあくまで 診療情報提供料(Ⅰ) への加算ですので、まずは診療情報提供料(Ⅰ)本体の算定要件を満たしていることが前提になります。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかポイントがあります。
算定にあたっての確認ポイント
診療録への記載: 加算1・加算2とも、情報提供を行った歯科医療機関の名称を診療録に記載することが条件です。加算2はさらに、予約した受診日も診療録に記載する必要があります。 紹介先の要件: 紹介先は「歯科を標榜する保険医療機関」であることが前提です。紹介元は「歯科診療を行う保険医療機関を除く」とされている点も条文どおりに確認しましょう。 対象手術の範囲: 「ア」のパターンで対象になる手術は、悪性腫瘍手術(病理診断で確認されたものに限る)、心・脈管系(動脈・静脈を除く)の手術、人工関節置換術・再置換術(股関節に対するものに限る)、造血幹細胞移植の手術に限定されています。対象手術かどうかは条文の範囲を必ず確認してください。
あおい(元・医療事務)
回数制限そのものについては、当サイトが収集した一次資料の範囲では「月1回」のような明示的な上限の記載は確認できていません。紹介1回ごとに算定候補になる整理ですが、実際の算定回数の考え方は自院の状況に応じて審査支払機関にご確認いただくと安心です。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集した一次資料の範囲では、歯科医療機関連携加算1・2について、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の令和8年度医科点数表・留意事項通知ベース)。令和8年度時点では、加算1・加算2とも100点として整理されています。今後の疑義解釈や訂正通知で取り扱いが更新される可能性もあるため、最新の一次資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で算定候補になるか確認したいとき、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと分かりやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が「歯科診療を行う保険医療機関」に該当するかを確認する(該当する場合は対象外の可能性があります)
- 患者さんが対象となる手術(悪性腫瘍手術・心脈管系手術・人工関節置換術等・造血幹細胞移植)を予定しているか、または在宅歯科医療の紹介が必要な状態かを確認する
- 歯科を標榜する他の医療機関へ、患者の同意を得たうえで診療情報を提供する(文書を添付)
- 加算2を算定候補にする場合は、受診日の予約まで行い、受診日を診療録に記載する
- 情報提供した歯科医療機関の名称を診療録に記載する
- B009 診療情報提供料(Ⅰ)本体の算定要件を満たしているか、あわせて確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
算定を見逃しやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは次のようなケースです。
取り漏れが起こりやすいケース
加算2の取り漏れ: 「ア」のパターンで紹介した際に受診日まで予約していたのに、加算2を算定せず加算1のみで終わってしまうケースがあります。予約と診療録への記載があれば、加算2もあわせて算定候補になります。 診療録記載の抜け: 紹介先の歯科医療機関名(加算2の場合は受診日も)を診療録に記載し忘れると、算定要件を満たしているかの確認が難しくなります。紹介のたびに記載を徹底しましょう。
あおい(元・医療事務)
また、「口腔管理連携加算(A233-3)」の施設基準を目指している病院では、歯科医療機関連携加算1の算定実績が前年度3件以上必要になる場合があります。日頃から算定漏れなく記録しておくことが、将来の施設基準届出にもつながります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。