みらい(新人医療事務)
「極低出生体重児加算」って名前だけ見るとNICUの入院料の加算かと思ったんですけど、点数表だと「手術」のところに出てくるんですね。これはどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。これは医科点数表の第10部「手術」の通則7に定められている加算で、入院基本料や新生児特定集中治療室管理料の加算ではなく、特定の手術そのものに上乗せする点数です。手術時の体重がとても少ない赤ちゃんに手術を行うときの負担の大きさを踏まえて、対象手術の所定点数に加算する仕組みになっています。令和8年度(2026年度)の医科点数表でもこの通則は維持されています。
みらい(新人医療事務)
「手術時体重」というのがポイントなんですね。出生体重とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこが取り違えやすいところです。厚生労働省の告示(医科点数表 第10部手術 通則7)には「K756、K756-2、K773、K773-5、K775、K804、K805からK805-3まで、K812-2、K838並びにK913に掲げる手術を手術時体重が1,500グラム未満の児又は新生児(手術時体重が1,500グラム未満の児を除く。)に対して実施する場合には、それぞれ当該手術の所定点数の100分の400又は100分の300に相当する点数を加算する」と書かれています。基準になっているのは「出生時の体重」ではなく「手術を行った時点の体重」です。出生時は1,500グラム未満でも、手術のときにはすでに増えていれば、この加算の対象にならない可能性があります。逆に、出生時は1,500グラム以上でも、何らかの事情で手術時体重が1,500グラム未満であれば対象になり得ます。基準日を混同しないことが最初の確認ポイントです。
極低出生体重児加算(手術)の対象となる患者・手術
みらい(新人医療事務)
対象になる手術は決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、通則7で対象手術が区分番号で限定列挙されています。表にすると次のとおりです。
| 区分 | 対象患者の状態 | 加算名 | 加算割合 |
|---|---|---|---|
| 通則7前段 | 手術時体重が1,500グラム未満の児 | 極低出生体重児加算(手術) | 所定点数の100分の400(4倍相当)を加算 |
| 通則7後段 | 新生児(手術時体重1,500グラム未満の児を除く) | 新生児加算(手術) | 所定点数の100分の300(3倍相当)を加算 |
対象となる手術の区分番号(通則7指定)
K756、K756-2、K773、K773-5、K775、K804、K805からK805-3まで、K812-2、K838、K913の各区分に掲げる手術が対象です(厚生労働省告示)。このうちK913は新生児仮死蘇生術であることが厚生労働省の別の資料でも確認できています。それ以外の区分番号にどの術式が該当するかは、自院のレセプトコンピュータの点数表マスターや医科点数表の当該区分番号で個別にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
対象手術のリストにあれば、体重の条件を満たすだけで自動的に算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。対象手術に該当し、かつ手術時体重の条件を満たしていることがまず前提で、そのうえで実際の算定はレセプトへの記載内容なども含めて確認が必要です。「対象手術+体重条件」を満たせば算定候補になる、という理解が近いです。対象手術のリストに含まれない手術には、この加算自体を使うことができません。
点数・加算割合(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
実際どれくらい加算されるんですか?点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している医科診療行為マスターでは、この加算(コード150306890)は「極低出生体重児加算(手術)」という名称で、加算の算定区分が割合方式(100分の400)として登録されています。点数は手術ごとの所定点数に対する割合で決まるので、「◯点」という固定額ではなく、対象手術の所定点数の400%(4倍相当)を加算する形です。同じマスターでは、新生児加算(手術)がコード150000190・割合300(100分の300)、乳幼児加算(手術)がコード150000290・割合100(100分の100)として、それぞれ別コードで登録されています。

固定点数ではなく割合加算です
極低出生体重児加算(手術)は、対象手術の所定点数に対する「100分の400」の割合加算です。手術の種類によって元になる所定点数が異なるため、実際に加算される点数も手術ごとに変わります。他の加算のような固定点数(◯点)と混同しないよう確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
新生児加算や乳幼児加算とは何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
通則7の中で、体重条件によって加算割合が分かれています。手術時体重が1,500グラム未満なら100分の400、1,500グラム以上の新生児なら100分の300です。さらに通則8には3歳未満の乳幼児等を対象にした乳幼児加算・幼児加算(100分の100または100分の50)が定められていますが、厚生労働省の告示(医科点数表 第10部手術 通則8)には「3歳未満の乳幼児又は3歳以上6歳未満の幼児に対して手術(区分番号K618に掲げる中心静脈注射用植込型カテーテル設置を除く。)を行った場合は、乳幼児加算又は幼児加算として、当該手術の所定点数に所定点数の100分の100又は100分の50に相当する点数を加算する。ただし、前号に規定する加算を算定する場合は算定しない」と明記されています。つまり、極低出生体重児加算・新生児加算(通則7)を算定する場合は、乳幼児加算・幼児加算(通則8)を重ねて算定しない、という関係になっています。関連する加算として新生児加算や乳幼児加算のページも参考にしてください。
施設基準・届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した一次資料の範囲では、極低出生体重児加算(手術)そのものについて個別の施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。手術の通則に基づく加算という性質上、対象手術を実施できる体制があれば算定候補になり得ますが、対象となる手術自体に施設基準・届出が定められている場合は、まずそちらの届出状況を満たしていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「届出は不要」と考えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこまでは言い切れません。「届出不要」と断定はできません。対象手術ごとの施設基準や、新生児特定集中治療室管理料など周辺の届出状況によって、実際に算定できるかどうかが左右される場合があります。最終的には自院の届出台帳と、地方厚生局への届出内容をあわせて確認することをおすすめします。
届出の有無は必ず確認を
対象手術自体に施設基準・届出が定められているケースもあります。「極低出生体重児加算だけを見て届出不要と判断する」のではなく、対象手術のページや自院の届出台帳もあわせて確認してください。
算定のタイミング・記録要件(手術時体重の記載)
みらい(新人医療事務)
レセプトを書くときに、何か気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、手術時の体重を記載する欄があります。厚生労働省が公開している、医科点数表に対応するレセプト電算処理システム用コードの資料には「830100265 手術時体重(極低出生体重児加算(手術))」「通則7 1,500グラム未満の児 手術時体重を記載すること」という記載があります。これは、極低出生体重児加算(手術)を算定する際に、レセプトの摘要欄などに「手術時体重」を記載する必要があることを示しています。同じ資料には、新生児加算(手術)についても「手術時体重(新生児加算(手術))」という別のコードが用意されており、どちらの加算に該当するかで記載欄が分かれています。体重を記載していないと、加算の根拠が確認できず、査定の対象になる可能性があります。
自院で確認する順番
- 実施した手術が通則7の対象区分番号(K756等)に該当するか確認する
- 手術を行った時点の体重が1,500グラム未満か、1,500グラム未満を除く新生児かを確認する
- レセプトの摘要欄に手術時体重を記載する
- 同一手術で乳幼児加算・幼児加算(通則8)を重複して算定していないか確認する
- 対象手術自体の施設基準・届出状況を確認する
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他に気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
さきほどお伝えしたとおり、乳幼児加算・幼児加算(通則8)とは併算定できません。また、対象手術の区分番号に該当しない手術には、この加算自体が使えません。似た名前の「未熟児加算」「新生児加算」は、手術だけでなく処置や麻酔にも別に定められています。たとえば処置のG016硝子体内注射には、厚生労働省の告示で「G016 硝子体内注射 600点 注 未熟児に対して行った場合には、未熟児加算として、600点を所定点数に加算する」という未熟児加算が定められています。麻酔の部にも「未熟児、新生児(未熟児を除く。)、乳児又は1歳以上3歳未満の幼児に対して麻酔を行った場合は、未熟児加算、新生児加算、乳児加算又は幼児加算として、当該麻酔の所定点数にそれぞれ所定点数の100分の200、100分の200、100分の50又は100分の20に相当する点数を加算する」という未熟児加算・新生児加算が別に定められています。同じ「未熟児加算」「新生児加算」という名前でも、手術・処置・麻酔のどの部に定められた加算かによって、加算割合や算定条件がまったく異なります。今回ご案内している極低出生体重児加算(手術)は、あくまで手術の通則7に基づく加算だという点を切り分けて確認してください。
よくある取り違えポイント
「出生体重」と「手術時体重」の混同、「未熟児加算」「新生児加算」という同じ名前でも部(手術・処置・麻酔)によって加算割合や算定条件が異なる点、乳幼児加算との重複算定不可、の3点が特によく確認漏れになりやすいポイントです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回参照した一次資料(医科点数表 第10部手術 通則7・通則8、医科点数表に対応するレセプト電算処理システム用コード)の範囲では、極低出生体重児加算(手術)の対象手術・加算割合(100分の400/100分の300)についての変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。改定のたびに対象手術の区分番号や割合が見直される可能性はあるため、実際に算定する際は算定する年度の告示・通知を必ず確認してください。

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象手術や手術時体重、記載事項を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。