みらい(新人医療事務)
院長から「遠隔モニタリング加算」って算定できないか調べてって言われたんですけど、正直よくわかっていなくて…。これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
遠隔モニタリング加算ですね。正式には「心臓ペースメーカー指導管理料」という区分の中の加算の一つです。ペースメーカーや植込型除細動器を入れている患者さんに対して、遠隔モニタリングの仕組みを使って来院時以外の期間も指導管理をしていた場合に、その分を来院時にまとめて評価する加算です。令和8年度の医科点数表に基づく内容として整理していきますね。
みらい(新人医療事務)
「来院時以外の期間もまとめて」っていうのが独特ですね。普通の加算は来院した日に算定するイメージだったので。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算は、次に患者さんが来院するまでの間、遠隔で機能指標を確認したり、状況に応じて来院を促したりする体制を評価するものなので、実際に点数を算定するタイミングは「来院した月」になります。まずは加算の位置づけから確認していきましょう。
遠隔モニタリング加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも「心臓ペースメーカー指導管理料」自体、あまり見かけない気がします。
あおい(元・医療事務)
特定疾患治療管理料(B001)の「12」に規定されている管理料で、体内植込式心臓ペースメーカーや植込型除細動器、両室ペーシング機能付き植込型除細動器、着用型自動除細動器を使用している患者さんに対する指導管理を評価するものです。遠隔モニタリング加算は、このうち「ロ」または「ハ」を算定している患者さんが対象で、注5に規定されています。
みらい(新人医療事務)
「ロ」とか「ハ」って区分があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、心臓ペースメーカー指導管理料には「イ・ロ・ハ」の3区分があって、それぞれ使っている機器で分かれています。遠隔モニタリング加算が上乗せできるのは「ロ」と「ハ」の患者さんだけで、「イ」(着用型自動除細動器)は対象外という点は間違えやすいポイントです。
対象になる区分に注意
遠隔モニタリング加算(注5)は、心臓ペースメーカー指導管理料の「ロ」または「ハ」を算定している患者が対象です。「イ」(着用型自動除細動器による場合)は対象外である点を、算定前に必ず確認してください。
点数の区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
実際の点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
まず土台となる心臓ペースメーカー指導管理料自体の点数、そこに乗る遠隔モニタリング加算の点数、この2段階に分けて見ていくと分かりやすいですよ。

| 区分 | 対象機器 | 心臓ペースメーカー指導管理料 | 遠隔モニタリング加算(注5) |
|---|---|---|---|
| イ | 着用型自動除細動器 | 360点 | 対象外 |
| ロ | ペースメーカー | 300点 | 260点 |
| ハ | 植込型除細動器又は両室ペーシング機能付き植込型除細動器 | 520点 | 480点 |
みらい(新人医療事務)
遠隔モニタリング加算の260点や480点って、来院した月に1回だけ算定するイメージでいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがポイントで、単純な「月1回260点」ではないんです。前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、遠隔モニタリングを使って療養上必要な指導を行っていた場合に、その「月数」を260点または480点に乗じた点数を、来院時にまとめて加算します。ただし、算定できる月数は11か月が限度です。
みらい(新人医療事務)
つまり、3か月来院が空いていたら260点×3か月分…みたいな計算になるということですか?
あおい(元・医療事務)
ロの患者さんであればそのとおりです。空白期間の月数分をまとめて、来院した月にまとめて算定する形になります。ここは自院のレセプトコンピュータの設定によって扱いが変わることもあるので、実際の請求時は必ず院内のルールと照らし合わせて確認してくださいね。
点数の断定は避けてください
遠隔モニタリング加算の点数(260点・480点)や月数の考え方は令和8年度の医科点数表に基づく整理です。個別の患者さんについて実際にいくら算定できるかは、来院間隔や指導の実施状況によって変わるため、自院での確認が必要です。
対象患者・対象医療機関
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件をもう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
条件は大きく3つあります。1つ目は、遠隔モニタリングに対応した体内植込式心臓ペースメーカー、植込型除細動器、または両室ペーシング機能付き植込型除細動器を使用していること。2つ目は、入院中の患者さん以外であること。3つ目は、適切な管理を行い、状況に応じて患者さんに来院等を促す体制が整っていることです。
みらい(新人医療事務)
「来院を促す体制」っていうのは、具体的にはどういうことなんでしょう。
あおい(元・医療事務)
遠隔モニタリングで得られたデータを見て、異常があれば早めに来院してもらうよう連絡する、といった運用ですね。単に機器のデータを受信しているだけでなく、そのデータをもとに患者さんの状態に応じた対応ができる体制であることが前提とされています。
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関の方は何か条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。ロまたはハを算定する患者さんについて、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが条件です。届出をしていない医療機関では、この加算は算定候補になりません。
算定要件
みらい(新人医療事務)
算定要件で、特に見落としやすいところはどこですか?
あおい(元・医療事務)
3つあります。1つ目は、この加算が「来院時以外の期間における機能指標の計測等を含めて評価したもの」だという点。つまり遠隔での確認作業そのものへの評価であって、来院時の診察とは別枠だということです。2つ目は、プログラム変更に要する費用は所定点数に含まれるという点。別途費用を算定することはできません。3つ目は、患者さんの急変等で受診し、療養上必要な指導を行った場合には、遠隔モニタリング加算ではなく「ロ」または「ハ」自体を算定するという整理です。
みらい(新人医療事務)
急変時の来院は、遠隔モニタリング加算ではなく通常の指導管理料の方で算定する、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。定期的な受診での算定と、急変時の受診での算定を混同しないように気をつけてください。どちらで算定するかによって扱いが変わるので、レセプト作成時に確認するポイントの一つになります。
急変時の来院は取り扱いが変わる
患者の急変等により受診し、療養上必要な指導を行った場合は、遠隔モニタリング加算ではなく心臓ペースメーカー指導管理料の「ロ」又は「ハ」を算定する整理になっています。定期受診と急変時受診を分けて記録しておくと、後から確認しやすくなります。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準についても教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず土台として、心臓ペースメーカー指導管理料そのものを算定するには、電気除細動器、一時的ペーシング装置、ペースメーカー機能計測装置(ペーサーグラフィー、プログラマー等)を有する保険医療機関であることが前提になります。そのうえで、遠隔モニタリング加算(注5)を算定するには、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等への届出が必要です。
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準」の具体的な中身までは、まだ分かっていないということですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、その施設基準の詳細な要件については、当サイトが収載している一次資料の範囲では確認できていません。届出様式や具体的な要件は、地方厚生局への届出書類や関連する告示・通知で確認する必要があります。届出をしないまま算定することはできないので、この加算を検討する場合は、まず届出の要否とその具体的な要件を地方厚生局に確認することをおすすめします。
施設基準の詳細は要確認
遠隔モニタリング加算は地方厚生局長等への届出が必要な加算です。届出済みであれば算定候補になりますが、具体的な施設基準の要件は一次資料や地方厚生局への確認が必要です。届出の有無を必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の一次資料(医科点数表・留意事項通知)で確認できる範囲では、心臓ペースメーカー指導管理料の区分(イ・ロ・ハ)の点数、および遠隔モニタリング加算の260点・480点という点数、11か月を限度とする算定方法について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年7月時点・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、ということも大事な情報ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。改定のたびに全部の加算が変わるわけではないので、「変わっていないこと」も含めて一次資料で確認することが大切です。ただし、当サイトが参照できる一次資料の範囲での確認であり、施設基準の細部やQ&A(疑義解釈)の追加については、今後の情報更新で変わる可能性もあります。
前回改定(令和6年度)との比較
心臓ペースメーカー指導管理料および遠隔モニタリング加算の点数・算定方法は、令和6年度(2024年度)改定時点の内容と比較しても、令和8年度(2026年度)の一次資料の範囲では変更が確認されていません。今後の告示改正や疑義解釈の発出には注意してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの患者さんで算定できそうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認するのがおすすめです。

自院で確認する順番
- 対象となる機種(遠隔モニタリング対応のペースメーカー・植込型除細動器・両室ペーシング機能付き植込型除細動器)を使用している患者さんかどうかを確認する
- 入院中の患者さんではないことを確認する
- 心臓ペースメーカー指導管理料の「ロ」または「ハ」を算定している患者さんであることを確認する(「イ」は対象外)
- 自院が遠隔モニタリング加算の施設基準について地方厚生局長等への届出を済ませているかを確認する
- 前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、実際に遠隔モニタリングによる指導を行っていたかを確認する
みらい(新人医療事務)
この順番なら、うちのケースがどこで止まるかも分かりやすいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に4番目の届出の有無は見落とされがちなので、この加算を検討するときは真っ先に確認しておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかご紹介しますね。
よくある取り漏れ①: 区分の対象外に気づかない
着用型自動除細動器(イ)を使用している患者さんに、遠隔モニタリング加算を算定できると思い込んでしまうケースです。注5の対象は「ロ」または「ハ」のみで、「イ」は対象外です。
よくある取り漏れ②: 施設基準の届出が済んでいない
遠隔モニタリングの体制自体は整っていても、地方厚生局長等への届出が済んでいないと算定候補にはなりません。届出状況を院内で共有できているかを確認しておくことが大切です。
よくある取り漏れ③: 算定タイミングの誤解
遠隔モニタリング加算は「来院時以外の期間」を評価するもので、算定自体は来院した月にまとめて行います。月ごとに自動的に算定されるものではない点に注意してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか気になっていることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
遠隔モニタリング加算は、何点まとめて算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
対象となる区分によって異なります。ロを算定している患者さんは260点、ハを算定している患者さんは480点に、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの月数を乗じた点数が候補になります。ただし算定できる月数は11か月が限度です。
みらい(新人医療事務)
着用型自動除細動器を使っている患者さんは、この加算の対象にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。遠隔モニタリング加算(注5)の対象は心臓ペースメーカー指導管理料の「ロ」または「ハ」を算定している患者さんに限られており、「イ」(着用型自動除細動器による場合)は対象外です。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない医療機関でも、体制さえ整っていれば算定の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、体制が整っていても、地方厚生局長等への施設基準の届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。届出の有無を必ず確認してください。
あわせて確認したい加算
みらい(新人医療事務)
ペースメーカー関連以外にも、同じ医学管理の区分で見落としやすい加算ってありますか?
あおい(元・医療事務)
例えば時間外救急搬送加算のように、同じ医学管理料の区分にある加算も見落とされがちです。遠隔モニタリング加算とあわせて、自院で対象になりそうな医学管理の加算を一通り確認しておくと安心ですよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。