みらい(新人医療事務)
先輩、「酸素療法加算」ってレセプトで見かけたんですけど、これって外来の酸素吸入とは別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別物です。これは往診料(C000)の「注3」に規定されている在宅ターミナルケア加算に、がん患者さんへの酸素療法があった場合にさらに上乗せされる加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づいて、順番に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「上乗せ」ということは、単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。往診料の注3に定める在宅ターミナルケア加算がまず算定できる状況であることが前提で、そのうえで一定の条件を満たすと酸素療法加算2,000点がさらに加算される、という構造になっています。厚生労働省の告示(医科点数表)には「がん患者に対して酸素療法を行っていた場合は酸素療法加算として2,000点を更に所定点数に加算する」と定められています。
酸素療法加算はどんな場面で関わってくるの?
みらい(新人医療事務)
具体的には、どういう患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「「注3」に規定する酸素療法加算は、悪性腫瘍と診断されている患者に対し、死亡した月において、在宅酸素療法を行った場合に算定する」と明記されています。つまり、悪性腫瘍(がん)と診断された患者さんが、亡くなった月に在宅酸素療法を受けていたことが条件になります。
みらい(新人医療事務)
「死亡した月」というのが独特ですね。往診した日に限らないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこがポイントです。往診料の注3の在宅ターミナルケア加算そのものは、在宅で死亡した患者さん(往診後24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含みます)に対して、死亡日及び死亡日前14日以内に、退院時共同指導料1(区分番号B004)を算定し、かつ往診を実施した場合に算定できる、という枠組みが土台になっています。酸素療法加算は、その枠組みのなかで「死亡した月に在宅酸素療法を行っていたか」という追加の事実を確認して初めて候補になる加算です。

みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関にも決まりがありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、診療所・病院のいずれも対象になり、在宅で往診を行っている医療機関が想定されています。入院中の患者さんや外来受診のみの患者さんは対象になりません。往診という在宅医療の枠組みのなかでの加算だと考えてください。
点数を確認してみましょう
みらい(新人医療事務)
点数はいくらでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
テーブルにまとめますね。
| 項目 | 点数 | 算定の位置づけ | 年度 |
|---|---|---|---|
| 酸素療法加算 | 2,000点 | 往診料(C000)注3の在宅ターミナルケア加算に更に加算 | 令和8年度(2026年度) |
みらい(新人医療事務)
在宅ターミナルケア加算そのものの点数とは別に、上乗せで2,000点がつくということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。在宅ターミナルケア加算の本体点数は、有料老人ホーム等への入居の有無や在宅療養支援診療所・病院の区分などによって変わります。酸素療法加算は、その本体点数に「がん患者への酸素療法」という条件が加わったときに、さらに2,000点を上乗せする仕組みです。本体点数の区分の確認は、この記事では扱いきれない部分もあるので、公式の医科点数表で必ず突き合わせてくださいね。
医師が確認・説明しておくべきこと
みらい(新人医療事務)
算定するだけでなく、やっておくべきことがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知には、在宅酸素療法を指示した医師について「在宅酸素療法のための酸素投与方法(使用機器、ガス流量、吸入時間等)、緊急時連絡方法等を装置に掲示すると同時に、夜間も含めた緊急時の対処法について、患者本人及びその家族等に説明を行うこと」と定められています。
みらい(新人医療事務)
装置への掲示と、家族への説明の両方が必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。カルテやケア記録に、酸素投与方法・緊急時連絡方法の掲示状況と、患者さん本人・ご家族への説明を行った記録が残っているかを、算定前に確認しておくと安心です。
確認しておきたいポイント
対象患者: 悪性腫瘍と診断されている患者であることがカルテ等で確認できるか 死亡月の在宅酸素療法: 死亡した月に在宅酸素療法を実施した記録が残っているか 説明・掲示の記録: 酸素投与方法・緊急時連絡方法の掲示、患者本人・家族への説明記録があるか
併算定できない項目に注意
みらい(新人医療事務)
酸素療法加算を算定した月は、ほかの酸素関連の項目とかぶってしまいそうな気がします。
あおい(元・医療事務)
鋭いですね。留意事項通知には、酸素療法加算を算定した月について「「C103」在宅酸素療法指導管理料、「C107」在宅人工呼吸指導管理料、「C157」酸素ボンベ加算、「C158」酸素濃縮装置加算、「C159」液化酸素装置加算、「C164」人工呼吸器加算、「J018」喀痰吸引、「J018-3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、「J024」酸素吸入、「J024-2」突発性難聴に対する酸素療法、「J025」酸素テント、「J026」間歇的陽圧吸入法、「J026-2」鼻マスク式補助換気法、「J026-3」体外式陰圧人工呼吸器治療及び「J045」人工呼吸は算定できない」とはっきり定められています。
みらい(新人医療事務)
かなり広い範囲の項目が対象なんですね。レセプトの点検でうっかり両方入れてしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。酸素療法加算を算定する月は、この一覧にある在宅酸素療法関連の指導管理料や、酸素吸入・人工呼吸関連の処置料が同時に算定されていないか、レセプト確定前に必ず突き合わせる必要があります。
併算定チェックは月単位で
酸素療法加算を算定した月は、在宅酸素療法指導管理料(C103)や酸素吸入(J024)など上記の項目を同時に算定できません。日単位ではなく月単位のチェックになる点に注意してください。対象範囲が広いため、資料に記載のない項目まで自己判断で除外・追加しないことも大切です。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、酸素療法加算そのものに個別の施設基準や届出は定められていません。悪性腫瘍の診断・死亡した月の在宅酸素療法という事実要件が満たされているかどうかで判断される加算です。
みらい(新人医療事務)
それなら届出の心配はしなくていいんですね。
あおい(元・医療事務)
そこは3つに分けて考えてもらえるといいです。酸素療法加算自体には届出が不要でも、土台になる往診料の注3(在宅ターミナルケア加算)は、在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院かどうかや、在宅医療充実体制加算などの施設基準の届出状況によって、本体の点数区分が変わります。つまり「酸素療法加算は算定候補」「本体点数の区分は届出状況で要確認」「対象患者に当てはまらなければ対象外の可能性」という3つの見立てを、患者さんごとに確認していただくのが確実です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収載している厚生労働省の一次資料の範囲では、酸素療法加算(往診料C000注3関連)について、令和6年度からの変更点は確認できていません(2026年7月確認時点)。この加算単体を取り上げた比較資料が手元になく、断定できる材料がないためです。
みらい(新人医療事務)
確認できていない、というのは正直でいいと思います。
あおい(元・医療事務)
そうですね。改定のたびに条件や併算定の範囲が見直されることもあるので、変更の有無は厚生労働省の最新の告示・留意事項通知、または疑義解釈でその都度確認していただくのが一番確実です。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
悪性腫瘍(がん)と診断されている患者かをカルテで確認する 死亡した月に在宅酸素療法を実施していたかを確認する 酸素投与方法・緊急時連絡方法の掲示と、患者本人・家族への説明記録があるかを確認する 同月にC103やJ024など併算定できない項目を算定していないかレセプトを突き合わせる 往診料の注3(在宅ターミナルケア加算)の本体点数区分(在宅療養支援診療所・病院の届出状況等)を確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料から読み取れる範囲でお伝えすると、次のようなケースで確認漏れが起きやすいと考えられます。
取り漏れが起きやすいケース
説明記録の未記載: 酸素投与方法や緊急時連絡方法の掲示、家族への説明が実際には行われていても、記録として残っていないケース 併算定の見落とし: 同月にJ024(酸素吸入)などを別の処置として算定してしまい、酸素療法加算との重複に気づかないケース 死亡月の判定ミス: 往診を行った日と実際の死亡日が別の月にまたがり、「死亡した月」の解釈を取り違えるケース
みらい(新人医療事務)
どのケースも、記録と日付の確認が鍵になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。算定候補かどうかは、最終的にはカルテと診療録の記載内容次第になりますので、疑わしい場合は算定前に確認する習慣をつけてもらえればと思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうなことをまとめてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
いいですね。いくつか整理しましょう。
みらい(新人医療事務)
悪性腫瘍(がん)以外の疾患で在宅酸素療法をしていた患者さんは対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知は「悪性腫瘍と診断されている患者」に対する加算と明記しているため、悪性腫瘍以外の患者さんは対象外の可能性が高いです。ただし個別の病態については、最終的にカルテの記載と一次資料の突き合わせで確認してください。
みらい(新人医療事務)
死亡した月の途中から在宅酸素療法を始めた場合も対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
「死亡した月において、在宅酸素療法を行った場合」という条件なので、月の途中からの開始であっても実施の事実があれば算定候補になり得ますが、開始時期によって判断が分かれる可能性もあるため、確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
在宅ターミナルケア加算を算定していない月でも、酸素療法加算だけ単独で算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。酸素療法加算は「更に所定点数に加算する」加算、つまり往診料の注3の在宅ターミナルケア加算が算定できる状況が前提になっています。単独では算定候補になりません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、同じ往診料(C000)に関わる加算として 往診時医療情報連携加算 や 介護保険施設等連携往診加算 も見ておくと、往診料まわりの加算の全体像がつかみやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。