みらい(新人医療事務)
先輩、「重症患者搬送加算」って加算、初めて見ました。搬送に加算が付くんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。区分番号「C004」救急搬送診療料の「注4」に規定されている加算ですよ。救急搬送診療料そのものは、患者さんを救急用の自動車等で保険医療機関に搬送する際、医師が同乗して診療を行った場合に算定するものなんですが、その中でも特に重篤な患者さんを、施設基準を届け出た医療機関の「重症患者搬送チーム」が搬送した場合に、上乗せで算定候補になる加算です。
みらい(新人医療事務)
「重篤な患者さん」ってどういう状態を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「救急搬送中に人工心肺補助装置、補助循環装置又は人工呼吸器を装着し医師による集中治療を要する状態の患者について、日本集中治療医学会の定める指針等に基づき、重症患者搬送チームが搬送を行った場合に加算する」と書かれています。人工心肺補助装置・補助循環装置・人工呼吸器のいずれかを装着していて、集中治療を要する状態であることが前提になっているんですね。
みらい(新人医療事務)
単に救急車に同乗しただけでは、この加算の対象にはならないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。まず区分番号「C004」救急搬送診療料の「注1」を算定できる場面であることが前提で、そのうえで「注4」の重症患者搬送加算は、施設基準に適合し地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、重篤な患者に対して重症患者搬送チームによる搬送を行った場合に、算定候補になる加算です。届出の有無と、実際にチームで対応したかどうかの両方を確認する必要があります。
対象医療機関・対象患者(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
区分番号「C004」救急搬送診療料自体は診療所・病院どちらでも算定の場面がありますし、留意事項通知では「入院患者についても救急搬送診療料を算定することができる」場合も示されています。ただし「注4」の重症患者搬送加算は、そのうえでさらに施設基準の届出が必要という条件が加わります。届出をしていない医療機関は、たとえ重篤な患者さんを搬送しても、この加算の対象外になる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの状態は、さっき教えてもらった「人工心肺補助装置・補助循環装置・人工呼吸器の装着」ですよね。
あおい(元・医療事務)
はい。加えて「医師による集中治療を要する状態」であること、そして搬送が「日本集中治療医学会の定める指針等に基づき」行われていることが留意事項通知に明記されています。この3点が揃っているかを、まず自院の症例で振り返ってみるのが確認の出発点になります。
点数とコード(令和8年度)

みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか? 注1から注4まであるって聞いて、ちょっと混乱してます。
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。令和8年度の医科点数表に基づく整理です。
| 区分 | 名称 | 点数 |
|---|---|---|
| 注1(本体) | 救急搬送診療料 | 1,300点 |
| 注2 | 新生児加算 | 1,500点 |
| 注2 | 乳幼児加算(新生児を除く6歳未満) | 700点 |
| 注3 | 長時間加算(診療時間30分超) | 700点 |
| 注4 | 重症患者搬送加算(施設基準の届出医療機関が対象) | 1,800点 |
あおい(元・医療事務)
告示の点数表には「注4 注1に規定する場合であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、重篤な患者に対して当該診療を行った場合には、重症患者搬送加算として、1,800点を所定点数に加算する」とあります。あくまで「注1」の救急搬送診療料の算定が成立していることが前提の加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
コードは何番になるんですか?
あおい(元・医療事務)
具体的な診療行為コードは、レセプトを組む際に医科診療行為マスターで確認してください。当サイトの整理では今回コードそのものの裏取りができていないので、区分番号「C004」の「注4」という条文上の位置づけでご案内していますね。番号だけで判断せず、必ずマスターとレセコンの設定を突き合わせるのが安全です。
施設基準(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的に何を届け出るんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈でいくつか具体化されています。まず「関係学会により認定された施設」の意味について、令和8年3月23日の疑義解釈(問35)では「区分番号『C004』救急搬送診療料の『注4』に規定する重症患者搬送加算の施設基準における『関係学会により認定された施設』とは、具体的には何を指すのか」という問いに対して「現時点では、日本集中治療医学会認定集中治療施設を指す」と回答されています。つまり、自院(または連携先)が日本集中治療医学会認定集中治療施設であるかどうかが、まず確認すべきポイントです。
みらい(新人医療事務)
重症患者搬送チームの人員要件は?
あおい(元・医療事務)
令和4年度の疑義解釈(問178)では、看護師に求められる「集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修」として、日本看護協会の認定看護師教育課程(クリティカルケア等)や、看護系大学院の専門看護師教育課程、特定行為に係る看護師の研修制度による指定研修などが具体的に挙げられています。研修内容が複数の選択肢に分かれているので、担当する看護師さんがどの研修を修了しているか、一覧で確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
兼務でもいいんでしょうか? 例えば他の加算の専従看護師が兼ねるとか。
あおい(元・医療事務)
そこは疑義解釈(問177)ではっきり否定されています。「重症患者搬送チームの看護師は、重症患者対応体制強化加算の施設基準における専従看護師が兼ねることとしてよいか」という問いに対して「不可」と回答されているんです。他の施設基準の専従要員と兼務させてしまうと、施設基準を満たさない扱いになる可能性があるので注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
医師の要件はどうですか?
あおい(元・医療事務)
医師については、疑義解釈(問179)で「集中治療の経験を5年以上有する医師であればよく、関係学会が行う特定集中治療に係る講習会の受講を証明する資料の提出を行う必要はない」とされています。5年以上の集中治療の経験があれば足り、追加の証明書類までは求められていない、という整理です。
施設基準の確認は自院の届出状況とあわせて
施設基準の充足(研修修了・経験年数・兼務の可否など)は、当サイトの一次資料の整理だけでは判定できません。担当スタッフの研修履歴や勤務経歴の確認は、必ず自院の届出担当者・地方厚生局への確認を通じて行ってください。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
届出は必須なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。点数表の条文自体に「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」という条件が入っているので、届出をしていない医療機関は、要件を満たす搬送を行っても重症患者搬送加算の対象外になる可能性があります。逆にいえば、届出済みであれば算定候補になる場面が出てくる、という整理です。
みらい(新人医療事務)
すでに届出をしているかどうか、どこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出状況は、自院の届出担当部署や事務長が管理している届出書類・地方厚生局への提出履歴で確認できます。もし手元に記録がなければ、地方厚生局への確認が確実です。ここは当サイトでは判定できない部分なので、必ず自院で確認してくださいね。
算定のタイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず大前提として、「注4」の重症患者搬送加算は「注1」の救急搬送診療料が算定できる場面でなければ成立しません。搬送そのものが救急搬送診療料の対象になっているかを、先に確認する流れになります。そのうえで、重篤な患者さんに対して重症患者搬送チームが対応したことが記録として残っているかも重要です。
みらい(新人医療事務)
複数の医療機関が関わる搬送だとどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に「同一の搬送において、複数の保険医療機関の医師が診療を行った場合、主に診療を行った医師の所属する保険医療機関が診療報酬請求を行い、それぞれの費用の分配は相互の合議に委ねることとする」とあります。複数の医療機関が関わった場合は、主に診療を行った医師の所属先が請求し、費用配分は当事者間の合議になる、という整理ですね。
算定候補であって確定ではありません
重症患者搬送加算は、施設基準の届出・重症患者搬送チームの体制・対象患者の状態の3つがすべて確認できて初めて算定候補になります。いずれか一つでも要確認の状態であれば、算定候補と断定せず、届出状況や記録を自院で確認したうえで判断してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが収録している一次資料の範囲では、重症患者搬送加算そのものの点数(1,800点)や、「注4」の条文の変更を示す資料は確認できていません。また、施設基準の「関係学会により認定された施設」の定義についても、令和8年3月23日付の疑義解釈(問35)で「現時点では、日本集中治療医学会認定集中治療施設を指す」と示されており、過去の疑義解釈と同じ考え方が維持されている形です。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に言いたいところです。当サイトで前回改定(令和6年度)時点の同項目の一次資料を照合できていないため、「点数・施設基準の変更は確認されていません(令和8年3月時点の疑義解釈を含む、当サイトが収録している一次資料の範囲で)」という言い方にとどめています。改定の全項目を横断的に照合したわけではないので、正確な経緯を知りたい場合は、厚生労働省の個別改定項目の資料や地方厚生局への確認をおすすめします。
改定差分の確認範囲
確認した範囲: 令和8年度の医科点数表(告示)・留意事項通知・令和8年3月23日付の疑義解釈 確認できなかった範囲: 令和6年度時点の同項目の一次資料との直接比較 結論: 上記の確認範囲内では、点数・施設基準の変更は確認されていません
自院で確認する順番

自院で確認する順番
まず注1(救急搬送診療料本体)の算定要件を満たしているか確認する: 医師が救急用の自動車等に同乗して診療を行った搬送かどうかを確認します。 施設基準の届出状況を確認する: 重症患者搬送加算に関する施設基準の届出をすでに行っているか、届出担当部署・地方厚生局への提出履歴で確認します。 重症患者搬送チームの人員要件を確認する: 対応した看護師が該当する研修を修了しているか、医師が集中治療の経験を5年以上有しているかを確認します。 対象患者の状態を確認する: 人工心肺補助装置・補助循環装置・人工呼吸器のいずれかを装着し、集中治療を要する状態で、日本集中治療医学会の定める指針等に基づく搬送であったかを確認します。 記録・請求区分を確認する: 複数医療機関が関わった搬送であれば、主に診療を行った医師の所属先で請求する整理になっているかを確認します。
よくある取り漏れ
取り漏れやすいポイント(1) 兼務の見落とし
重症患者搬送チームの看護師を、他の施設基準(重症患者対応体制強化加算の専従看護師など)と兼務させてしまっているケースです。疑義解釈で「不可」と明確に回答されているため、体制表を作る際に兼務になっていないか、事前にチェックする運用が有効です。
取り漏れやすいポイント(2) 注1の算定要件の見落とし
重症患者搬送加算は「注4」の加算であり、「注1」の救急搬送診療料が成立していることが前提です。搬送記録を残す際に、注1の要件(医師の同乗・診療の実施)が満たされているかを先に確認しておかないと、加算だけを算定しようとして要件不足になる可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。よくある疑問をまとめておきますね。
みらい(新人医療事務)
外来の患者さんの搬送でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「入院患者についても救急搬送診療料を算定することができる」場合が示されているので、入院患者への対応も含めて確認が必要です。搬送の場面ごとに要件が異なるので、個別のケースは自院で確認するか、当サイトの加算チェッカーもあわせてご活用ください。
みらい(新人医療事務)
日本集中治療医学会認定集中治療施設でなければ、算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準における「関係学会により認定された施設」の定義が、疑義解釈で「日本集中治療医学会認定集中治療施設」とされているので、この認定の有無は重要な確認ポイントです。ただし個別の判定は当サイトでは行えないため、自院の認定状況を確認したうえで、必要に応じて地方厚生局に相談することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
医師の集中治療の経験年数は、どうやって証明するんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈(令和4年度・問179)では「集中治療での勤務経験を5年以上有する医師であればよく、関係学会が行う特定集中治療に係る講習会の受講を証明する資料の提出を行う必要はない」とされています。ただし、経験年数の記録自体は自院で管理しておく必要があるので、勤務歴の記録は整理しておくと安心です。
公式資料
みらい(新人医療事務)
一次資料も自分で確認したいです。
あおい(元・医療事務)
リンクをまとめておきますね。実際の届出・算定判断の際は、こちらの原文も必ず確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。