みらい(新人医療事務)
あおいさん、「遠隔放射線治療計画加算」という加算を見つけたんですけど、名前からして遠隔診療っぽいですよね?これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね、名前のとおり「遠隔」がポイントです。放射線治療を専ら担当する常勤の医師が配置されていない施設が、緊急時に照射計画の立案などを、情報通信技術を用いたシステムで別の施設の医師から支援してもらった場合に算定する加算です。令和8年度の点数表では2,000点が設定されています。
みらい(新人医療事務)
2つの施設が関わるってことですか?普通の加算とはちょっと違いますね。
あおい(元・医療事務)
はい、そのとおりです。「放射線治療を行う施設」(支援を受ける側)と「放射線治療を支援する施設」(支援する側)、それぞれに施設基準が定められています。まずは加算の全体像を図で見てみましょう。

遠隔放射線治療計画加算とは
みらい(新人医療事務)
図を見るとイメージがつかめました。専任の医師がいない施設が、支援施設に「助けてほしい」と頼む場面なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし、どんな場合でも使える加算ではなく、緊急時に限定されています。厚生労働省の留意事項通知には、次のように定義されています。
加算の算定条件(原文)
算定条件: 「注4」に規定する遠隔放射線治療計画加算は、放射線治療を専ら担当する常勤の医師が配置されていない施設における放射線治療において、緊急時の放射線治療における業務の一部(照射計画の立案等)を、情報通信技術を用いたシステムを利用し、放射線治療を行う施設と連携した放射線治療を支援する施設の医師等による支援を受けて実施した場合に、一連の治療につき1回に限り算定する。 緊急時の定義: なお、緊急時とは急激な病態の変化により速やかに放射線治療の開始が必要な切迫した病態や、臨時的な放射線治療計画変更が必要とされる状態をいう。
みらい(新人医療事務)
「一連の治療につき1回に限り」となっているので、何度も算定できるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。あくまで緊急時にスポットで支援を受けたときの加算、というイメージを持っておくとよいと思います。
対象医療機関・対象となる場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は放射線治療を実施している保険医療機関のうち、次の2つの役割のどちらかに該当する施設です。
| 役割 | 主な特徴 |
|---|---|
| 放射線治療を行う施設(支援を受ける側) | 放射線科を標榜。放射線治療を専ら担当する常勤医師が配置されていない |
| 放射線治療を支援する施設(支援する側) | 放射線治療を専ら担当する常勤医師が2名以上配置(うち1名は5年以上の経験) |
みらい(新人医療事務)
「支援を受ける側」なのに、常勤医師が配置されて“いない”ことが条件なんですね。ちょっと意外です。
あおい(元・医療事務)
はい、そこがこの加算の特徴です。専任の医師が常駐していない施設が、緊急時に別施設の医師の力を借りる仕組みだからこそ、この加算が用意されていると考えられます。ただし自院がどちらの役割に当てはまるかは、実際の届出内容と人員体制で確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
診療所でも対象になる可能性はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
放射線治療を専門的に実施していない診療所は、対象外の可能性が高いと考えられます。ただし、施設基準の充足は自院ごとに異なるため、この記事だけで「対象外です」と言い切ることはできません。放射線科を標榜し、放射線治療の体制を持つ医療機関かどうかを起点に、自院の届出状況で確認することをおすすめします。
点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、次のとおりです。
| 加算名 | 点数 | 算定回数 | 年度 |
|---|---|---|---|
| 遠隔放射線治療計画加算 | 2,000点 | 一連の治療につき1回に限り | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
2,000点、結構大きいですね。
あおい(元・医療事務)
緊急時に別施設の専門医から支援を受けるという特殊な状況で算定する加算なので、頻繁に算定するものではない点は押さえておきたいですね。なお、レセプト上の具体的なコード番号については、当サイトが収集している一次資料の範囲では確認できていません。医科診療行為マスターやレセプトコンピュータ側の設定で確認してください。
施設基準(放射線治療を行う施設)
みらい(新人医療事務)
施設基準、けっこう細かそうですね。
あおい(元・医療事務)
まずは支援を受ける側、「放射線治療を行う施設」の基準から見ていきましょう。厚生労働省の告示には、次のように定められています。
施設基準(放射線治療を行う施設)原文抜粋
放射線科標榜: ア放射線科を標榜している保険医療機関であること。 常勤医師の配置: イ専ら放射線治療を担当する常勤の医師が配置されていないこと。 診療放射線技師: ウ放射線治療を担当する常勤の診療放射線技師が2名以上配置されており、そのうち1名は放射線治療を専ら担当し、かつ、5年以上の経験を有すること。 必要機器: エ①直線加速器②治療計画用CT装置及び三次元放射線治療計画システム③セキュリティ対策を講じた遠隔放射線治療システム④第三者機関による直線加速器の出力線量の評価 連絡体制: オ遠隔放射線治療の支援施設の放射線治療を専ら担当する医師と、常時連絡がとれる体制にあること。 セキュリティ指針: カ遠隔放射線治療及び医療情報のセキュリティ対策に関する指針が策定されていること。 ガイドライン準拠: キ関係学会の定めるガイドラインに基づき、当該治療を適切に実施していること。
みらい(新人医療事務)
「専ら担当する常勤の医師が配置されていないこと」が条件になっているのは、さっきの話のとおりですね。
あおい(元・医療事務)
はい。逆に言うと、常勤の専任医師がすでにいる施設は、この施設基準の対象にはなりにくいということになります。加えて、診療放射線技師の配置や機器要件、セキュリティ指針の策定まで複数の観点から求められているので、1つずつ自院の体制と照らし合わせる必要があります。
みらい(新人医療事務)
この診療放射線技師さんって、他の加算の担当と兼任できるんですか?
あおい(元・医療事務)
原文には、外来放射線治療加算や画像誘導放射線治療加算など複数の加算に係る常勤の診療放射線技師と兼任できる旨が書かれています。ただし、粒子線治療関連など兼任できない項目もあると原文に記載があります。詳細な兼任可否は当サイトの一次資料の範囲だけでは網羅しきれないため、自院の体制に応じて個別に確認してください。
施設基準(放射線治療を支援する施設)
みらい(新人医療事務)
逆に、支援する側の施設基準はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
支援する側は、専任の医師体制がしっかり整っていることが前提です。
施設基準(放射線治療を支援する施設)原文抜粋
常勤医師の配置: ア放射線治療を専ら担当する常勤の医師が2名以上配置されており、そのうち1名は5年以上の放射線治療の経験を有すること。 補助担当者: イ照射計画補助作業等を専ら担当する者(診療放射線技師その他の技術者等)が1名以上配置されていること。
みらい(新人医療事務)
支援する側は「2名以上」で、支援を受ける側は「配置されていない」。対照的ですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。専任医師が十分にいる施設が、いない施設を情報通信技術で支える連携の仕組みとして設計されている、と読み取れます。なお、原文にはこのほかにも兼任に関する細かい規定が続きますが、当サイトが収集している一次資料の範囲で確認できるのはここまでです。兼任可否の詳細は自院の顧問社会保険労務士や地方厚生局にも確認することをおすすめします。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、施設基準に適合していることを地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが前提になります。届出をしていない場合は、たとえ体制が整っていても算定候補にはなりません。
断定はできません
届出の要否や受理状況は、自院の届出書類・地方厚生局の受理通知で必ず確認してください。この記事だけで「うちは届出済みだから算定できる」と判断することはできません。
みらい(新人医療事務)
届出さえしていれば、あとは自動的に算定できるようになるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、届出はあくまで前提条件のひとつです。実際に緊急時の支援を受けて照射計画を立案した、という算定要件を満たした場合に初めて算定候補になります。日々の記録や連絡体制の実態も含めて確認が必要です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングって、いつでもいいわけじゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね、原文にあったとおり「緊急時」に限られています。
算定タイミングの注意
一連の治療につき1回までの算定になります。緊急時とは、急激な病態の変化により速やかに放射線治療の開始が必要な切迫した病態や、臨時的な放射線治療計画変更が必要とされる状態を指します。あらかじめ予定されていた照射計画の立案支援は、この定義に当てはまらない可能性があります。
みらい(新人医療事務)
併算定できない加算とかはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
併算定の除外規定について、当サイトが収集している一次資料の範囲では明確な記載を確認できていません。施設基準の原文には、診療放射線技師や医師の「兼任」に関する規定はありますが、これは人員配置の兼任可否の話であり、併算定の可否とは別の論点です。併算定の扱いは資料の範囲では確認できないため、要確認として扱ってください。
みらい(新人医療事務)
「要確認」ってことは、対象外というわけでもないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。「対象外です」と言い切ることも、「併算定は可能です」と断定することも、どちらも現時点の一次資料の範囲ではできません。自院の状況に応じて、審査支払機関に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定からどう変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、遠隔放射線治療計画加算について前回改定(令和6年度)との比較情報の確認ができていません。
改定差分の確認状況
確認した一次資料の範囲では、遠隔放射線治療計画加算の前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません。新設された加算なのか、既存の仕組みが見直されたものかを含め、厚生労働省「個別改定項目について」等の資料で別途確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
新設かどうかも分からないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは正直にお伝えしておきたいところです。遠隔医療を活用した加算は近年注目されている分野なので、今後の改定でも要件が変わる可能性があります。最新の一次資料を都度確認する姿勢が大切です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの施設で確認すべき順番ってどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると、こんな流れになります。
自院で確認する順番
- 自院に放射線治療を専ら担当する常勤医師が配置されているかを確認する
- 配置されていない場合、支援施設との常時連絡体制や遠隔放射線治療システムがあるかを確認する
- 緊急時に支援施設の医師等から照射計画立案等の支援を実際に受けた記録があるかを確認する
- 施設基準の届出状況(地方厚生局への届出・受理通知の有無)を確認する
- ここまでで不明点があれば、加算チェッカーや地方厚生局・審査支払機関に確認する

みらい(新人医療事務)
順番に確認していけば、抜け漏れが減りそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に4番目の届出状況は見落としやすいポイントなので、体制が整っているつもりでも、必ず書類ベースで確認してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れしやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れやすいポイント
緊急時の記録不足: 「緊急時」に該当する状況だったことを示す記録が残っていないと、算定要件を満たしているかの確認が難しくなります。 支援施設側の体制確認漏れ: 自施設だけでなく、支援を受けた側の施設が施設基準を満たしているかも確認が必要です。 届出の失念: 体制は整っていても、地方厚生局への届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
支援施設側の基準まで気にしないといけないんですね、それは見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算は2つの施設が関わる仕組みなので、自院だけでなく連携先の体制も含めて確認する視点が必要です。放射線治療関連では、画像誘導放射線治療加算や小児放射線治療加算のように、同じ放射線治療のカテゴリで施設基準の考え方が似ている加算もあります。あわせて確認しておくと、自院の体制整理がしやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
この加算は、どの診療科でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
放射線治療を実施している施設が対象です。放射線科を標榜し、かつ施設基準を満たしていることが前提になるので、放射線治療を実施していない診療所などは対象外の可能性が高いですが、最終的には自院の届出状況で確認してください。
みらい(新人医療事務)
支援を受ける側と支援する側、両方の届出が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準はそれぞれの役割ごとに定められているため、支援を受ける側・支援する側の双方が、自施設の役割に応じた施設基準の届出をしている必要があると考えられます。詳細は当サイトの一次資料の範囲では確認しきれない部分もあるため、地方厚生局に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
この加算だけ算定して、放射線治療管理料は算定しなくていいんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は「注」として定められている加算であり、単独では算定されず、基本となる放射線治療管理料などの算定に付随するものと考えられます。具体的な算定順序や組み合わせは、資料の範囲だけでは断定できないため、レセプトコンピュータのマスターや審査支払機関に確認してください。
みらい(新人医療事務)
緊急時じゃないときに支援を受けた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の定義に照らすと、緊急時に該当しない場合は、この加算の算定要件を満たさない可能性があります。ただし個別の状況判断になるため、資料の範囲で断定はできません。判断に迷う場合は審査支払機関に確認することをおすすめします。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
今回の内容って、どの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に次の3つの一次資料を確認しています。
| 資料名 | 発行 | 年度 |
|---|---|---|
| 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) | 厚生労働省 | 令和8年度 |
| 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号) | 厚生労働省 | 令和8年度 |
| 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) | 厚生労働省 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
ちゃんと公式資料がベースになっているんですね、安心しました。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし、資料に書かれていないことまで推測で補うことはしていません。書かれていない部分は「確認できていません」とそのままお伝えするようにしています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。