みらい(新人医療事務)
部長、「重症患者対応体制強化加算」っていう名前の加算を見つけたんですけど、これって何のための加算なんですか?名前だけだとちょっと想像がつかなくて。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。これは救急・集中治療にかかわる加算で、令和8年度(2026年度)の診療報酬改定にかかわる一次資料の範囲で確認できる加算です。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では「重症患者の対応に係る体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病室に入院している患者について、重症患者対応体制強化加算として、当該患者の入院期間に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する」とされています。
みらい(新人医療事務)
入院期間に応じて点数が変わるんですね。うちは救急対応をしている病院なんですが、対象になる候補でしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこが最初の確認ポイントです。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)には「『注11』に規定する重症患者対応体制強化加算は、救命救急入院料1を算定している患者について、当該患者の入院期間に応じて算定する」と書かれています。つまりこのページで扱っているのは「A300」救命救急入院料の「注11」に規定された加算で、救命救急入院料1の届出を行っている病室が前提です。診療所や外来、在宅では算定候補にならない可能性があります(対象は施設基準と届出で変わるため、自院の届出区分の確認が必要です)。
対象になるのは「救命救急入院料1」を算定している患者
みらい(新人医療事務)
「救命救急入院料1」というのが対象なんですね。うちは救命救急入院料2なんですが、それだと対象外の可能性がありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の条文でも「救命救急入院料1に係る届出を行った保険医療機関の病室に入院した患者に限る」と限定されています。救命救急入院料2・3・4の病室は、このページで扱う加算(A300の注11)の対象外の可能性が高いです。ただし、後で触れますが「特定集中治療室管理料」側にも同じ名前の加算(注6)が別途あるので、混同しないよう注意してくださいね。
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
入院期間に応じて3段階に分かれています。表にまとめますね。
| 入院期間 | 点数 |
|---|---|
| 3日以内の期間 | 750点 |
| 4日以上7日以内の期間 | 500点 |
| 8日以上14日以内の期間 | 300点 |

あおい(元・医療事務)
この加算の趣旨についても留意事項通知に記載があります。「重症患者対応に係る体制について、集中治療領域における重症患者対応の強化及び人材育成に係る体制を評価したものである」とされていて、点数だけでなく、集中治療にかかわる人材育成の体制まで評価対象になっているのが特徴です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、体制と人材育成の両方が評価されているんですね。じゃあ次は施設基準を確認したいです。
施設基準は看護師・臨床工学技士の配置が中心
あおい(元・医療事務)
施設基準通知(令和8年3月5日 保医発0305第7号)の「救命救急入院料の『注11』に掲げる重症患者対応体制強化加算の施設基準」には、主に人員配置の要件が並んでいます。まず(1)として「集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に関する適切な研修を修了した専従の常勤看護師」が治療室内に1名以上配置されていることが求められます。
みらい(新人医療事務)
「適切な研修」ってどんな研修ですか?
あおい(元・医療事務)
通知の文言をそのまま引くと、「国又は医療関係団体等が主催する600時間以上の研修(修了証が交付されるものに限る。)であり、講義及び演習により集中治療を必要とする患者の看護に必要な専門的な知識及び技術を有する看護師の養成を目的とした研修又は保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる集中治療を必要とする患者の看護に係る研修」とされています。600時間規模の研修という、かなり本格的な内容ですね。
みらい(新人医療事務)
看護師さんだけじゃなく、臨床工学技士さんも要件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。(2)では「救命救急入院料1又は特定集中治療室管理料に係る届出を行っている保険医療機関において5年以上勤務した経験を有する専従の常勤臨床工学技士」を治療室内に1名以上配置することが求められています。さらに(3)では、常勤看護師に加えて「集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を3年以上有する看護師」を2名以上配置することも要件になっています。
みらい(新人医療事務)
看護師さんの人数、けっこう手厚いですね…。研修や院内研修についても確認が必要そうです。
あおい(元・医療事務)
はい。施設基準には「当該保険医療機関の医師、(3)に規定する看護師又は臨床工学技士により、集中治療を必要とする患者の看護に従事する看護職員を対象とした院内研修を、年1回以上実施すること」という要件もあります。人員配置だけでなく、継続的な教育体制まで含めて評価される加算だとわかりますね。
施設基準の主な確認ポイント
専従の常勤看護師(経験5年以上・適切な研修修了)1名以上、専従の常勤臨床工学技士(救命救急入院料1または特定集中治療室管理料の届出医療機関で5年以上勤務経験)1名以上、経験3年以上の看護師2名以上、年1回以上の院内研修。人員配置の要件が細かいため、現状の人員体制との突き合わせが最初の確認ステップになります。
感染対策向上加算1などの前提条件にも要確認
みらい(新人医療事務)
施設基準は看護師・臨床工学技士の配置だけ見ればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
それだけではありません。同じ施設基準通知の(9)には「『A234-2』感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であり、かつ、以下のいずれかを満たしていること。ア 特定機能病院であること。イ 『A200』急性期総合体制加算に係る届出を行っている保険医療機関であること」という要件もあります。つまり、感染対策向上加算1の届出に加えて、特定機能病院であるか、急性期総合体制加算の届出があるかのいずれかが必要ということです。
みらい(新人医療事務)
感染対策向上加算1も急性期総合体制加算も、それぞれ別の加算ですよね。うちが持っているかどうか、確認しないと…。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この加算単体だけでなく、関連する複数の加算・届出が前提になっている点は見落としやすいので注意が必要です。さらに(12)では「当該治療室に入院している全ての患者の状態を、別添6の別紙17の『特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票』を用いて測定及び評価し、その結果、重症度、医療・看護必要度Ⅱによる評価で『特殊な治療法等』に該当する患者が直近6か月間で1割5分以上であること」という運用実績の基準も定められています。
同じ名称の加算に注意
実は「重症患者対応体制強化加算」という名称の加算は、留意事項通知の中で「A301」特定集中治療室管理料の「注6」にも規定されています(「集中治療領域における重症患者対応の強化及び人材育成に係る体制を評価したものである」「特定集中治療室管理料を算定している患者について、当該患者の入院期間に応じて算定する」)。このページで解説しているのは「A300」救命救急入院料1の「注11」に係るものです。特定集中治療室管理料を算定している病室の場合は算定の基礎となる入院料が異なるため、自院がどちらの届出区分かを条文の主語(注11か注6か)で確認してください。
みらい(新人医療事務)
同じ名前でも根拠になる入院料が違うんですね…紛らわしいです。うちが救命救急入院料なのか特定集中治療室管理料なのか、まず確認します。
届出の進め方(様式42の7)
あおい(元・医療事務)
施設基準を満たしていることを確認できたら、届出の準備に入ります。施設基準通知には「重症患者対応体制強化加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式42の7を用いること」と定められています。届出には人員配置の実績や研修修了の状況を示す資料が必要になりますので、看護師・臨床工学技士それぞれの経験年数と研修修了状況を書類でそろえておくとスムーズです。
みらい(新人医療事務)
臨床工学技士さんの「5年以上勤務した経験」って、令和8年度に改定される前の経験も数えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
いい着眼点です。疑義解釈資料(令和8年3月23日 事務連絡)にちょうどこの点についてのQ&Aがあります。「『A300』救命救急入院料の『注11』及び『A301』特定集中治療室管理料の『注6』に掲げる重症患者対応体制強化加算の施設基準における『救命救急入院料1又は特定集中治療室管理料に係る届出を行っている保険医療機関において5年以上勤務した経験』について、令和8年度診療報酬改定前の期間の経験については、救命救急入院料2若しくは4又は特定集中治療室管理料に係る届出を行っている保険医療機関における経験を指すのか」という問いに対して、「そのとおり」と回答されています。つまり、改定前に救命救急入院料2・4や特定集中治療室管理料の届出医療機関で勤務していた経験も、通算してカウントできる可能性があるということですね。
よくある取り漏れ
臨床工学技士の「5年以上勤務経験」を、現在の届出区分(救命救急入院料1)での勤務期間だけに限定して短く見積もってしまうケースです。疑義解釈では改定前の救命救急入院料2・4、特定集中治療室管理料での勤務経験も算入対象になり得るとされているため、経験年数を過小評価して届出を見送る前に、通算での確認をおすすめします。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前からあったんですか?それとも今回の改定でできたものなんですか?
あおい(元・医療事務)
確認したところ、この加算自体は今回の改定で新設されたものではなさそうです。厚生労働省保険局医療課「令和4年度診療報酬改定の概要」(令和4年3月4日版)には「① 重症患者対応体制強化加算の新設」という記載があり、当時の対象は「救命救急入院料2・4、特定集中治療室管理料1〜4」、点数も「イ 3日以内の期間 750点 ロ 4日以上7日以内の期間 500点 ハ 8日以上14日以内の期間 300点」と、現行の点数構造とほぼ同じでした。つまり重症患者対応体制強化加算そのものは令和4年度(2022年度)に新設され、点数体系は据え置かれたまま、今回の令和8年度(2026年度)改定では対象の範囲が見直された(救命救急入院料側が「2・4」から「1」のみに絞られた)可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「新設」ではなく「対象が変わった」ということなんですね。
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる一次資料の範囲ではそのとおりです。疑義解釈資料でも「令和8年度診療報酬改定前の期間の経験については、救命救急入院料2若しくは4又は特定集中治療室管理料に係る届出を行っている保険医療機関における経験を指すのか」という問いに「そのとおり」と回答されており、令和8年度改定より前は救命救急入院料2・4の医療機関でもこの加算にかかわる勤務経験を積めていたことがうかがえます。ただし、対象がどのように区分し直されたかの詳細な経緯までは当サイトで確認できる範囲を超えるため、厚生労働省の個別改定項目についての資料もあわせてご確認いただくのが確実です。
みらい(新人医療事務)
新設ではないとしても、まだ届出をしていない病院はありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうかもしれません。対象範囲が見直された加算では、これまで対象だった区分(救命救急入院料2・4)の病院が令和8年度時点では対象外になっている可能性がある一方、新たに要件を確認すべき病院もあり得ます。自院の届出区分と直近6か月の実績を院内で確認するところから始めるとよいと思います。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 自院が「救命救急入院料1」の届出を行っている病室かどうかを確認する(救命救急入院料2・3・4の病室はこのページの加算=A300の注11の対象外の可能性が高く、特定集中治療室管理料の場合は別途A301の注6に規定された同名の加算の要件を確認する必要があります)
- 治療室内の看護師・臨床工学技士の配置人数と経験年数(5年以上・3年以上)、研修修了状況を確認する
- 感染対策向上加算1の届出の有無、特定機能病院または急性期総合体制加算のいずれかに該当するかを確認する
- 直近6か月の重症度、医療・看護必要度Ⅱの評価で「特殊な治療法等」該当患者が1割5分以上になっているかを院内データで確認する
- 要件を満たしていそうであれば、様式42の7を用いて施設基準の届出準備を進める
みらい(新人医療事務)
この順番なら、うちの状況を1つずつ確認していけそうです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
特定集中治療室管理料の届出しかない病院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
このページで扱っている加算は「A300」救命救急入院料の「注11」に係るもので、条文上は救命救急入院料1の届出を行った病室が対象です。特定集中治療室管理料には別途「A301」の「注6」に同名の加算があるため、特定集中治療室管理料のみの届出であれば、そちらの要件(別ページ)で確認が必要な可能性があります。自院の届出区分の確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療所や外来でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
このページで確認できる一次資料の範囲では、対象は救命救急入院料1の届出病室に入院している患者です。診療所や外来での算定は対象外の可能性が高いですが、最終的な判断は自院の届出状況で確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、必ず届出が承認されますか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。届出内容の審査は地方厚生局が行うため、書類の整合性や実際の人員配置の実態確認などを経て判断されます。要件を満たしていそうというところまでは自院で確認できても、最終的な届出の可否は審査を待つ形になります。

関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
救命救急入院料には、他にも似たような注加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、同じ「A300」救命救急入院料には、早期離床・リハビリテーション加算や早期栄養介入管理加算、広範囲熱傷管理加算といった注加算も規定されています。いずれも救命救急入院料の届出を前提に、体制やケア内容に応じて上乗せされる仕組みなので、重症患者対応体制強化加算とあわせて自院の届出状況を棚卸ししておくと確認漏れを防ぎやすいです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。