みらい(新人医療事務)
精神科の訪問看護をしているクリニックさんから「長時間精神科訪問看護・指導加算って、うちも算定候補になりますか?」って聞かれたんですけど、正直よくわかっていなくて…。
あおい(元・医療事務)
長時間精神科訪問看護・指導加算ですね。精神科訪問看護・指導料(I012)の注5に規定されている加算で、令和8年度(2026年度)時点でも同じ位置づけです。長い時間をかけて訪問看護・指導を行った場合に、通常の点数へ上乗せする形の加算になります。
みらい(新人医療事務)
上乗せということは、単独では算定できない加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。精神科訪問看護・指導料(I012)を算定している日で、かつ一定の条件を満たした場合に限り、追加で加算する形です。この記事では、対象・点数・確認すべきポイントを順番に整理していきますね。最終的な算定候補かどうかは、自院の記録と公式資料で確認が必要というスタンスで読んでください。
対象医療機関・対象患者、どんな場面で算定候補になる?
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関・どんな場面で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科を標榜する保険医療機関の保健師・看護師等が、精神科訪問看護・指導料(I012)を算定する場面が前提です。診療所・病院いずれも対象になり得ますし、訪問先は在宅(患家)です。入院中の患者に対する加算ではありません。
みらい(新人医療事務)
精神科を標榜していることが前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の告示(医科点数表)には、I012の対象を「当該患者を診察した精神科を標榜する保険医療機関の保健師、看護師、准看護師、作業療法士…」と規定する記載があります。まずはこの前提条件(精神科標榜・I012の算定対象であること)を満たしているかを確認するのが出発点になります。
みらい(新人医療事務)
その上で、長時間加算特有の条件があるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示の注5には「別に厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者に対し、保険医療機関の看護師等が、長時間にわたる精神科訪問看護・指導を実施した場合」に算定する加算だと明記されています。つまり「誰に対して」「どれくらいの時間」訪問したかの2点がポイントになります。
点数と算定単位を確認する【令和8年度】
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点で520点です。ただし毎回算定できるわけではなく、回数の上限が決まっています。
| 区分 | 点数 | 算定回数の上限 | 年度 |
|---|---|---|---|
| 長時間精神科訪問看護・指導加算(通常の対象者) | 520点 | 週1日を限度 | 令和8年度 |
| 長時間精神科訪問看護・指導加算(別に厚生労働大臣が定める者) | 520点 | 週3日を限度 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める者」の場合だけ週3日まで算定できるんですね。点数自体は同じ520点ということですか。
あおい(元・医療事務)
そうです。点数は同じ520点ですが、上限の回数が対象者の状態によって変わる、という設計です。厚生労働省の告示には「長時間精神科訪問看護・指導加算として週1日(別に厚生労働大臣が定める者の場合にあっては週3日)に限り、520点を所定点数に加算する」と明記されています。

どんな訪問なら算定候補になる? 90分要件を確認する
みらい(新人医療事務)
「長時間にわたる」って具体的にどれくらいの時間なんですか? ここが一番気になります。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知に、具体的な基準が示されています。「注5に規定する長時間精神科訪問看護・指導加算は、特掲診療料の施設基準等第十の一の七の(1)に規定する長時間の訪問を要する者に対して、1回の精神科訪問看護・指導の時間が90分を超えた場合について算定するものであり、週1回(特掲診療料の施設基準等第十の一の七の(2)に規定する者にあっては週3回)に限り算定できるものとする」という記載です。
みらい(新人医療事務)
1回の訪問が90分を超えているかどうかが、まず確認すべきラインなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。それに加えて、対象になる患者も「別に厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者」に限定されています。誰でも90分超えれば算定できるわけではなく、対象患者としての要件も満たす必要があります。
みらい(新人医療事務)
対象患者の要件って、どうやって確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ留意事項通知の中に、超重症児・準超重症児に該当する場合の判定方法も示されています。「特掲診療料の施設基準等第十の一の七の(1)のイ及び(2)のイに規定する者のうち、超重症児・準超重症児については、基本診療料施設基準通知の別添6の別紙14の超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準による判定スコアが10以上のものをいう」という記載です。対象患者に該当するかどうかは、この判定基準や施設基準等の該当条文を、患者ごとにカルテ・記録と突き合わせて確認する作業になります。
対象患者の該当性は個別確認が必要
「長時間の訪問を要する者」に該当するかどうかは、患者の状態や診断内容によって個別に判断が必要です。本記事はあくまで一般的な整理であり、個々の患者が該当するかどうかの最終判断は、自院の医師の診断と公式資料(施設基準等)に基づいて行ってください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、長時間精神科訪問看護・指導加算そのものについて、個別の施設基準の届出は求められていません。ベースとなる精神科訪問看護・指導料(I012)を算定できる体制(精神科を標榜していること等)が前提になっているという整理です。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないからといって、何もチェックしなくていいわけではないですよね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出の有無とは別に、①精神科訪問看護・指導料(I012)を算定できる体制か、②1回の訪問が90分を超えているか、③対象患者の要件に該当するかという3点は、算定するたびに確認が必要です。届出不要という情報だけを見て「誰でもいつでも算定できる」と考えるのは避けたいところです。
よくある取り漏れ1: 90分の記録が残っていない
90分を超えた訪問だったとしても、訪問記録(開始・終了時刻)が残っていなければ、算定の根拠を示すことが難しくなります。訪問看護記録に、実施時間がわかる記載を残しておくことが確認の出発点になります。
併算定・算定タイミングの注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定するときに、気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
複数名訪問看護・指導加算など、訪問看護・指導料に付く他の加算とは、算定できる条件がそれぞれ異なります。同じ日に複数の加算を検討するときは、それぞれの算定要件を個別に満たしているかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
90分を超えた訪問なら、他の「複数回訪問」系の加算も一緒に使えるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは区別が必要な点です。厚生労働省が公表している疑義解釈(令和2年度)には、90分を超えて連続して訪問看護・指導を行った場合、複数回訪問加算は算定できないが、要件を満たせば長時間訪問看護・指導加算または長時間精神科訪問看護・指導加算は算定可能、という整理が示されています。この整理自体は令和2年度時点のものですが、「90分超の連続訪問」と「複数回の訪問」は別物として扱われている、という考え方の参考になります。実際の算定可否は、最新の告示・留意事項と自院の記録で確認してください。
算定単位を混同しない
「週1日」「週3日」という上限は、精神科訪問看護・指導料(I012)を算定する日のうち、長時間精神科訪問看護・指導加算を算定できる日数の上限です。訪問回数そのものの上限ではない点に注意してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更ってあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、長時間精神科訪問看護・指導加算そのものについて、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。520点、週1日(別に厚生労働大臣が定める者は週3日)という枠組みは、当サイトが参照した令和8年度の一次資料でも同じ内容で規定されています。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、今まで通りの理解で大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし「変更が確認されていない」というのは、当サイトが収集している資料の範囲での整理です。個別改定項目の詳細な資料まで含めて変更がないと断定するものではないので、気になる場合は最新の告示・留意事項通知を直接確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちのクリニックで確認するとしたら、どの順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 精神科を標榜しており、精神科訪問看護・指導料(I012)を算定できる体制か
- 該当する訪問が、1回90分を超えているか(訪問記録で確認)
- 対象患者が「長時間の訪問を要する者」の要件に該当するか(施設基準等・判定基準を確認)
- 週の算定回数が上限(週1日、または該当する場合は週3日)を超えていないか
- 同日に算定する他の加算との要件の重複・矛盾がないか

みらい(新人医療事務)
この5つを順番に見ていけば、算定候補かどうかの目星がつけやすそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に1と2は事務スタッフだけでも確認しやすい項目なので、レセプト作成前のチェックに組み込んでおくと取り漏れの予防になります。
よくある取り漏れ2: 対象者の判定を確認せずに算定を見送ってしまう
「長時間の訪問を要する者」の要件を難しく感じて、該当しそうな患者でも算定を見送ってしまうケースがあります。判定基準や施設基準等の該当条文を医師・看護師と一緒に確認すれば、算定候補として拾えるケースもあります。逆に、要件を確認せずに算定してしまうと、後から要件不備を指摘されるリスクもあるため、どちらの方向でも「確認してから判断する」姿勢が大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか確認させてください。まず、90分ちょうどの訪問は対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の文言は「90分を超えた場合」となっています。90分ちょうどか、それを超えているかの判断は記録上の時刻に基づく事実確認になるため、自院の訪問記録で実際の時間を確認してください。
みらい(新人医療事務)
週3日まで算定できる「別に厚生労働大臣が定める者」というのは、誰でも当てはまるものではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。特定の状態等に該当する患者に限定されています。該当するかどうかは、施設基準等の規定と患者の状態を照らし合わせて確認する必要があり、当サイトの整理だけで断定はできません。個別の判断が必要な部分です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていなくても、算定候補になり得るということですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算自体に個別の届出要件は確認されていません。ただし、ベースとなる精神科訪問看護・指導料(I012)を算定できる体制であることが前提になるため、その前提条件を満たしているかどうかは必ず確認してください。
関連する加算もあわせて確認する
みらい(新人医療事務)
精神科の訪問看護には、他にも似たような加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算のベースになっている精神科訪問看護・指導料自体の算定要件も、あわせて押さえておくと理解しやすいです。また、精神科訪問看護には精神科特別訪問看護指示加算という別の加算もあります。同じ精神科訪問看護の枠組みの中で、それぞれ算定要件が異なるので、自院で対象になりそうな加算をまとめて確認しておくと取り漏れの予防につながります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。