みらい(新人医療事務)
「長時間麻酔管理加算」っていう名前を見つけたんですけど、これって何のための加算なんですか?7,500点って結構大きい点数ですよね。
あおい(元・医療事務)
そうですね、7,500点は麻酔関連の加算の中でもかなり大きい部類です。長時間麻酔管理加算は、令和8年度の医科点数表でいうと区分番号L009「麻酔管理料(Ⅰ)」の注4にあたる加算です。特定の手術で、区分番号L008「声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔」の実施時間が8時間を超えた場合に、麻酔管理料(Ⅰ)に上乗せする形で算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「麻酔管理料(Ⅰ)の注」ってことは、麻酔管理料(Ⅰ)を算定していないとそもそも対象外になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で合っています。告示の条文でも「区分番号K017、K020…(中略)…に掲げる手術に当たって、区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔の実施時間が8時間を超えた場合は、長時間麻酔管理加算として、7,500点を所定点数に加算する。」と、L009(麻酔管理料(Ⅰ))の注のひとつとして規定されています。つまり土台になる麻酔管理料(Ⅰ)が算定されていることが前提の加算です。
対象医療機関・対象患者はどこまで広いか
みらい(新人医療事務)
うちみたいな診療所でも対象になり得るんですか?それとも大きい病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
施設の規模そのものでは絞られていません。診療所・病院のどちらでも、入院患者に対する手術で条件を満たせば算定候補になります。ただし外来や在宅の場面は対象になりません。長時間の全身麻酔を要する手術は基本的に入院で行われるため、この加算も入院対応が前提と考えるのが自然です。
みらい(新人医療事務)
外来手術だと最初から対象外ってことですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。少なくとも当サイトが確認できている告示の範囲では、対象は入院で行われる手術に限られると読み取れます。診療科の名称よりも「どの手術に、どの麻酔方法で、何時間かかったか」で判断する加算なので、まずは実施した手術と麻酔の記録を確認するところから始めるのが確実です。
点数と算定の起点になる条件(区分番号・年度)
みらい(新人医療事務)
点数の部分を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示に基づく整理は下の表のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 区分番号 | L009 麻酔管理料(Ⅰ)注4 |
| 加算名 | 長時間麻酔管理加算 |
| 点数 | 7,500点 |
| 起点となる麻酔行為 | 区分番号L008 声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔 |
| 時間要件 | 当該麻酔の実施時間が8時間を超えた場合 |
| 対象手術 | 告示に個別に列挙された区分番号(K017、K020ほか、約60の区分番号)に該当する手術 |

みらい(新人医療事務)
対象手術の区分番号がすごくたくさんありますね…全部覚えるのは大変そうです。
あおい(元・医療事務)
告示ではK017からK803-2まで、約60の区分番号が個別に列挙される形で対象手術が指定されています。ここでは区分番号だけご紹介していますが、具体的にどの手術名がどの区分番号にあたるかは、医科点数表本体や自院のレセプトコンピュータのマスターで確認するのが確実です。当サイトの資料の範囲で確認できていない手術名を、ここで推測して書くことはできません。
対象手術は個別列挙・要確認
対象手術は告示に区分番号で個別に列挙されており、「長時間の手術ならどれでも対象」というわけではありません。実施した手術の区分番号が告示のリストに含まれているかどうかは、自院のレセプト担当者・医科点数表で個別に確認が必要です。
施設基準・届出はどう考えればいいか
みらい(新人医療事務)
この加算のために、新しく届出が必要になったりしますか?
あおい(元・医療事務)
長時間麻酔管理加算そのものに、単独の施設基準や追加の届出は設けられていません。ただし前提になっている麻酔管理料(Ⅰ)自体には施設基準があります。告示の注1には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関の麻酔に従事する医師が行った場合に算定する。」とあります。つまり、麻酔管理料(Ⅰ)の届出と、麻酔担当医が実施したという事実が土台として必要です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「この加算だけ単独で届出すればいい」わけではなくて、麻酔管理料(Ⅰ)の届出が先にあることが前提なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。すでに麻酔管理料(Ⅰ)を届け出て運用している医療機関であれば、この加算は追加の届出なしで算定候補になり得ます。逆に、麻酔管理料(Ⅰ)自体をまだ届け出ていない場合は、まずそちらの施設基準と届出状況を確認する必要があります。届出済みかどうかは自院の届出書類・地方厚生局への提出状況で必ず確認してください。
届出の確認ポイント
麻酔管理料(Ⅰ)の届出: 地方厚生局へ提出済みか、受理日はいつかを確認します。 担当医の要件: 実際に麻酔を実施したのが、当該保険医療機関に所属する麻酔に従事する医師かどうかを確認します。 麻酔管理料(Ⅱ)との重複: 同じ患者・同じ麻酔について麻酔管理料(Ⅱ)で算定していないかを確認します。
併算定・回数制限で気をつけたいこと
みらい(新人医療事務)
一緒に算定できない加算とか、注意点ってありますか?
あおい(元・医療事務)
いちばん大事な注意点は、麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)は選択制だということです。告示の注3には「区分番号L010に掲げる麻酔管理料(Ⅱ)を算定している場合は算定できない。」と明記されています。長時間麻酔管理加算は麻酔管理料(Ⅰ)の注として規定されているので、その回の麻酔で麻酔管理料(Ⅱ)を選んで算定している場合は、この加算の対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
麻酔管理料(Ⅰ)か(Ⅱ)か、どちらで算定しているかをまず確認しないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。それと、時間要件も見落としやすいポイントです。「8時間を超えた場合」という条件なので、麻酔記録上の実施時間がぴったり8時間かそれ未満であれば対象外の可能性が高くなります。麻酔記録に記載された開始・終了時刻から実施時間を正確に算出し、8時間を超えているかどうかを確認する必要があります。
麻酔管理料(Ⅱ)選択時は対象外の可能性
同じ麻酔について麻酔管理料(Ⅱ)を算定している場合、長時間麻酔管理加算(麻酔管理料(Ⅰ)の注4)は対象外の可能性が高いです。どちらの麻酔管理料で算定する運用になっているか、自院のレセプト運用を確認してください。
みらい(新人医療事務)
同じ麻酔管理料(Ⅰ)の注には、ほかにも加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。たとえば同じ麻酔管理料(Ⅰ)の注には、帝王切開術の麻酔を対象にした 帝王切開術時麻酔加算 があります。区分番号L008の全身麻酔を長時間行う手術の中には、術中に脳灌流のモニタリングを行った場合に算定候補になる 術中脳灌流モニタリング加算 が関わってくるケースもあります。同じ手術・麻酔の記録の中に複数の加算候補が隠れていることがあるので、まとめて確認しておくと取り漏れを防ぎやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定のときから何か変わったりしたんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えする必要があります。当サイトが収録している令和8年度の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の範囲では、長時間麻酔管理加算が麻酔管理料(Ⅰ)注4として7,500点で規定されていることは確認できています。ただし、前回改定(令和6年度)時点での同項目の記載内容との比較については、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」と断言はできないってことですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「変更なし」と言い切るには令和6年度の該当条文との突き合わせが必要ですが、その資料が当サイトの収録範囲にまだありません。ですので、ここでは令和8年度時点の内容として正確にお伝えし、前回改定からの変化については確認できていない旨を明記するにとどめます。点数や対象手術の範囲に変更があった可能性も否定できないため、古い資料だけを見て判断しないようにしてください。
改定確認のタイムライン
令和8年度時点: 麻酔管理料(Ⅰ)注4・長時間麻酔管理加算・7,500点であることを告示で確認済みです。 令和6年度との比較: 当サイトの一次資料の範囲では確認できていません。必要な場合は厚生労働省の改定資料を個別に確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるか確認するときは、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
まず麻酔管理料(Ⅰ)の届出状況から確認して、最後に時間要件を見る、という順番がおすすめです。
自院で確認する順番
実施した手術の区分番号が、告示に列挙された対象区分番号(K017等)に含まれているかを確認する 自院が麻酔管理料(Ⅰ)を届け出ており、麻酔に従事する医師が実施したかを確認する その回の麻酔が麻酔管理料(Ⅱ)ではなく麻酔管理料(Ⅰ)で算定されているかを確認する 麻酔記録上、区分番号L008の全身麻酔の実施時間が8時間を超えているかを確認する すべて満たしていそうであれば、算定候補として院内で最終確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れが減りそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に4番目の「実施時間が8時間を超えたか」は、麻酔記録の開始・終了時刻から実際に計算しないと見落としやすいポイントです。カルテ・麻酔記録・レセプトの3か所で時間の記載が食い違っていないかも合わせて確認しておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
よくある取り漏れパターン
麻酔管理料(Ⅱ)で算定していて対象外だったケース: 麻酔管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)のどちらで算定するかを確認しないまま、長時間麻酔でも加算を見送ってしまう、あるいは逆に(Ⅱ)算定なのに加算を付けてしまうケースです。 対象手術の区分番号を確認していないケース: 「長時間の全身麻酔だから対象のはず」と判断し、実際には告示のリストに含まれない区分番号の手術で算定してしまうケースです。 実施時間の計算が曖昧なケース: 麻酔記録の開始・終了時刻を厳密に確認せず、「8時間くらいだったはず」という感覚で判断してしまうケースです。
みらい(新人医療事務)
どれも「確認すればわかること」なのに、忙しいとつい飛ばしてしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算は点数が大きい分、算定漏れも過剰算定もどちらも避けたいところです。麻酔記録・レセプト・届出書類の3点を突き合わせる運用を院内で決めておくと、確認のたびに迷わずに済みます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくありそうな疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
麻酔の実施時間がちょうど8時間だったら対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の文言は「実施時間が8時間を超えた場合」となっています。ちょうど8時間ちょうどの場合に対象になるかどうかは、条文の文言どおりに厳密に判断する必要がある論点なので、自院で判断に迷う場合は審査支払機関に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
診療所でも本当に算定候補になり得るんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、施設の種別そのもので対象・対象外が分かれる規定にはなっていません。診療所であっても、麻酔管理料(Ⅰ)の届出があり、対象手術・時間要件を満たしていれば算定候補になり得ます。ただし実際に8時間を超える全身麻酔を要する手術を診療所で行っているかどうかは、施設ごとに事情が異なります。
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定のときはどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)時点でのこの項目の記載内容については、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。令和8年度時点の内容は告示で確認できていますので、その範囲でお伝えしています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。