みらい(新人医療事務)
先輩、「在宅医療情報連携加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅時医学総合管理料(C002)などに上乗せする注加算ですよ。訪問診療をしている医療機関の医師が、連携している他の医療機関・薬局・訪問看護ステーションなどの職種がICTを使って記録した診療情報等を活用して、計画的な医学管理を行った場合に算定候補になる加算です。
みらい(新人医療事務)
「連携」って名前についてるから、いろんな職種の情報をつなげて使うイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。令和8年度の告示では、こう定められています。
告示の該当条文(令和8年度)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問診療を実施している保険医療機関の保険医が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの同意を得て、当該保険医療機関と連携する他の保険医療機関の保険医、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、管理栄養士、介護支援専門員又は相談支援専門員等であって当該患者に関わる者が電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて記録した当該患者に係る診療情報等を活用した上で、計画的な医学管理を行った場合に、在宅医療情報連携加算として、月1回に限り、100点を所定点数に加算する。」(診療報酬の算定方法の一部を改正する件・令和8年厚生労働省告示第69号)
みらい(新人医療事務)
100点を月1回、というのが基本の点数なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。在宅時医学総合管理料の注15に規定されていて、施設入居時等医学総合管理料(C002-2)の注5でも準用されます。さらに在宅がん医療総合診療料(C003)の注9にも同じ在宅医療情報連携加算が規定されているので、対象になり得る管理料は3つあります。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
うちみたいな在宅診療をしている診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
まず前提として、この加算は単独で届け出るものではありません。ベースになる管理料(在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料のいずれか)の施設基準を届け出ていて、実際にそれを算定していることが前提です。
みらい(新人医療事務)
そのうえで、対象医療機関の条件もあるんですね。
対象医療機関(令和8年度・要届出)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問診療を実施している保険医療機関」(令和8年厚生労働省告示第69号)
あおい(元・医療事務)
つまり「訪問診療を実施していて、施設基準の届出をしている保険医療機関」であることが前提条件です。対象患者は、在宅で療養している通院困難な患者さんで、この加算の趣旨に同意を得ていることが必要です。
みらい(新人医療事務)
患者さん一人ひとりの同意も要るんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。次で詳しく見ますが、患者さんからの同意取得は算定要件の中でも特に重要な項目です。
施設基準と情報連携の要件(ICTを使った記録・共有)
みらい(新人医療事務)
「ICTを用いて記録した情報を活用する」ってざっくり言われても、具体的に何をすればいいのかイメージが湧かないです。
あおい(元・医療事務)
そこは留意事項通知でかなり具体的に定められています。ここが一番の実務ポイントなので、一つずつ確認しましょう。
算定要件の詳細(留意事項通知・令和8年度)
(30)在宅時医学総合管理料の「注15」及び施設入居時等医学総合管理料の「注5」の規定により準用する在宅時医学総合管理料の「注15」に規定する在宅医療情報連携加算は、在宅での療養を行っている患者に対し、訪問診療を行っている保険医療機関の医師が、連携する他の保険医療機関等に所属する患者の医療・ケアに関わる医療関係職種及び介護関係職種等(以下「医療関係職種等」という。)によりICTを用いて記録された情報を取得及び活用し、計画的な医学管理を行った場合に算定できる。なお、算定に当たっては以下の要件をいずれも満たす必要があること。 ア以下について、患者からの同意を得ていること。(イ)当該保険医療機関の医師が、医療関係職種等によりICTを用いて記録された患者の医療・ケアに関わる情報を取得及び活用した上で、計画的な医学管理を行うこと。(ロ)医師が診療を行った際の診療情報等についてICTを用いて記録し、医療関係職種等に共有すること。 イ訪問診療を行った日に当該保険医療機関の職員が、次回の訪問診療の予定日及び当該患者の治療方針の変更の有無について、ICTを用いて医療関係職種等に共有できるように記録すること。また、当該患者の治療方針に変更があった場合には、医師がその変更の概要について同様に記録すること。 ウ訪問診療を行った日に医師が、患者の医療・ケアを行う際の留意点を医療関係職種等に共有することが必要と判断した場合において、当該留意点をICTを用いて医療関係職種等に共有できるように記録すること。 エ当該保険医療機関の患者の医療・ケアに関わる者が、患者の人生の最終段階における医療・ケア及び病状の急変時の治療方針等についての希望を患者又はその家族等から取得した場合に、患者又はその家族等の同意を得た上でICTを用いて医療関係職種等に共有できるように記録すること。なお、医療関係職種等が当該情報を取得した場合も同様に記録することを促すよう努めること。 オ訪問診療を行う場合に、過去90日以内に記録された患者の医療・ケアに関する情報(当該保険医療機関及び当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関等が記録した情報を除く。)についてICTを用いて取得した数が1つ以上であること。なお、当該情報は当該保険医療機関において常に確認できる状態であること。 カ医療関係職種等から患者の医療・ケアを行うに当たっての助言の求めがあった場合は、適切に対応すること。(留意事項通知「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」C002 在宅時医学総合管理料、C002-2 施設入居時等医学総合管理料)
みらい(新人医療事務)
かなり細かいですね……。患者さんの同意、次回訪問予定や治療方針変更のICT記録、最終段階の医療・ケアの希望の記録、過去90日以内に他職種の情報を1件以上取得していること、助言への対応、と全部で6項目もあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「ICTを使っている」というだけでは足りなくて、この6つのアからカの要件をすべて満たしている必要があります。特に「オ」の過去90日以内に自院・特別の関係にある医療機関以外が記録した情報を1つ以上ICTで取得していること、という条件は見落としやすいポイントです。

届出とタイミングの注意点
みらい(新人医療事務)
届出はどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算そのものに単独の届出様式があるわけではなく、ベースになる在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料のいずれかの施設基準の届出をしていることが前提です。そのうえで、上で見た6項目の運用(患者同意、ICTでの記録・共有、過去90日以内の情報取得など)を実際に満たしているかどうかが、算定できるかどうかの分かれ目になります。
みらい(新人医療事務)
「月1回」というのは、患者さん1人あたりですか?
あおい(元・医療事務)
はい。在宅時医学総合管理料等を算定している患者さんごとに、月1回を限度に算定候補になります。毎月、要件の6項目が満たされているかを確認したうえで算定する形になります。
単独では算定できない加算
在宅医療情報連携加算は、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料への上乗せ加算です。これらの管理料を算定していない月は、在宅医療情報連携加算の算定候補にもなりません。
併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算との組み合わせで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
一つ紛らわしいものがあります。訪問看護の分野には似た名前の「訪問看護医療情報連携加算」という加算があって、こちらは訪問看護ステーション側の加算です。留意事項通知では、次のような重複算定の制限が定められています。
訪問看護医療情報連携加算との関係(留意事項通知)
「区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料の注15(区分番号C002-2の注5の規定により準用する場合を含む。)又は区分番号C003に掲げる在宅がん医療総合診療料の注9にそれぞれ規定する在宅医療情報連携加算を算定した月は、訪問看護医療情報連携加算は算定できない。」(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について)
あおい(元・医療事務)
つまり、同じ月に医療機関側の在宅医療情報連携加算と、訪問看護ステーション側の訪問看護医療情報連携加算の両方を算定することはできません。名前が似ているので混同しないよう、連携先の訪問看護ステーションとも算定状況を確認しておくと安心です。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できた一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、および留意事項通知)の範囲では、在宅医療情報連携加算の点数(100点)と、算定に必要な6項目の要件(アからカ)に変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。ICTを活用した多職種連携という枠組み自体が、現行の一次資料の内容で維持されています。
今回の確認範囲(令和8年度)
一次資料で確認できたのは、点数(100点・月1回)と留意事項通知の要件アからカです。個別改定項目についての一次資料は今回参照した範囲には含まれていないため、令和6年度からの詳細な経緯までは確認できていません。最終的には自院が届け出ている告示・通知の最新版で確認することをお勧めします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの場合はどう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順を追って確認していきましょう。
自院で確認する順番
- ベースの管理料の届出を確認 — 在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料のいずれかの施設基準を届け出て算定しているか
- 対象患者かを確認 — 在宅で療養する通院困難な患者さんで、加算の趣旨について同意を得ているか
- 連携先の職種を確認 — 連携する他の医療機関・薬局・訪問看護ステーション等の職種が、ICTを用いて診療情報等を記録しているか
- 6項目(アからカ)の運用を確認 — 患者同意、ICTでの記録・共有、過去90日以内の情報取得1件以上など、留意事項通知の要件をすべて満たしているか
- 月ごとの算定状況を確認 — 患者さんごとに月1回を超えて算定していないか
- 訪問看護側との重複を確認 — 同じ月に訪問看護医療情報連携加算と重複して算定していないか
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できるはずなのに取り漏れてしまうパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、ICTを使って情報共有はしているものの、留意事項通知の6項目のうち一部しか実施できていないケースです。特に「過去90日以内に他の医療機関等が記録した情報を1件以上ICTで取得している」という条件は、記録が自院分だけに偏っていると見落としがちです。
取り漏れやすいポイント
ICTでの情報共有をしていても、次回訪問予定・治療方針変更・最終段階の医療・ケアの希望など、要件アからカのどれか一つでも記録が抜けていると、算定候補として整理しづらくなります。月ごとに6項目のチェックリストで振り返ることをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況やICTでの情報連携の運用状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。ベースになる在宅時医学総合管理料や在宅がん医療総合診療料の届出状況とあわせて確認してみてください。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。算定の際は、留意事項通知の要件アからカをすべて満たしているかを、自院の記録で必ず確認してください。