みらい(新人医療事務)
先輩、療養病棟のレセプトを見ていたら「在宅復帰機能強化加算」という項目があったんですけど、これってどの病棟でもつけられるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅復帰機能強化加算は、どの病棟でもというわけではなく、療養病棟入院基本料の中でも療養病棟入院料1を算定している病棟が対象の加算です。しかも施設基準を満たして届出をしていることが前提になります。令和8年度の点数や要件を、順番に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします! うちは療養病棟がある病院なので、対象かどうか気になります。
在宅復帰機能強化加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどういう考え方でついているんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
在宅復帰機能強化加算は、療養病棟入院基本料の注10に規定されている加算です。療養病棟入院料1を算定する病棟のうち、施設基準に適合していると地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について、1日につき所定点数に加算する仕組みになっています。趣旨は、在宅復帰機能の高い病棟を評価するというものです。
みらい(新人医療事務)
「在宅復帰機能の高い病棟」というのは、具体的にはどういう病棟を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
退院した患者のうち、在宅に戻った患者の割合が一定以上ある病棟、というイメージです。単に退院者数が多いだけでなく、退院後の生活が継続できているかどうかまで確認・記録することが求められています。詳しい基準は、このあとの施設基準のところで具体的に見ていきますね。
みらい(新人医療事務)
なるほど。対象になる医療機関や患者も、療養病棟なら誰でもというわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。対象は、区分番号A101に掲げる療養病棟入院基本料のうち療養病棟入院料1を算定する病棟に入院している患者に限られます。療養病棟入院料2を算定する病棟や、一般病棟・回復期リハビリテーション病棟などは、この加算の対象そのものが異なります。
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
気になる点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の在宅復帰機能強化加算は、施設基準に適合する病棟に入院している患者について、1日につき50点を所定点数に加算します。入院している日ごとに算定できる、1日単位の加算です。

| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 在宅復帰機能強化加算 |
| 規定 | A101療養病棟入院基本料 注10 |
| 対象病棟 | 療養病棟入院料1を算定する病棟 |
| 点数 | 1日につき50点 |
| 届出 | 必要 |
| 特別入院基本料算定時 | 算定不可 |
みらい(新人医療事務)
50点というのはひと目で分かりましたけど、これは以前から変わっていない点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは実は変わっているところなので、あとの「改定での変更点」でくわしくお伝えしますね。まずは施設基準を確認していきましょう。
施設基準(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
施設基準は何を満たせばいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の施設基準通知では、次の基準をすべて満たすことが求められています。まず、療養病棟入院料1を届け出ている保険医療機関であることが前提です。
みらい(新人医療事務)
それはさっきの「対象病棟」の話とつながっていますね。
あおい(元・医療事務)
はい。そのうえで、大きく2つの実績要件があります。1つ目は、当該病棟から退院した患者に占める在宅に退院した患者の割合が5割以上であることです。この割合は、直近6月間に退院した患者数のうち在宅に退院した患者数を基に算出します。
みらい(新人医療事務)
「在宅に退院した患者」の数え方にもルールがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同一医療機関の他病棟へ転棟した患者、他の医療機関へ転院した患者、介護老人保健施設に入所した患者などは、在宅に退院した患者には含まれません。退院後の生活が1月以上(医療区分3の患者は14日以上)継続する見込みであることが確認できた患者だけが対象になります。
みらい(新人医療事務)
もう1つの要件は何ですか?
あおい(元・医療事務)
2つ目は、在宅に退院した患者について、退院後1月以内(医療区分3の患者は14日以内)に、病院の職員が患者の居宅を訪問するか、在宅療養を担当する医療機関から電話等で情報提供を受けることで、在宅生活が1月以上(退院時に医療区分3であれば14日以上)継続する見込みであることを確認し、記録している必要があります。
見落としやすい第3の基準
施設基準にはもう1つ、他の病棟や他の医療機関から当該病棟に入院し、在宅に退院した患者数を、その病棟の年間の1日平均入院患者数で割った割合についての基準もあります。令和8年度はこの割合が100分の15以上であることが求められています。退院実績だけでなく「入院元」も含めた指標になっている点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
実績を記録して届け出るところまでが施設基準の一部、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出だけして中身の記録・確認体制が伴っていないと、実地指導等で指摘されるおそれがあります。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅復帰機能強化加算は届出が必要な加算です。療養病棟入院料1の届出をしている保険医療機関が、上記の施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出る必要があります。届出をしていなければ、施設基準を満たしていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
うちがすでに療養病棟入院料1を届け出ていたとしても、この加算は別に届出が必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、療養病棟入院料1の届出と在宅復帰機能強化加算の届出は別物です。届出済みかどうかは、自院の届出書類・地方厚生局への提出履歴で必ず確認してください。
届出状況は自己判断せず必ず確認
「実績は満たしていそうだから大丈夫」と判断せず、実際に地方厚生局長等への届出が受理されているかどうかを、届出書類や受理通知で確認することが必要です。届出のない状態では、実績要件を満たしていても算定候補にはなりません。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
在宅復帰機能強化加算は1日につきの加算なので、施設基準に適合する病棟に入院している日ごとに算定します。ただし、特別入院基本料を算定する場合は、この加算を算定できません。療養病棟入院基本料の施設基準を満たさなくなった場合などに特別入院基本料へ切り替わることがあるので、その期間は対象外になる点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
特別入院基本料に切り替わっている期間はうっかり算定してしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。レセプト担当としては、病棟の入院基本料の区分が変わっていないか、月ごとにきちんと確認する習慣をつけておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
さっき「50点は変わったところがある」っておっしゃっていましたよね。
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の個別改定項目資料によると、在宅復帰機能強化加算は令和8年度改定で点数と施設基準の基準値がどちらも見直されています。
| 項目 | 前回改定(令和6年度) | 今回改定(令和8年度) |
|---|---|---|
| 点数(1日につき) | 10点 | 50点 |
| 実績要件(3)の基準値 | 100分の10以上 | 100分の15以上 |
あおい(元・医療事務)
令和6年度(2024年度)改定では1日につき10点で、他病棟等からの入院・在宅退院の実績割合の基準は100分の10以上でした。これが令和8年度(2026年度)改定で1日につき50点に引き上げられ、あわせて実績割合の基準も100分の15以上に引き上げられています。
みらい(新人医療事務)
点数が上がった分、求められる実績のハードルも一緒に上がっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の資料では、在宅復帰の機能をより推進する観点から、基準値を含めて評価を見直すとされています。点数だけを見て「有利になった」と単純に捉えず、実績要件が厳しくなっている点もあわせて確認する必要があります。
令和6年度から届出済みの病棟も再確認を
令和6年度時点で在宅復帰機能強化加算を届け出ていた病棟でも、令和8年度は実績要件の基準値が引き上げられています。従来の実績のままで基準を満たし続けられているか、直近6月間の実績を改めて計算し直すことをおすすめします。
自院が算定候補になるか確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院でチェックする場合、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくとわかりやすいです。

自院で確認する順番
- 自院の療養病棟が療養病棟入院料1を届け出ているか確認する
- 直近6月間の退院患者のうち、在宅に退院した患者の割合が5割以上かを算出する
- 在宅に退院した患者について、退院後1月以内(医療区分3は14日以内)の生活継続確認・記録の体制があるかを確認する
- 他病棟等からの入院・在宅退院の実績割合が100分の15以上かを確認する
- すべて満たしていれば、地方厚生局長等へ施設基準の届出を行う
みらい(新人医療事務)
記録の体制まで含めて確認するのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。実績の数字だけでなく、退院後の生活継続を確認・記録する運用が実際に回っているかどうかが、施設基準を満たし続けられるかの分かれ目になります。
よくある取り漏れ
特別入院基本料への切り替え期間の見落とし
療養病棟入院基本料の施設基準を一時的に満たせなくなり、特別入院基本料を算定する期間に入っている場合、在宅復帰機能強化加算は算定できません。病棟の入院基本料区分の変更を見落とし、そのまま加算を算定し続けてしまうケースに注意が必要です。
在宅復帰の定義を自己流で数えてしまう
「在宅に退院した患者」の数え方には、同一医療機関の他病棟への転棟患者や介護老人保健施設への入所患者を除くなど、細かいルールがあります。自院の実績を独自の数え方で計算してしまうと、実際の基準を満たしていない可能性もあるため、施設基準通知の算出方法に沿って確認することが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
療養病棟入院料2の病棟でも、この加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
在宅復帰機能強化加算は療養病棟入院料1を算定する病棟が対象です。療養病棟入院料2を算定する病棟は、この加算の対象そのものに含まれていません。まずは自院の病棟がどちらの入院料を届け出ているか確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
有床診療所にも似たような名前の加算があると聞いたのですが、同じものですか?
あおい(元・医療事務)
名称は似ていますが、有床診療所在宅復帰機能強化加算は有床診療所入院基本料の注に規定される別の加算で、対象・点数・施設基準の基準値も異なります。療養病棟入院基本料の在宅復帰機能強化加算と混同しないよう、自院がどちらの入院基本料を算定しているかで判断してください。
みらい(新人医療事務)
令和6年度から届出をしていれば、令和8年度も自動的に算定候補のままですか?
あおい(元・医療事務)
令和6年度(2024年度)改定時点の届出があっても、令和8年度(2026年度)改定で実績要件の基準値が引き上げられているため、自動的に継続とは限りません。直近の実績を計算し直し、新しい基準値を満たしているかを確認したうえで、必要な手続きを行うことをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や在宅復帰の実績を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。療養病棟入院基本料そのものについては 療養病棟入院基本料 のページ、同じ病棟で届出できる他の入院基本料等加算については 療養病棟療養環境加算 のページもあわせてご覧ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。