みらい(新人医療事務)
「抗悪性腫瘍剤処方管理加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
悪性腫瘍(がん)の治療で使う抗悪性腫瘍剤を、通院中の患者さんに処方するときに、治療の必要性や危険性をきちんと文書で説明したうえで処方した場合に算定候補になる加算です。厚生労働省の令和8年度診療報酬点数表では、F100処方料の注6、またはF400処方箋料の注5として規定されています。
みらい(新人医療事務)
「処方料」と「処方箋料」の両方に出てくるんですね。うちみたいな診療所でも関係あるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこが最初に確認したいポイントです。次の項目で対象医療機関を整理しますね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どういう医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表の注記では、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(許可病床数が200床以上の病院に限る。)」とされています。つまり病院が対象で、許可病床数200床以上という条件が明記されています。
みらい(新人医療事務)
200床未満の病院や診療所は対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
資料の文言どおりに読むと、200床未満の病院や診療所は対象外の可能性が高いです。ただし個別の施設区分の判定は自院の許可病床数の登録状況によるので、断定はできません。自院の許可病床数を必ず確認してくださいね。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんは誰でも良いんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、「入院中の患者以外」つまり外来の患者さんが対象です。入院中の患者さんへの投薬は、入院基本料に含まれる扱いになるため、この加算の対象にはなりません。
点数・算定区分
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、処方料の加算としても処方箋料の加算としても70点です。どちらの区分で算定するかによって、算定回数の数え方が少し違います。
| 算定区分 | 点数(令和8年度) | 算定単位 |
|---|---|---|
| F100処方料の注6加算 | 70点 | 月1回に限り、1処方につき |
| F400処方箋料の注5加算 | 70点 | 月1回に限り、処方箋の交付1回につき |
みらい(新人医療事務)
処方料の70点と処方箋料の70点、両方もらえるってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。令和8年度の医科点数表の解釈では、「同一暦月にF100処方料とF400処方箋料を算定する場合にあっては、F100処方料又はF400処方箋料のいずれか一方の加算として月1回に限り算定する」とされています。つまり同一月に両方を重ねて算定することはできない、という整理です。

施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、必要です。厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等への届出が前提になっています。届出をしていない病院は、たとえ許可病床数200床以上でも算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の具体的な中身って、点数以外に何かあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表の条文で確認できる範囲では、「許可病床数200床以上の病院であること」という区分が中心です。人員配置などの追加要件が別途定められているかどうかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。届出に必要な様式や具体的な基準の詳細は、自院が所属する地方厚生(支)局の届出の手引きで必ず確認してください。
届出状況の確認漏れに注意
「うちは病院だから200床以上あれば大丈夫」と思い込んで、施設基準の届出そのものをしていないケースは見落としやすいポイントです。許可病床数の条件を満たしていても、届出をしていなければ算定候補にはなりません。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
実際に算定するときのタイミングを教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表の条文では、「治療の開始に当たり投薬の必要性、危険性等について文書により説明を行った上で抗悪性腫瘍剤を処方した場合」に算定する、とされています。処方箋を交付する場合も同様に、「治療の開始に当たり投薬の必要性、危険性等について文書により説明を行った上で抗悪性腫瘍剤に係る処方箋を交付した場合」という条文です。
みらい(新人医療事務)
「文書により説明」というのは、口頭だけではダメということですね。
あおい(元・医療事務)
条文上はそう読めます。文書での説明を行った記録が残る形にしておくことが、確認のポイントになりそうです。
算定回数と併算定の注意
月1回に限る算定であること、そして同一暦月に処方料と処方箋料の両方を重ねて算定できないことは、条文上明記されています。レセプト作成時にどちらの区分で算定したか記録を残し、二重算定にならないよう確認する運用が必要です。
みらい(新人医療事務)
対象になる薬剤に決まりはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
「抗悪性腫瘍剤」という名称のとおり、悪性腫瘍の治療を目的とした薬剤が対象です。個別の薬剤がこの加算の対象に含まれるかどうかは、処方する薬剤の分類によって変わるため、判断に迷う場合は自院の薬剤部門や公式資料での確認が必要です。
レセプト・記録運用での実務ポイント
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを作るときに、気をつけたほうがいいことってありますか?
あおい(元・医療事務)
まず、文書による説明をいつ・誰に対して行ったかがわかる記録を残しておくことです。条文では「治療の開始に当たり」と時期が明記されているので、治療開始のタイミングと説明日がずれていないかを確認できるようにしておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
医師だけでなく、事務や薬剤部門との連携も必要そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。処方料と処方箋料のどちらで算定するかは、院外処方か院内投薬かという運用の違いにも関わります。院外処方箋を交付している病院であれば処方箋料側、院内投薬であれば処方料側で算定することになるので、レセプト担当と処方の運用ルールをすり合わせておくとスムーズです。
みらい(新人医療事務)
同じF100処方料の加算だと、特定疾患処方管理加算 というのもありましたよね。あれとは違うものですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別の加算です。特定疾患処方管理加算は診療所や200床未満の病院で、特定疾患を主病とする患者への長期処方が対象になるのに対し、抗悪性腫瘍剤処方管理加算は許可病床数200床以上の病院で、悪性腫瘍の外来患者への抗悪性腫瘍剤処方が対象という違いがあります。同じ処方料の加算でも対象医療機関の病床数の条件が異なるので、混同しないよう注意してくださいね。
みらい(新人医療事務)
病床数の条件だけでも、加算によって全然違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。自院がどちらの区分に当てはまるかを最初に整理しておくと、算定漏れや誤算定を防ぎやすくなります。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院で算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 許可病床数が200床以上の病院であるかを確認する
- 抗悪性腫瘍剤処方管理加算に係る施設基準の届出を行っているかを確認する
- 対象患者が入院中でない(外来の)悪性腫瘍治療中の患者であるかを確認する
- 治療開始にあたり、投薬の必要性・危険性等を文書で説明しているかを確認する
- 同一暦月に処方料と処方箋料の両方で重複算定していないかを確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら自分たちでもチェックできそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし最終的な判断は届出内容やレセプトの実運用に左右されるので、確認が必要な項目として社内で共有しておくと安心です。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
病床数の思い込み: 「病院だから対象」と考えて、許可病床数200床以上という条件の確認を省略してしまう。
入院患者への適用: 外来限定の加算であることを見落とし、入院患者の処方でも算定できると誤解してしまう。
重複算定: 処方料と処方箋料の両方で、同一暦月に加算してしまう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の医科点数表の条文の範囲では、抗悪性腫瘍剤処方管理加算の点数(70点)や算定要件(許可病床数200床以上の病院・外来患者・文書による説明・月1回限り)に関する変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省の医科点数表条文ベース)。
みらい(新人医療事務)
それなら、前回から取り扱いが大きく変わったわけではなさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし改定内容は今後訂正通知が出る場合もあるため、算定にあたっては必ず最新の公式資料をご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表の条文では、許可病床数200床以上の病院に限るという規定になっているため、診療所では対象外の可能性が高いです。自院の状況と公式資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
入院患者にも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
入院中の患者以外が対象とされているため、入院患者では対象外の可能性があります。入院基本料に含まれる整理になっている点も確認しておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
処方料と処方箋料の両方で算定できますか?
あおい(元・医療事務)
同一暦月にF100処方料とF400処方箋料の両方を算定する場合は、いずれか一方の加算として月1回に限り算定する、という条文になっています。両方の重複算定は候補になりません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。処方料まわりの他の加算と合わせて確認したい場合は、特定疾患処方管理加算 の記事もあわせてご覧ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。