みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトを見ていたら「静脈切開法加算」という項目があったんですけど、これって何の加算なんですか?初めて見ました。
あおい(元・医療事務)
それは「G005-2 中心静脈注射用カテーテル挿入」という手技に付く加算ですよ。中心静脈にカテーテルを入れるとき、通常は針で血管を穿刺しますが、血管の状態などから穿刺が難しく、皮膚を切開して血管を露出させる「静脈切開法」という技術を使った場合に算定候補になる加算です。令和8年度(2026年度)の点数表に基づいてお話ししますね。
みらい(新人医療事務)
「切開する」って、普通の穿刺と比べてやっぱり手間がかかるということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。静脈切開法は、通常の穿刺と違って皮膚を切開してから血管を露出させ、カテーテルを挿入する手技なので、より手間と技術を要します。そのため、基本の手技料に上乗せする形で評価されているんですね。ただし、誰にでも使える技術というわけではなく、対象となる患者には条件があります。
静脈切開法加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算の対象になるのはどんな場面なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示では、「別に厚生労働大臣が定める患者に対して静脈切開法を用いて」中心静脈注射用カテーテル挿入を行った場合に算定候補になる、とされています。つまり、①中心静脈注射用カテーテル挿入という基本の手技を行い、②その手技を通常の穿刺ではなく静脈切開法という技術で行い、③その患者が厚生労働大臣が定める基準に該当する、という3つがそろって初めて算定候補になる加算です。
みらい(新人医療事務)
「厚生労働大臣が定める患者」って、具体的にはどんな患者さんなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは大事なポイントなんですが、当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象患者の具体的な条件を示した個別の告示・通知までは確認できていません。血管が細い、あるいは穿刺による挿入が困難といった臨床的な理由が想定されますが、断定はできません。カルテには「なぜ静脈切開法を選択したのか」という医学的な理由を必ず記録し、算定を検討する際は最新の告示・通知で対象患者の定義を確認することをおすすめします。
対象患者の定義は要確認
「厚生労働大臣が定める患者」の具体的な範囲は、当サイトが収録している一次資料だけでは確定できません。算定を検討する場合は、最新の告示・通知、または審査支払機関に個別確認してください。
対象となる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
この加算は、どんな医療機関でも算定できる可能性があるんですか?
あおい(元・医療事務)
医療機関の種別(診療所・病院)を限定する記載は、当サイトが確認している範囲では見当たりません。基本手技である中心静脈注射用カテーテル挿入を実施できる医療機関であれば、静脈切開法という技術を用いて実施し、対象患者の要件を満たした場合に算定候補となる、という位置づけです。ただし、実際に静脈切開法を安全に行うための体制(医師の技術・器具など)が整っていることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
つまり「うちは病院だから」「診療所だから」で判断するものではなく、実際にその手技をどう行ったかがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。施設の種別より先に「その患者に対して、なぜ静脈切開法を選んだのか」という臨床判断と記録が算定候補かどうかを左右します。
点数・区分番号(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の医科点数表に基づく整理です。
| 区分番号 | 項目 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| G005-2 | 中心静脈注射用カテーテル挿入(基本手技) | 1,400点 | 静脈切開法加算の前提となる基本手技 |
| G005-2 注3 | 静脈切開法加算 | +2,000点 | 対象患者に静脈切開法を用いた場合に加算 |
| G005-2 注2 | 乳幼児加算(参考・別要件) | +600点 | 6歳未満の乳幼児に行った場合に加算。静脈切開法加算とは別の要件 |

みらい(新人医療事務)
静脈切開法加算だけで2,000点というのは、基本手技の1,400点よりも大きいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。手技の難易度・侵襲性を反映した評価と考えられますが、「対象患者に該当し、実際に静脈切開法を用いた場合」という条件を満たして初めて算定候補になる点は忘れないでください。単に「カテーテルを入れるのが難しかったから」という理由だけで自動的に算定できるわけではありません。
注意: 乳幼児加算との関係
G005-2には静脈切開法加算(注3)とは別に、6歳未満の乳幼児に対する「乳幼児加算」(注2・600点)があります。それぞれ算定要件が異なる別の加算です。同一の患者・手技で両方の算定を検討する場合は、各注の要件を個別に満たしているかを公式資料で確認してください。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するために、施設基準の届出などは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが施設基準系の加算(人員配置や体制を届け出るタイプ)とは異なるところです。静脈切開法加算は、手技の実施方法(切開法を用いたか)と患者の該当性によって決まる、手技・患者要件型の加算という位置づけです。当サイトが確認している範囲では、この加算そのものに専用の届出様式や施設基準の告示は見当たりません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしで算定していいということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定しません。届出の要否は加算の性質だけでなく、医療機関側の運用ルールや審査支払機関の取り扱いによっても確認が必要な場合があります。「届出は不要」と決めつけず、算定を検討する際は自院の届出状況・地方厚生局への確認状況を一度整理しておくことをおすすめします。
算定タイミング・カルテ記載のポイント
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
静脈切開法加算は、中心静脈注射用カテーテル挿入という基本手技と同時に発生する加算です。基本手技を算定しない月に、加算だけを算定することはできません。また、カテーテルの挿入時に限られる加算なので、留置後の管理料(中心静脈注射の管理費用など)とは算定のタイミングが異なる点にも注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
レセプトを作るときに、具体的にどんな記録を残しておけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
最低限、次の3点をカルテに残すことをおすすめします。1つ目は、通常の穿刺ではなく静脈切開法を選択した医学的な理由です。2つ目は、実施した手技が「切開」を伴うものであったことが分かる手技記録です。3つ目は、対象患者としての該当性を判断した根拠です。これらが残っていないと、後から「なぜこの加算を算定したのか」を説明することが難しくなります。
自院で確認する順番
- 中心静脈注射用カテーテル挿入(G005-2)を実施したかを確認する
- 通常の穿刺ではなく、静脈切開法(皮膚切開を伴う手技)を用いたかを確認する
- その患者が「厚生労働大臣が定める患者」に該当するかを、最新の告示・通知で確認する
- 静脈切開法を選択した医学的理由をカルテに記載する
- 基本手技(1,400点)と同時に加算(2,000点)を算定できているかレセプトを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかパターンがあります。
よくある取り漏れ・注意点
- 切開法を用いた記録が曖昧: カルテに「カテーテル挿入」とだけ記載され、切開法を用いたことが明確に読み取れないケース
- 対象患者の該当性の記録漏れ: なぜその患者が対象に該当するのかという臨床的な根拠が記録されていないケース
- 乳幼児加算との混同: 6歳未満の乳幼児加算(注2)と静脈切開法加算(注3)を同じものと誤解し、要件を混同するケース
- 基本手技との算定タイミングのずれ: 基本手技(G005-2)を算定していない月に加算だけを算定しようとしてしまうケース
みらい(新人医療事務)
どれも「記録が残っているかどうか」がポイントになりそうですね。
あおい(元・医療事務)
まさにそこです。算定候補になるかどうかを判断する材料は、点数表の条文だけでなく、実際の診療記録にどこまで残っているかにも左右されます。迷ったときは、カルテの記載内容を見直すところから始めるとよいと思います。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、静脈切開法加算に関する前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。点数・算定要件を含め、今回はG005-2の区分の中で従来どおりの位置づけとして整理されています。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
断定はしません。あくまで当サイトが確認できた一次資料の範囲内での話です。点数表以外にも、施設基準の届出手続きや疑義解釈など、今回確認しきれていない資料がある可能性はあります。正確な最新情報は、必ず厚生労働省の公式資料でご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの場合、算定候補になるのか自分でも確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した手技の内容や患者の状況を整理しながら、確認すべきポイントを一緒に洗い出せます。関連する加算として、同じくカテーテル挿入時の技術評価にあたるバルーン付肺動脈カテーテル挿入加算も、手技の内容によって算定候補になるかどうかが変わる加算です。あわせて確認してみるとよいと思います。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科点数表 G005-2 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の診療内容・カルテ記載・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。特に対象患者の該当性については、最新の告示・通知を必ず確認してください。