みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトを見ていたら「頸動脈閉塞試験加算」という項目が出てきたんです。頸動脈閉塞試験って、そもそも何のための検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。頸動脈閉塞試験は「マタス試験」とも呼ばれる検査で、頸動脈を一時的に閉塞して、その間の脳の血流や症状を確認するものです。頸動脈閉塞試験加算は、令和8年度(2026年度)の診療報酬でも、この試験を実施したときに所定点数へ上乗せする加算として設けられています。
みらい(新人医療事務)
単独の検査ではなくて、何かに「上乗せ」する加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。頸動脈閉塞試験加算は、E003造影剤注入手技の「動脈造影カテーテル法」を行い、あわせて頸動脈閉塞試験(マタス試験)を実施した場合に加算します。まずはどんな場面の加算なのかを一緒に整理していきましょう。
この加算は何のための加算か

みらい(新人医療事務)
「造影剤注入手技」の中の加算という位置づけなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。造影剤を使った血管造影のうち、血管造影用カテーテルを用いて動脈を造影する「動脈造影カテーテル法」があります。頸動脈閉塞試験加算は、その動脈造影カテーテル法とセットで、頸動脈閉塞試験(マタス試験)を実施したときに評価される加算です。
みらい(新人医療事務)
なぜわざわざ加算として評価されているんでしょう?
あおい(元・医療事務)
頸動脈閉塞試験は、頸動脈を一時的にふさいで脳の血流の予備能力や症状の変化をみる、手間と技術を要する追加的な手技だからです。単に造影して撮影するだけでなく、閉塞という操作が加わるぶんを、令和8年度でも別に評価しているという整理になりますね。
みらい(新人医療事務)
なるほど。だから本体の造影の点数とは別に、加算がつくんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし「実施すれば自動的に対象になる」というものではなく、実施方法や記録など確認すべき点があります。まずは点数から見ていきましょう。
点数とコード
みらい(新人医療事務)
頸動脈閉塞試験加算は何点なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表では、頸動脈閉塞試験加算は1,000点です。E003造影剤注入手技の動脈造影カテーテル法の所定点数に、この1,000点を加算する形になります。
| 項目 | 区分 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 頸動脈閉塞試験加算 | E003造影剤注入手技 動脈造影カテーテル法の注 | 1,000点 |
| 動脈造影カテーテル法「イ」 | 主要血管の分枝血管を選択的に造影撮影した場合 | 4,320点 |
| 動脈造影カテーテル法「ロ」 | イ以外の場合 | 1,180点 |
| 血流予備能測定検査加算 | 動脈造影カテーテル法の注(別加算) | 400点 |
みらい(新人医療事務)
加算そのものが1,000点なんですね。けっこう大きい印象です。
あおい(元・医療事務)
金額の大小で判断しないことが大切ですが、算定漏れがあるともったいない加算ではありますね。ここで大事なのは、頸動脈閉塞試験加算はあくまで「動脈造影カテーテル法を算定していること」が前提だという点です。造影剤注入手技のどの区分でも自由につく加算ではありません。
みらい(新人医療事務)
同じ動脈造影カテーテル法には、血流予備能測定検査加算というのもあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。血流予備能測定検査加算(400点)は、同じ動脈造影カテーテル法に関する別の加算で、頸動脈閉塞試験加算とは要件が異なります。詳しくは血流予備能測定検査加算のページも参考にしてください。どちらの加算も、実施した内容が要件に合っているかを個別に確認する必要があります。
点数を書く前に確認したいこと
点数やコードは改定や訂正通知で変わることがあります。ここで挙げた点数は令和8年度(2026年度)時点の医科点数表に基づくものです。実際の算定にあたっては、最新の告示・留意事項通知と自院のマスターで必ず確認してください。
対象となる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
この加算は、どんな医療機関で関係してくるんですか?
あおい(元・医療事務)
頸動脈閉塞試験加算は、E003造影剤注入手技の動脈造影カテーテル法を実施できる体制がある医療機関で関係します。血管造影用カテーテルを用いた動脈造影を行い、そのうえで頸動脈閉塞試験(マタス試験)を実施する場面ですね。脳血管や頸部血管の精査を行う医療機関で登場しやすい加算です。
みらい(新人医療事務)
造影の設備があれば、どこでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
そう言い切ることはできません。前提として動脈造影カテーテル法を算定していること、そして頸動脈閉塞試験を要件どおりに実施していることが必要です。設備があるかどうかだけでなく、実施した手技の中身が要件に合っているかで、算定候補になるかが変わります。
みらい(新人医療事務)
実施の中身、というのが気になります。
あおい(元・医療事務)
そこがこの加算のポイントなんです。次で、実施方法に関する大切な注意点を説明しますね。
実施方法の注意点(バルーンカテーテルの扱い)
みらい(新人医療事務)
頸動脈閉塞試験って、頸動脈を「押さえる」イメージですけど、押さえ方は何でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは特に注意が必要なところです。厚生労働省の疑義解釈(平成28年度)では、頸動脈閉塞試験加算について「閉塞方法を問わず算定できるのか」という問いに対し、用手的な圧迫のみの場合は算定できず、バルーンカテーテルを用いて頸動脈閉塞試験を実施した場合のみ算定できる、と示されています。
みらい(新人医療事務)
手で押さえるだけでは対象にならないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。用手的圧迫(手で押さえる方法)だけで行った場合は、頸動脈閉塞試験加算の対象にはなりません。バルーンカテーテルを用いて閉塞試験を実施したかどうかが、算定候補になるかどうかの分かれ目になります。実施方法をカルテで確認することがとても重要ですね。
みらい(新人医療事務)
これは知らないと算定漏れや、逆に誤った算定につながりそうです。
あおい(元・医療事務)
おっしゃるとおりです。実施した閉塞方法が要件に合っているかは、必ず診療録で確認してください。方法があいまいなまま算定するのではなく、記録に基づいて判断することが大切です。
実施方法の確認
用手的な圧迫のみでは頸動脈閉塞試験加算の対象にならず、バルーンカテーテルを用いて実施した場合が対象と示されています(厚生労働省の疑義解釈による)。実施方法は診療録で確認し、要件に合致するかを個別に判断してください。
施設基準・届出について
みらい(新人医療事務)
頸動脈閉塞試験加算は、施設基準の届出が必要な加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
今回参照した令和8年度(2026年度)の一次資料の範囲では、この加算そのものに特別な施設基準・届出の定めは確認されていません。とはいえ、基礎となる動脈造影カテーテル法や造影検査全体の体制については、自院の運用や届出状況を確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
「加算だけ単独で届出」というより、造影の体制がある前提ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ですので「届出が要る・要らない」を思い込みで判断するのではなく、自院の届出状況と最新の公式資料で確認する、という姿勢が大切です。加算の可否は、実施内容と体制の両面から見る必要があります。
みらい(新人医療事務)
確認すべき順番を整理してもらえると助かります。
あおい(元・医療事務)
では、自院で確認する順番を次にまとめますね。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
フローにすると分かりやすいです。順番に見ていけばいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。次の順で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- E003造影剤注入手技の「動脈造影カテーテル法」を算定しているかを確認する
- その際に頸動脈閉塞試験(マタス試験)を実施したかを確認する
- 実施方法が用手的圧迫のみでなく、バルーンカテーテルを用いたものかを診療録で確認する
- 実施内容が診療録に記録されているかを確認する
- 以上を満たしたうえで、頸動脈閉塞試験加算の算定候補として最新の公式資料で確認する
みらい(新人医療事務)
実施方法の確認が、やっぱり大きなポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番目の「バルーンカテーテルを用いたか」は、算定候補になるかどうかを左右する重要な確認事項です。ここを飛ばさないようにしましょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の一次情報ベース)。頸動脈閉塞試験加算は、令和8年度(2026年度)の医科点数表で1,000点とされており、前回改定からの点数の変更は確認されていません。実施方法に関する取り扱い(バルーンカテーテルを用いた場合が対象)は、平成28年度の疑義解釈で示された内容が引き続き参考になります。
みらい(新人医療事務)
令和8年度でも1,000点なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。実施方法についても、バルーンカテーテルを用いた場合が対象という取り扱いが引き続き参考になります。ただし、改定や訂正通知で細かな取り扱いが更新される可能性は常にあるので、算定の直前には最新の告示・留意事項通知・疑義解釈を確認する習慣をつけておくと安心です。
前回改定からの整理
点数は令和8年度(2026年度)時点で1,000点で、前回改定からの変更は確認されていません。実施方法は用手的圧迫のみでは対象外という取り扱い(平成28年度の疑義解釈)が引き続き参考になります。最新の公式資料での確認は継続してください。
よくある取り漏れ・注意点
みらい(新人医療事務)
実務で気をつけたい取り漏れって、どんなところでしょう?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがありますね。頸動脈閉塞試験を実施しているのに、動脈造影カテーテル法の点数だけを算定して加算を付け忘れているケースは代表的です。
確認しておきたいポイント
加算の付け忘れ: 動脈造影カテーテル法を算定していても、頸動脈閉塞試験(マタス試験)を実施した加算を付け忘れていないか確認する。 実施方法の取り違え: 用手的圧迫のみで行った場合は対象にならないため、バルーンカテーテルを用いたかを診療録で確認する。 記録の不足: 実施した内容が診療録に十分記載されているかを確認する。記録があいまいなまま算定しない。
みらい(新人医療事務)
「付け忘れ」と「実施方法の取り違え」は、両方向で気をつける必要がありますね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。付け忘れて取り漏れることも、要件に合わない方法なのに算定してしまうことも、どちらも避けたいですよね。だからこそ、実施方法と記録を確認したうえで判断することが大切です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した手技の内容や記録の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(告示・留意事項通知・疑義解釈)・審査支払機関の判断でご確認ください。本記事は令和8年度(2026年度)時点の情報をもとにした確認の目安です。