みらい(新人医療事務)
「投与時閉鎖式接続器具使用加算」って初めて見た名前なんですけど、これって何をしたら算定できる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)を無菌製剤処理してから患者さんに投与するとき、薬剤が漏れたり飛び散ったりしないようにする「閉鎖式接続器具」を、投与の段階でも使った場合につく加算です。令和8年度(2026年度)の点数表では150点です。
みらい(新人医療事務)
無菌製剤処理のときにも似たような器具の話が出てきませんでしたか? 混同しそうです。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。実はこの加算は単独では存在せず、G020無菌製剤処理料の中の加算という位置づけです。厚生労働省の告示ではこう書かれています。
公式資料の記載(令和8年厚生労働省告示第69号)
無菌製剤処理料1(イ・ロ): 「無菌製剤処理料1(悪性腫瘍に対して用いる薬剤が注射される一部の患者) イ 閉鎖式接続器具を使用した場合 180点 ロ イ以外の場合 45点」 投与時閉鎖式接続器具使用加算: 「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合している保険医療機関において、1のイを実施した場合であって、患者への投与時にも閉鎖式接続器具を用いた場合は、投与時閉鎖式接続器具使用加算として、150点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、無菌製剤処理の段階(イ)でも、患者さんへの投与の段階でも、両方で閉鎖式接続器具を使っていないとダメということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。無菌製剤処理料1の「イ」(閉鎖式接続器具を使用した場合・180点)を算定していることが前提で、そのうえで投与時にも同じように閉鎖式接続器具を使った場合に、150点が上乗せで加算される仕組みです。処理の段階だけ器具を使って、投与時は使っていない場合は、この加算の対象にならない可能性が高いです。
対象になりうる場面と患者
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
無菌製剤処理料1の対象は「悪性腫瘍に対して用いる薬剤が注射される一部の患者」とされています。実務上は、抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)の点滴注射などで、外来腫瘍化学療法診療料に係る診療の中で無菌製剤処理が行われる場面が中心になります。具体的な対象患者の細目は、無菌製剤処理料の施設基準・留意事項に定められているため、自院の対象患者がこの範囲に含まれるかどうかは、個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
外来腫瘍化学療法診療料という名前、聞いたことあります。
あおい(元・医療事務)
外来腫瘍化学療法診療料ですね。この加算の施設基準は、外来腫瘍化学療法診療料1に係る届出が前提になっています。厚生労働省の施設基準通知には次のように書かれています。
施設基準の記載(特掲診療料の施設基準・令和8年保医発0305第8号)
「3 投与時閉鎖式接続器具使用加算に関する施設基準 外来腫瘍化学療法診療料1に係る届出を行っていること。」
あおい(元・医療事務)
つまり、この加算そのものについて単独の届出書を新たに出す必要はなさそうですが、前提として外来腫瘍化学療法診療料1の届出が済んでいることが施設基準になっています。外来腫瘍化学療法診療料の届出がない医療機関は、この加算の算定候補にならない可能性があります。
対象医療機関はどこまで広がるか
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか? それとも病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
資料上は保険医療機関全般が対象になりえますが、実際には外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行い、かつ無菌製剤処理料1のイ(閉鎖式接続器具を使用した無菌製剤処理)を実施している医療機関に限られます。外来化学療法を行っていない診療所や、無菌製剤処理を院内で行っていない医療機関は、対象外の可能性が高いです。ここも二値で言い切れる話ではなく、自院の診療体制と届出状況で確認する必要があります。
算定候補と確認が必要な範囲
無菌製剤処理料1のイを算定していない、あるいは投与時に閉鎖式接続器具を使っていない場合は、この加算の算定候補にはならない可能性があります。「対象外」と決めつけず、自院の処理・投与のフローと届出状況をあわせて確認してください。
届出は必要か
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか、不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体の単独届出は必須という記載は見当たりません。ただし、施設基準として「外来腫瘍化学療法診療料1に係る届出」が前提になっているため、その届出がまだの場合は、まずそちらの届出状況を確認する必要があります。届出済みであれば、あとは無菌製剤処理と投与の両方で閉鎖式接続器具を使っているかどうかが算定候補になるかの分かれ目です。
みらい(新人医療事務)
届出さえ済んでいれば自動的に算定候補になるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。届出はあくまで前提条件のひとつです。実際に閉鎖式接続器具を無菌製剤処理と投与の両方の場面で使っているかどうかという運用実態も、算定候補になるかどうかに関わってきます。
記録面での注意点
みらい(新人医療事務)
器具を使ったことは、どう記録すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
無菌製剤処理料の留意事項通知には、閉鎖式接続器具を使った場合の記録について、次のように書かれています。
留意事項通知の記載(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について・令和8年3月5日保医発0305第6号)
「薬剤の飛散等を防止する閉鎖式接続器具を用いて無菌製剤処理を行った場合に算定する。閉鎖式接続器具を使用した場合は、当該器具の製品名及び数量を(1)に基づき記録すること。(4)閉鎖式接続器具については、薬剤の漏出防止性能を有するものとして薬事承認された医療機器を用いることが望ましい。」
あおい(元・医療事務)
使用した器具の製品名と数量を記録に残すことが求められています。また、使用する器具は薬剤の漏出防止性能を有する薬事承認済みの医療機器であることが望ましいとされています。この記録は無菌製剤処理料の算定要件として書かれているものですが、投与時閉鎖式接続器具使用加算を算定する場合も、投与時にどの器具を使ったかを記録しておくと、後から確認しやすくなります。
みらい(新人医療事務)
レセプトを書くときにも、この記録が根拠になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。点数の根拠と使用器具の記録がセットになっていることで、審査支払機関からの照会にも対応しやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、投与時閉鎖式接続器具使用加算の150点という点数や、無菌製剤処理料1のイを実施したうえで投与時にも閉鎖式接続器具を用いた場合という算定要件について、令和8年度(2026年度)改定による変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。ただし、当サイトが確認できる範囲を超える細目の変更がある可能性はゼロではないため、最新の告示・通知も併せてご確認ください。
自院で確認する順番
自院で確認する順番:
- 外来腫瘍化学療法診療料1に係る届出を行っているか確認する
- 無菌製剤処理料1のイ(閉鎖式接続器具を使用した無菌製剤処理)を算定しているか確認する
- 患者への投与時にも閉鎖式接続器具を使用しているか確認する
- 使用した器具の製品名・数量を記録しているか確認する
- ここまで満たしていれば投与時閉鎖式接続器具使用加算の算定候補になります

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンですか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、無菌製剤処理の段階では閉鎖式接続器具を使っているのに、投与時には従来の接続方法に戻してしまっているケースです。この場合、無菌製剤処理料1のイ(180点)は算定できても、投与時閉鎖式接続器具使用加算(150点)の対象にはならない可能性があります。
取り漏れになりやすいポイント
処理と投与の一貫性: 無菌製剤処理の段階だけでなく、投与の段階でも閉鎖式接続器具を使っているか、現場の運用フローを確認する。 記録の抜け: 使用した器具の製品名・数量の記録が抜けていると、算定根拠が弱くなる。 届出の前提確認: 外来腫瘍化学療法診療料1の届出状況を、投与時閉鎖式接続器具使用加算の算定前に必ず確認する。

よくある質問
みらい(新人医療事務)
ほかにも確認しておきたいことがあります。無菌製剤処理料2の患者にも、この加算はつくんですか?
あおい(元・医療事務)
公式資料の記載では、投与時閉鎖式接続器具使用加算は「1のイを実施した場合」を前提としています。無菌製剤処理料2(無菌製剤処理料1以外のもの)が対象になるかどうかは、この記載からは確認できません。無菌製剤処理料2に該当する患者の場合は、自院の届出状況とあわせて個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
入院患者でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
資料上、無菌製剤処理料自体は入院・外来を問わず算定されうる点数ですが、この加算の施設基準は外来腫瘍化学療法診療料1の届出を前提としています。外来腫瘍化学療法診療料は入院中の患者以外を対象とする診療料のため、入院患者への投与でこの加算が算定候補になるかどうかは、自院の診療体制に応じて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
薬剤師さんと看護師さんとで、確認する内容が分かれそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。無菌製剤処理そのものは薬剤師が担当することが多く、患者さんへの投与は看護師や医師が担当します。この加算は処理と投与という二つの工程にまたがるため、どちらか一方の職種だけで完結する話ではありません。院内で「処理時も投与時も閉鎖式接続器具を使う」という運用ルールを共有し、記録の担当も決めておくと、算定候補かどうかを確認しやすくなります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。