みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトのチェックをしていたら「精密持続注入加算」という項目が出てきたんですけど、これって何の加算なんですか?聞き慣れなくて。
あおい(元・医療事務)
精密持続注入加算ですね。これは麻酔の区分にある加算で、令和8年度(2026年度)の医科点数表にも引き続き載っています。硬膜外麻酔後の局所麻酔剤の持続的注入、それから神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入、この2つの処置に対して上乗せされる加算なんです。
みらい(新人医療事務)
「持続的注入」自体の加算じゃなくて、その上にさらに乗る加算ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まず「L003 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入」や「L105 神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入」という項目があって、その「注」に書かれているのが精密持続注入加算です。厚生労働省の告示には「L003 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入(1日につき)(麻酔当日を除く。) 80点 注 精密持続注入を行った場合は、精密持続注入加算として、1日につき80点を所定点数に加算する。」とあります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、L003の下にぶら下がっている「注」書きなんですね。じゃあL105の方も同じ書き方ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、L105側の告示も同じ形です。「L105 神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入(1日につき)(チューブ挿入当日を除く。) 80点 注 精密持続注入を行った場合は、精密持続注入加算として、1日につき80点を所定点数に加算する。」と書かれています。
あおい(元・医療事務)
どちらの区分でも、注加算として1日につき80点という点数の考え方は共通です。ただし、L003・L105という「乗せる先」がそれぞれ違うので、自院でどちらの処置を行っているかをまず確認する必要があります。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
うちみたいな診療所でも対象になるんですか?病院じゃないと無理そうなイメージがあります。
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらでも対象になり得ますし、入院・外来のどちらの場面でも算定候補になり得ます。ただし在宅医療の場面は対象になりません。硬膜外麻酔後の持続的注入も神経ブロックの持続的注入も、麻酔処置に付随するものなので、実際には手術後の疼痛管理などの場面で使われることが多い加算です。
みらい(新人医療事務)
つまり「麻酔をした後、痛みを抑えるために薬をゆっくり流し続ける」ときに関係してくる、ということですね。
あおい(元・医療事務)
イメージとしてはそうです。ただし対象患者そのものについて、一次資料には「硬膜外麻酔後」「神経ブロック」という処置の種類しか明記されていません。年齢や疾患名での限定は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。処置の種類で判断する加算だと考えてください。
点数とコード
みらい(新人医療事務)
点数の関係、さっきの「注」の話だけだとちょっと混乱してきました。図で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですね。まず表で整理しましょう。
| 区分 | 対象処置 | 所定点数 | 精密持続注入加算 |
|---|---|---|---|
| L003 | 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入(1日につき・麻酔当日を除く) | 80点 | +80点(1日につき) |
| L105 | 神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入(1日につき・チューブ挿入当日を除く) | 80点 | +80点(1日につき) |
あおい(元・医療事務)
精密持続注入とは何を指すのか、留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)ではL003について「精密持続注入とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で局所麻酔剤を注入するものをいう。」、L105について「「注」の「精密持続注入」とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で麻酔剤を注入するものをいう。」と定義されています。
みらい(新人医療事務)
「自動注入ポンプ」と「1時間10mL以下」の2つがそろっていないとダメ、ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。手動でシリンジを押して注入するようなケースや、ポンプを使っていても速度がそれより速いケースは、この加算の対象にはなりません。逆にこの2条件を満たしていれば、L003またはL105の所定点数80点に加えて、精密持続注入加算80点を算定できる候補になります。

みらい(新人医療事務)
図を見ると、L003でもL105でも合計160点/日になる可能性があるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし「合計160点になります」と決めつけるのではなく、自動注入ポンプの使用有無と設定速度をカルテ・注入記録で必ず確認してから判断してください。
施設基準・届出の有無
みらい(新人医療事務)
施設基準とか届出とか、この加算にもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算に特別な施設基準や届出は設けられていません。あくまでL003・L105という基本の処置に対する「注」加算という位置づけだからです。届出が不要だからといって、算定要件そのものを確認しなくていいわけではありません。
届出不要=無条件算定ではない
届出が不要な加算であっても、自動注入ポンプの使用・注入速度1時間10mL以下という要件を満たしているかどうかは、そのつど確認が必要です。届出の有無と、算定候補になるかどうかは別の話として捉えてください。
みらい(新人医療事務)
届出のハードルがない分、逆に現場での記録がしっかりしているかがポイントになりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出関係の書類より、注入ポンプの設定速度・使用機器の記録が算定候補かどうかを左右します。
算定のタイミング・回数制限・注意点
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングにも決まりがあるんですか?「麻酔当日を除く」とか書いてありましたけど。
あおい(元・医療事務)
良いところに気づきましたね。L003の名称には「(麻酔当日を除く。)」、L105の名称には「(チューブ挿入当日を除く。)」という文言が含まれています。精密持続注入加算はこの2つの区分に対する「注」加算なので、元になる処置が算定できない日には、この加算も算定候補にならないと考えられます。
当日除外の扱いは自院で要確認
「(麻酔当日を除く。)」「(チューブ挿入当日を除く。)」という記載は、告示上ではL003・L105という基本区分の名称の一部です。精密持続注入加算がどの日から算定候補になるかは、自院のレセプトコンピューターの設定や審査支払機関の判断も含めて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
併算定についても何か注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲でこの加算に固有の併算定除外の規定は確認できていません。ただし、L003・L105自体の算定要件(麻酔当日・チューブ挿入当日の扱いなど)は必ず守る必要があるので、基本区分の算定ルールとセットで確認するようにしてください。
みらい(新人医療事務)
あと、術後の痛みの管理というと、別の加算もあったような気がするんですが……。
あおい(元・医療事務)
よく覚えていましたね。術後疼痛管理チーム加算という加算があり、過去の疑義解釈では「手術後に継続した硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入、神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入…に対して、術後疼痛管理チームが必要な疼痛管理を行った場合」に算定対象となる旨が示されています。精密持続注入加算とは別の加算・別の届出が必要な仕組みなので、同じ患者さんが対象になり得る場面があっても、それぞれの算定要件を個別に確認する必要があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、精密持続注入加算の点数(80点)や、自動注入ポンプを用いて1時間10mL以下の速度で注入するという定義について、前回改定からの変更は確認されていません(2026年7月確認・厚労省一次情報ベース)。
改定前後の考え方(時系列イメージ)
令和6年度(2024年度)改定時点: L003・L105の「注」として精密持続注入加算80点が設けられていた構成 令和8年度(2026年度)改定後: 同じ構成・同じ点数(80点)が一次資料上で維持されている(変更点は資料の範囲で確認されていません)
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と分かるだけでも安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「変更がない」というのは今回確認できた資料の範囲での話です。将来の疑義解釈や訂正通知で変わる可能性もあるので、算定の都度、最新の一次資料を確認する姿勢は崩さないでください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの医院でこの加算が算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
フローにすると分かりやすいので、整理しますね。
自院で確認する順番
対象処置か確認する: 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入(L003)、または神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入(L105)を行っているかを確認します 注入方法を確認する: 自動注入ポンプを使用しているかどうかをカルテ・注入記録で確認します 注入速度を確認する: ポンプの設定速度が1時間10mL以下になっているかを確認します 当日除外の扱いを確認する: 麻酔当日・チューブ挿入当日など、L003・L105自体の算定除外日に該当していないかを確認します 算定候補として整理する: ここまでの条件がそろっていれば、精密持続注入加算は算定候補として院内で共有します

みらい(新人医療事務)
届出がいらない分、この現場確認のステップがそのまま算定根拠になるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出書類が無い加算ほど、注入記録という「現場の証拠」が大事になります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取りこぼしやすいポイントってどんなところですか?
取り漏れ例1: ポンプの速度記録が残っていない
自動注入ポンプを使っていても、設定速度(1時間あたり何mLか)がカルテや看護記録に残っていないと、精密持続注入加算の算定候補として説明しづらくなります。速度設定は記録として残す運用にしておくと安心です。
取り漏れ例2: L003・L105どちらの区分か整理せずに請求している
硬膜外麻酔後の持続的注入なのか、神経ブロックの持続的注入なのかによって、乗せる先の区分(L003かL105か)が変わります。どちらの処置に対する加算なのかをレセプト上で明確にしておくことが、算定候補の見落とし・誤りを防ぐポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうなことをまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的な質問に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
精密持続注入加算だけを単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲では、精密持続注入加算はL003またはL105の「注」加算として位置づけられています。単独では算定候補にならず、必ずどちらかの基本区分の算定とセットで確認することになります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出はいつ出せばいいですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算自体に固有の施設基準・届出は設けられていません。届出書類の準備よりも、注入ポンプの使用状況・速度設定の記録整備を優先して確認してください。
みらい(新人医療事務)
在宅で自動注入ポンプを使っている場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した範囲のデータでは、在宅医療の場面はこの加算の対象に含まれていません。在宅での持続注入について確認したい場合は、該当する在宅医療の点数区分を個別に確認する必要があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。