みらい(新人医療事務)
産科がある病院から「帝王切開術時麻酔加算って何点ですか」って聞かれたんですけど、うまく答えられなくて。この加算、そもそもどういうものなんですか?
あおい(元・医療事務)
帝王切開術時麻酔加算は、区分番号L009「麻酔管理料(Ⅰ)」の注2に定められている加算です。麻酔管理料(Ⅰ)の「1」(硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を行った場合)を算定したうえで、その麻酔が帝王切開術のためのものだった場合に、700点を所定点数に加算する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「麻酔管理料(Ⅰ)」自体とは別の点数なんですね。単独で700点がもらえるわけじゃないと。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。あくまで麻酔管理料(Ⅰ)の「1」に対する上乗せの加算なので、麻酔管理料(Ⅰ)の施設基準や算定要件を満たしていることが前提になります。令和8年度(2026年度)の点数表でも、この位置づけは変わっていません。麻酔管理料 自体の施設基準や点数を先に確認しておくと、この加算の理解もスムーズになりますよ。
対象医療機関・対象患者はどこまで?
みらい(新人医療事務)
うちの診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
帝王切開術の麻酔を、麻酔管理料(Ⅰ)の施設基準に適合し届出済みの保険医療機関で行った場合が対象です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象は診療所・病院のいずれも含まれており、算定の場面は入院患者への帝王切開術の麻酔に限られます。外来や在宅の場面では想定されていません。
みらい(新人医療事務)
病床数の制限とかはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算自体に病床数の上限は定められていません。ただし帝王切開術を行う体制(手術室・麻酔科標榜医の配置など)が整っていることが前提になるので、実際に算定候補になるかどうかは、自院の産科・麻酔体制と届出状況を照らし合わせて確認する必要があります。
点数はいくら? コードの整理
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を整理してほしいです。
あおい(元・医療事務)
区分番号L009「麻酔管理料(Ⅰ)」は、麻酔の種類によって点数が分かれています。帝王切開術時麻酔加算は、そのうち「1」を算定した場合に上乗せされる加算です。表にまとめますね。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| L009 麻酔管理料(Ⅰ)の1 | 硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を行った場合 | 250点 |
| 帝王切開術時麻酔加算(注2) | 1を算定し、帝王切開術の麻酔を行った場合の加算 | +700点 |
| (参考)L009 麻酔管理料(Ⅰ)の2 | 声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を行った場合 | 1,050点 |
みらい(新人医療事務)
じゃあ帝王切開術で硬膜外麻酔や脊椎麻酔を使って、麻酔管理料(Ⅰ)の「1」を算定したケースだと、250点+700点で合計950点になるということですか?
あおい(元・医療事務)
資料上の点数の組み立てとしてはそのとおりです。ただし実際のレセプトでの算定可否は、麻酔管理料(Ⅰ)自体の施設基準・算定要件を満たしているかどうかにかかっています。点数だけを見て算定候補と判断せず、次の施設基準の項目も必ず確認してください。

施設基準はどうなっている?
みらい(新人医療事務)
施設基準は何を見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
告示本文では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関の麻酔に従事する医師が行った場合に算定する」とされています。これは帝王切開術時麻酔加算の直接の要件です。
みらい(新人医療事務)
それって、麻酔管理料(Ⅰ)そのものの施設基準とは別なんですか?
あおい(元・医療事務)
帝王切開術時麻酔加算は麻酔管理料(Ⅰ)の注加算なので、土台になる麻酔管理料(Ⅰ)の施設基準も満たしている必要があります。留意事項では「麻酔管理料(Ⅰ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医(地方厚生(支)局長に届け出ている医師に限る。)が麻酔前後の診察を行い、かつ専ら当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が麻酔を行った場合に算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「専ら」というのがポイントですね。非常勤の先生が麻酔を担当した場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項の条文では、麻酔前後の診察と麻酔の実施が「専ら当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医」によるものであることが求められています。非常勤の医師が麻酔を担当した場合に算定候補になるかどうかは、条文の要件と自院の勤務実態を照らし合わせたうえでの確認が必要です。当サイトの整理だけで判断せず、疑わしい場合は地方厚生局や審査支払機関に確認することをおすすめします。
施設基準の確認ポイント
常勤の麻酔科標榜医か: 地方厚生(支)局長に届け出ている常勤の麻酔科標榜医であることが前提です。 麻酔前後の診察: 緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は麻酔実施日以外に行う必要があります。 診療録への記載: 麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載するか、麻酔記録の添付で代える必要があります。
届出は必要?
みらい(新人医療事務)
届出は絶対に必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。帝王切開術時麻酔加算自体の告示にも「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが条件として明記されています。麻酔管理料(Ⅰ)の施設基準の届出が済んでいることが前提になるので、届出済みであれば算定候補、届出がまだであれば、まずは麻酔管理料(Ⅰ)の施設基準の届出状況から確認することになります。
みらい(新人医療事務)
届出済みかどうかは、どこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
自院が地方厚生局へ提出した施設基準の届出書控えを確認するのが基本です。控えが手元にない場合や、届出内容が現状の人員体制と合っているか不安な場合は、地方厚生局や顧問の社会保険労務士・レセプト担当者に確認するのが確実です。
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定回数の制限とか、他の加算との組み合わせで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか注意点があります。まず、L009には帝王切開術時麻酔加算以外にも、長時間麻酔管理加算(注4)や周術期薬剤管理加算(注5)といった別の注加算があります。帝王切開術時麻酔加算は、あくまで「帝王切開術の麻酔を行った場合」に対応する加算なので、他の注加算の要件と混同しないようにしてください。
みらい(新人医療事務)
麻酔管理料(Ⅱ)との関係はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注3に「区分番号L010に掲げる麻酔管理料(Ⅱ)を算定している場合は算定できない」と明記されています。つまり同一の症例で麻酔管理料(Ⅱ)を算定している場合、麻酔管理料(Ⅰ)およびその注加算である帝王切開術時麻酔加算は算定できない整理になります。
算定タイミングの注意
帝王切開術時麻酔加算は、麻酔管理料(Ⅰ)の「1」(硬膜外麻酔又は脊椎麻酔)を算定していることが前提です。単独では算定できません。また同一症例で麻酔管理料(Ⅱ)を算定している場合は、麻酔管理料(Ⅰ)ごと算定できない点に注意してください。「届出があるから毎回自動的に算定候補」というわけではなく、症例ごとに麻酔の内容と実施医師の要件を確認する必要があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和6年度(2024年度)改定との比較について、当サイトが収録している一次資料の範囲では、帝王切開術時麻酔加算の点数(700点)や、麻酔管理料(Ⅰ)の「1」を算定していることを前提とする算定要件の構造に、確認できる変更点はありませんでした。
前回改定との対比(確認範囲の明示)
令和6年度(2024年度)改定: 麻酔管理料(Ⅰ)の注加算として帝王切開術時麻酔加算が定められていました。 令和8年度(2026年度)改定: 当サイトが収録する一次資料の範囲では、点数(700点)・算定要件の構造ともに変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
「確認されていません」というのは、絶対に変わっていないという意味ではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。当サイトが参照できる一次資料の範囲内での確認結果であって、個々の医療機関に関わる細かな取扱いまで、100%網羅できているとは言い切れません。最終的には、自院が届け出ている施設基準の内容や、直近の告示・通知を審査支払機関や地方厚生局で確認していただくのが確実です。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で確認する場合、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
麻酔管理料(Ⅰ)の施設基準を届け出ているかを確認する 常勤の麻酔科標榜医が麻酔前後の診察と麻酔を専ら行っているかを確認する その麻酔が帝王切開術のためのものかを確認する 同一症例で麻酔管理料(Ⅱ)を算定していないかを確認する 診療録に麻酔前後の診察・麻酔の内容が記載されているかを確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で全部クリアできれば、算定候補になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、その理解で近いです。ただし実際の算定可否は、レセプト単位での個別の状況や審査機関の判断にもよります。あくまで自院での一次的な確認の目安として使ってください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよく見落とされがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ
麻酔管理料(Ⅰ)の届出だけで安心してしまう: 帝王切開術時麻酔加算には、告示本文にも別途「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」という条件が明記されています。麻酔管理料(Ⅰ)の届出内容と実際の算定要件を両方確認してください。 非常勤医師が麻酔を担当したケースの見落とし: 留意事項では常勤の麻酔科標榜医が「専ら」麻酔を行った場合と定められています。当直や応援医師が関わったケースは、要件に当てはまるか個別の確認が必要です。 麻酔前後の診察記録の未記載: 診療録への記載、または麻酔記録の添付による代替が求められています。記載漏れがあると、施設基準を満たしていても算定要件を満たせない可能性があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によく聞かれそうな質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですよ。いくつか整理しますね。
みらい(新人医療事務)
麻酔管理料(Ⅰ)を算定していない帝王切開術でも、この加算だけ算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示の構成上、帝王切開術時麻酔加算は麻酔管理料(Ⅰ)の「1」に対する注加算です。麻酔管理料(Ⅰ)の「1」を算定していない場合に、この加算だけを算定できるかどうかは、当サイトが収録する一次資料の範囲では確認できません。個別のケースは審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
緊急帝王切開の場合、麻酔前後の診察のタイミングは変わりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項には「緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない」という記載があります。つまり緊急帝王切開のような場面では、この診察タイミングの原則に例外規定が設けられています。自院での運用に落とし込む際は、この条文の文言をそのまま確認してください。
みらい(新人医療事務)
診療所でも本当に算定候補になり得るんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関を診療所に限定する記載はありません。ただし帝王切開術と麻酔管理料(Ⅰ)の施設基準の両方を満たす体制が必要になるため、実態として届出・算定候補になるかどうかは自院の体制次第です。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容は、どの公式資料に基づいているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に厚生労働省の告示「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」と、その実施上の留意事項通知を根拠にしています。点数(700点)と算定要件は告示本文、施設基準の詳細は留意事項通知で確認できます。
| 資料種別 | 資料名 | URL |
|---|---|---|
| 告示 | 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf |
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。