みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトを見ていたら「幼児加算」って項目が出てきたんですけど、これって子どもの患者さんならいつでも付けていいものなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこ、実はよく混乱するポイントなんです。「幼児加算」という名前の加算は、令和8年度の点数表の中に手術と麻酔でそれぞれ別に定められていて、対象になる年齢も加算される割合も違うんですよ。
みらい(新人医療事務)
え、同じ名前なのに中身が違うんですか!?
あおい(元・医療事務)
はい。今日はその2つの幼児加算を、対象年齢・点数の計算方法・施設基準・注意点まで、一つずつ整理していきましょう。
幼児加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそも「幼児加算」ってどういう趣旨の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
小さなお子さんへの手術や麻酔は、体格差や急変リスクへの配慮などで通常より手間がかかることが多いという考え方から、所定点数に一定の割合を上乗せする加算として設けられています。厚生労働省の医科点数表の告示のうち、「第10部 手術」の通則8と、「第11部 麻酔」の通則2にそれぞれ規定があります。
みらい(新人医療事務)
通則というのは、個別の手術や麻酔の項目とは別に、まとめて決められているルールってことですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。個別の手術・麻酔の点数表には書かれていなくて、部全体にかかる共通ルールとして規定されているので、見落とされやすい加算でもあります。
対象年齢は「手術」と「麻酔」で異なる
みらい(新人医療事務)
さっき違うっておっしゃっていた対象年齢、詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず手術の幼児加算です。第10部手術の通則8に、次のように定められています。3歳未満の乳幼児又は3歳以上6歳未満の幼児に対して手術(区分番号K618に掲げる中心静脈注射用植込型カテーテル設置を除く。)を行った場合は、乳幼児加算又は幼児加算として、当該手術の所定点数に所定点数の100分の100又は100分の50に相当する点数を加算する。ただし、前号に規定する加算を算定する場合は算定しない。
みらい(新人医療事務)
つまり手術では、3歳未満は乳幼児加算(100分の100)、3歳以上6歳未満は幼児加算(100分の50)ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。次に麻酔の幼児加算です。第11部麻酔の通則2には、次のように書かれています。未熟児、新生児(未熟児を除く。)、乳児又は1歳以上3歳未満の幼児に対して麻酔を行った場合は、未熟児加算、新生児加算、乳児加算又は幼児加算として、当該麻酔の所定点数にそれぞれ所定点数の100分の200、100分の200、100分の50又は100分の20に相当する点数を加算する。
みらい(新人医療事務)
あ、こっちの幼児加算は「1歳以上3歳未満」なんですね。手術の方の幼児加算(3歳以上6歳未満)と年齢がまったく重なっていません。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同じ「幼児加算」という名前でも、手術と麻酔でどちらの通則を見ているかによって対象年齢が変わるので、患者さんの年齢と算定した医療行為が手術なのか麻酔なのかを、まずセットで確認する必要があります。
対象年齢のよくある取り違え
手術の幼児加算: 3歳以上6歳未満(3歳未満は乳幼児加算) 麻酔の幼児加算: 1歳以上3歳未満(1歳未満は乳児加算、さらに下は新生児加算・未熟児加算) 同じ患者さんの同じ日でも、手術と麻酔それぞれで別の通則を確認する必要があります。

点数はどう計算するか(算定要件)
みらい(新人医療事務)
点数の計算方法についても教えてください。幼児加算って、決まった点数が足されるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。幼児加算は「所定点数の100分の◯◯」という割合で計算する加算です。実際に加算される点数は、行った手術や麻酔の点数によって変わります。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどう計算するんですか?
あおい(元・医療事務)
手術の幼児加算(3歳以上6歳未満)なら、その手術の所定点数に0.5を掛けた点数を上乗せします。麻酔の幼児加算(1歳以上3歳未満)なら、その麻酔の所定点数に0.2を掛けた点数を上乗せする形です。同じ「幼児加算」でも掛ける割合が50%と20%でまったく違うので、どちらの通則の幼児加算かで計算結果も大きく変わります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、まず「対象年齢に当てはまるか」を確認して、次に「手術か麻酔か」で掛ける割合を変える、という2段階なんですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っていますよ。年度が変わると点数表自体が改定されることもあるので、令和8年度の告示に基づいた割合であることも意識しておくと安心です。
除外規定と併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
何か算定できない手術ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。手術の幼児加算(通則8)には、区分番号K618「中心静脈注射用植込型カテーテル設置」が明示的に除外されています。この手術を3歳未満・3歳以上6歳未満の患者さんに行っても、幼児加算・乳幼児加算の対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
除外される手術があるのは見落としそうです。
あおい(元・医療事務)
もう一つ大事な注意点があります。通則8の条文には「ただし、前号に規定する加算を算定する場合は算定しない」とあります。前号というのは通則7のことで、区分番号K756、K756-2、K773、K773-5、K775、K804、K805からK805-3まで、K812-2、K838、K913に掲げる手術を、手術時体重が1,500グラム未満の児または新生児に対して行った場合の加算(それぞれ100分の400または100分の300)を定めています。K756、K756-2、K773、K773-5、K775、K804、K805からK805-3まで、K812-2、K838並びにK913に掲げる手術を手術時体重が1,500グラム未満の児又は新生児(手術時体重が1,500グラム未満の児を除く。)に対して実施する場合には、それぞれ当該手術の所定点数の100分の400又は100分の300に相当する点数を加算する。つまり、これらの区分番号の手術で通則7の加算を算定している場合は、乳幼児加算・幼児加算(通則8)を重ねて算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
加算同士の組み合わせにも気をつけないといけないんですね。
併算定の注意
手術の乳幼児加算・幼児加算(通則8)は、通則7(区分番号K756・K756-2・K773・K773-5・K775・K804・K805からK805-3・K812-2・K838・K913に掲げる手術の加算)を算定する場合は同時に算定できません。区分番号K618(中心静脈注射用植込型カテーテル設置)も対象外です。該当する区分番号か、どちらの加算を算定すべきかは、患者の体重・出生時期・年齢のカルテ記載を確認したうえで判断が必要です。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出とかは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、幼児加算(手術・麻酔いずれも)は特別な施設基準の届出を前提としない通則加算として整理されています。個別の施設基準が定められていない代わりに、対象年齢・除外規定・併算定制限といった算定要件を正確に満たしているかどうかがポイントになります。
みらい(新人医療事務)
届出が要らないからといって、誰でも自動的に算定候補になるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出の有無にかかわらず、患者さんの年齢が算定日時点で対象年齢に入っているか、除外される手術に該当しないか、他の加算と重複していないかを、その都度カルテとレセプトで確認する必要があります。最終的な算定可否は自院での確認が前提になります。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、幼児加算の内容って変わったりしたんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが収集している一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年7月)。手術の通則8、麻酔の通則2とも、対象年齢の区分(手術は3歳未満/3歳以上6歳未満、麻酔は1歳以上3歳未満)、加算割合(100分の100・100分の50・100分の20)、区分番号K618の除外規定について、令和8年度の告示上の記載内容を確認しています。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、今まで通りの確認の仕方で大丈夫そうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし、改定は今後も定期的に行われるものなので、算定のたびに最新の点数表と照らし合わせる姿勢は続けておくと安心です。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 算定した医療行為が「手術」か「麻酔」かを確認する
- 患者の算定日時点の年齢を確認する(手術は3歳未満/3歳以上6歳未満、麻酔は1歳以上3歳未満)
- 手術の場合、区分番号K618(中心静脈注射用植込型カテーテル設置)に該当しないか確認する
- 通則7(区分番号K756等・特定の手術のみ対象)の加算を同時に算定していないか確認する
- 該当する所定点数に、100分の100・100分の50・100分の20のいずれかを掛けて加算候補の点数を確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
一番多いのは、「乳幼児加算」と「幼児加算」を同じものだと思い込んで、3歳以上6歳未満の患者さんに乳幼児加算の割合(100分の100)で算定してしまうケースです。3歳以上6歳未満は幼児加算(100分の50)が正しい区分になります。
みらい(新人医療事務)
逆に、幼児加算を付け忘れることもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。麻酔の幼児加算(1歳以上3歳未満・100分の20)は、手術の幼児加算(3歳以上6歳未満)と年齢がまったく違うので、「幼児加算=3歳以上6歳未満」という思い込みがあると、1〜2歳の患者さんの麻酔で加算そのものを見落としてしまうことがあります。
取り漏れが起きやすいポイント
年齢の重複確認漏れ: 手術と麻酔で対象年齢が違うことを知らないまま片方だけ確認してしまう 除外手術の見落とし: 区分番号K618の手術に幼児加算・乳幼児加算を付けてしまう 併算定制限の見落とし: 通則7(区分番号K756等の特定手術の加算)と重ねて算定してしまう
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問をまとめておきたいです。
あおい(元・医療事務)
いいですね。一つずつ確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
幼児加算の算定要件を一言でいうとどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
手術なら「3歳以上6歳未満の患者への手術(区分番号K618を除く)」、麻酔なら「1歳以上3歳未満の患者への麻酔」が算定要件の基本です。どちらも令和8年度の医科点数表の通則に規定されています。
みらい(新人医療事務)
幼児加算の点数はいくらになりますか?
あおい(元・医療事務)
固定の点数ではなく、行った手術・麻酔の所定点数に対する割合(手術は100分の50、麻酔は100分の20)で計算します。同じ「幼児加算」という名称でも、手術と麻酔で割合が異なる点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
幼児加算に施設基準はありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、個別の施設基準の届出は前提とされていません。ただし対象年齢や除外規定などの算定要件は毎回確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
幼児加算の対象年齢は何歳から何歳までですか?
あおい(元・医療事務)
手術の幼児加算は3歳以上6歳未満、麻酔の幼児加算は1歳以上3歳未満です。3歳未満の手術は乳幼児加算(100分の100)、1歳未満の麻酔は乳児加算・新生児加算・未熟児加算という別の区分になります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。