みらい(新人医療事務)
あおいさん、レセプトの点検をしていたら「往診時医療情報連携加算」っていう見慣れない加算があったんです。これってどんな加算ですか?
あおい(元・医療事務)
往診料(C000)の「注9」に規定されている加算ですよ。連携している他の医療機関が定期的に訪問診療している患者さんに、自院が代わりに往診をしたときに、往診料に上乗せできる候補になる加算です。令和8年度(2026年度)時点で200点です。
みらい(新人医療事務)
「代わりに往診」ってどういう場面なんですか?
あおい(元・医療事務)
たとえば、ある患者さんを定期的に訪問診療している主治医の医療機関があるとします。でも夜間や休日など、その主治医の医療機関が往診できない時間帯に、患者さんの容体が急変したとしますね。その時に、日頃から診療情報を共有している別の在宅療養支援診療所・病院が代わりに往診する、というケースを想定した加算です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、地域で連携して在宅患者さんを支える仕組みなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ただし「連携していれば誰でも算定候補になる」わけではなく、確認すべき要件がいくつかあります。順番に見ていきましょう。
往診時医療情報連携加算とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
まず、どの医療機関が算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
往診を行う側(自院)が、在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院であることが前提です。そのうえで、連携先の医療機関(患者さんを普段から定期的に訪問診療している主治医の医療機関)が一定の要件を満たしている必要があります。
みらい(新人医療事務)
連携先の医療機関にも条件があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度の告示では、連携先は「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって機能強化型以外の保険医療機関に限る」とされています。つまり、機能強化型(単独型・連携型)の在支診・在支病以外であれば、連携先が在支診・在支病であっても、あるいは在支診・在支病でない通常の医療機関であっても対象になり得ます。
みらい(新人医療事務)
「機能強化型」というのがポイントなんですね。うちの連携先がどのタイプか、確認しないといけなさそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この点は自己判断が難しいところなので、連携先の届出区分を確認するところから始めるのが確実です。

点数と算定要件(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を改めて整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
テーブルにまとめますね。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 基本点数(往診料) | 720点 |
| 往診時医療情報連携加算(注9) | 200点 |
| 算定できる医療機関 | 在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院 |
| 対象患者 | 連携する他の保険医療機関が計画的な医学管理の下で定期的に訪問診療を行っている患者 |
| 施設基準の個別届出 | 当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算に固有の届出は確認できていません(在支診・在支病であることは前提) |
みらい(新人医療事務)
往診料本体の720点に、この200点が上乗せされる候補になる、というイメージですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし、あくまで「往診料を算定した場合の加算」なので、往診料自体が算定できる場面であることが大前提です。往診の要件を満たしていない場合は、当然この加算も候補になりません。
施設基準・要件の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
「連携している」というのは、具体的にどういう状態を指すんですか?なんとなく知り合いの先生同士、というだけでは足りない気がします。
あおい(元・医療事務)
おっしゃる通りです。厚生労働省の留意事項通知では、次のような情報共有の実態が求められています。
連携の実態として確認すべきこと
定期的な情報共有: 連携先医療機関と月1回程度の定期的なカンファレンス、またはICTの活用によって、患者の診療情報や病状急変時の対応方針等の情報共有を行っていること 往診困難な時間帯であること: 連携先医療機関が往診を行うことが困難な時間帯に、共有された診療情報等を参考にして往診を行った場合であること 患者への事前情報提供: 患者が、往診を行う予定の在支診・在支病の医療機関名・電話番号・担当医師の氏名等をあらかじめ提供されていること
みらい(新人医療事務)
カンファレンスかICTのどちらかでいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただしICTを使って患者の個人情報をやり取りする場合は、厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していることが求められます。セキュリティ体制も含めて確認が必要なポイントですね。
みらい(新人医療事務)
記録面で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、診療録への記載も要件に含まれます。
診療録への記載を忘れずに
往診を行った際は、連携先の保険医療機関名、参考にした診療情報等の内容、診療の要点を診療録に記録することが求められます。記録がなければ、算定要件を満たしていたことを後から示せなくなる可能性があります。
届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は要りますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、往診時医療情報連携加算そのものに固有の届出は確認できていません。ただし、算定する自院が在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院であることは前提条件なので、その届出状況(機能強化型かどうかを含む)は必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
連携先の届出状況も確認する必要があるんですよね。
あおい(元・医療事務)
そうです。連携先が「機能強化型」の在支診・在支病だと対象外になる可能性があるので、連携先の届出区分がわからない場合は、直接確認するか、地方厚生局に届出されている情報を照会することをおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングや回数に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
明確な「月◯回まで」という回数制限は、一次資料の中では往診自体の算定要件に紐づく形になっています。往診料を算定するたびに、都度この加算の要件(連携先の区分・情報共有の実態・往診困難な時間帯であること)を満たしているかを確認する必要があります。
算定候補であって確定ではありません
往診時医療情報連携加算は、要件を満たせば自動的に算定できるわけではありません。連携先医療機関の届出区分、情報共有の実態、記録の有無など複数の条件が揃って初めて算定候補になります。最終的な判断は自院の記録と公式資料に基づいて確認してください。
みらい(新人医療事務)
似たような加算に「介護保険施設等連携往診加算」というのもあると聞きました。同じものですか?
あおい(元・医療事務)
別物です。往診料の「注10」に規定されている加算で、介護保険施設等連携往診加算は、介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホームの協力医療機関が、入所患者の病状急変等に伴って往診した場合の加算です。点数は同じ200点ですが、対象となる場面がまったく違います。混同しないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
名前も点数も似ているので紛らわしいですね……。あと「在宅医療情報連携加算」という名前も見たことがあります。
あおい(元・医療事務)
それもまた別の加算です。在宅医療情報連携加算は在宅時医学総合管理料(C002)の注15に規定されているもので、往診時ではなく日常の計画的な医学管理の中でICTを活用した情報連携を評価する加算です。名称が似ているので、レセプト点検の際は算定根拠となる区分番号(C000の注9か、C002の注15か)まで必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、実は令和8年度改定で見直しが入っています。点数自体は200点のまま変更ありませんが、連携先医療機関として認められる範囲が広がりました。
令和6年度(改定前)→令和8年度(改定後)の対比
改定前(令和6年度): 連携先の医療機関は「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院以外の保険医療機関」に限られていました。つまり、連携先自身が在支診・在支病である場合は対象外でした。 改定後(令和8年度): 連携先の医療機関は「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって機能強化型以外の保険医療機関」に対象が拡大されました。機能強化型でなければ、連携先が在支診・在支病であっても対象に含まれるようになりました。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の改定資料では、「地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える取組を更に推進する観点から、被支援側が機能強化型の在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院以外である場合においても算定可能とする」と説明されています。地域全体で24時間の往診体制を支え合う仕組みを広げる狙いがある改定、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
範囲が広がったのは分かりましたが、これって「有利になった」ということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定できません。対象となる連携パターンが増えたのは事実ですが、実際に自院の連携先がその条件に当てはまるかどうかは個別に確認が必要です。「範囲が広がった=自院で使いやすくなった」と単純に判断せず、連携先の届出区分を照合してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何から確認すればいいのか整理してほしいです。
あおい(元・医療事務)
順番に並べますね。
自院で確認する順番
自院が在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院として届出されているか確認する 連携先医療機関の届出区分(機能強化型かどうか)を確認する 連携先と月1回程度のカンファレンス、またはICTによる診療情報の共有を実際に行っているか確認する ICTを使う場合は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への対応状況を確認する 患者に連携先の医療機関名・電話番号・担当医師名等が事前に提供されているか確認する 連携先が往診困難な時間帯に、共有された診療情報を参考に往診を行ったか確認する 診療録に連携先医療機関名・参考にした診療情報・診療の要点が記録されているか確認する

みらい(新人医療事務)
7項目もあるんですね。一つずつ潰していけば良さそうです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
実務でありがちな取りこぼしのパターンも紹介しておきますね。
よくある取り漏れ
連携先の届出区分を確認せずに算定してしまう: 連携先が機能強化型の在支診・在支病だった場合、要件を満たさない可能性があります 情報共有の実態を記録していない: カンファレンスの実施記録やICTでの共有ログが残っていないと、後から要件充足を示せません 往診時医療情報連携加算と介護保険施設等連携往診加算を混同する: どちらも往診料の加算で点数も同じ200点ですが、対象場面が異なります
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
連携先の医療機関が在支診でも在支病でもない、普通のクリニックの場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
その場合も対象に含まれます。令和8年度の要件は「在支診・在支病であって機能強化型以外」または「在支診・在支病でない保険医療機関」を含む形になっているため、通常のクリニックが連携先でも算定候補になり得ます。ただし情報共有の実態など他の要件は同様に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
夜間だけでなく休日の往診でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
時間帯そのものよりも「連携先医療機関が往診を行うことが困難な時間帯」であることが要件です。夜間・休日に限らず、連携先が対応できない時間帯であれば対象になり得ますが、個別の状況は自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
ありがとうございます、だいぶ整理できました。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。連携先の届出状況や情報共有の実態を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。