みらい(新人医療事務)
「広範囲熱傷管理加算」ってレセプトで見かけたんですけど、これって何の加算なんですか? 名前からして熱傷の患者さんに関係ありそうですが。
あおい(元・医療事務)
そうですね、広範囲熱傷管理加算は、救命救急入院料または特定集中治療室管理料に上乗せする加算です。広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な状態の患者さんに対して救命救急医療や特定集中治療室管理が行われた場合に、200点を所定点数に加算するものです。単独では算定できず、あくまで入院料の「注」として位置づけられているのがポイントです。
みらい(新人医療事務)
単独の加算ではないんですね。具体的にはどの区分の入院料に付くんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、区分番号A300救命救急入院料の「注12」と、区分番号A301特定集中治療室管理料の「注8」の2か所に規定があります。どちらも、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが前提です。届出が無ければ、対象になりません。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちは有床診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象になるのは病院の入院に限られます。広範囲熱傷管理加算は救命救急入院料または特定集中治療室管理料の加算という位置づけなので、そもそもこの2つの入院料を届け出て算定している病院であることが前提です。診療所単独では対象外の可能性が高いと考えられます。
みらい(新人医療事務)
病院でも、熱傷の患者さんなら誰でも対象になるわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、対象患者の範囲もかなり限定的です。厚生労働省の留意事項通知では「広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤の医師が勤務している保険医療機関において、第2度熱傷30%程度以上の重症広範囲熱傷患者であって、医師が広範囲熱傷特定集中治療が必要であると認めたものに対して救命救急医療が行われた場合に算定する」とされています。第2度熱傷が体表面積のおおよそ30%程度以上という重症例が対象という理解になります。
みらい(新人医療事務)
「熱傷」というと、火傷そのものだけをイメージしていました。
あおい(元・医療事務)
そこも留意点で、同じ通知に「熱傷には電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれる」と明記されています。狭い意味の火傷だけでなく、電撃傷・薬傷・凍傷も対象範囲に含まれるということですね。ここは自己判断せず、主治医が広範囲熱傷特定集中治療が必要と認めているかどうかがまず出発点になります。
点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどちらの入院料でも同じなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、どちらも200点で同額です。算定できる期間も同じで、入院日から起算して8日以降60日までの期間に限られます。表にまとめるとこうなります。
| 区分 | 根拠条文 | 点数 | 算定できる期間 |
|---|---|---|---|
| 救命救急入院料の加算 | 区分番号A300・注12 | 200点 | 入院日から起算して8日以降60日まで |
| 特定集中治療室管理料の加算 | 区分番号A301・注8 | 200点 | 入院日から起算して8日以降60日まで |
| 対象患者の目安 | 留意事項通知(第2度熱傷30%程度以上) | ― | 医師が広範囲熱傷特定集中治療が必要と認めた場合 |

みらい(新人医療事務)
入院してすぐには算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。入院日から数えて8日目以降からが対象で、7日目までの期間は広範囲熱傷管理加算の対象にはなりません。60日までという上限もあるので、算定できる期間はカレンダーで管理しておくと確認しやすいと思います。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容になっていますか?
あおい(元・医療事務)
救命救急入院料の「注12」に掲げる広範囲熱傷管理加算の施設基準として、厚生労働省の施設基準通知に2点書かれています。1つ目は治療室の広さ、2つ目は医師の配置です。
| 施設基準の項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療室の広さ | 広範囲熱傷特定集中治療管理を行うにふさわしい治療室を有し、内法による測定で1床当たり15平方メートル以上であること(平成26年3月31日時点で救命救急入院料の届出済みの医療機関は、増築・全面改築までの間は満たしているものとみなす経過措置あり) |
| 医師の配置 | 広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤の医師が勤務していること |
みらい(新人医療事務)
治療室の広さまで決まっているんですね。既存の救命救急センターだとどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
平成26年3月31日時点で救命救急入院料の届出を行っていた医療機関については、治療室の増築や全面的な改築を行うまでの間は、この面積基準を満たしているものとみなす経過措置があります。ただし、これは施設側の状況によって扱いが変わる部分なので、自院が経過措置の対象になるかどうかは個別に確認が必要です。
施設基準の充足はAIが判定できません
治療室の実測面積や常勤医師の配置状況は、当サイトの記載だけでは判定できません。施設基準の充足は、必ず自院の届出書類・実測値・医師の勤務実態で確認してください。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出は自動的に付いてくるものじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、広範囲熱傷管理加算は「施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の前提です。届出をしていなければ、施設基準を実質的に満たしていても対象外の可能性があります。届出済みであれば算定候補になりますが、未届出の場合はまず地方厚生局への届出の要否から確認する流れになります。
みらい(新人医療事務)
救命救急入院料や特定集中治療室管理料自体の届出とは別に、この加算専用の届出があるということですか?
あおい(元・医療事務)
位置づけとしては、救命救急入院料または特定集中治療室管理料の届出に付随する形の届出になります。具体的な届出様式や必要書類は、厚生労働省の施設基準に関する手続きの通知で定められているため、自院の担当窓口や地方厚生局に最新の様式を確認するのが確実です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず期間の管理が重要です。入院日から起算して8日目より前は対象外で、60日を超えた期間も対象外です。次に、そもそも救命救急入院料または特定集中治療室管理料を算定している患者でなければ、広範囲熱傷管理加算単独で算定することはできません。あくまで両入院料の「注」として位置づけられている加算だからです。
みらい(新人医療事務)
救命救急入院料の対象にならない患者さんが、その治療室に入院したらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には「救命救急入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する」と明記されています。つまり広範囲熱傷管理加算の対象患者要件を含め、救命救急入院料や特定集中治療室管理料そのものの算定要件を満たしているかどうかが土台になるということです。
個別の併算定可否は自院で確認が必要です
入院料や他の加算との組み合わせが自院のケースで算定候補になるかどうかは、当サイトの記載だけで断定できません。レセプトの個別事情は、施設基準の届出内容や患者の状態記録とあわせて確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わった点はありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の一次資料(医科点数表の告示および留意事項通知・施設基準通知)の範囲では、広範囲熱傷管理加算の点数・算定要件・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。今後の疑義解釈や訂正通知で内容が更新される可能性はあるため、算定の直前には必ず最新の一次資料を確認してください。
改定差分の確認について
点数が変わっていなくても、施設基準や算定要件が改定で変更されるケースは他の加算であります。広範囲熱傷管理加算については、当サイトで確認できた一次資料の範囲では現時点で変更点は見当たりませんが、届出前には必ず最新の告示・通知を確認してください。
自院で確認する順番(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
いろいろ条件があって、何から確認すればいいのか分からなくなってきました。
あおい(元・医療事務)
順番に見ていくと確認しやすいですよ。まず入院料の届出、次に治療室の面積、そして医師の配置、最後に患者の状態という流れです。

自院で確認する順番
- 自院が救命救急入院料または特定集中治療室管理料の届出を行っているかを確認する
- 広範囲熱傷特定集中治療管理を行う治療室が、内法測定で1床あたり15平方メートル以上あるかを確認する(経過措置の対象かどうかも確認する)
- 広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤の医師が勤務しているかを確認する
- 対象患者が第2度熱傷30%程度以上の重症広範囲熱傷(電撃傷・薬傷・凍傷を含む)に該当し、医師が広範囲熱傷特定集中治療が必要と認めているかを確認する
- 入院日から起算して8日目から60日目までの算定期間内であるかを確認する
- 広範囲熱傷管理加算の届出が済んでいるかを地方厚生局への届出状況で確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、入院初期(8日目より前)の期間を対象期間だと勘違いしてしまうケースです。逆に60日を超えた後も算定を続けてしまうミスも起こりやすいところです。
算定期間のカウントミスに注意
「入院日から起算して8日以降60日まで」という期間は、入院初日を含めて数えるのか、暦日で数えるのかなど、実務での数え方に迷いやすいポイントです。自院のレセプト担当者間で数え方の認識をそろえ、疑わしい場合は審査支払機関や地方厚生局に確認しておくと安心です。
対象患者の見落としに注意
熱傷というと火傷だけをイメージしがちですが、留意事項通知では電撃傷・薬傷・凍傷も対象に含まれると明記されています。重症度の判断(第2度熱傷30%程度以上)も含め、対象患者に該当するかどうかは主治医の判断記録とあわせて確認しておくことが取り漏れ防止につながります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
診療所でも、熱傷の患者さんを紹介する前に確認しておいたほうがいいことはありますか?
あおい(元・医療事務)
広範囲熱傷管理加算自体は病院の入院料に付く加算なので、診療所側での算定は対象外の可能性が高いです。ただ、重症の広範囲熱傷が疑われる患者さんを、この加算の届出をしている病院に紹介できるかどうかを把握しておくのは、地域連携の観点で役立つと思います。
みらい(新人医療事務)
60日を超えて入院が続いた場合、その後はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
60日を超えた期間については、広範囲熱傷管理加算としては算定できない可能性があります。その後の入院がどの点数区分になるかは、患者さんの状態や入院料の要件によって変わってくるため、個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしているか自分たちだけでは判断が難しい場合、どうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
治療室の実測や医師の勤務実態の確認は、自院の届出担当者や地方厚生局への相談が確実です。当サイトの加算チェッカーも、確認すべき項目を整理する手がかりとして使っていただけます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。