みらい(新人医療事務)
先輩、「慢性維持透析管理加算」ってレセプトで見かけたんですけど、これって普通の透析の点数とは別物ですか?名前が似てる加算が多くて、正直混乱してます。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。これは療養病棟入院基本料の中の加算で、外来の透析管理料とはまったく別の規定です。令和8年度の医科点数表では、A101療養病棟入院基本料の「注9」に位置づけられていて、1日につき100点が所定点数に加算されます。
みらい(新人医療事務)
療養病棟の入院患者さん向けなんですね。どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
順番に整理していきましょう。まず「何のための加算か」から確認します。
慢性維持透析管理加算ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどういう趣旨で作られたものなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表 A101療養病棟入院基本料の条文には、こう書かれています。「当該病棟(療養病棟入院料1を算定するものに限る。)に入院している患者のうち、当該保険医療機関において、区分番号J038に掲げる人工腎臓、J038-2に掲げる持続緩徐式血液濾過、J039に掲げる血漿交換療法又はJ042に掲げる腹膜灌流を行っている患者については、慢性維持透析管理加算として、1日につき100点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
なるほど、透析関連の処置を自院でやっている入院患者さんが対象なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)でも、「慢性維持透析管理加算は、療養病棟における透析患者の診療を評価したものであり、自院で人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流又は血漿交換療法を行っている場合に算定する」と説明されています。療養病棟に入院している透析患者さんの日常的な診療の手間を評価する加算、というのがこの加算の位置づけです。
みらい(新人医療事務)
「自院で」というのがポイントっぽいですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは注意ポイントです。後ほど詳しく触れますね。
対象になるのはどんな患者?
みらい(新人医療事務)
対象患者の条件をもう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
条文の内容をそのまま表にすると、次の4つのいずれかを自院で行っている、療養病棟入院料1を算定する病棟の入院患者さんが対象です。
| 対象となる処置 | 診療報酬上の区分番号 |
|---|---|
| 人工腎臓(血液透析) | J038 |
| 持続緩徐式血液濾過 | J038-2 |
| 血漿交換療法 | J039 |
| 腹膜灌流 | J042 |
みらい(新人医療事務)
4種類のうち、どれか1つでも該当すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
条文の書き方は「又は」でつながっているので、いずれかに該当すれば対象になり得ます。ただし実際にその処置を行っているかどうかは、日々の診療記録で確認する必要がありますので、算定候補として扱ったうえで自院の記録と突き合わせることをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「継続的にやっていれば毎日じゃなくてもいい」みたいな話も聞いたことがあるんですが、本当ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知に明記されています。「これらの項目については、継続的に適切に行われていれば、毎日行われている必要はない」とされているので、透析を週数回のペースで行っている患者さんでも、継続的な実施であれば対象になり得ます。ここも断定はできないので、日々の実施状況の記録を残しておくことが大切です。

点数と算定の考え方
みらい(新人医療事務)
点数は100点でしたよね。算定単位も確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
条文の表現をそのまま見ておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 慢性維持透析管理加算 |
| 位置づけ | A101療養病棟入院基本料「注9」 |
| 点数 | 1日につき100点 |
| 対象病棟 | 療養病棟入院料1を算定する病棟 |
| 年度 | 令和8年度(2026年度) |
みらい(新人医療事務)
「1日につき」ということは、入院している日数分、毎日算定候補になるイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そこは点数表の書き方どおりで「1日につき100点を所定点数に加算する」となっているので、対象となる患者さんが入院している日については算定候補になり得る、という理解でいいと思います。ただし特定の状況では算定できないケースもあるので、そちらは次の見出しで確認しましょう。
施設基準・届出はどうなっている?
みらい(新人医療事務)
この加算、別途の届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが確認した点数表・留意事項の範囲では、この慢性維持透析管理加算そのものについて「施設基準への適合」や「地方厚生局への届出」を求める記載は見当たりませんでした。療養病棟入院基本料自体を算定している病棟で、対象患者に該当する処置を自院で行っていれば算定候補になる、という書きぶりです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでも大丈夫ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは言い切れません。同じA101療養病棟入院基本料の「注10」にある在宅復帰機能強化加算は、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟」であることが条件になっていて、この慢性維持透析管理加算とは書きぶりが異なります。届出の要否は加算ごとに個別に定められているので、「他の加算で届出が要らなかったから、この加算も不要」と決めつけず、自院の届出状況や地方厚生局への確認は必ず行ってください。
施設基準・届出の確認ポイント
点数表・留意事項の記載: 慢性維持透析管理加算そのものへの届出要件の明記は、当サイトが確認した範囲では見当たりません。 療養病棟入院基本料自体の届出: 上位の入院基本料としての施設基準・届出状況は別途必要です。 最終確認: 届出の要否は自院の顧問社労士・地方厚生局・審査支払機関で必ず確認してください。
算定できないケースに注意
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できないパターンってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知にはっきり書かれています。「特別入院基本料を算定する場合は、当該加算は算定できない」とされているので、特別入院基本料を算定している期間は、この慢性維持透析管理加算の算定候補から外れます。
みらい(新人医療事務)
特別入院基本料を算定している場合は最初から対象外、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。あくまで療養病棟入院料1を算定する病棟が前提になっている加算なので、入院基本料の区分自体が違えば算定候補にはなりません。
算定できない可能性が高いケース
特別入院基本料を算定している期間は、慢性維持透析管理加算は算定できないとされています。まずは自院がどの入院基本料の区分を算定しているかを確認してください。
似た名前の加算と混同しないために
みらい(新人医療事務)
最初に言ったとおり、似た名前の加算が多くて混乱するんです……。整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
よく混同されやすいものを並べてみますね。名前は似ていますが、それぞれ別の加算・別の管理料です。
| 名称 | 位置づけ | 対象の場面 |
|---|---|---|
| 慢性維持透析管理加算(本記事) | A101療養病棟入院基本料 注9 | 療養病棟入院患者で自院透析等を実施 |
| 慢性維持透析濾過加算 | J038人工腎臓の処置加算 | 人工腎臓の処置そのものへの加算 |
| 慢性維持透析患者外来医学管理料 | 管理料 | 入院中以外(外来)の透析患者の医学管理 |
| 在宅復帰機能強化加算 | A101療養病棟入院基本料 注10 | 在宅復帰実績のある療養病棟(要届出) |
みらい(新人医療事務)
「濾過加算」と「管理加算」、字面が本当に似てますね……。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。慢性維持透析濾過加算はJ038人工腎臓という処置そのものへの加算で、位置づけがまったく違います。名前だけで判断せず、点数表のどの区分番号に属しているかを必ず確認する癖をつけておくと安心です。
特殊なケースの注意点
厚生労働省の告示では、新型インフルエンザ等感染症の患者を受け入れる際に一般病棟入院基本料(A100)を算定する病棟がA101療養病棟入院基本料の例により算定する場合について、次のように定められています。「オ 「A101」療養病棟入院基本料の「注9」に規定する慢性維持透析管理加算を算定することができる。カ 「A101」療養病棟入院基本料の「注10」に規定する在宅復帰機能強化加算は算定することができない。」
通常どおり療養病棟入院料1を算定している病棟における、注9と注10の同時算定の可否については、当サイトが確認した資料の範囲では明記が見当たりませんでした。個別の状況は地方厚生局や審査支払機関にご確認ください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
慢性維持透析管理加算について、当サイトが確認した令和8年度の点数表・留意事項通知の範囲では、前回改定(令和6年度)からの主な変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数・対象病棟・対象処置の書きぶりに大きな変更は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
変更なしでも、ちゃんと確認しておくのが大事なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「変更がない」ことも、確認した事実として記録しておくのが正確な運用につながります。改定のたびに、この加算の条文が変わっていないか、念のため確認する習慣をつけておきましょう。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病棟で算定候補になるか、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
①療養病棟入院基本料を算定しているか: まず自院の病棟がA101療養病棟入院基本料(療養病棟入院料1)を算定しているかを確認します。 ②特別入院基本料を算定していないか: 特別入院基本料を算定している期間は対象外になるため、入院基本料の区分を確認します。 ③対象患者に該当する処置を自院で行っているか: 人工腎臓・持続緩徐式血液濾過・血漿交換療法・腹膜灌流のいずれかを、外部委託ではなく自院で継続的に行っているかをカルテ・実施記録で確認します。 ④算定候補として整理し、最終確認を行う: ①〜③を満たせば算定候補になります。最終的な判断は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関で確認してください。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなパターンですか?
あおい(元・医療事務)
代表的なものを挙げてみますね。
取り漏れが起きやすいポイント
外部委託の透析: 他院・他施設に委託して透析を行っている場合、「自院で」の要件を満たさない可能性があります。委託か自院実施かを確認してください。 週数回の透析患者の見落とし: 「毎日行われている必要はない」とされているため、透析日が限られる患者さんを対象外と誤認してしまうケースがあります。 特別入院基本料への切り替え時: 入院基本料の区分が特別入院基本料に変わったタイミングで、この加算の算定を止め忘れる、または逆に算定を続けてしまうケースに注意が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。