みらい(新人医療事務)
あおいさん、「人工血管等再置換術加算」ってすごく専門的な名前ですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある手術加算のひとつです。心臓の大血管に関わる手術(K581肺動脈閉鎖症手術、K583大血管転位症手術、K584修正大血管転位症手術、K586単心室症又は三尖弁閉鎖症手術)の一部区分について、過去に同じ部位の手術を受けた患者に対し、人工血管やパッチ、導管などを再置換する手術を行った場合に、所定点数へ上乗せする加算です。
みらい(新人医療事務)
「再置換」ということは、2回目以降の手術ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。特に小児期に心臓の大血管手術を受けたお子さんが、成長に伴って体格が大きくなり、以前入れた人工血管やパッチが体格に合わなくなって、同じ部位をもう一度手術し直すケースを想定した加算です。当サイトが確認した告示(令和8年厚生労働省告示)には、対象となる区分について「過去に当該手術を行ったものに対して同一部位の人工血管等の再置換術を実施した場合は、人工血管等再置換術加算として、所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する」と記載されています。
どの手術・どの患者が対象になりますか
みらい(新人医療事務)
対象になる手術って、具体的に何がありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示・留意事項通知の範囲では、次の4つの手術区分に限定されています。
| 手術区分 | 対象となる項目 |
|---|---|
| K581 肺動脈閉鎖症手術 | 「2 ラステリ手術を伴うもの」 |
| K583 大血管転位症手術 | 「4 ラステリ手術を伴うもの」 |
| K584 修正大血管転位症手術 | 「2 根治手術(ダブルスイッチ手術)」 |
| K586 単心室症又は三尖弁閉鎖症手術 | 「2 フォンタン手術」 |
みらい(新人医療事務)
どれも先天性の心臓の病気に関わる手術ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。肺動脈閉鎖症、大血管転位症、修正大血管転位症、単心室症や三尖弁閉鎖症といった先天性心疾患に対する複雑な心臓外科手術が対象です。届出区分としては病院・入院が対象で、当サイトが確認した範囲では外来や在宅での算定は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
つまり、心臓血管外科や小児循環器の専門的な体制を持つ病院向けの加算ということですね。
あおい(元・医療事務)
そういう理解で近いと思います。ただし、実際に算定候補になるかどうかは、対象患者の手術歴や体格の変化に伴う再手術の医学的な必要性を含めて、個別に確認が必要です。
点数はどう計算するの

みらい(新人医療事務)
加算の点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
大事なポイントなのですが、この加算には独立した固定点数がありません。告示の文言どおり「所定点数の100分の50に相当する点数」、つまり基礎となる手術区分の点数の50%相当が加算される仕組みです。基礎手術の点数が違えば、加算される点数も変わります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、対象手術ごとに違う金額になるんですね。当サイトで基礎点数から計算してみると、どうなりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した各手術区分の所定点数をもとに機械的に計算すると、次のようになります。あくまで告示の点数と割合から算出した参考値なので、実際の請求前には最新のレセプト電算コードと点数表で確認してください。
| 対象手術(区分) | 所定点数 | 加算(所定点数の100分の50相当・当サイト計算) | レセプト電算コード |
|---|---|---|---|
| K581 肺動脈閉鎖症手術「2」ラステリ手術を伴うもの | 173,620点 | 86,810点 | 150376470 |
| K583 大血管転位症手術「4」ラステリ手術を伴うもの | 154,330点 | 77,165点 | 150376570 |
| K584 修正大血管転位症手術「2」根治手術(ダブルスイッチ手術) | 201,630点 | 100,815点 | 150376670 |
| K586 単心室症又は三尖弁閉鎖症手術「2」フォンタン手術 | 85,880点 | 42,940点 | 150376770 |
みらい(新人医療事務)
レセプト電算コードは4種類もあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。加算そのものは「人工血管等再置換術加算」というひとつの概念ですが、当サイトが確認した通知別表では、対象手術ごとに150376470・150376570・150376670・150376770という4つの異なるコードが割り振られています。どの基礎手術に対する再置換かによって、使うコードが変わる点に注意が必要です。
算定できるタイミングと要件を教えてください
みらい(新人医療事務)
いつ算定候補になるのか、具体的な条件が知りたいです。
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した留意事項通知(保医発)には、この加算について2つの要件が明記されています。ひとつずつ確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします。
あおい(元・医療事務)
まず1つ目です。通知には「人工血管等再置換術加算は、患者の成長に伴うパッチ、導管、人工血管等の再置換のために、同一部位に対して再手術を実施した場合に算定する。なお、前回の手術から1年以上経過していること」と記載されています。つまり、①患者の成長に伴う再置換であること、②同一部位への再手術であること、③前回手術から1年以上が経過していること、この3点がそろって初めて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
1年未満だと対象外になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
通知の文言どおりに読むと、前回手術から1年以上経過していない再手術は、この加算の対象には当たらない可能性が高いです。ただし個別の症例判断になるため、断定はできず、疑問があれば審査支払機関への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
2つ目の要件は何ですか?
あおい(元・医療事務)
レセプトの記載に関するものです。通知には「人工血管等再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」とあります。前回の手術がいつ・どんな術式で・どの医療機関で行われたかを、摘要欄に具体的に書く必要があるということです。
摘要欄記載の注意
前回手術が自院ではなく他院で行われていた場合、手術日・術式・医療機関名の正確な情報を患者や紹介元の医療機関から確認しておく必要があります。診療情報提供書や紹介状の記録と突き合わせて、摘要欄の記載に誤りがないか確認しましょう。
施設基準や届出はどうなっていますか
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、事前の届出とか施設基準は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
ここは正直にお伝えしたいのですが、当サイトが確認できた告示・留意事項通知の範囲では、人工血管等再置換術加算そのものに専用の施設基準や届出様式があるという記載は見当たりませんでした。基礎となるK581・K583・K584・K586の手術自体を実施できる体制(心臓血管外科・小児循環器の専門体制、施設基準を満たす手術室等)が前提になっていると考えられますが、これは当サイトの推測であり、一次資料で明示的に確認できたわけではありません。
みらい(新人医療事務)
確認できていない、というのは正直ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。施設基準・届出の要否については未確認の扱いとし、実際に算定を検討する際は、自院の地方厚生局への確認、または顧問の医事課・審査支払機関への問い合わせをおすすめします。
要確認ポイント: 基礎手術の施設基準
人工血管等再置換術加算そのものより先に、基礎となるK581・K583・K584・K586の手術区分自体の施設基準・実施体制(先天性心疾患の心臓外科手術を実施できる体制か)を満たしているかどうかを、自院の届出内容で確認しておくことが出発点になります。
併算定や回数の制限はありますか
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できるのか、回数の上限があるのかも気になります。
あおい(元・医療事務)
併算定の可否や明確な回数制限(例えば年何回まで、といった上限)について、当サイトが確認できた一次資料の範囲では明記された記載が見つかりませんでした。この加算は「前回手術から1年以上経過した再置換術を実施した場合」という要件で算定機会そのものが限定される設計になっていますが、それ以上の回数制限や他加算との併算定可否は未確認です。
みらい(新人医療事務)
ここも「未確認」なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。分からないことを分かったように書くと、かえって現場で混乱を招いてしまいます。併算定や回数の扱いに疑問がある場合は、個別の症例をもとに審査支払機関に確認することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定、令和6年度のころと比べて、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点について、当サイトが確認できた一次資料の範囲では、人工血管等再置換術加算に関する点数・算定要件・対象手術区分の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。所定点数の100分の50に相当する点数を加算するという仕組みや、前回手術から1年以上経過という要件も、当サイトが参照した令和8年度の告示・留意事項通知の中で従来どおりの記載になっています。
みらい(新人医療事務)
変化がないなら、それはそれで安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「変更が見当たらなかった」というのは当サイトが確認できた資料の範囲での話であり、今後の告示改正や疑義解釈の追加によって内容が更新される可能性はあります。定期的に最新の告示・通知を確認することをおすすめします。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で算定候補になるか調べるとき、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で整理していくと確認しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象患者が過去にK581肺動脈閉鎖症手術・K583大血管転位症手術・K584修正大血管転位症手術・K586単心室症又は三尖弁閉鎖症手術のいずれかの対象区分を受けているかをカルテ・紹介状で確認する
- 今回の手術が、成長に伴うパッチ・導管・人工血管等の再置換を目的とした、同一部位への再手術に該当するかを主治医に確認する
- 前回の手術日から1年以上が経過しているかを確認する
- 前回の手術日・術式・医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載する準備をする
- ここまで整理できたら算定候補として扱い、施設基準・届出・併算定の扱いなど未確認の項目は地方厚生局や審査支払機関に確認する
よくある取り漏れ・注意したいポイント
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れって、どんなケースがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか当サイトが確認した要件と照らして注意したい点があります。
他院での前回手術に注意
前回の手術が自院ではなく他院で行われていた場合、手術日・術式・医療機関名の情報が不正確なまま摘要欄に記載してしまうと、留意事項通知が求める記載要件を満たせない可能性があります。紹介状・診療情報提供書の原本を確認してから記載しましょう。
対象区分の取り違えに注意
K581・K583・K584・K586にはそれぞれ複数の区分(「1」「2」「3」など)がありますが、人工血管等再置換術加算の対象になるのは、当サイトが確認した範囲ではK581の「2」、K583の「4」、K584の「2」、K586の「2」に限られます。同じ手術名でも区分が違うと対象外になる可能性があるため、算定コードと区分の対応を必ず確認してください。
あおい(元・医療事務)
とくに前回手術から1年以上経過という条件と、摘要欄への前回手術情報の記載は、この加算を検討するうえで見落としやすいポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をまとめてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
いいですね。整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
Q. 人工血管等再置換術加算はどんな時に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 過去にK581肺動脈閉鎖症手術「2」、K583大血管転位症手術「4」、K584修正大血管転位症手術「2」、K586単心室症又は三尖弁閉鎖症手術「2」のいずれかを受けた患者に対し、成長に伴うパッチ・導管・人工血管等の再置換のために同一部位の再手術を実施し、前回手術から1年以上経過している場合に算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
Q. 点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
A. 独立した固定点数ではなく、基礎となる手術区分の所定点数の100分の50に相当する点数が加算されます。対象手術によって基礎点数が異なるため、加算額も一律ではありません。
みらい(新人医療事務)
Q. 外来やクリニックでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが確認した範囲では、対象は病院・入院に限られ、外来・在宅は対象外です。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが確認できた一次資料の範囲では、この加算専用の施設基準・届出様式は確認できていません。届出要否については自院の地方厚生局にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
Q. 前回改定(令和6年度)から点数や要件は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが確認した一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。