みらい(新人医療事務)
「入院事前調整加算」って初めて見た名前です……。これ、どんな時につく加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
入退院支援加算(区分番号A246)の注10に位置づけられた注加算です。対象になる患者さんに、入院前から患者さん・ご家族・在宅生活を支援している障害福祉サービス事業者等と事前に入院中の支援の調整を行った場合に、200点を本体の点数にさらに加算できる仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「注加算」ということは、単独では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。あくまで区分番号A246入退院支援加算の枠組みの中の加算なので、まず入退院支援加算そのものの算定を理解したうえで、この加算の対象患者に当てはまるかを確認する、という順番になります。
入院事前調整加算ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示では、対象は「別に厚生労働大臣が定める患者」とされていて、留意事項通知でその内容が具体化されています。留意事項通知には「コミュニケーションに特別な技術が必要な障害を有する者又は強度行動障害の状態の者であって入院の決まったもの」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、コミュニケーションに配慮が必要な障害がある方か、強度行動障害の状態にある方で、入院がすでに決まっている患者さんが対象、ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。そのうえで、入院前に患者さん本人・ご家族等・在宅生活を支援している障害福祉サービス事業者等から事前に情報提供を受け、その内容を踏まえて入院中の看護等に係る療養支援の計画を立て、患者さんと入院予定先の病棟職員に共有した場合に算定する、という要件になっています。
みらい(新人医療事務)
事前の情報収集と、計画づくりと、病棟への共有と……やることが3段階ある感じですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。単に「入院前に連絡を取った」だけでなく、計画を立てて病棟職員と共有するところまでが要件に含まれている点が、確認のポイントになります。
対象になる医療機関・患者は?
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関でも対象になりますか?診療所でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。入院事前調整加算は入院料加算のひとつで、入院中の患者さんに対して算定するものです。当サイトが収録している一次資料の整理でも、対象は病院・入院に限られており、外来や在宅では対象になりません。
みらい(新人医療事務)
病院の、しかも入院している患者さんが対象なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。加えて対象患者は「コミュニケーションに特別な技術が必要な障害を有する者」または「強度行動障害の状態の者」であって、入院がすでに決まっている方に限られます。単に障害のある患者さんの入院すべてが対象になるわけではない、という点は誤解しやすいので注意してください。
対象患者の確認ポイント
コミュニケーションへの特別な配慮が必要な障害: 意思疎通に特別な技術・工夫を要する障害を有する患者 強度行動障害の状態: 自傷・他害などの行動上の課題が強く、特別な支援を要する状態にある患者 入院が決まっていること: 入院前の調整が要件のため、入院が決定している患者が前提

点数を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、入院事前調整加算として200点が、区分番号A246入退院支援加算の所定点数に「更に」加算される形になっています。単独の点数ではなく、あくまで入退院支援加算本体に上乗せする加算という位置づけです。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 年度 |
|---|---|---|---|
| A246 注10 | 入院事前調整加算 | 200点 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
「更に加算する」ということは、入退院支援加算そのものの点数と別枠で足し算されるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのイメージで合っています。入退院支援加算1〜3のいずれかの本体点数に、要件を満たした場合にこの200点が上乗せされる形です。本体点数がいくらかは、自院がどの区分の入退院支援加算を届け出ているかによって変わるので、あわせて確認しておきたいところです。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算自体に施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは丁寧に確認したいところです。区分番号A246入退院支援加算そのものは、告示上、入退院支援加算1(注1)・入退院支援加算2(注2)・入退院支援加算3(注3)のいずれも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」が行う加算として規定されています。つまり本体の入退院支援加算は、1〜3のどの区分であっても施設基準の届出が要件になっています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ入院事前調整加算も同じように届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが注意点で、当サイトが確認できた一次資料の範囲では、注10(入院事前調整加算)自体には、単独の届出・施設基準への適合に関する規定の明記は見当たりませんでした。あくまで入退院支援加算という注加算の枠組みの中に位置づけられている、という整理になります。
みらい(新人医療事務)
では「届出は不要」と考えていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定しないでください。注10自体に個別の届出規定が明記されていないとしても、そもそも本体の入退院支援加算を算定できる体制(該当する届出区分)にあることが前提になります。自院がどの入退院支援加算の区分を届け出ているか、実際にこの注加算を算定する運用ができているかは、自院の届出内容と公式資料をあわせて確認が必要です。
届出まわりの確認ポイント
入院事前調整加算そのものに個別の届出規定が明記されているわけではありません。本体の区分番号A246入退院支援加算(1〜3のいずれか)の届出状況とあわせて、算定候補かどうかを確認してください。
算定要件を詳しく
みらい(新人医療事務)
さっき出てきた「療養支援の計画」って、具体的にはどんな内容を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の記載では、対象患者について、当該患者・その家族等・当該患者の在宅における生活を支援する障害福祉サービス事業者等から事前に情報提供を受け、その内容を踏まえて入院中の看護等に係る療養支援の計画を立てる、とされています。
みらい(新人医療事務)
情報をもらうだけじゃなく、それをもとに計画を作るところまでがセットなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。そして最後に、その計画を患者さんご本人と、入院予定先の病棟職員に共有した場合に算定する、というのが要件の全体像になります。情報収集・計画作成・共有の3つがそろっているかどうかを、自院の記録から確認できるようにしておくとよいでしょう。
みらい(新人医療事務)
記録に残しておくことも大事そうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。算定の可否を後から確認できるようにするためにも、誰から・いつ・どんな情報提供を受けたか、計画の内容、共有した相手や日付を診療録等に残しておくことが望ましいと考えられます。ただし記録の具体的な様式までは、公式資料の記載範囲を超えて断定はしません。

自院で確認する順番
自院で確認する順番
対象患者に該当するか確認する: コミュニケーションに特別な技術が必要な障害、または強度行動障害の状態にあり、入院が決まっている患者かどうかを確認します。 入退院支援加算の届出区分を確認する: 自院がA246入退院支援加算のどの区分を届け出ているかを確認します。 入院前に情報提供を受ける: 患者本人・家族等・在宅生活を支援する障害福祉サービス事業者等から、入院前に必要な情報提供を受けます。 療養支援の計画を作成する: 受けた情報をもとに、入院中の看護等に係る療養支援の計画を立てます。 患者と病棟職員へ共有する: 作成した計画を、患者本人と入院予定先の病棟職員に共有します。 記録を残し、算定候補として確認する: 情報提供・計画作成・共有の経過を記録し、算定候補になるかを最終確認します。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか考えられます。まず、入退院支援加算本体は算定していても、対象患者の要件(コミュニケーションへの特別な配慮が必要な障害、または強度行動障害の状態)を満たしているかの確認が漏れるケースです。
みらい(新人医療事務)
本体の加算に気を取られて、注10まで手が回らない、というパターンですね。
あおい(元・医療事務)
もうひとつは、情報提供を受けただけで満足してしまい、療養支援の計画を作成して病棟職員と共有するところまで運用が徹底されていないケースです。要件は情報提供・計画作成・共有の3点セットなので、どこか一つが抜けると算定要件を満たしているか確認が難しくなります。
よくある取り漏れ
対象患者の見落とし: 強度行動障害やコミュニケーションへの特別な配慮が必要な障害があるのに、本人の状態が明確に記録・共有されていない 情報提供だけで計画作成まで至っていない: 家族・障害福祉サービス事業者等からの情報を、療養支援の計画に落とし込めていない 病棟職員への共有漏れ: 計画を作成しても、実際に入院予定先の病棟職員へ共有した記録が残っていない
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定でもあったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えします。当サイトが直接照合できる一次資料は令和8年度分の告示・留意事項通知が中心で、前回改定(令和6年度)時点の条文を逐語で引用して比較するところまでは確認できていません。区分番号A246の中で「注10」として規定されていることは令和8年度の告示で確認できていますが、前回改定からの点数・要件の異同を、この記事では断定していません。
みらい(新人医療事務)
分からないことは分からない、とはっきり書いてくれるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。正確な新旧対照が必要な場合は、厚生労働省が公表している改定前後の告示・通知原文で確認することをおすすめします。当サイトでも一次資料が確認でき次第、この記事を更新していきます。
関連する加算もチェック
みらい(新人医療事務)
この加算とセットで確認しておいたほうがいい加算ってありますか?
あおい(元・医療事務)
まず本体の入退院支援加算は必ず確認してください。入院事前調整加算はこの入退院支援加算の注加算なので、本体の届出区分・算定要件が前提になります。
みらい(新人医療事務)
他にも似たような「入院前」の加算ってありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、医療的ケア児(者)入院前支援加算も同じA246まわりで、入院前の支援を評価する加算です。対象患者や要件は異なりますが、入院前の体制整備という観点では合わせて確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
この加算だけを単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、できません。区分番号A246入退院支援加算の注加算という位置づけなので、入退院支援加算本体を算定していることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
障害のある患者さんなら誰でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象は限定されています。留意事項通知に基づき、コミュニケーションに特別な技術が必要な障害を有する者、または強度行動障害の状態の者であって、入院が決まっているものに限られます。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は別途必要ですか?
あおい(元・医療事務)
注10自体には単独の届出規定の明記は見当たりませんが、本体の入退院支援加算の届出区分が前提になります。自院の届出状況で確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状態や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。