みらい(新人医療事務)
「個別栄養食事管理加算」って初めて聞いたんですけど、これって普通の栄養指導の加算とは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、まったく別枠の加算です。個別栄養食事管理加算は、緩和ケア診療加算(A226-2)の注4に規定されている加算で、緩和ケアを要する患者さんに対して、緩和ケアチームが個別の栄養食事管理を行った場合に、緩和ケア診療加算に上乗せして算定する形になっています。令和8年度(2026年度)時点の点数表に基づくと、点数は70点です。
みらい(新人医療事務)
上乗せ、ということは、単独では算定できない加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。緩和ケア診療加算そのものを算定している患者さんが前提になります。まずは全体像を確認していきましょう。
個別栄養食事管理加算とは(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
そもそも緩和ケア診療加算って、どんな患者さんが対象なんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示に基づく留意事項通知では、緩和ケア診療加算は「一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、末期心不全、末期呼吸器疾患又は末期腎不全の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、症状緩和に係るチーム(緩和ケアチーム)による診療が行われた場合に算定する」とされています。個別栄養食事管理加算は、この緩和ケア診療加算を算定している患者さんについて、緩和ケアチームに管理栄養士が参加し、栄養食事管理まで行った場合に、追加で算定候補になる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
つまり、緩和ケアチームに管理栄養士さんが加わって、栄養面のケアまでしているかどうかがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そういう理解で合っています。この後、対象・点数・施設基準・届出の順に確認していきますね。
対象になるのはどんな患者・医療機関か
みらい(新人医療事務)
うちの病院、緩和ケア診療加算は届出済みなんですけど、それだけで対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象患者の範囲を確認しておきましょう。告示・留意事項通知の記載では、個別栄養食事管理加算は「A226-2 緩和ケア診療加算(1日につき)の注4に規定する加算であり、緩和ケア診療加算を算定している患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、緩和ケア診療加算を算定できるものを現に算定している患者)について算定する」とされています。つまり、緩和ケア診療加算を現に算定している入院患者さんが前提です。
みらい(新人医療事務)
外来の患者さんはどうですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では「第1節の入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は第3節の特定入院料のうち、緩和ケア診療加算を算定できるものを現に算定している患者」が対象と定められています。入院基本料・特定入院料を現に算定している患者さんが前提になるため、外来診療の患者さんは対象範囲に含まれていないと考えられます。他の緩和ケア関連加算との関係も含め、自院の算定区分は個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、まず「緩和ケア診療加算そのものを算定できているか」が出発点なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。次に点数を具体的に見ていきましょう。

点数の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、以下のように整理されています。
| 区分 | 点数 | 備考 |
|---|---|---|
| 緩和ケア診療加算(A226-2・基本部分) | 390点 | 1日につき |
| 緩和ケア診療加算(特定地域) | 200点 | 医療提供体制の確保状況等に応じた地域向け |
| 小児加算(15歳未満の場合) | +100点 | 緩和ケア診療加算に上乗せ |
| 個別栄養食事管理加算(注4) | +70点 | 緩和ケアチームに管理栄養士が参加し栄養食事管理を行った場合 |
みらい(新人医療事務)
個別栄養食事管理加算の70点は、あくまで緩和ケア診療加算に上乗せする点数、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。告示の条文には「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、緩和ケアを要する患者に対して、緩和ケアに係る必要な栄養食事管理を行った場合には、個別栄養食事管理加算として、70点を更に所定点数に加算する」と明記されています。単独の加算というより、緩和ケア診療加算のオプションという位置づけです。
点数の勘違いに注意
上乗せ点数であること: 個別栄養食事管理加算単独では算定できません。緩和ケア診療加算(390点)または緩和ケア診療加算(特定地域・200点)を算定していることが前提です。
小児加算との併算定: 15歳未満の患者さんでは小児加算100点も別枠で加算されますが、これと個別栄養食事管理加算は同時に算定候補になり得ます。実際に算定できるかは、患者ごとの要件充足を個別に確認してください。
施設基準を確認する
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的にどんな内容なんですか?管理栄養士がいれば誰でもいいわけではないですよね。
あおい(元・医療事務)
はい、経験要件が定められています。施設基準の通知には「緩和ケア診療加算の注4に規定する点数を算定する場合には、緩和ケアチームに、緩和ケア病棟において緩和ケアを要する患者に対する患者の栄養食事管理に従事した経験又は緩和ケア診療を行う医療機関において栄養食事管理に係る3年以上の経験を有する専任の管理栄養士が参加していること」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
「専任」というのがポイントですね。他の業務と兼務している管理栄養士さんだと対象外になってしまうんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
通知の文言では「専任の管理栄養士」という表現が使われています。専任・兼任の扱いは施設ごとの体制によって解釈が分かれる部分もあるため、自院の管理栄養士の配置状況と、地方厚生局への確認は必須です。ここは当サイトの記事だけで判断せず、必ず一次資料と届出窓口で確認してください。
みらい(新人医療事務)
経験年数の「3年以上」というのも具体的な要件なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。緩和ケア病棟での栄養食事管理の経験、または緩和ケア診療を行う医療機関での栄養食事管理に係る3年以上の経験、のいずれかを満たす専任の管理栄養士が緩和ケアチームに参加している必要があります。この要件を管理栄養士本人の経歴で確認するところから始めるとよいでしょう。
届出は必要か
みらい(新人医療事務)
施設基準があるということは、別途の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
個別栄養食事管理加算そのものについて、緩和ケア診療加算とは別建ての届出様式は確認されていません。緩和ケア診療加算の施設基準に係る届出の枠組みの中で、緩和ケアチームへの管理栄養士参加という体制要件を満たしているかどうかが問われる形です。具体的な届出様式・記載方法は、厚生労働省の施設基準届出通知(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)で必ず確認してください。施設基準を満たしているかどうかの判断や、届出内容への反映方法は、地方厚生局への確認が必要な要確認事項です。
届出の要否は自己判断しない
届出様式の要否・記載方法は、緩和ケア診療加算の届出状況や医療機関ごとの体制によって取り扱いが異なる可能性があります。「届出不要」と決めつけず、地方厚生局や審査支払機関に確認したうえで対応してください。
算定要件・記録のポイント
みらい(新人医療事務)
実際に算定する場面では、どんな記録を残せばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には2つのポイントが示されています。1つ目は「緩和ケア診療加算を算定している患者について、緩和ケアチームに管理栄養士が参加し、個別の患者の症状や希望に応じた栄養食事管理を行った場合に算定する」という算定の条件です。2つ目は「緩和ケア診療実施計画に基づき実施した栄養食事管理の内容を診療録等に記載又は当該内容を記録したものを診療録等に添付すること」という記録の義務です。
みらい(新人医療事務)
つまり、実施しただけでは足りなくて、緩和ケア診療実施計画とひも付けて記録しておく必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。緩和ケアチームが作成する診療実施計画の中に、栄養食事管理の内容が位置づけられているかがポイントです。実施記録が診療録に残っていないと、算定要件を満たしていることを後から示せなくなってしまいます。日々のカンファレンスの記録と合わせて、栄養食事管理に関する記載を残す運用にしておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
「個別の患者の症状や希望に応じた」という部分も、記録するときに意識したほうがよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。画一的な栄養指導ではなく、その患者さんの症状や希望を踏まえた個別対応であることが分かるように記載しておくと、後から要件充足を確認しやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた範囲についてお伝えします。個別栄養食事管理加算そのものは、令和6年度(2024年度)改定より前から、緩和ケア診療加算(A226-2)の注4として存在していた加算です。令和6年度改定では、これと並行して、小児緩和ケア診療加算(A226-4)の新設に伴い「小児個別栄養食事管理加算」が新たに設けられました。今回確認した令和8年度の一次資料の範囲では、個別栄養食事管理加算の点数(70点)および算定要件・施設基準について、前回改定からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省告示および留意事項通知ベース)。
みらい(新人医療事務)
新しくできた加算ではなくて、以前からある加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そういう位置づけです。ただし、当サイトが参照できる一次資料の範囲での確認であり、改定のたびに施設基準の運用細則が見直される可能性はあります。最新の告示・通知は必ず厚生労働省の公表資料でご確認ください。
改定差分の確認ポイント
点数の継続: 令和8年度の告示でも70点のまま、変更は確認されていません。
施設基準の継続: 専任の管理栄養士の経験要件(緩和ケア病棟での経験、または緩和ケア診療医療機関での3年以上の経験)についても、今回確認した資料の範囲で変更は確認されていません。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの病院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 緩和ケア診療加算(A226-2)を算定している患者かどうかを確認する
- 緩和ケアチームに、経験要件(緩和ケア病棟での栄養食事管理経験、または緩和ケア診療医療機関での3年以上の経験)を満たす専任の管理栄養士が参加しているかを確認する
- 患者の症状や希望に応じた個別の栄養食事管理を実施し、緩和ケア診療実施計画に基づいて診療録等に記載しているかを確認する
- 届出・体制面の疑問点を地方厚生局または審査支払機関に確認する
みらい(新人医療事務)
このステップを一つずつクリアできていれば、算定候補になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そのイメージです。ただし最終的な算定可否は、自院の届出状況や診療実態を踏まえた個別の判断になりますので、断定はできません。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ
管理栄養士参加の記録漏れ: 緩和ケアチームのカンファレンス記録に、管理栄養士の参加や栄養食事管理の内容が残っていないケースです。参加した事実だけでなく、栄養食事管理の実施内容まで記録しておく必要があります。
緩和ケア診療実施計画との紐付け漏れ: 栄養食事管理を行っていても、緩和ケア診療実施計画に基づく実施として記録されていないと、要件を満たしているかどうかを後から確認しづらくなります。
経験要件の未確認: 管理栄養士の経験が、通知に定める「緩和ケア病棟での栄養食事管理経験」または「緩和ケア診療医療機関での3年以上の経験」のいずれかに該当するかを、書類として確認していないケースもあります。
みらい(新人医療事務)
どれも「やっているつもりだったけど記録が残っていない」というパターンですね。
あおい(元・医療事務)
まさにそうです。実施内容そのものより、記録の残し方でつまずくケースが多い印象です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな点をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
緩和ケア診療加算を算定していない患者さんにも、栄養食事管理だけを個別に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。個別栄養食事管理加算は、緩和ケア診療加算(A226-2)の注4に位置づけられた上乗せ加算です。緩和ケア診療加算を現に算定している患者さんであることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
管理栄養士が緩和ケアチームに所属していれば、それだけで算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
所属しているだけでは不十分です。通知に定める経験要件を満たした専任の管理栄養士であること、そして実際に個別の栄養食事管理を行い、その内容を診療録等に記載していることが必要です。要件を満たしているかどうかは、自院の体制と記録を確認したうえで判断してください。
みらい(新人医療事務)
15歳未満の小児患者さんの場合、小児加算と個別栄養食事管理加算は同時に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では、小児加算(100点)と個別栄養食事管理加算(70点)は、それぞれ独立した注(注3・注4)として緩和ケア診療加算に上乗せする形で規定されています。患者さんが15歳未満で、かつ個別栄養食事管理加算の要件(管理栄養士の参加・記録)も満たしている場合は、双方とも算定候補になり得ます。ただし個々の要件充足は必ず自院で確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、上位の加算である緩和ケア診療加算や、小児患者向けの小児緩和ケア診療加算のページも参考にしてみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。