みらい(新人医療事務)
施設さんから「うちの入所者さんが急変したので往診をお願いしたい」と連絡が来ることがあるんですが、こういうとき往診料以外に何か加算が付くことってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
それが今日のテーマの「介護保険施設等連携往診加算」ですね。往診料の注10に規定されている加算で、介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホームの協力医療機関として往診を行った場合の加算候補になります。令和8年度(2026年度)時点の告示・留意事項通知をもとに、順番に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「協力医療機関」っていうのがポイントなんですね。うちは特養さんの往診をよく頼まれるので、算定候補になるか気になります!
あおい(元・医療事務)
はい、まず制度の位置づけから見ていきますね。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算はどういう場面のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
介護保険施設に入所している患者さんが夜間や休日を含めて急変した際、あらかじめ連携している協力医療機関がその施設の患者さんの診療情報や急変時の対応方針を事前に共有した上で往診する、という体制を評価する加算です。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、往診料の「注10」として次のように定められています。
告示の該当箇所(往診料 注10)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、介護老人保健施設、介護医療院及び特別養護老人ホーム(以下この注において「介護保険施設等」という。)の協力医療機関であって、当該介護保険施設等に入所している患者の病状の急変等に伴い、往診を行った場合に、介護保険施設等連携往診加算として、200点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
200点が加算されるんですね。往診料の本体点数にプラスされるイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。往診料そのものは720点なので、この加算が算定候補になる場合は720点に200点が上乗せされる形になります。ただし「協力医療機関」として届け出ていることや、事前の情報共有という条件がありますので、次で詳しく見ていきましょう。
対象医療機関・対象施設(介護保険施設等)
みらい(新人医療事務)
「介護保険施設等」って、具体的にはどこを指すんですか?
あおい(元・医療事務)
告示上は介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホームの3つが挙げられています。このほか対象に含まれる施設の範囲については、過去に公表された疑義解釈で示された内容があるので、後ほど「改定での変更点」のセクションでまとめてご紹介しますね。
みらい(新人医療事務)
逆に、対象から外れる施設ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設の種類としては上記の範囲ですが、もう一つ重要な除外条件があります。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)では、算定要件の条文の中で「当該保険医療機関と特別の関係にあるものを除く」という限定が付いています。
特別の関係にある施設は対象外(留意事項通知の除外規定)
「『注10』に規定する介護保険施設等連携往診加算は、介護老人保健施設、介護医療院及び特別養護老人ホーム(当該保険医療機関と特別の関係にあるものを除く。以下この項において「介護保険施設等」という。)において療養を行っている患者の病状の急変等に伴い、(中略)提供する医療の内容について患者又は当該介護保険施設等の従事者に十分に説明した場合に限り算定できる。」
みらい(新人医療事務)
「特別の関係」って、具体的にどういう関係なんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ留意事項通知に定義が置かれています。以下のいずれかに該当すると「特別の関係」とみなされ、対象から外れます。
「特別の関係」に該当する場合(留意事項通知より)
「なお、この項において『特別の関係』とは、当該保険医療機関と介護保険施設等の関係が以下のいずれかに該当する場合は特別の関係にあると認められる。ア 当該保険医療機関の開設者が、当該介護保険施設等の開設者と同一の場合 イ 当該保険医療機関の代表者が、当該介護保険施設等の代表者と同一の場合 ウ 当該保険医療機関の代表者が、当該介護保険施設等の代表者の親族等の場合 エ 当該保険医療機関の理事・監事・評議員その他の役員等のうち、当該介護保険施設等の役員等の親族等の占める割合が10分の3を超える場合 オ アからエまでに掲げる場合に準ずる場合(人事、資金等の関係を通じて、当該保険医療機関が、当該介護保険施設等の経営方針に対して重要な影響を与えることができると認められる場合に限る。)」
みらい(新人医療事務)
なるほど、系列の医療法人が運営する施設だと、開設者や代表者が同じだったりして対象外になるケースがありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりで、自院と協力先の施設の開設者・代表者・役員構成が同一グループかどうかは、算定候補かどうかを確認する上で最初に押さえておきたいポイントです。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
往診料の本体点数と、この加算の点数を表にまとめますね。いずれも令和8年度(2026年度)時点の告示に基づく点数です。
| 区分 | 点数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 往診料(本体) | 720点 | C000往診料(令和8年厚生労働省告示第69号) |
| 介護保険施設等連携往診加算(注10) | +200点 | 同告示「注10」 |
みらい(新人医療事務)
緊急往診加算とか夜間往診加算みたいな他の加算とは、一緒に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
往診料には緊急往診加算・夜間往診加算・深夜往診加算など複数の加算区分があります。それぞれの算定要件が別に定められているので、この加算と他の往診料の加算が同時に算定候補になるかどうかは、往診を行った時間帯や患者の状態など個別の要件を一次資料で確認する必要があります。断定はできませんが、確認する価値はあるポイントです。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、届出が必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の条文にも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが明記されています。届出をしていない場合は、たとえ往診を行っても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身って、具体的にはどんなことが求められるんですか?
あおい(元・医療事務)
カンファレンスの実施やICTを活用した情報共有体制など、より具体的な運用の考え方は疑義解釈で示されることが多いです。当サイトが確認できている疑義解釈の内容は、後ほど「改定での変更点」のセクションでまとめてご紹介しますね。
みらい(新人医療事務)
疑義解釈だけじゃなくて、最新の施設基準通知も見ておいたほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出済みであれば算定候補になりますが、施設基準の充足状況の最終確認は自院で行っていただく必要があります。
算定要件(情報共有・説明・記録)
みらい(新人医療事務)
届出をしていれば、往診すればいつでも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、往診の中身にも条件があります。留意事項通知では「当該介護保険施設等の従事者等の求めに応じて事前に共有されている当該患者に関する診療情報及び病状の急変時の対応方針等を踏まえて往診を行った際に、提供する医療の内容について患者又は当該介護保険施設等の従事者に十分に説明した場合に限り算定できる」とされています。
みらい(新人医療事務)
「事前に共有されている診療情報を踏まえて」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。行き当たりばったりの往診ではなく、あらかじめ共有されている情報をもとに対応したことが前提になります。さらに、記録についても定めがあります。
記録要件(診療録への記載事項)
留意事項通知では「この場合、介護保険施設等の名称、活用した当該患者の診療情報、急変時の対応方針及び診療の要点を診療録に記録すること。」とされています。往診の都度、これらの項目を診療録に残しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
施設名や参考にした診療情報、対応方針、診療の要点を毎回記録するんですね。忘れそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。往診が終わった直後に記録するルールを院内で決めておくと、確認漏れが減らせると思います。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際に取り漏れやすいポイントってどんなところですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかご紹介しますね。
取り漏れやすいポイント
届出をしないまま往診を行っている(施設基準の届出自体が漏れているケース)、系列施設への往診で「特別の関係」に該当するかどうかを確認していない、診療録への記録項目(施設名・診療情報・対応方針・診療の要点)が一部しか記載されていない、という3点が代表的です。
みらい(新人医療事務)
系列施設かどうかの確認は、忘れがちそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、開設者や代表者が同じグループの施設だと気づかずに算定してしまうケースもあり得るので、協力医療機関契約を結ぶ段階で確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定と比べて、何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
点数については、令和6年度から令和8年度にかけて200点で据え置かれており、当サイトが収録している一次資料の範囲では点数の変更は確認されていません。一方で、条文上の枝番の呼び方には変化が見られます。
条文の枝番表記について(令和6年度→令和8年度)
令和6年度に公表された疑義解釈資料(その1)では、この加算は往診料の「注9」として言及されています。一方、令和8年度の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)および同年度に近い時期に公表された疑義解釈資料(その29)では「注10」として言及されています。当サイトが収録している範囲では、施設基準・算定要件の実質的な内容に変更があったことを示す一次資料までは確認できていません。
あおい(元・医療事務)
枝番の呼び方が変わっているだけなのか、それとも要件の一部が実質的に変わっているのかは、届出の際に最新の告示・留意事項通知・施設基準通知を直接確認していただくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
対象施設の範囲や、施設基準の運用面についても、前回改定の時点で何か示されていたんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和6年度公表の疑義解釈資料にいくつか関連する回答が示されていました。ただし、令和8年度時点でこれらと同内容を再確認できる一次資料は、当サイトが収録している範囲ではまだ見つかっていません。届出の際は、必ず最新の疑義解釈・施設基準通知でご確認ください。
令和6年度公表の疑義解釈にあった対象施設の範囲(要・最新資料での再確認)
令和6年度公表の疑義解釈資料(その1 問75)では、「『A253』協力対象施設入所者入院加算及び『C000』往診料の『注10』に規定する介護保険施設等連携往診加算における『介護保険施設等』について、指定地域密着型介護老人福祉施設は含まれるか」という問いに、令和6年度時点では「含まれる」と回答されていました。令和8年度時点でこの取り扱いが維持されているかどうかは、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません。届出の際は最新の疑義解釈で扱いをご確認ください。
令和6年度公表の疑義解釈にあった施設基準の運用(要・最新資料での再確認)
令和6年度公表の疑義解釈資料(その1)では、カンファレンスの参加職種について「医師又は看護職員等の医療関係職種が参加すること」(問76)、協力対象施設入所者入院加算と本加算の両方を届け出る場合はカンファレンスを「兼ねることは差し支えない」がその旨を記録に残すこと(問78)という回答が令和6年度時点で示されていました。また、疑義解釈資料(その29 問7)では、令和6年度時点でICTを活用した診療情報の共有体制や24時間往診が可能な体制の確保が必要である旨の回答も示されていました。これらはいずれも令和6年度公表時点の内容であり、令和8年度時点で同内容を再確認できる一次資料は当サイトでは未収録です。届出の際は、地方厚生局が案内する最新の施設基準通知・疑義解釈で必ず内容を確認してください。
あおい(元・医療事務)
いずれの項目も、令和6年度時点の疑義解釈をそのまま令和8年度の運用にあてはめてよいとは言い切れません。届出前には、必ず最新の告示・留意事項通知・施設基準通知・疑義解釈をご自身で確認していただくことをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで確認するとしたら、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
おすすめの順番をまとめますね。
自院で確認する順番
- 往診の相手先が介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホームに該当するか確認する(指定地域密着型介護老人福祉施設の扱いは「改定での変更点」セクションを参照)
- 自院と当該施設が「特別の関係」(開設者・代表者の同一、親族関係、役員構成の一定割合超など)に該当しないか確認する
- 介護保険施設等連携往診加算の施設基準の届出を地方厚生局に行っているか確認する(未届出の場合は算定候補にならない)
- 往診の前提として、施設側から患者の診療情報・急変時の対応方針が事前に共有されているか確認する
- 往診後、提供した医療の内容を患者または施設従事者に十分に説明したか、そして施設名・診療情報・対応方針・診療の要点を診療録に記録したかを確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れが減らせそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、特に1番目と2番目の「対象施設かどうか」「特別の関係に該当しないか」は算定候補かどうかの前提になるので、最初に確認していただくのがおすすめです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです、どうぞ。
みらい(新人医療事務)
系列のグループ法人が運営する介護老人保健施設に往診した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
開設者や代表者が同一、または役員構成の親族等の占める割合が10分の3を超えるといった「特別の関係」に該当する場合は、留意事項通知の除外規定により対象外になります。グループ内の施設への往診は、この関係性を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
協力対象施設入所者入院加算とこの加算は、両方とも同じ施設に対して算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
協力対象施設入所者入院加算は入院を評価する加算、介護保険施設等連携往診加算は往診を評価する加算で、対象となる場面が異なります。疑義解釈資料では、両方の施設基準を届け出る場合にカンファレンスを兼ねることは差し支えないとされていますが、それぞれの算定要件を満たしているかは個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)の頃から、この加算はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、前回改定(令和6年度)の時点でも往診料の加算として存在しており、疑義解釈資料も令和6年度から複数公表されています。今回の改定での変更点としては、200点という点数自体は据え置きで継続している点が挙げられます。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない場合は、往診してもこの加算は算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文上、施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが前提になっています。届出をしていない場合は、この加算の対象外になる可能性が高いです。届出状況は自院で必ず確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。また、往診料の他の加算については夜間往診加算、施設連携の入院版については協力対象施設入所者入院加算もあわせてご確認ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。