みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトのチェック中に「狭帯域光強調加算」って項目を見つけたんですけど、これって何のための加算なんですか?名前だけ見ても全然イメージが湧かなくて。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。これは手術に関する加算の一つで、K803膀胱悪性腫瘍手術の「6」経尿道的手術を行うときに、狭帯域光という特殊な光を使って観察をした場合に算定候補になる加算です。令和8年度(2026年度)の点数表に基づく内容なので、まずそこを押さえておきましょう。
みらい(新人医療事務)
経尿道的手術って、膀胱の中を尿道から内視鏡的に操作する手術のことですよね?そこに「狭帯域光」を使うとどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
狭帯域光(Narrow Band Imaging)は、特定の波長の光を使って粘膜表面の血管や病変の輪郭を強調して見えやすくする観察方法です。膀胱がんの手術中に、通常の白色光では見分けにくい病変の境界を、この光でよりはっきり確認できることがあります。
みらい(新人医療事務)
なるほど。じゃあ、狭帯域光を使った観察をすれば、いつでもこの加算が算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこが今日いちばん伝えたいポイントです。ただ観察しただけでは算定候補にならず、公式資料には条件がはっきり書かれています。まずは対象となる医療機関・場面から順番に確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者・場面
みらい(新人医療事務)
この加算は、大きい病院じゃないと算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設の規模による制限は確認されていません。診療所・病院のどちらでも、外来・入院のいずれの場面でも算定候補になり得ます。ただし在宅の場面は対象になりません。K803膀胱悪性腫瘍手術という手術そのものを実施していることが前提です。
みらい(新人医療事務)
つまり「手術をしていること」がまず必須条件なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。そのうえで、対象となる患者も限定されています。公式資料の留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)にはこう明記されています。「注」に規定する狭帯域光強調加算は、上皮内癌(CIS)の患者に対し、手術中に切除範囲の決定を目的に実施した場合に限り算定する、という内容です。
みらい(新人医療事務)
上皮内癌(CIS)の患者さんに限定されていて、しかも「切除範囲を決めるために」観察した場合、ということですね。単なる経過観察やスクリーニング目的の狭帯域光観察は対象外という理解でよさそうです。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。対象疾患・実施目的の両方が一致してはじめて算定候補になる、という点は特に見落としやすいので覚えておいてください。
点数・コード

みらい(新人医療事務)
点数と、対応するコードも教えてください。
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度(2026年度)の医科点数表ではこう定められています。
| 項目 | 内容 | 年度 |
|---|---|---|
| 加算名 | 狭帯域光強調加算 | 令和8年度 |
| 点数 | 200点(所定点数に加算) | 令和8年度 |
| 基になる手術 | K803 膀胱悪性腫瘍手術「6」経尿道的手術(イ 13,530点/ロ 10,400点) | 令和8年度 |
| マスターコード | 150390170(医科診療行為マスター登録コード) | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
告示の原文だとどう書かれているんですか?
あおい(元・医療事務)
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)にはこうあります。「注 狭帯域光による観察を行った場合には、狭帯域光強調加算として、200点を所定点数に加算する。」点数の根拠はここです。
みらい(新人医療事務)
マスターコードが分かっていれば、レセプトソフト側の設定確認もしやすいですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただしマスターコードの実在確認は必ず医科診療行為マスターの現物データで行ってください。当サイトの記載だけで入力するのではなく、必ず自院のレセプトシステムに登録されているコードと照合しましょう。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算を取るには、施設基準の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した範囲では、この加算自体に個別の施設基準や届出は設定されていません。K803膀胱悪性腫瘍手術の経尿道的手術に付随する技術的な加算という位置づけで、狭帯域光による観察を実施し、対象患者・目的の要件を満たせば算定候補になる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出書類を出さなくても算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
この加算固有の届出は不要と確認していますが、断定はできません。K803という手術自体の施設基準や、内視鏡関連の医療機器・人員体制については別途確認が必要な場合があります。「届出不要だから何も確認しなくていい」ではなく、自院の届出状況全体を一度洗い出すことをおすすめします。
届出の思い込みに注意
「届出不要」と記載があっても、K803膀胱悪性腫瘍手術そのものの施設基準・実施体制まで不要という意味ではありません。手術本体の要件は別途、地方厚生局への確認が必要です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
1回の手術で何度も算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
公式資料では「手術中に切除範囲の決定を目的に実施した場合に限り算定する」とされていて、目的外の観察や、条件に当てはまらない場面での重複算定は想定されていません。1回の手術(K803の経尿道的手術)に対する加算という位置づけで確認してください。
みらい(新人医療事務)
併算定についても注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
狭帯域光を使った観察・加算は、内視鏡検査など別の診療行為に付随する類似名称の加算が存在するケースもあります。今回の狭帯域光強調加算はあくまでK803膀胱悪性腫瘍手術の経尿道的手術に紐づくものなので、他の検査・処置に付随する加算と混同しないよう、レセプト入力の際にコード単位で確認することが大切です。
混同しやすいポイント
加算の対象手術: 必ずK803膀胱悪性腫瘍手術「6」経尿道的手術に対する加算であることを確認する 対象患者: 上皮内癌(CIS)の患者に限定されている 実施目的: 切除範囲の決定を目的とした観察であることが条件
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定と比べて、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが保有する一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。過去の改定資料まで遡っての比較データが手元にないため、「変更なし」と断定するのではなく、「確認できていない」という状態です。
みらい(新人医療事務)
そういうときはどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈資料や、令和8年度の告示・留意事項通知の原文を直接確認するのが確実です。自院で不明点があれば、地方厚生局や審査支払機関に直接問い合わせることをおすすめします。
自院チェックリスト

みらい(新人医療事務)
実際にうちの医院やクリニックで確認する場合、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- K803膀胱悪性腫瘍手術「6」経尿道的手術を実施しているか
- 対象患者が上皮内癌(CIS)であるか
- 手術中に切除範囲の決定を目的として狭帯域光による観察を行ったか
- カルテ・手術記録に狭帯域光観察を実施した旨と目的が記載されているか
- レセプトのマスターコード(150390170)が正しく設定されているか
みらい(新人医療事務)
カルテへの記載も大事なポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。算定の可否を判断するのは審査支払機関ですが、こちら側で示せる記録がないと、そもそも算定候補として成立しません。実施目的まで含めてカルテに残すことを意識してください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なケースがあります。
よくある取り漏れ
目的の記載漏れ: 狭帯域光観察をしたことは記録していても「切除範囲の決定を目的とした」という記載が抜けている 対象患者の確認漏れ: 上皮内癌(CIS)以外の膀胱腫瘍で誤って算定候補として扱ってしまう 手術区分の取り違え: K803の「6」経尿道的手術以外の術式(全摘等)で狭帯域光強調加算を検討してしまう
みらい(新人医療事務)
目的の記載漏れは、特に忙しい手術の後だと起きそうな気がします。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。手術記録のテンプレートに「狭帯域光観察の目的」を書く欄をあらかじめ用意しておくと、記載漏れを防ぎやすくなりますよ。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
狭帯域光強調加算は、外来の内視鏡検査でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
今回ご紹介しているのはK803膀胱悪性腫瘍手術の経尿道的手術に対する加算です。外来の内視鏡検査に付随する別の加算とは対象手技が異なるため、混同しないよう、算定する際は該当するコードの定義を個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
上皮内癌(CIS)かどうかは、いつの時点で判断するんですか?
あおい(元・医療事務)
手術中の切除範囲決定を目的とした観察が条件なので、手術時点での病理学的診断や術中所見に基づく判断が前提になります。この点も自院の診療記録・病理診断の記載と突き合わせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出が不要なら、開業したばかりのクリニックでもすぐ算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
加算自体の届出は不要と確認していますが、K803膀胱悪性腫瘍手術という手術そのものを実施できる体制(人員・設備)が整っていることが前提です。手術の実施体制も含めて確認が必要です。
参考にした公式資料
| 資料名 | 発行 | URL |
|---|---|---|
| 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf |
| 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)関連情報 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html |
| 令和8年度診療報酬改定に係る医科診療行為マスターの変更等について | 社会保険診療報酬支払基金 | https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/tensuhyo/kihonmasta/kihonmasta_01.files/r08kaitei_20260401_s.pdf |
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。