みらい(新人医療事務)
精神科の外来を担当することになったんですけど、「疾患別等専門プログラム加算」っていう名前を初めて見ました。これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは精神科ショート・ケア(I008-2)に付く加算の一つです。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、精神科ショート・ケアの「注7」に規定されていて、概ね40歳未満の患者さんで構成されるグループに共通の治療計画を作って、同意を得たうえで同時に精神科ショート・ケアを実施した場合に、週1回に限り200点を所定点数に加算できる、という仕組みです。
みらい(新人医療事務)
精神科ショート・ケアの「おまけ」みたいなイメージですか?
あおい(元・医療事務)
単独では算定できません。精神科ショート・ケアを実施していることが前提の加算なので、まずは精神科ショート・ケア本体の理解が必要です。厚生労働省の告示ではこう定義されています。
一次資料quote(厚生労働省告示・令和8年度医科点数表 I008-2 注7)
「7 1については、40歳未満の患者に対して、当該患者と類似の精神症状を有する複数の患者と共通の計画を作成し、当該計画について文書により提供し、当該患者の同意を得た上で、当該計画に係る複数の患者と同時に精神科ショート・ケアを実施した場合に、治療開始日から起算して5月を限度として、週1回に限り、疾患別等専門プログラム加算として、200点を所定点数に加算する。ただし、精神科の医師が特に必要性を認めた場合は、治療開始日から起算して2年を限度として、更に週1回かつ計20回に限り算定できる。」
みらい(新人医療事務)
「40歳未満」っていうのは対象患者の年齢条件なんですね。じゃあ、どんな疾患の患者さんが対象になるんですか?
対象医療機関・対象患者
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は、精神科ショート・ケアを実施している診療所・病院で、外来・入院どちらの患者さんも対象になり得ます。ただし在宅の場面は対象外です。対象患者は、留意事項通知で疾患が具体的に限定されています。
一次資料quote(厚生労働省 留意事項通知・令和8年度)
「(10) 「注7」の対象患者は、自閉症スペクトラム及びその近縁の発達障害、薬物依存症若しくは病的賭博のいずれかの疾患を有する患者又はこれらの複数の疾患を併せ持つ患者とする。一連の治療計画において治療の対象となる疾患はいずれか一つであり、例えば自閉症スペクトラムの治療のために精神科ショート・ケアを実施する患者と薬物依存症のために精神科ショート・ケアを実施する患者が、治療計画を共有する同一の患者グループを構成することはできない。」
みらい(新人医療事務)
複数の疾患を持っている患者さんでも対象になるけど、グループを組むときは「治療対象の疾患は1つだけ」という縛りがあるんですね。入院中の患者さんは対象外ですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、入院中の患者さんも算定候補になり得ます。ただしその場合は別の注(注5)の点数計算に影響する扱いがあるので、次の一文も一緒に確認してください。
一次資料quote(厚生労働省 留意事項通知・令和8年度)
「また、入院中の患者についても「注7」に規定する加算を算定することができるが、この場合「注5」の規定における「所定点数」には「注7」に規定する加算を含まないこと。」
みらい(新人医療事務)
入院・外来どちらでも算定候補にはなるけど、入院の場合は点数の合算ルールが変わる、と。ここは自院で計算するとき注意しないと間違えそうです。
対象疾患は「治療計画1本につき1疾患」
自閉症スペクトラム等の発達障害、薬物依存症、病的賭博のいずれか(または併存)が対象ですが、同一の患者グループの治療計画で扱える疾患は1つに限られます。異なる疾患を持つ患者を同じグループに混在させることはできません。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数と算定できる期間を、あらためて整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、以下のように整理できます。年度が変わると点数・要件が変更される可能性があるので、必ず年度を確認してください。
| 項目 | 内容 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 加算点数 | 疾患別等専門プログラム加算 | 200点(週1回) |
| 原則の算定期間 | 治療開始日から起算 | 5か月を限度 |
| 医師が必要性を認めた場合 | 治療開始日から起算 | さらに2年を限度に、週1回かつ計20回まで |
| 算定単位 | 精神科ショート・ケアの実施日に対して | 週1回のみ |

みらい(新人医療事務)
「5か月を限度」と「2年を限度に週1回かつ計20回まで」って、別のルールなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、原則ルールと例外ルールです。原則は治療開始から5か月まで週1回算定する仕組みです。それを超えて継続する必要があると精神科の医師が判断した場合に限り、治療開始から2年を上限として、さらに週1回・通算20回まで算定を延長できる、という2段構えになっています。延長するかどうかは医師の医学的判断が前提なので、単に「継続したいから」で延長できるわけではありません。
よくある取り漏れ
5か月の原則期間を超えて算定している記録があるのに、「精神科の医師が特に必要性を認めた」という判断・記録が診療録に残っていないケースは、算定要件を満たしているか要確認です。延長の判断根拠は診療録に残しておくことが望まれます。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
疾患別等専門プログラム加算は、精神科ショート・ケア本体が前提になっているので、まず精神科ショート・ケア自体の施設基準・届出を満たしていることが必要です。告示ではこう定められています。
一次資料quote(厚生労働省告示・令和8年度医科点数表 I008-2 注1・注2)
「注1 1については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に算定する。2 2については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、疾患等に応じた診療計画を作成して行われる場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
つまり、精神科ショート・ケア自体の届出がまず必要ってことですね。疾患別等専門プログラム加算そのものに、個別の追加の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは一次資料の中で、加算固有の別枠の届出様式までは確認できていません。加算は精神科ショート・ケアの「注7」として規定されているので、精神科ショート・ケアの届出が前提条件になっている、というのが資料から読み取れる範囲です。ここは自院の届出内容と地方厚生局への確認が必要なポイントです。
一次資料quote(厚生労働省 留意事項通知・令和8年度)
「精神科ショート・ケア(I008-2)は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に算定する。精神科ショート・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。」
みらい(新人医療事務)
記録面ではどんなことが必要ですか?
あおい(元・医療事務)
治療計画を文書で作成して患者さんに説明し、同意を得ることが必須です。留意事項通知にはこう書かれています。
一次資料quote(厚生労働省 留意事項通知・令和8年度)
「「注7」については、概ね40歳未満の患者で構成される10人以下の患者グループに対し、あらかじめ治療内容や到達目標を示した治療計画を作成し、個々の患者に説明し、治療の目的について患者本人が理解できるよう文書で説明し同意を得た上で、治療計画に従って、2名の従事者が当該患者グループに対し精神科ショート・ケアを実施した場合に、40歳未満の患者についてそれぞれ算定する。当該加算は、あらかじめ治療計画に記載された治療期間のみ算定できる。」
みらい(新人医療事務)
グループの人数は10人以下、担当者は2名で実施、というのも条件なんですね。
確認したい記録のポイント
治療計画書(治療内容・到達目標・実施頻度を明記)、患者への説明と同意の記録、2名の従事者による実施記録、そして精神科ショート・ケアの実施記録(要点・診療時間)。この一式が揃っているかを、算定前にセットで確認すると取りこぼしを防ぎやすくなります。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
一緒に算定できないものってありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は精神科ショート・ケアの「上乗せ」なので、精神科ショート・ケア自体に関する併算定制限がそのままこの加算の算定条件にも関わってきます。留意事項通知には、精神科ショート・ケアを算定している患者について、同一日の他の精神科専門療法は別に算定できない旨が定められています。
一次資料quote(厚生労働省 留意事項通知・令和8年度)
「精神科ショート・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。精神科ショート・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法(他の保険医療機関において実施するものも含む。)は、別に算定できない。」
みらい(新人医療事務)
え、でも疾患別等専門プログラム加算は入院中の患者さんでも算定候補になるって、さっき言っていましたよね?
あおい(元・医療事務)
良いところに気づきましたね。この一文は「精神科ショート・ケア本体」の原則ルールで、入院中の患者以外を対象にしています。一方、疾患別等専門プログラム加算(注7)については、留意事項の別の項目で「入院中の患者についても算定することができる」と明記されているので、両方を混同しないことが大切です。年度や条文番号ごとに適用範囲が違うので、自院で判断に迷ったら個別に確認するのが安全です。
点数の合算ルールに注意
入院中の患者に疾患別等専門プログラム加算を算定する場合、注5(退院予定患者への算定)の「所定点数」には注7の加算分を含めない扱いになっています。レセプトの点数計算で合算を誤らないよう注意が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
疾患別等専門プログラム加算そのものの点数(200点・週1回・5か月/延長20回)については、当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更点を確認できていません。改定のたびに施設基準・記録要件など点数以外の部分が変わることもあるので、点数が同じでも要件が変わっていないかは別途の確認が必要な考え方です。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と決めつけずに、都度確認する姿勢が大事なんですね。
改定確認のポイント
前回改定(令和6年度)からの変更が確認されていないとしても、精神科ショート・ケア本体(施設基準・人員配置・記録要件など)の改定内容は別に変わっている可能性があります。加算だけでなく、精神科ショート・ケア本体の告示・留意事項もあわせて年度ごとに確認することをおすすめします。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
実際にうちの医療機関で確認するとしたら、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認すると整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 精神科ショート・ケア(I008-2)の施設基準の届出が済んでいるか、地方厚生局への届出内容を確認する
- 対象になりそうな患者さんが、自閉症スペクトラム等の発達障害・薬物依存症・病的賭博のいずれか(または併存)で、概ね40歳未満か確認する
- 対象患者で構成する治療計画(10人以下のグループ)を作成し、内容・到達目標・実施頻度を文書化する
- 患者本人に文書で説明し、同意を得た記録を残す
- 2名の従事者体制で、計画に沿って精神科ショート・ケアと同時に実施する
- 治療開始日からの算定期間(原則5か月、医師の判断で最大2年・計20回まで延長可)を診療録・レセプトで管理する
みらい(新人医療事務)
6ステップ、それぞれで書類や記録が必要になるんですね。抜け漏れがないか、チームで確認しながら進めたいです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、現場でよく聞かれそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
Q. 精神科ショート・ケアを算定していない患者にも、この加算だけ算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 資料の範囲では、疾患別等専門プログラム加算は精神科ショート・ケアの「注7」として規定されているため、精神科ショート・ケアと同時に実施した場合の加算という位置づけです。単独算定については、自院の算定システムと審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
Q. 5か月を超えて算定を続けたいときは、何を残しておけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
A. 留意事項通知では、精神科の医師が特に必要性を認めた場合に延長できると定められています。医師による必要性の判断とその根拠を診療録に記録しておくことが、確認の際に重要になります。
みらい(新人医療事務)
Q. 入院患者と外来患者で、算定の考え方は同じですか?
あおい(元・医療事務)
A. 対象になり得る点は共通ですが、入院中の患者の場合は注5の所定点数に注7の加算を含めない、という点数計算上の違いがあります。レセプト作成時は入院・外来を分けて確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。