みらい(新人医療事務)
今日カルテを見ていたら「画像誘導放射線治療加算」っていう項目があって、初めて見ました。放射線治療のところの加算ですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。正式には医科点数表の区分番号M001「体外照射」の注10にある加算で、通称IGRT(Image Guided Radiation Therapy)加算と呼ばれています。令和8年度(2026年度)の点数表でも設けられている加算候補の一つですよ。
みらい(新人医療事務)
IGRTってどういう意味なんですか?名前だけ聞くとイメージがわかなくて。
あおい(元・医療事務)
放射線を照射するたびに、治療計画のときに決めた照射の中心位置と、実際に照射するときの位置がどれくらいズレていないかを、画像で確認・記録しながら照射する方法のことです。厚生労働省の留意事項通知には「毎回の照射時に治療計画時と照射時の照射中心位置の三次元的な空間的再現性が5ミリメートル以内であることを照射室内で画像的に確認・記録して照射する治療のことである」と定義されています。つまり、位置合わせの精度を毎回きちんと確認・記録している体外照射に対する加算候補、というイメージです。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
どんな目的でできた加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
体外照射(放射線を体の外から照射する治療)は、照射する部位が数ミリずれるだけでも、がん病巣への線量が不足したり、周囲の正常な組織に余分な線量がかかったりするリスクがあります。IGRTは、そのズレを画像で確認しながら照射することで、より正確な位置に放射線を当てる技術です。こうした精度管理をきちんと行っている体外照射に対して、通常の体外照射の点数に上乗せする形で評価されているのがこの加算です。
みらい(新人医療事務)
つまり「体外照射そのもの」ではなく、「体外照射に上乗せする加算」なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。単独では算定できず、M001体外照射の所定点数に加算する形になります。まずはこの位置づけを押さえておくと、後の点数区分も理解しやすくなりますよ。
対象医療機関・対象範囲
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?うちのような診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
この加算はM001体外照射に上乗せする加算なので、算定候補になるかどうかは、まず自院が体外照射(M001)を実施しているかどうかが出発点になります。当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関の種別(病院か診療所か、在宅医療を含むかなど)を明示した記載は確認できていません。医療機関の種別によって対象になるかどうかは、次に説明する施設基準の届出状況とあわせて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
体外照射をしていれば、誰でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが確認のポイントです。厚生労働省が定める施設基準に適合しているとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であること、そして放射線治療を専ら担当する常勤の医師が画像誘導放射線治療(IGRT)による体外照射を行うことが条件です。留意事項通知の原文でも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、放射線治療を専ら担当する常勤の医師が画像誘導放射線治療(IGRT)による体外照射を行った場合」に加算する、と定められています。届出をしていなければ、実際にIGRTを行っていても算定候補にはなりません。
届出は必須の前提条件
施設基準に適合しているだけでは足りず、地方厚生局長等への届出が済んでいることが算定の前提です。届出済みであれば算定候補になり得ますが、未届出の場合は先に届出状況の確認が必要です。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
位置情報の確認方法によって3区分に分かれています。厚生労働省告示(M001体外照射 注10)の点数表を、当サイトで表にまとめるとこのようになります。
| 区分 | 位置情報の確認方法 | 点数(原則) |
|---|---|---|
| イ | 体表面の位置情報によるもの | 150点 |
| ロ | 骨構造の位置情報によるもの | 300点 |
| ハ | 腫瘍の位置情報によるもの | 450点 |
みらい(新人医療事務)
患者さん1人につき、この点数を何回も算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、「患者1人1日につき1回に限り」、イ・ロ・ハのいずれか一区分を選んで加算する形です。告示の条文でも「画像誘導放射線治療加算として、患者1人1日につき1回に限り、次に掲げる区分に従い、いずれかを所定点数に加算する」と明記されています。複数区分を重ねて算定することはできません。

対象となる体外照射の範囲(要確認ポイント)
みらい(新人医療事務)
このイ・ロ・ハって、どんな体外照射にでも使えるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこがこの加算でいちばん間違えやすいところです。告示の条文には「(イの場合は、乳房照射に係るもの、ロ及びハの場合は、2のロの(3)若しくは(4)又は3に係るものに限る。)」という限定がついています。つまり、イ(体表面の位置情報)を選べるのは乳房照射に係る体外照射に限られ、ロ・ハ(骨構造・腫瘍の位置情報)を選べるのは、高エネルギー放射線治療の「2のロ(3)(4)」(2門以上の照射・運動照射・原体照射に相当する区分)、または強度変調放射線治療(IMRT)の「3」に係るものに限られる、という条文構成になっています。
みらい(新人医療事務)
全部の体外照射に自由に使えるわけじゃないんですね…。うちのケースがどれに当てはまるか、パッと見て分からない気がします。
あおい(元・医療事務)
そう感じるのは自然です。区分番号や「一連」「1回目」といった算定の単位が絡む複雑な規定なので、レセコンの算定要件チェックや、疑わしい場合は審査支払機関への確認も含めて、個別に確認することをおすすめします。ここでは「イ・ロ・ハのどれでも自由に使えるわけではなく、対象となる体外照射の区分が条文で限定されている」という点だけ、まず押さえてください。
みらい(新人医療事務)
例外みたいな点数もあるって聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい。告示には「ただし、イについては、2のイに係るものは、一連につき1回に限り、当該加算の点数に代えて2,400点を所定点数に加算し、ハについては、3のイに係るものは、一連につき1回に限り、当該加算の点数に代えて9,000点を所定点数に加算する」とあります。「2のイ」は乳癌に対する全乳房照射(一連につき算定するタイプ)、「3のイ」は前立腺癌に対する前立腺照射(一連につき算定するタイプ)を指しています。これらのように「一連」でまとめて算定する体外照射に対しては、150点・450点という1日単位の点数ではなく、2,400点・9,000点という一連単位の点数に置き換わる仕組みです。
取り違えに注意
「画像誘導放射線治療加算(IGRT)」と、密封小線源治療の「画像誘導密封小線源治療加算(IGBT)」は名前が似ていますが別の加算です。この記事はM001体外照射のIGRT加算(体外照射向け)を扱っています。IGBT(密封小線源治療向け)を検討している場合は、対象の加算名・区分番号が異なるため、必ず条文で加算名を確認してください。
IGRTの定義と記録要件
みらい(新人医療事務)
「画像誘導放射線治療」って、どこまでやれば要件を満たしたことになるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に定義が書かれています。「『注10』の画像誘導放射線治療(IGRT)とは、毎回の照射時に治療計画時と照射時の照射中心位置の三次元的な空間的再現性が5ミリメートル以内であることを照射室内で画像的に確認・記録して照射する治療のことである」とされています。ポイントは、毎回の照射のたびに位置のズレを画像で確認し、記録として残すことです。単に位置合わせの装置があるだけでなく、実際に確認・記録している運用実態が問われます。
みらい(新人医療事務)
記録が残っていないと、算定候補にはならないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは自院の運用・記録体制の確認が必要な部分です。装置や施設基準の届出だけでなく、日々の照射記録の残し方まで含めて確認しておくと安心です。
算定回数の制限
みらい(新人医療事務)
1日に複数回照射することもあると思うんですが、その分だけ加算も増えるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは制限があります。留意事項通知に「『注10』の画像誘導放射線治療加算は、『2』高エネルギー放射線治療の所定点数を1日に2回分算定できる場合であっても、1日に1回の算定を限度とする」と明記されています。体外照射の本体点数は条件によって1日に2回分算定できる場合がありますが、この加算はあくまで1日1回が上限です。
よくある取り漏れ・算定ミス
1日複数回照射時の重複算定: 体外照射本体を1日2回分算定していても、画像誘導放射線治療加算は1日1回までです。 区分の選び間違い: イ・ロ・ハは対象となる体外照射の区分が条文で限定されています。自院で実施している体外照射がどの区分に該当するか、条文またはレセコンの設定で確認してから選ぶ必要があります。 「一連」点数への置き換え漏れ: 2のイ(乳癌の全乳房照射)やIMRTの3のイ(前立腺照射)に係る場合は、通常の150点・450点ではなく、一連につき2,400点・9,000点に置き換わります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、画像誘導放射線治療加算そのものの新設・廃止・点数変更・施設基準変更を示す記述は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省の令和8年度告示・留意事項通知ベース)。ただし、この加算はM001体外照射という大きな区分の中の一部であり、体外照射区分全体の改定内容まで含めた前回改定との詳細な比較は、今回この記事のために個別には行っていません。年度をまたいで正確な差分を知りたい場合は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定の個別改定項目について」などの一次資料もあわせてご確認ください。
差分確認の範囲について
「変更が確認されていない」というのは、当サイトが参照した令和8年度の告示・留意事項通知の記載範囲での結果です。詳細な経緯まで確認したい場合は、厚生労働省の公式資料を直接ご参照ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で算定候補になるか、どんな順番で確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 自院がM001体外照射を実施しているかどうか
- 画像誘導放射線治療加算の施設基準に適合し、地方厚生局長等へ届出済みかどうか
- 放射線治療を専ら担当する常勤の医師が、IGRTによる体外照射を行っているかどうか
- 実施している体外照射が、イ(乳房照射に係るもの)またはロ・ハ(2のロ(3)(4)若しくは3に係るもの)のどの区分に該当するか
- 毎回の照射で位置ズレの三次元的な確認・記録(5ミリメートル以内)が運用として残っているか
- 1日1回の算定上限や、「一連」点数(2,400点・9,000点)への置き換えが必要なケースに該当しないか

よくある質問
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出はしているけど、常勤の放射線治療医がいない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
条文では「放射線治療を専ら担当する常勤の医師」がIGRTによる体外照射を行った場合、とされています。非常勤の医師が対応している場合や、放射線治療を専ら担当していない医師が対応している場合に算定候補となるかどうかは、資料の記載だけでは判断できないため、施設基準の届出内容や人員体制を含めて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所でIGRT対応の照射装置を導入した場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関を病院・診療所で区別する記載は確認できていません。装置を導入しているかどうかだけでなく、施設基準の届出区分の対象になるかどうかや、放射線治療を専ら担当する常勤の医師の配置など、自院の体制を含めて確認が必要な点です。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)の時点でもこの加算はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトで今回確認した範囲は令和8年度の告示・留意事項通知が中心で、令和6年度時点との詳細な比較は行っていません。過去の年度からの経緯を正確に知りたい場合は、厚生労働省の公式資料で年度ごとの告示を確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 体外照射用固定器具加算 も、同じM001体外照射の注加算なので、あわせて確認しておくと取り漏れ防止につながります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。