みらい(新人医療事務)
先輩、麻酔の記録を見ていたら「神経ブロック併施加算」という項目が出てきたんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。これは全身麻酔(L008声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔)を行った際に、区分番号L100に掲げる神経ブロックを超音波ガイド下にあわせて行った場合に上乗せできる加算です。令和8年度の点数表では、この全身麻酔の「注9」に定められています。
みらい(新人医療事務)
「あわせて行った」ということは、全身麻酔だけでは算定候補にならない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。土台になるのはあくまでL008の全身麻酔で、そこにL100の神経ブロックを超音波ガイド下で併施したという事実があって初めて、この加算が算定候補になります。麻酔記録に神経ブロックの手技名や超音波ガイド使用の記載があるかどうかが、まず確認すべきポイントです。
みらい(新人医療事務)
どうしてわざわざ神経ブロックを併せて行うんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、硬膜外麻酔の適応となる手術(開胸、開腹、関節置換手術等)を受ける患者について、併存疾患や服用薬の影響で硬膜外麻酔が行えない場合などを踏まえ、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性があるケースが想定されています。硬膜外麻酔が難しい患者さんの術後鎮痛の選択肢として、神経ブロックが使われる場面をイメージするとよいと思います。
対象医療機関・対象となる場面
みらい(新人医療事務)
うちみたいな診療所でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算の前提となるL008全身麻酔は、手術室のある入院医療機関で行われる場面が中心になります。外来のみで完結するケースについて想定した記載は、一次資料の範囲では確認できていません。自院で全身麻酔を伴う手術を扱っているかどうかが、まず確認の出発点になります。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな手術で目にすることが多いんですか?
あおい(元・医療事務)
硬膜外麻酔の適応となる手術として例示されているのは、開胸、開腹、関節置換手術等です。こうした手術で、患者さんの状態や服用薬の関係で硬膜外麻酔が使いにくい場合に、超音波ガイド下の神経ブロックで代替するようなケースを想定するとよいでしょう。整形外科や消化器外科、呼吸器外科など、術後の疼痛管理を要する手術で目にすることが多いはずです。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点くらいの加算になるんですか?
あおい(元・医療事務)
2つの区分に分かれていて、どちらに該当するかで点数が大きく変わります。表にすると次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| イ | 別に厚生労働大臣が定める患者に対して行う場合 | 450点 |
| ロ | イ以外の場合 | 45点 |

みらい(新人医療事務)
イとロで10倍くらい差があるんですね。何を基準に選ぶんですか?
あおい(元・医療事務)
硬膜外麻酔の適応となる手術を受ける患者さんについて、併存疾患や状態(服用する薬により硬膜外麻酔が行えない場合を含みます)を踏まえて、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性があると判断される場合が「イ」、それ以外の患者(硬膜外麻酔の適応とならない手術を受ける患者を含みます)に対して実施する場合が「ロ」という整理です。
みらい(新人医療事務)
レセプト上のコードって決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
「ロ」に相当する区分については、当サイトが収集しているデータの中で150391070というマスターコードが確認できています。「イ」に相当する区分の個別コードについては、当サイトが収集している資料の範囲では確認できていませんので、実際の入力時は自院のレセプトコンピューターに登録されているマスター情報や、医科診療行為マスターで確認してください。
イとロはどう見分ける?
みらい(新人医療事務)
「医学的必要性」って、具体的にどう判断すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、「硬膜外麻酔の適応となる手術(開胸、開腹、関節置換手術等)を受ける患者であって、当該患者の併存疾患や状態等(服用する薬により硬膜外麻酔が行えない場合を含む。)を踏まえ、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性があるものに対して実施する場合」と定められています。抗凝固薬を服用していて硬膜外麻酔がリスクになる患者さんなど、硬膜外麻酔が本来は適応だけれども実施が難しい事情があるケースを想定していると考えられます。
みらい(新人医療事務)
逆に「ロ」になるのはどんなケースですか?
あおい(元・医療事務)
それ以外の患者、つまり硬膜外麻酔の適応とならない手術を受ける患者さんを含めた、イに該当しない場合はすべて「ロ」の45点です。硬膜外麻酔の代替という位置づけがはっきりしない、あるいはそもそも硬膜外麻酔の適応となる手術ではないケースは、ロで整理されると考えておくとよいでしょう。
イを算定する場合の記載要件
「イ」の加算を算定する場合は、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性を、診療報酬明細書の摘要欄に記載することとされています。麻酔記録だけでなく、摘要欄への記載漏れがないかもあわせて確認してください。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、特別な届出や体制が必要だったりしますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算単体について個別の施設基準や届出は確認されていません。ただし、土台となるL008全身麻酔自体の算定要件を満たしていることが前提ですし、神経ブロックを超音波ガイド下で行ったという実施内容そのものが要件になっています。届出の有無だけでなく、超音波ガイド使用の記録が診療録・麻酔記録に残っているかもあわせて自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
「超音波ガイド下」で行っていないと算定候補にならない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知では「神経ブロックを超音波ガイド下に併せて行った場合は、『注9』に掲げる点数を所定点数に加算する」とされています。超音波ガイドを使わずに神経ブロックを行った場合の取扱いについては、当サイトが収集している資料の範囲では明記が見当たりませんでした。判断に迷うケースは、審査支払機関や地方厚生局に確認したほうが安全です。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
ほかに気をつけたほうがいいことはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点があります。「イ」を算定する場合は、注4(硬膜外麻酔併施加算)および注5(実施時間に応じた加算)に規定する加算は、別に算定できないとされています。神経ブロックを硬膜外麻酔の代替として使ったという位置づけですから、硬膜外麻酔併施加算と神経ブロック併施加算(イ)を同時に算定することはできない、という理屈です。
みらい(新人医療事務)
「ロ」を算定するときも同じ制限があるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に明記されている併算定の制限は「イを算定する場合」についてのものです。「ロ」を算定するケースでの硬膜外麻酔併施加算との関係については、当サイトが収集している資料の範囲では明記が確認できていません。実際に硬膜外麻酔もあわせて行っているような複雑なケースでは、自院・審査支払機関に確認することをおすすめします。
併算定の確認
「イ」の神経ブロック併施加算を算定する場合、硬膜外麻酔併施加算(注4・注5)は別に算定できないとされています。麻酔記録に硬膜外麻酔と神経ブロックの両方の記載がある場合は、どちらの加算区分に該当するかを慎重に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から、点数とか要件って変わったりしたんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料には、令和8年度改定に関する告示・留意事項通知はそろっていますが、前回改定(令和6年度)時点の同じ項目を記した一次資料が収録されておらず、比較ができていません。そのため、点数や要件の変更の有無について確認できていません(確認日: 2026年8月)。令和6年度からの変更点を示す公式資料が見つかった場合は、この記事を更新します。
改定チェックのポイント
点数が同じに見えても、算定要件や摘要欄への記載事項が改定で変わることがあります。前回改定時の記録様式と比べて、記載すべき項目が増えていないか確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを作るとき、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で見ていくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- その麻酔がL008全身麻酔(声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔)を算定する内容かを確認する
- 麻酔記録に区分番号L100の神経ブロックを超音波ガイド下で併施した記載があるかを確認する
- その手術が硬膜外麻酔の適応となる手術(開胸、開腹、関節置換手術等)かどうかを確認する
- 併存疾患や服用薬などにより硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性があるかを確認し、イ・ロのどちらに該当するかを判断する
- イに該当する場合は摘要欄への医学的必要性の記載を確認し、注4・注5(硬膜外麻酔併施加算)を重複して算定していないかを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でありがちなミスってどんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
よく聞くのは次のようなケースです。
取り漏れ例①
麻酔記録には神経ブロックの実施が書いてあるのに、「超音波ガイド下で行った」という記載まで確認せず、加算そのものが算定候補から漏れてしまうケースです。神経ブロックの記録を見る際は、手技名だけでなく実施方法の記載までセットで確認する習慣をつけるとよいでしょう。
取り漏れ例②
「イ」に該当しそうな医学的必要性があるのに、診療報酬明細書の摘要欄への記載を忘れてしまい、結果として「ロ」相当の扱いになってしまうケースです。抗凝固薬の服用歴など、硬膜外麻酔が行いにくい事情がある患者さんでは、摘要欄の記載内容を麻酔記録とあわせて必ず確認してください。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どこの資料を見て書いているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に厚生労働省の令和8年度診療報酬点数表(L008声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔・注9の規定)と、その留意事項通知を確認しています。あわせて、基本診療料の施設基準等の届出手続きに関する資料でマスターコードの記載を確認しました。資料はいずれも厚生労働省のウェブサイトで公開されているものです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。麻酔の実施内容や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。