みらい(新人医療事務)
「非侵襲的血行動態モニタリング加算」って名前だけ見るとピンとこないんですが、どんな時に算定候補になる加算なんですか。
あおい(元・医療事務)
全身麻酔で行う腹腔鏡下手術のうち、麻酔が特に難しいとされる患者さんに対して、血圧や心拍出量などの血行動態を、体に針を刺さない方法でモニタリングした場合に、麻酔の点数へ上乗せできる加算です。区分番号L008「声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔」の注10に定められています。
みらい(新人医療事務)
「非侵襲的」ってどういう意味ですか。
あおい(元・医療事務)
動脈にカテーテルを入れたり、体内にセンサーを留置したりしない方法、という意味です。皮膚に貼るセンサーや指先のクリップなどを使って血行動態を推定する機器を使う場面を想定した加算です。厚生労働省の告示・留意事項通知の原文をもとに、算定候補になるかを一緒に確認していきましょう。
この加算は何のための加算ですか
みらい(新人医療事務)
対象になる手術や患者さんについて、具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示の算定要件には、次のように定められています。
算定要件(告示原文)
対象: 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者について、腹腔鏡下手術(区分番号K672-2に掲げる腹腔鏡下胆嚢摘出術及びK718-2に掲げる腹腔鏡下虫垂切除術を除く)が行われる場合 要件: 術中に非侵襲的血行動態モニタリングを実施した場合 点数: 非侵襲的血行動態モニタリング加算として、500点を所定点数に加算する
みらい(新人医療事務)
「麻酔が困難な患者」というのは、どんな患者さんのことですか。
あおい(元・医療事務)
これは告示の中で「別に厚生労働大臣が定める」基準として個別に定義されている患者区分です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算の算定要件本文にこの基準への参照は明記されていますが、具体的な該当条件(疾患名や重症度の基準など)までは確認できていません。自院の患者さんがこの区分に当てはまるかどうかは、厚生労働省の該当告示・通知の原文、または審査支払機関への確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
腹腔鏡下胆嚢摘出術と腹腔鏡下虫垂切除術は対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。この2つの手術は告示の中で明確に除外されています。比較的短時間・低侵襲とされることが多い腹腔鏡下手術が対象から外れている、と読み取れます。
| 手術の種類 | この加算の対象か |
|---|---|
| 腹腔鏡下胆嚢摘出術(区分番号K672-2) | 対象外(告示で除外) |
| 腹腔鏡下虫垂切除術(区分番号K718-2) | 対象外(告示で除外) |
| 上記以外の腹腔鏡下手術(麻酔が困難な患者に該当する場合) | 算定候補(要確認) |
みらい(新人医療事務)
この加算は診療所でも算定候補になりますか。
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、入院での腹腔鏡下手術を伴う診療所・病院が対象になり得ます。全身麻酔で気管挿管等の気道確保を行う手術は、一般的に入院での実施が前提になることが多く、外来や在宅では想定されにくい加算です。ただし実際の対象になるかは自院の実施体制と個々の症例で異なりますので、算定候補か要確認かは都度ご確認ください。
点数とコード(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数とコードを整理しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加算名 | 非侵襲的血行動態モニタリング加算 |
| 所定点数への加算 | 500点 |
| 対象となる基本区分 | L008 声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔(注10) |
| 医科診療行為コード | 150391170 |
| 年度 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
このコードは公式資料と一致しているんですか。
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省が公表している施設基準等の届出手続きに関する文書でも「150391170 非侵襲的血行動態モニタリング加算」という記載を確認しています。マスターコードの数字だけを見て算定判断をするのではなく、告示本文の算定要件と合わせて確認することが大切です。
施設基準・届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算そのものに個別の施設基準の届出は確認できていません。ただし、麻酔を行う医師の体制や、非侵襲的モニタリング機器の保有状況など、実施できる体制が整っているかどうかは別途確認が必要です。
届出不要でも安心しきらない
届出が不要とされる加算でも、算定要件(対象手術・対象患者・実施内容)を満たしていなければ算定候補にはなりません。「届出がいらないから自動的に算定できる」という理解は避け、都度カルテ・麻酔記録で要件への該当を確認してください。
算定のタイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや、気をつけるべき注意点はありますか。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に、次のような除外条件が明記されています。
留意事項通知(原文)
「注10」に規定する非侵襲的血行動態モニタリング加算は、動脈圧測定用カテーテル、サーモダイリューション用カテーテル、体外式連続心拍出量測定用センサー等を用いた侵襲的モニタリングが実施されている場合には、算定できない。
みらい(新人医療事務)
つまり、体に針やカテーテルを使う侵襲的なモニタリングを併用していたら、この加算は算定できないということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。動脈圧測定用カテーテル、サーモダイリューション用カテーテル、体外式連続心拍出量測定用センサーは、いずれも留意事項通知が例示している侵襲的モニタリングの方法です。これらのいずれかを使った場合は、非侵襲的血行動態モニタリング加算の算定候補から外れる可能性があります。麻酔記録にどちらの方法を使ったかを明確に残しておくことが、後から確認するときにも重要です。
みらい(新人医療事務)
手術の途中でモニタリングの方法を変えた場合はどうなりますか。
あおい(元・医療事務)
そのケースについて、当サイトが収録している一次資料の範囲では明確な記載を確認できていません。侵襲的モニタリングへの切り替えがあった場合の扱いは、審査支払機関や個別の運用ルールで確認が必要な要確認事項として扱うのが安全です。
似た名前の加算との違い(術中脳灌流モニタリング加算)
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算があると聞いたのですが。
あおい(元・医療事務)
同じL008の注に、注11として「術中脳灌流モニタリング加算」という加算があります。名前が似ているので混同しやすいのですが、対象にする手術もモニタリングの内容も別物です。告示の原文では、次のように定められています。
術中脳灌流モニタリング加算(注11・告示原文)
区分番号K561に掲げるステントグラフト内挿術(血管損傷以外の場合において、胸部大動脈に限る)、K609に掲げる動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈に限る)、K609-2に掲げる経皮的頸動脈ステント留置術又は人工心肺を用いる心臓血管手術において、術中に非侵襲的に脳灌流のモニタリングを実施した場合に、術中脳灌流モニタリング加算として、1,000点を所定点数に加算する。
| 比較項目 | 非侵襲的血行動態モニタリング加算(注10) | 術中脳灌流モニタリング加算(注11) |
|---|---|---|
| 点数 | 500点 | 1,000点 |
| モニタリング対象 | 血行動態(血圧・心拍出量等) | 脳灌流 |
| 対象手術(要確認) | 麻酔が困難な患者の腹腔鏡下手術(一部除外あり) | ステントグラフト内挿術・動脈血栓内膜摘出術・経皮的頸動脈ステント留置術・人工心肺を用いる心臓血管手術 等 |
みらい(新人医療事務)
全然対象が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。告示の原文でも、注10と注11は別の条文としてはっきり分けて定められています。術中脳灌流モニタリング加算 の記事もあわせて確認すると、取り違えを防ぎやすくなります。どちらも算定候補になるかどうかは、実施した手術とモニタリングの内容で個別に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算は前の改定から何か変わったんですか。
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点は、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認されていません(2026年7月時点)。令和8年度の告示・留意事項通知に基づく現行の算定要件のみ確認できています。新設か据え置きかを含めた正確な改定の経緯を確認したい場合は、厚生労働省が公表している個別改定項目の資料を直接ご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか。
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
実施した手術がL008(声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔)に該当するか確認する 対象手術が腹腔鏡下手術で、腹腔鏡下胆嚢摘出術(K672-2)・腹腔鏡下虫垂切除術(K718-2)に当たらないか確認する 患者さんが「別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者」に該当するか、告示の基準で確認する 術中に実施したモニタリングが非侵襲的な方法か、侵襲的モニタリング(動脈圧測定用カテーテル等)を併用していないか確認する 麻酔記録・カルテに実施した手術・患者区分・モニタリング方法が明確に記載されているか確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取りこぼしがちなポイントってありますか。
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、腹腔鏡下手術というだけで対象と思い込んでしまうケースです。
よくある取り漏れ
腹腔鏡下胆嚢摘出術・腹腔鏡下虫垂切除術は告示で明確に除外されているため、算定候補にはなりません。また、術中に侵襲的モニタリング(動脈圧測定用カテーテル等)を用いた場合も、非侵襲的血行動態モニタリング加算の算定候補から外れる可能性があります。麻酔記録の実施方法欄を都度確認する運用にしておくと、取りこぼしを防ぎやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか。
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、診療所・病院いずれでも、入院での腹腔鏡下手術を前提に算定候補になり得ます。ただし外来・在宅では対象外の可能性があります。実施環境と体制によって変わるため、自院の状況で個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていなくても算定候補になりますか。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算に個別の届出は確認できていません。ただし将来的な改定で要件が追加される可能性もあるため、算定の都度、最新の告示・通知を確認する習慣をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
非侵襲的血行動態モニタリング加算と術中脳灌流モニタリング加算を、同じ手術で一緒に算定できることはありますか。
あおい(元・医療事務)
両方を同時に算定できるかどうかについて、当サイトが収録している一次資料の範囲では明確な記載を確認できていません。対象になる手術の種類がそもそも異なるため、通常は同じ手術で両方が算定候補になる場面は限られると考えられますが、断定はできません。該当しそうなケースがあれば、審査支払機関に個別確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。