みらい(新人医療事務)
部長、「養育支援体制加算」という名前を初めて見たんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
小児入院医療管理料(A307)の「注7」で規定されている加算ですよ。虐待等、不適切な養育が行われていることが疑われる小児患者さんに対して、病院として必要な支援体制を整えていることを評価する加算です。令和8年度(2026年度)時点の医科点数表でも、この位置づけのまま規定されています。
みらい(新人医療事務)
「疑われる」場合が対象なんですね。確定した虐待事例だけじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。確定の有無ではなく、「不適切な養育が行われていることが疑われる」小児患者さんが対象になります。院内に専任の医師・看護師・社会福祉士で構成される「養育支援チーム」を設置し、相談対応や多職種連携ができる体制を評価する加算、というイメージを持っておくとわかりやすいですよ。
養育支援体制加算とは
みらい(新人医療事務)
まず、この加算の全体像を教えてください。
あおい(元・医療事務)
小児入院医療管理料を算定している病棟に入院している患者さんについて、入院初日に限り300点を所定点数に加算するものです。厚生労働省の告示では次のように定められています。
告示の記載(令和8年度)
対象加算: 小児入院医療管理料(A307)の「注7」 点数: 300点(入院初日に限り1回) 要件: 患者に対する支援体制につき、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関の病棟であること
みらい(新人医療事務)
「入院初日に限り」というのは、入院の途中から算定はできないということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、資料の範囲では入院初日のみの算定と整理されています。入院してからしばらく経ってから虐待が疑われるケースが判明したとしても、この加算自体は初日算定として設計されているので、算定タイミングは自院のレセプト担当・診療録で必ず確認してください。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな病院・患者さんが対象になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は、小児入院医療管理料を算定している病棟を持つ病院です。診療所は対象外になります。対象患者さんは、その病棟に入院していて、虐待等不適切な養育が行われていることが疑われる小児患者さんです。
みらい(新人医療事務)
「疑われる」の判断は誰がするんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは資料に明確な判定手順までは書かれていません。実務上は、養育支援チームに所属する医師・看護師・社会福祉士が主治医や病棟スタッフと連携しながら把握していく形になります。個々のケースで「疑いがある」と判断できるかどうかは、自院の運用と一次資料の両方で確認が必要な部分です。

点数
みらい(新人医療事務)
点数はさっき300点と伺いましたが、表にまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。令和8年度時点の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 対象加算 | 小児入院医療管理料(A307)注7 養育支援体制加算 |
| 点数 | 300点 |
| 算定単位 | 入院初日に限り1回 |
| 届出 | 必要(地方厚生局長等) |
| 対象医療機関 | 病院(小児入院医療管理料算定病棟) |
| 対象患者 | 虐待等不適切な養育が疑われる小児患者 |
みらい(新人医療事務)
診療所は最初から対象外、ということでいいんですよね?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲ではそうです。小児入院医療管理料自体が入院料の加算にあたるので、外来のみの診療所では算定候補になりません。
施設基準(養育支援チームの設置)
みらい(新人医療事務)
届出が必要とのことでしたが、施設基準はどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
保医発通知の施設基準(第九の六)で定められています。院内に「養育支援チーム」を設置することが柱になっていますよ。
養育支援チームの構成(施設基準)
ア 医師: 小児医療に関する十分な経験を有する専任の常勤医師 イ 看護師: 小児患者の看護に従事する専任の常勤看護師 ウ 社会福祉士: 小児患者の支援に係る経験を有する専任の常勤社会福祉士
みらい(新人医療事務)
3職種とも常勤じゃないとダメなんですか? うちは人手が厳しくて…
あおい(元・医療事務)
そこは救済的な特例があります。週3日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週22時間以上の非常勤の医師・看護師・社会福祉士を2名以上組み合わせることで、常勤医師等と同じ時間帯に配置されていれば、常勤配置とみなせるとされています。人員体制に不安がある場合は、このみなし規定が使えるかどうかも含めて確認するとよいと思います。
みらい(新人医療事務)
なるほど、非常勤の組み合わせでも道があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし「みなし」が成立する条件(週3日以上・週22時間以上・2名以上の組み合わせ・常勤医師等と同時間帯配置)は資料上かなり具体的に定められているので、勤務表と照らし合わせて一つずつ確認する必要があります。
養育支援チームの業務要件
みらい(新人医療事務)
チームを設置するだけでいいんですか? それとも何か決まった業務があるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知では、チームが担う業務についても具体的に定められています。ここも届出前に確認しておきたいポイントです。
自院で確認する順番
- 養育支援に関するプロトコルを整備し、実施状況を踏まえて定期的に見直すこと
- 虐待等不適切な養育が疑われる小児患者が発見された場合、院内からの相談に対応できる体制を持つこと
- 発見時に主治医・多職種と十分に連携をとって養育支援を行うこと
- 疑われた症例を把握・分析し、体制確保のための対策を推進すること
- 養育支援体制を確保するための職員研修を企画・実施すること(年2回程度)
みらい(新人医療事務)
研修は年2回「程度」なんですね。回数がきっちり決まっているわけじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
資料の表現は「年2回程度実施されていること」となっています。「程度」という言葉が入っているとはいえ、実務上は年2回を目安に実施実績を残しておくのが無難だと思います。
みらい(新人医療事務)
相談対応や多職種連携を担当する医師にも、何か決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。相談対応・多職種連携を実施する医師は、虐待等不適切な養育が疑われる小児患者本人の診療を担当する医師と重複しないよう、配置を工夫することとされています。担当を分ける前提で人員配置を組む必要がありますね。

届出
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていたら、あとは何をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生局長等への届出が必要です。届出が済んでいない状態では、施設基準を実質的に満たしていても算定候補にはなりません。
届出済みであることの確認
養育支援体制加算は届出制の加算です。「体制は整っているはずだから大丈夫」ではなく、実際に地方厚生局長等への届出が受理されているかどうかを、自院の届出台帳や受理書類で必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出の様式や添付書類の細かい内容までは、この記事だけではわからない感じですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。様式や必要書類の詳細は、施設基準の届出に関する手続き通知の該当箇所を都度確認するのが確実です。自院で判断がつかない場合は、地方厚生局や審査支払機関に直接問い合わせるのも一つの方法だと思います。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに、特に気をつけたほうがいいことはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、入院初日に限られる加算だということ。次に、対象になるのは小児入院医療管理料を算定している病棟の患者さんに限られるという点です。
算定候補の考え方
養育支援体制加算は、施設基準(養育支援チームの設置・業務要件)を満たし、かつ地方厚生局長等への届出が済んでいる病棟に入院している対象患者さんについて、入院初日に限り算定候補になります。届出状況・対象患者の該当性・算定タイミングは、資料内で確認できる範囲を超えて個別に判断が必要なため、自院での最終確認をお願いします。
みらい(新人医療事務)
他の入院料加算と一緒に算定できるかどうかは、この記事だけでは判断できないですか?
あおい(元・医療事務)
併算定の可否について、今回確認できた一次資料の範囲では明記された情報がありませんでした。無理に断定はせず、併算定を検討する場合は医科点数表の該当条文や審査支払機関への確認を優先してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集している一次資料の範囲では、令和8年度改定における養育支援体制加算そのものの新設・点数変更・施設基準変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。今回照合できたのは令和8年度時点の告示・施設基準通知の内容までで、前回改定(令和6年度)時点の一次資料との突き合わせまでは、当サイトの収集範囲では十分にできていません。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と断定するのも、実は言い過ぎになるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。「令和8年度時点でこの内容が確認できている」ことと、「前回改定から一切変わっていない」ことは別の話なので、この記事では前者までしか言い切らないようにしています。改定の経緯を厳密に知りたい場合は、厚生労働省が公開している個別改定項目の資料も合わせて確認していただくのが確実です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でうっかり見落としやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
見落としやすいポイント
チーム構成の常勤要件: 非常勤スタッフのみで運用していて、みなし規定の条件(週3日以上・週22時間以上・2名以上の組み合わせ)を満たせていないケース 研修実績の記録漏れ: 年2回程度の職員研修を実施していても、実施記録が残っていないケース 医師の兼務: 相談対応・多職種連携を担当する医師と、患者本人の主治医が同一人物になってしまっているケース 届出タイミング: 体制は整えたのに、地方厚生局長等への届出がまだ済んでいないケース
みらい(新人医療事務)
どれも「体制はあるのに届出や記録が追いついていない」パターンですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。施設基準そのものは満たせていても、届出や記録の面で算定候補にならないケースが多いので、体制づくりと事務手続きの両方を並行して進めることが大事だと思います。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院がこの加算を検討する場合、どういう順番で確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
だいたい次のような順番になると思います。
自院で確認する順番
- 自院の病棟が小児入院医療管理料を算定しているか確認する
- 養育支援チーム(専任の常勤医師・看護師・社会福祉士、またはみなし規定を満たす非常勤の組み合わせ)を設置できているか確認する
- 養育支援に関するプロトコルの整備・年2回程度の職員研修の実施実績を確認する
- 相談対応・多職種連携を担当する医師と、患者本人の主治医が重複していないか確認する
- 地方厚生局長等への届出が受理されているか確認する
みらい(新人医療事務)
この順番なら、自院がどこまで進んでいるか整理しやすそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に4番目までは体制づくりの話で、5番目の届出は事務手続きの話なので、担当を分けて同時並行で進めると抜け漏れが少なくなると思います。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲では対象外の可能性が高いです。小児入院医療管理料を算定している病院の病棟が前提になっているためです。
みらい(新人医療事務)
常勤の医師・看護師・社会福祉士を揃えられない場合は、もう算定候補にならないんですか?
あおい(元・医療事務)
一律に対象外とは言い切れません。週3日以上・週22時間以上勤務する非常勤スタッフを2名以上組み合わせて常勤医師等と同じ時間帯に配置していれば、常勤配置とみなせる特例があります。自院の勤務体制がこの条件に当てはまるかどうかは、個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
入院初日を過ぎてから虐待が疑われるとわかった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
この加算は入院初日に限り算定するものとして整理されています。初日を過ぎてから疑いが判明したケースの取り扱いについては、今回確認できた資料だけでは判断しきれない部分があるため、自院の診療録・レセプト担当と一次資料の両方で確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、養育支援体制加算の土台となる小児入院医療管理料や、同じ入院料加算に区分される小児個別栄養食事管理加算もチェックしておくと、小児入院医療に関する加算の全体像がつかみやすいと思います。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。