みらい(新人医療事務)
あおいさん、超音波検査のレセプトを見ていたら「パルスドプラ法加算」という項目が出てきたんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
超音波検査(D215)の「2」断層撮影法、つまり心臓超音波検査以外の断層撮影法を行うときに、血管の血流診断を目的としてパルスドプラ法を併せて実施した場合に付く注加算です。所定点数に150点を上乗せするしくみですよ。
みらい(新人医療事務)
断層撮影法自体の点数にプラスして150点、ということですね。うちのクリニックでも算定候補になりそうか、確認していいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。この記事では令和8年度(2026年度)の一次資料をもとに、点数・対象・注意点を整理していきますね。ただし最終的な算定可否は、自院の記録内容や届出状況を踏まえてご確認いただく前提でお願いします。
パルスドプラ法加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも「パルスドプラ法」ってどういう検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
血管内の血流の速度や方向を、超音波のドプラ効果を使って評価する手法です。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、次のように定義されています。
告示の該当条文(令和8年度)
パルスドプラ法加算の根拠: 「2について、パルスドプラ法を行った場合は、パルスドプラ法加算として、150点を所定点数に加算する。」(令和8年厚生労働省告示第69号 D215 注2)
みらい(新人医療事務)
「2について」というのは、断層撮影法のことですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知(保医発0305第6号)にも、対象範囲がもう少し具体的に書かれています。
留意事項通知の該当条文(令和8年度)
対象の範囲: 「『2』の断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)において血管の血流診断を目的としてパルスドプラ法を併せて行った場合には、『注2』に掲げる加算を算定できる。」(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 保医発0305第6号)
みらい(新人医療事務)
つまり「心臓超音波検査(区分3)ではないこと」と「血管の血流診断が目的であること」の両方が条件になるんですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。逆に言うと、心臓超音波検査の一部としてパルスドプラ法を使っても、この加算は算定候補にならない、という整理です。
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
D215超音波検査を実施できる保険医療機関であれば、診療所・病院を問わず対象になり得ます。外来・入院のどちらの場面でも、断層撮影法にパルスドプラ法を併用していれば候補になります。当サイトの整理では、在宅(訪問診療)向けの単独区分としての取り扱いは確認されていません。
みらい(新人医療事務)
対象患者に条件はありますか?
あおい(元・医療事務)
疾患名での限定は、確認できた一次資料の範囲では見当たりません。「血管の血流診断を目的として」実施したかどうかが条件になっている点がポイントです。単なる形態観察のためのパルスドプラ法併用では、目的の記載として弱い可能性があるため、診療録への目的の記載が確認のしやすさにつながります。
点数の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
断層撮影法自体の点数と、加算の150点の関係を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 区分(D215「2」断層撮影法) | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| イ 訪問診療時に行った場合 | 月1回に限り算定 | 400点 |
| ロ(1) その他の場合・胸腹部 | 胸部・腹部の断層撮影 | 530点 |
| ロ(2) その他の場合・下肢血管 | 下肢血管の断層撮影 | 450点 |
| ロ(3) その他の場合・その他 | 頭頸部・四肢・体表・末梢血管等 | 350点 |
| 注2 パルスドプラ法加算 | 上記いずれかを算定する場合に、血管の血流診断目的でパルスドプラ法を併せて実施 | +150点 |

みらい(新人医療事務)
どの断層撮影法の区分にでも150点が乗る、というイメージでいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文が「2について」と区分全体を指しているので、断層撮影法(心臓超音波検査を除く)のどの部位区分でも、条件を満たせば加算の対象になり得ます。ただし実際の運用は個別の症例・記載内容によるため、算定候補として整理したうえで、最終的には自院で確認していただく形になります。
施設基準・届出について(要確認)
みらい(新人医療事務)
この加算を取るのに、施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが確認した告示・留意事項通知の該当条文には、パルスドプラ法加算そのものに個別の施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。
施設基準・届出は未確認事項です
パルスドプラ法加算に固有の施設基準・届出を明記した条文は、当サイトが確認した範囲では見つかっていません。ただし、D215超音波検査そのものを実施する保険医療機関としての一般的な要件(検査機器・記録要件など)は満たしている前提です。届出の要否は改定や運用の変化で変わる可能性があるため、正式には地方厚生局への確認をお勧めします。
みらい(新人医療事務)
「施設基準なし」と言い切らないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。資料に書かれていないことを「不要」と断定するのではなく、「見当たらない=要確認」として扱うのが安全です。区分によっては施設基準の届出が求められる場合があるため、区分ごとに一次資料で確認することが大切ですね。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
パルスドプラ法加算そのものについて、回数制限を明記した条文は当サイトが確認した範囲では見当たりません。上乗せ元の断層撮影法の算定単位(部位ごと・訪問診療時は月1回など)に準じて考えることになります。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点があります。留意事項通知には、心臓超音波検査(D215「3」)についての別の規定があります。
心臓超音波検査では別に算定できません
留意事項通知には「『3』の心臓超音波検査の所定点数にはパルスドプラ法の費用が含まれており、別に算定できない。」と明記されています(保医発0305第6号)。心臓超音波検査を実施した際にパルスドプラ法を併用しても、パルスドプラ法加算(注2)を別途算定候補とすることはできません。
みらい(新人医療事務)
あくまで「2」の断層撮影法(心臓超音波検査を除く)のときだけ候補になる、ということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。同じ超音波検査でも区分が違えば取り扱いが変わるので、レセプトの摘要欄にどの区分を算定したか記載しておくと、後から見返しやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の該当条文の範囲では、パルスドプラ法加算に関する新設・廃止・点数変更・施設基準変更の記載は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。150点という点数、D215「2」断層撮影法(心臓超音波検査を除く)を対象とする範囲についても、変更を示す記載は見当たりませんでした。
前回改定(令和6年度)との対比の位置づけ
当サイトが保有する一次資料は令和8年度分が中心のため、令和6年度時点の条文との一字一句の突合はできていません。点数・対象範囲に変更があったことを示す一次資料は確認されていないという段階の情報として扱ってください。改定内容の詳細は、厚生労働省の「個別改定項目について」等の公式資料でも確認できます。
みらい(新人医療事務)
「変わっていなさそう」ではなく「変更の記載が見当たらない」という言い方なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。資料にないことを根拠に「変わっていない」と言い切るのではなく、確認できた範囲を正直にお伝えするようにしています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定候補になるか、どんな順番で確認したらいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで見ていくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- D215超音波検査の「2」断層撮影法(心臓超音波検査を除く)を実施したか確認する
- その断層撮影法の中で、血管の血流診断を目的としてパルスドプラ法を併せて行ったか確認する
- 実施した検査が「3」心臓超音波検査に該当していないか確認する(該当する場合は別途算定できません)
- 診療録に血流診断目的でパルスドプラ法を実施した旨を記載する
- 算定候補として整理し、レセプトの摘要欄への記載要否も含めて自院・審査支払機関に確認する

みらい(新人医療事務)
心臓超音波検査かどうかの切り分けが一番大事そうですね。
あおい(元・医療事務)
そこが最初に見落としやすいポイントです。次に、よくある取り漏れも見ておきましょう。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場では、どんな取り漏れが多いんですか?
取り漏れになりやすいケース
目的の記載漏れ: パルスドプラ法を実施していても、診療録に「血流診断目的」であることが読み取れる記載がないと、算定根拠を後から示しにくくなります。 区分の混同: 断層撮影法(区分2)と心臓超音波検査(区分3)を混同し、心臓超音波検査でパルスドプラ法加算を別立てで請求してしまうケースが想定されます。 訪問診療時の月1回ルールの見落とし: 訪問診療時に行った断層撮影法(イ)は月1回の算定である点を、加算の可否とあわせて確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
どれも「条文の条件を丁寧に読む」ことでカバーできそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。加算単体で覚えるより、D215全体の構造(区分1〜5)の中でこの加算がどこに位置づけられているかを理解しておくと、取り漏れも防ぎやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、3つ整理しますね。
みらい(新人医療事務)
Q.パルスドプラ法加算は、超音波検査を行うたびに毎回算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A.断層撮影法(区分2、心臓超音波検査を除く)を実施し、かつ血管の血流診断を目的にパルスドプラ法を併せて行った場合が対象です。実施の都度、条件を満たしているかを確認する必要があり、「毎回自動的に算定できる」性質のものではありません。
みらい(新人医療事務)
Q.心臓超音波検査でパルスドプラ法を使った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
A.留意事項通知に「心臓超音波検査の所定点数にはパルスドプラ法の費用が含まれており、別に算定できない」と明記されています。区分3の心臓超音波検査ではパルスドプラ法加算を別途算定する候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
Q.施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A.当サイトが確認した告示・留意事項通知の該当条文には、パルスドプラ法加算固有の施設基準・届出の記載は見当たりませんでした。未確認事項として扱い、正式な取り扱いは地方厚生局や審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
だいぶ整理できました。ほかの検査系の加算とあわせて見ておくと、レセプトの点検もしやすくなりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。たとえば急いで検査を実施した場合の時間外緊急院内検査加算のように、検査に付随する別の加算もあります。あわせて確認しておくと、算定漏れの発見につながりますよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や検査内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。