みらい(新人医療事務)
先輩、今日の手術記録に「ローフローバイパス術併用加算」って書いてあったんですけど、これって何の加算ですか?聞いたことがなくて。
あおい(元・医療事務)
脳神経外科の手術で出てくる加算ですね。脳動脈瘤の手術(K176 脳動脈瘤流入血管クリッピングまたはK177 脳動脈瘤頸部クリッピング)の際に、頭皮から採取した血管を使ってバイパス(血管の吻合)を追加で行った場合に算定候補になる加算です。令和8年度の医科点数表では16,060点と定められています。
みらい(新人医療事務)
バイパスって、心臓の手術で聞くバイパスと同じイメージですか?
あおい(元・医療事務)
考え方は近いですが、こちらは脳の血管です。動脈瘤をクリッピングする際に、親血管より末梢側(先の部分)の血流が不足しないよう、別の血管をつないで血流を確保する手技です。その血管を「頭皮から採取」した場合がローフローバイパス、「上肢または下肢から採取」した場合がハイフローバイパスと区別されていて、今回のローフローバイパス術併用加算は前者にあたります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、採取する血管の場所で名前が変わるんですね。うちは脳神経外科の入院手術をやっている病院なので、対象になるかもしれません。
あおい(元・医療事務)
そうですね。まず前提として、この加算は病院の入院手術に限られます。外来やクリニックでの算定は対象外です。当サイトが収録している一次資料の範囲でも、対象は「病院・入院」に整理されています。まずはその前提を確認しておきましょう。
この加算の対象と点数
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな手術のときに算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)では、K176 脳動脈瘤流入血管クリッピング(開頭して行うもの)とK177 脳動脈瘤頸部クリッピングのそれぞれに「注1」としてこの加算が規定されています。K177の告示本文には「注1 ローフローバイパス術による頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併せて行った場合は、ローフローバイパス術併用加算として、16,060点を所定点数に加算する。」と明記されています。K176にも同じ内容の注1があります。
みらい(新人医療事務)
つまりK176でもK177でも、この加算そのものは同じ16,060点なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、告示上はどちらの本手術でも加算額は16,060点で共通です。ただし本手術(K176・K177)自体の点数は箇所数によって変わるので、そこは分けて確認してくださいね。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| K176 脳動脈瘤流入血管クリッピング(開頭して行うもの)本手術 | 1箇所 | 82,730点 |
| 同上 | 2箇所以上 | 108,200点 |
| K177 脳動脈瘤頸部クリッピング本手術 | 1箇所 | 114,070点 |
| 同上 | 2箇所以上 | 128,400点 |
| ローフローバイパス術併用加算(注1) | 頭皮から採取した血管で頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併施 | +16,060点 |
| (参考)ハイフローバイパス術併用加算(注2) | 上肢または下肢から採取した血管で頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併施 | +30,000点 |

みらい(新人医療事務)
ローフローとハイフロー、両方とも同時に算定することってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは資料の範囲では明確な記述が確認できていません。注1と注2はそれぞれ別の術式(採取部位が違う血管吻合)に対応した加算なので、通常は実施した術式に対応する一方を算定する構成と考えられますが、断定はできません。同時算定の可否は自院での実施内容と、審査支払機関への確認が必要な点として扱ってください。
対象要件を詳しく見る
みらい(新人医療事務)
「頭皮から採取した血管を使う」というのが、この加算のポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知(医科診療報酬点数表に関する事項)にも「『注1』に規定するローフローバイパス術併用加算は、本手術に際し、親血管より末梢側の血流を確保するため、頭皮から採取した血管を用いた頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併せて行った場合に算定する。」と記載されています。この条文はK176・K177どちらにも同じ文言で置かれています。
みらい(新人医療事務)
「頭皮から採取」というのがキーワードなんですね。上肢や下肢から採取したらハイフローの方になると。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。逆に言うと、採取部位が頭皮以外(上肢・下肢)であれば、この加算ではなくハイフローバイパス術併用加算の対象になる可能性があるということです。手術記録・術式名の記載を確認するときは、採取血管の部位に注目してください。
算定要件の確認ポイント
資料で確認できているのは「本手術(K176またはK177)に際し、頭皮から採取した血管を用いた頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併せて行った場合」という条件です。回数制限(1手術あたり何回まで算定できるか)や、注2(ハイフローバイパス術併用加算)との併算定可否については、当サイトが確認できた一次資料の中に明記が見当たらないため「未確認」として扱っています。個別のケースは自院のレセプト担当・審査支払機関にご確認ください。
施設基準・届出はどうなっている?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出が必要な施設基準加算なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の整理では、この加算は「届出: 不要」に区分されています。告示本体・留意事項通知のいずれにも、この加算単独の独立した施設基準・届出条項は見当たりません。手術の「注」として点数表に組み込まれた加算という位置づけで、施設基準の届出を別途行うタイプの加算(外来感染対策向上加算のような加算)とは性質が異なります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出をしていなくても、手術の内容が条件に合えば算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲ではそう整理できますが、これは当サイトの一次資料の突合による整理であり、最終的な届出要否の判断は自院の施設基準担当と、必要であれば地方厚生局・審査支払機関に確認することをおすすめします。届出の要否は解釈が変わる場合もあるので、断定はできません。
よくある取り漏れ
本手術(K176・K177)に気を取られて、併施したバイパス術の「採取血管の部位」が手術記録に明記されていないと、ローフローとハイフローのどちらの加算に該当するかが後から分かりにくくなります。手術記録の段階で採取部位(頭皮/上肢・下肢)を明記しておくと、レセプト作成時の確認がスムーズです。
対象患者・対象医療機関のおさらい
みらい(新人医療事務)
改めて確認したいんですけど、対象になるのはどんな患者さん・どんな医療機関なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
対象手術はK176(脳動脈瘤流入血管クリッピング・開頭)またはK177(脳動脈瘤頸部クリッピング)を受ける患者さんで、手術に際して頭皮から採取した血管を用いた頭蓋外・頭蓋内血管吻合(ローフローバイパス術)を併せて実施した場合です。対象医療機関は病院に限られ、入院での手術が前提になります。外来やクリニックでの算定は対象外です。
みらい(新人医療事務)
脳神経外科の設備や体制がある病院じゃないと、そもそも本手術自体が難しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。脳動脈瘤のクリッピング手術自体、専門的な脳神経外科の体制が前提となる手術です。この加算単独の人員基準・設備基準について明記した資料は確認できていないので、体制面の確認は本手術(K176・K177)側の実施要件・自院の診療実績とあわせて行ってください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定(令和6年度)から、この加算に変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定時点のこの加算に関する資料を確認できておらず、前回改定からの変更点は確認されていません。点数・算定要件が据え置きなのか変更されたのか、資料の範囲では判断できない状態です。
みらい(新人医療事務)
分からないことは、分からないとはっきり言ってもらえると助かります。
あおい(元・医療事務)
はい。もし前回改定からの変更を確認したい場合は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公式ページで、令和6年度版の点数表と見比べていただくのが確実です。当サイト側でも一次資料が追加され次第、この記載を更新します。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で確認するときはどんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
確認する順番は、次のような流れになります。
自院で確認する順番
- K176(脳動脈瘤流入血管クリッピング・開頭)またはK177(脳動脈瘤頸部クリッピング)の本手術を実施したか確認する
- その本手術に際して、頭蓋外・頭蓋内血管吻合(バイパス術)を併せて実施したか手術記録で確認する
- 併施したバイパス術で採取した血管が「頭皮」由来か確認する(上肢・下肢由来ならハイフローバイパス術併用加算側の対象の可能性)
- 入院・病院での手術であることを確認する(外来・クリニックは対象外)
- 届出は資料の範囲では不要に整理されているが、念のため自院の施設基準担当・審査支払機関に最終確認する

みらい(新人医療事務)
手術記録の中身をちゃんと見ないと分からないんですね。点数表の名前だけでは判断できないというか。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この加算は「採取血管の部位」という手術の中身に踏み込んだ条件があるので、コーディング担当者だけで完結せず、術者・手術記録との連携が大事になります。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
同じ手術のときに、他にも一緒に算定できそうな加算ってありますか?
あおい(元・医療事務)
脳神経外科の手術では、ナビゲーションなど画像支援を用いた場合に算定候補になる画像等手術支援加算のような、別区分の手術加算が関係してくることもあります。ただし、これはこの加算とは別の要件を持つ加算なので、実施した術式ごとに個別に確認してください。
他加算との関係
他の手術加算との組み合わせについて、この記事だけで判断せず、実施した術式一つひとつについて該当する要件を個別に確認することをおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなポイントをまとめておきたいです。
あおい(元・医療事務)
いいですね。よくある質問形式で整理しましょう。
みらい(新人医療事務)
Q. クリニックの外来手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 対象は病院・入院に限られます。当サイトが収録している一次資料の範囲では、外来やクリニックでの算定は対象外に整理されています。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトの一次資料の整理では「届出不要」に区分されていますが、最終的な判断は自院と審査支払機関にご確認いただくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
Q. ハイフローバイパス術併用加算と同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 資料の範囲では明確な記載が確認できておらず、未確認の扱いとしています。採取血管の部位(頭皮か、上肢・下肢か)によってどちらの加算に該当するかが変わるため、個別に確認が必要です。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
今回参照した公式資料をまとめておきますね。点数の根拠は令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)PDF、算定要件の詳細は医科診療報酬点数表に関する事項(令和8年3月5日 保医発0305第6号)です。改定全体の一覧は令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省のページからも確認できます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。