みらい(新人医療事務)
先生、「多椎間前方固定(内視鏡下)加算」ってレセプトで見かけたんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表にある加算で、内視鏡を使った胸椎または腰椎の前方固定術(K142-3)を、同じ手術の中で2椎間以上に対して行った場合に上乗せされる点数です。基本の手術点数とは別に、追加した椎間の分だけ加算していくイメージですね。
みらい(新人医療事務)
「前方固定術」自体の点数とは別物なんですね。ちょっと整理してもらってもいいですか?
対象になる手術と患者
あおい(元・医療事務)
はい。まず土台になる手術は、厚生労働省の医科点数表告示にある「K142-3 胸椎又は腰椎前方固定術(内視鏡下)」です。告示の原文では「K142-3 胸椎又は腰椎前方固定術(内視鏡下) 1 胸椎前方固定術 101,910点 2 腰椎前方固定術 101,910点」と点数が定められています。
みらい(新人医療事務)
胸椎と腰椎、どちらも101,910点なんですね。頸椎や仙椎はどうなんですか?
あおい(元・医療事務)
この告示の区分には頸椎・仙椎は含まれていません。当サイトが収録している一次資料の範囲では、K142-3(内視鏡下)の対象は「胸椎」または「腰椎」の前方固定術に限られています。頸椎や仙椎の内視鏡下前方固定術については、この告示区分とは別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
なるほど、対象椎骨をまず確認するのが第一歩なんですね。
加算になる条件と点数の考え方
あおい(元・医療事務)
次に「多椎間前方固定(内視鏡下)加算」そのものの根拠を見てみましょう。同じ告示の注には「注 椎間が2以上の場合は、1椎間を増すごとに所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する。ただし、加算は4椎間を超えないものとする。」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
「所定点数の100分の50」ということは、基本点数の半分が加算になるってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。基本点数101,910点の100分の50、つまり50,955点が、椎間を1つ増やすごとの加算点数になります。当サイトの整理でも、この加算は「50,955点」として登録されています。1椎間だけの手術では発生せず、同一手術で2椎間以上を扱ったときにはじめて候補になる加算、と理解しておくとわかりやすいです。

| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 基本手術(1椎間目) | K142-3 胸椎前方固定術(内視鏡下) | 101,910点 |
| 基本手術(1椎間目) | K142-3 腰椎前方固定術(内視鏡下) | 101,910点 |
| 多椎間前方固定(内視鏡下)加算 | 2椎間目以降、1椎間を増すごと | 50,955点(所定点数の100分の50) |
みらい(新人医療事務)
表で見るとイメージしやすいです。でも「4椎間を超えない」ってどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
加算を積み重ねられるのは最大3回まで、つまり全体で4椎間までが上限という意味です。5椎間目以降を同じ手術で行っても、5椎間目分の加算はこの規定の範囲では算定候補になりません。何椎間を扱った手術だったか、術式記録と照らして確認する作業が必要になります。
椎間数の数え方に注意
「何椎間分の加算か」は術者の手術記録・レセプト摘要欄の記載と一致している必要があります。カルテ・オペ記録上の椎間数と、レセプトに記載する加算回数がずれていないか、算定前に必ず突き合わせてください。
施設基準・届出は確認が必要
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
正直なところ、当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算に固有の施設基準・届出要件を明記した記載をまだ確認できていません。内視鏡下の脊椎手術は高度な技術を要する手術区分が多く、施設基準の届出が必要な区分も点数表には存在するため、「届出不要」と決めつけるのは危険です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、どうやって確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
自院が地方厚生局に届け出ている施設基準の一覧と、医科点数表の該当告示・通知を突き合わせて確認するのが基本です。不明な点は地方厚生局や審査支払機関に確認するのが確実ですし、加算チェッカーで確認したいポイントを整理する方法もあります。
要確認ポイント
施設基準の要否: この加算・基本手術に施設基準の届出が必要かどうかは、自院の届出状況と告示・通知の原文で確認する カルテ記載: 椎間数・手術術式が術者記録に明記されているか確認する 算定回数の上限: 同一手術で4椎間を超える加算を算定していないか確認する
併算定・回数制限の注意点
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
直接の根拠として確認できているのは、この加算が「椎間が2以上の場合」に限って算定候補になるという条件と、「加算は4椎間を超えない」という上限の2点です。それ以外の併算定制限(他の手術との同時算定の可否など)については、当サイトの一次資料の範囲では確認できていないため、レセプトを作成する際は医科点数表の通則や関連する留意事項通知もあわせて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「確認できていない」ことは、そのまま正直に扱った方がいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。根拠のない断定をしてしまうと、かえって現場で誤った判断につながってしまいます。確認できている範囲とできていない範囲を分けて伝えるのが、レセプト担当者にとっても一番安全です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度時点の該当データをまだ確認できておらず、前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。今後、令和6年度の一次資料を確認できた場合は、この記事に反映します。
改定差分の確認方法
現行の一次資料: 令和8年度の医科点数表告示(厚生労働省)で点数・算定条件を確認する 前回改定との比較: 令和6年度の告示・留意事項が確認できた場合は、点数や算定要件の変化の有無をあわせて確認する
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何から確認すればいいのか、順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べるとこうなります。
自院で確認する順番
- 実施した手術がK142-3「胸椎又は腰椎前方固定術(内視鏡下)」に該当するか確認する
- 同一手術で扱った椎間数を、手術記録・オペ記事で確認する(2椎間以上かどうか)
- 椎間数が4椎間を超えていないか確認する(超える分は加算の対象外)
- 自院の届出状況と告示・通知の原文を突き合わせ、施設基準・届出の要否を確認する
- カルテ・レセプト摘要欄の記載が、算定する加算回数と一致しているか確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、事務としても確認しやすいです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
現場でありがちなのは、椎間数のカウントミスです。
よくある取り漏れ・注意点
椎間数の数え違い: 2椎間以上の手術なのに、加算を算定せずに基本手術のみで請求してしまう 4椎間超の過剰算定: 手術記録上5椎間以上あるのに、上限を超えて加算を積み上げてしまう 頸椎・仙椎との混同: 対象は胸椎・腰椎の内視鏡下前方固定術に限られる点を見落とし、他の椎骨区分の手術と混同してしまう
みらい(新人医療事務)
逆に算定できるはずなのに見落としているケースもあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。「加算がある手術」だと意識していないと、単純に取りこぼしてしまうこともあります。手術記録を見て椎間数を必ず確認する習慣をつけておくと安心です。
関連する加算
あおい(元・医療事務)
同じように「同一手術で椎間数が増えるごとに加算する」という考え方の加算は、他の術式にもあります。たとえば椎間板摘出術の 複数椎間板加算 も、椎間数に応じて所定点数の100分の50を加算する仕組みが共通しています。対象術式は異なりますが、考え方を比較する参考になります。
みらい(新人医療事務)
考え方が似ている加算があると、理解が進みやすいです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
1椎間だけの手術でもこの加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の条件は「椎間が2以上の場合」となっているため、1椎間のみの手術では、この加算の算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
頸椎の内視鏡下前方固定術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できているK142-3の告示区分は胸椎・腰椎のみです。頸椎の内視鏡下前方固定術については、この告示区分とは別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
加算の点数はいつも50,955点で固定ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、基本点数101,910点の100分の50として算出される点数のため、1椎間を増すごとに50,955点が加算される計算になります。ただし、加算できるのは4椎間までという上限があります。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。手術記録の椎間数や届出状況を整理しながら、確認すべきポイントを一緒に洗い出せます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。