みらい(新人医療事務)
「専門病院入院期間加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これって専門病院なら誰でも取れる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、名前だけ見るとそう思いがちですが、まず前提として「専門病院入院基本料」を算定している病棟であることが必要です。その上で、入院期間の長さに応じて1日ごとに上乗せされる点数のことを指しています。厚生労働省の令和8年度点数表では、区分A105「専門病院入院基本料」の注2にこう定められています。「当該病棟の入院患者の入院期間に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。イ 14日以内の期間 512点」。
みらい(新人医療事務)
「専門病院入院基本料」自体とは別物なんですね。てっきり同じものかと思っていました。
あおい(元・医療事務)
はい、混同しやすいところです。専門病院入院基本料の本体点数(7対1で1,904点など)とは別に、この入院期間加算が入院日数に応じて上乗せされる、という2段構えの仕組みになっています。まずは「専門病院入院基本料」そのものを算定している病棟かどうかを確認するのが出発点です。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも「専門病院」ってどんな病院のことを言うんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の告示に定義があります。「専門病院(主として悪性腫瘍、循環器疾患等の患者を入院させる保険医療機関であって高度かつ専門的な医療を行っているものとして地方厚生局長等に届け出たものをいう。)」とされています。つまり、悪性腫瘍(がん)や循環器疾患などを中心に、高度で専門的な医療を行う病院として地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が対象です。
みらい(新人医療事務)
どんな病院でも「専門病院です」と名乗れば対象になるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。加えて告示では「看護配置、看護師比率、平均在院日数その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第3節の特定入院料を算定する患者を除く。)について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する」ともされています。看護配置や看護師比率、平均在院日数などの施設基準を満たし、届出を行った病棟であることが前提になります。
対象医療機関・対象病棟
みらい(新人医療事務)
うちの病院、一般病棟が複数あるんですけど、その場合はどう考えればいいですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知にこうあります。「当該専門病院において複数の一般病棟がある場合には、当該病棟のうち、障害者施設等入院基本料又は緩和ケア病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の専門病院入院基本料を算定するものとする」。つまり、障害者施設等入院基本料や緩和ケア病棟入院料のような特定入院料を算定している病棟は対象外になり、それ以外の一般病棟が専門病院入院基本料の対象になる、という整理です。
みらい(新人医療事務)
診療所や外来はどうなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の対象は「入院基本料」なので、入院している患者が対象です。専門病院入院基本料は病院の一般病棟に対する入院料区分であり、有床診療所や外来診療そのものは対象外の可能性があります(自院の届出区分・病棟区分での確認が必要です)。
対象は届出区分で変わります
専門病院入院基本料の届出を行っていない病棟や、特定入院料(障害者施設等入院基本料・緩和ケア病棟入院料など)を算定している病棟は対象外の可能性があります。自院がどの入院基本料区分・特定入院料の届出を行っているかで扱いが変わるため、届出内容を必ず確認してください。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、入院期間に応じて2つの区分があります。表にまとめますね。
| 入院期間の区分 | 加算点数(1日につき) |
|---|---|
| 14日以内の期間 | 512点 |
| 15日以上30日以内の期間 | 207点 |
あおい(元・医療事務)
告示の原文では「イ 14日以内の期間 512点」「ロ 15日以上30日以内の期間 207点」と記載されています。31日目以降については、当サイトが収録している一次資料の範囲ではこの入院期間加算としての追加の点数区分は確認できていません。31日目以降の取扱いについては、後述する90日超のケースも含めて自院で公式資料をご確認ください。

みらい(新人医療事務)
512点から207点へ、期間が長くなると点数が下がるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。入院初期を手厚く評価し、入院期間が長くなるにつれて逓減する、という考え方は一般病棟入院基本料など他の入院料区分にも共通する構造です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準って具体的に何を確認すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
告示では「看護配置、看護師比率、平均在院日数その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているもの」と定められていますが、具体的な数値基準(看護配置の比率や平均在院日数の日数など)は、専門病院入院基本料の施設基準の告示・通知本体で個別に定められています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、この入院期間加算自体に独自の追加施設基準は確認できておらず、専門病院入院基本料の届出区分(7対1・10対1・13対1)に連動する形と考えられます。具体的な基準値は、貴院の届出書類または最新の施設基準通知でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
届出は別に必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
入院期間加算自体を単独で届け出る、という規定は当サイトの一次資料からは確認できていません。専門病院入院基本料そのものの届出(地方厚生局長等への届出)が前提になっており、その届出済みの病棟であれば、入院期間の区分に応じて自動的に算定される加算、という位置づけです。届出済みであれば算定候補になりますが、最終的な区分の適用は自院の届出内容次第ですので確認が必要です。
確認しておきたいポイント
専門病院入院基本料(7対1・10対1・13対1)の届出が済んでいるか、複数病棟がある場合はどの病棟が専門病院入院基本料の対象病棟か、特定入院料を算定している病棟が混在していないか、をまず確認しておくと、入院期間加算の対象判断がスムーズになります。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
「14日以内」とか「15日以上30日以内」の数え方って、入院した日から数えればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「『注2』の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則に規定する起算日とする」とあります。起算日の考え方自体は点数表の通則に定めがあるため、当サイトの一次資料だけでは通則の条番号まで確定できていません。日数の数え方に迷う場合は、最新の点数表通則の該当箇所を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
長期入院になった場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
90日を超える入院については特別な取扱いがあります。告示には「当該病棟のうち、保険医療機関が地方厚生局長等に届け出たものに入院している患者であって、当該病棟に90日を超えて入院するものについては、注1から注7までの規定にかかわらず、区分番号A101に掲げる療養病棟入院料1の例により算定する」とあります。留意事項通知でも「専門病院入院基本料を算定する病棟に入院している患者であって、当該病棟に90日を超えて入院する患者の取扱いについては、一般病棟入院基本料の(6)、(8)及び(9)までの例による」とされています。つまり、90日を超えて入院している患者については、この入院期間加算を含む注1から注7の規定ではなく、療養病棟入院料1の例による算定に切り替わる、という整理です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、90日を超えたらこの加算は算定できなくなるってことですか?
あおい(元・医療事務)
90日を超えた患者については療養病棟入院料1の例によることになるため、専門病院入院基本料の入院期間加算(注2)としての算定は対象外になる可能性が高いです。ただし個別の適用は病棟の届出状況によって変わるため、断定はできません。長期入院の患者がいる場合は特にこの点を確認しておく必要があります。
通則第7号の除外規定にも注意
告示の注1には「ただし、通則第7号に規定する保険医療機関の病棟については、この限りでない」という除外規定もあります。通則第7号がどの保険医療機関を指すかは点数表の通則本体の確認が必要です。自院が該当するかどうかは、最新の点数表・通則の該当箇所でご確認ください。
近縁の加算との違い
みらい(新人医療事務)
同じA105の中に「看護必要度加算」っていうのもあるって聞きました。入院期間加算と同じものですか?
あおい(元・医療事務)
別物です。混同しやすいので整理しておきますね。入院期間加算は注2に定められた、入院期間の長さに応じた加算(14日以内512点・15日以上30日以内207点)です。これに対して、告示の注3には「当該病棟に入院している患者の看護必要度につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。イ 看護必要度加算1 55点 ロ 看護必要度加算2 45点 ハ 看護必要度加算3 25点」とあり、こちらは看護必要度の基準を満たす病棟を対象とした別の加算です。
みらい(新人医療事務)
名前が似ているのでこんがらがりそうです。
あおい(元・医療事務)
さらに注4には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た病棟において、当該患者の看護必要度について測定を行った場合には、一般病棟看護必要度評価加算として、1日につき5点を所定点数に加算する」という一般病棟看護必要度評価加算(5点)もあります。この加算は当サイトでも別の記事一般病棟看護必要度評価加算にまとめていますので、あわせて確認してみてください。入院期間加算・看護必要度加算・一般病棟看護必要度評価加算は、それぞれ根拠となる注(注2・注3・注4)が異なる別々の加算だと意識しておくと取り違えを防げます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料は令和8年度時点の告示・留意事項通知が中心で、令和6年度改定時点の同区分の原文までは収録できていません。そのため、令和8年度(2026年度)改定における入院期間加算の変更点は、当サイトの一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月)。点数区分(14日以内512点・15日以上30日以内207点)についても、令和8年度時点の告示に変更を示す記載はありませんでした。
みらい(新人医療事務)
「確認できていない」というのは、変わっていないと言い切れるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。当サイトで確認できる範囲での結果であり、詳細な改定差分を知りたい場合は、厚生労働省が公表している改定の概要資料や個別改定項目の資料を直接ご確認いただくのが確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院がこの加算の対象になるか、どの順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こういう順番で見ていくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 自院の病棟が専門病院入院基本料(区分A105)の届出を行っているか、届出区分(7対1・10対1・13対1)を確認する
- 対象病棟が特定入院料(障害者施設等入院基本料・緩和ケア病棟入院料など)を算定する病棟に該当していないか確認する
- 対象患者の入院期間が14日以内か、15日以上30日以内かを区分ごとに確認する
- 90日を超えて入院している患者がいないか、通則第7号の除外規定に該当する病棟でないかを確認する
- 以上を踏まえて、算定候補かどうかを院内のレセプト担当・事務長で最終確認する

みらい(新人医療事務)
図で見るとイメージしやすいです。
あおい(元・医療事務)
はい、特に「専門病院入院基本料そのものの届出があるか」がスタート地点になるので、そこを見落とさないようにしてください。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
入院期間加算は専門病院入院基本料を算定している病棟であれば自動的に区分適用される性質の加算ですが、90日を超えた患者や特定入院料を算定している病棟が混在していると、区分の適用範囲を誤って集計してしまうことがあります。病棟単位・患者単位での入院期間の集計ルールを、レセプトコンピュータの設定も含めて確認しておくと取り漏れや誤算定を防ぎやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
診療所でも専門病院入院期間加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
専門病院入院基本料は病院の一般病棟に対する入院料区分であるため、有床診療所は対象外の可能性が高いです。ただし、自院の施設区分・届出内容によって扱いが変わりうるため、最終的には自院での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない病棟でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
告示では、保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者を対象としています。届出をしていない病棟では算定候補にならない可能性が高く、まず届出状況の確認が優先されます。
みらい(新人医療事務)
15日以上30日以内の期間を過ぎたら、加算はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、31日目以降のこの加算としての区分点数は確認できていません。90日を超える場合の取扱い(療養病棟入院料1の例による算定)は前述のとおり確認できていますが、31日目から90日目までの間の細かな取扱いについては、最新の点数表で確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。