みらい(新人医療事務)
先生、レセプトの検査の欄に「染色標本加算」って書いてある月があるんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
染色標本加算は、区分番号D002「尿沈渣(鏡検法)」という尿の検査を行うときに、染色した標本で観察した場合に上乗せできる加算です。令和8年度の医科点数表では9点が設定されています。尿沈渣自体の点数とは別に、染色して詳しく観察したときだけ算定候補になる加算、というイメージですね。
みらい(新人医療事務)
尿沈渣ってそもそもどんな検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
尿を遠心分離器にかけて、赤血球や白血球、上皮細胞、円柱、細菌などを顕微鏡で観察する検査です。腎臓や尿路の病気の診断、治療効果の判定に使われます。通常は無染色のまま観察しますが、性状をより正確に観察する必要がある場合に、染色した標本で観察することがあります。その染色標本による観察を行った場合に、染色標本加算の対象として確認する、という流れです。
染色標本加算の対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どの医療機関でも対象になる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらも対象で、入院・外来のいずれの場面でも算定候補になり得ます。ただし染色標本加算は単独では算定できず、必ずD002尿沈渣(鏡検法)を算定していることが前提になります。尿沈渣(鏡検法)を算定していない月に、染色標本加算だけを算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
在宅診療をしているクリニックでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは資料の範囲だけでは断定できない部分です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅医療の場面を前提にした特別な規定は確認できていません。在宅で採取した検体を院内に持ち帰って検査する場合の取り扱いも含めて、自院の状況に当てはめる際は確認が必要な項目として扱ってください。
対象患者の考え方
染色標本加算そのものに傷病名の限定は点数表の条文上ありません。ただし後述する支払基金の統一事例では、染色標本加算の算定が原則として認められやすい傷病名と、原則として認められにくい傷病名が具体的に示されています。院内でカルテ記載・傷病名登録を行う際の確認材料として押さえておきたいポイントです。
みらい(新人医療事務)
ほかにも似たような検体検査まわりの加算ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
同じ検体検査の区分では、外来で検査結果を迅速に説明した場合に算定候補になる外来迅速検体検査加算などもあります。染色標本加算とは算定対象の検査そのものが異なりますが、検体検査に関する加算をまとめて確認する際にあわせてチェックされることが多い加算です。
点数・コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどう組み立てられているんですか?
あおい(元・医療事務)
基本になるD002尿沈渣(鏡検法)が27点、そこに染色標本による検査を行った場合の染色標本加算9点が上乗せされる形です。表にすると次のようになります。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| D002 | 尿沈渣(鏡検法)(基本点数) | 27点 |
| D002 注3 | 染色標本加算(染色標本による検査を行った場合) | 9点 |
| 合計(染色標本使用時の目安) | 尿沈渣(鏡検法)+染色標本加算 | 36点 |

みらい(新人医療事務)
医科診療行為マスターの具体的なコード番号ってどこかで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
コード番号は医科診療行為マスターに登録されていますが、この記事では一次資料で確認できた範囲の点数と算定要件だけをお伝えします。マスターコードの具体的な数字を自院のレセコンで確認したいときは、使用しているレセプトシステムの医科診療行為マスターで区分番号D002・染色標本加算を検索して照合することをおすすめします。
施設基準・届出の有無
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出とか、事前の手続きって必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲では、染色標本加算について施設基準の届出を求める規定は確認できていません(自院の届出状況は別途確認が必要です)。これは「誰でも無条件で算定できる」という意味ではなく、D002尿沈渣(鏡検法)の算定要件そのものを満たしていることが前提になります。一次資料(留意事項通知)では、尿沈渣(鏡検法)は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるとされていて、委託契約に基づき院外で実施された検査の結果報告を受けるだけの場合は算定できないとされています。
みらい(新人医療事務)
外部の検査センターに出している場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
原則としては院内実施が前提ですが、例外規定もあります。委託契約に基づいて院内で実施された検査で結果が速やかに報告される場合や、尿路系疾患が強く疑われる患者について診療所が衛生検査所等に委託し、採尿後4時間以内に検査を行い結果が速やかに報告された場合は、所定点数を算定できるとされています。自院の検査体制(院内実施か委託か、委託ならどの条件を満たしているか)は、届出の要否とは別に確認が必要な項目です。
院内実施が原則という点に注意
染色標本加算はD002尿沈渣(鏡検法)の注加算のため、尿沈渣(鏡検法)自体が院内実施を前提とした算定要件を持っています。委託検査中心の医療機関では、この要件を満たすかどうかの確認が特に重要です。施設基準の届出の要否を含め、自院の算定要件は個別に確認してください。
算定タイミング・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
同じ検体で別の検査もあわせて行った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、同一検体についてD002尿沈渣(鏡検法)と区分番号D017に掲げる排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査をあわせて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定するとされています。両方をそのまま合算して請求できるわけではない、という点は確認しておきたいところです。
みらい(新人医療事務)
染色標本加算自体の算定回数に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲では、染色標本加算そのものに月何回までといった明示的な回数制限の記載は確認できていません。あくまでD002尿沈渣(鏡検法)を算定した際に、染色標本による検査を行ったかどうかで判断される加算という位置づけです。回数の考え方についても、資料に明記のない部分は「確認が必要」として扱ってください。
D017との併算定に注意
同一検体でD017排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査をあわせて実施した場合は、主たる検査の所定点数のみの算定となります。染色標本加算を含めて重複計上していないか、レセプト作成時に確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に何か変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料(医科点数表 別表第一・第3部 検査)の範囲では、D002尿沈渣(鏡検法)の点数27点、染色標本加算9点、および院内実施の要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。支払基金の統一事例(染色標本加算の算定が認められやすい傷病名・認められにくい傷病名の整理)も令和6年6月28日公表分が最新の確認内容です。今後の改定通知や疑義解釈で変更が示された場合は、その都度一次資料で確認する必要があります。
支払基金統一事例で示された傷病名の整理(令和6年6月28日公表)
染色標本加算の算定が原則として認められる傷病名として、尿路感染症(疑い含む)、腎炎(疑い含む)、腎盂腎炎、腎(機能)障害(疑い含む)、腎不全(疑い含む)、慢性腎臓病、特発性腎出血、前立腺炎が示されています。一方、急性上気道炎、高血圧症、腹痛については原則として認められないとされています。これは審査上の取り扱いの整理であり、個別の症例すべてを機械的に決めるものではありません。自院のカルテ記載・傷病名との整合性を確認する材料として参照してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どの順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
まずはD002尿沈渣(鏡検法)自体を算定しているかどうかからです。そこから染色標本加算の候補かどうかを順番に確認していきましょう。
自院で確認する順番
- D002尿沈渣(鏡検法)を算定している患者かどうかを確認する
- その検査で染色標本による観察を実際に行ったかどうかをカルテ・検査記録で確認する
- 傷病名が支払基金統一事例で示された「認められやすい」区分に該当するか、あるいは「認められにくい」区分に該当していないかを確認する
- 検査が院内実施かどうか、委託の場合は例外要件(4時間以内の実施・速やかな報告等)を満たしているかを確認する
- 同一検体でD017細菌顕微鏡検査を併せて行っていないか(併算定の重複がないか)を確認する
- 上記が整理できたら、算定候補として院内の確認フロー・レセプトチェックに進める

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある見落としってどんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
よく挙がるのは、D002尿沈渣(鏡検法)は算定しているのに、実際には染色標本による観察を行っていたにもかかわらず加算の入力自体を忘れているケースです。逆に、無染色観察のみだったのに加算を付けてしまっているケースも見られます。
取り漏れ・過剰算定の両方向を確認
染色標本加算は「算定し忘れ」だけでなく「本来は無染色観察だったのに加算してしまう」逆方向のミスも起こり得ます。検査記録に染色標本による観察を行った旨が残っているかどうかを、レセプト確定前にあわせて確認する運用がおすすめです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認しておきたいんですが、染色標本加算だけを単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
できません。染色標本加算はD002尿沈渣(鏡検法)の注加算という位置づけなので、尿沈渣(鏡検法)を算定していることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出をしていない診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の範囲では、染色標本加算について施設基準の届出を求める規定は確認できていません。ただし自院の届出状況は別途確認が必要です。加えて、D002尿沈渣(鏡検法)の算定要件(院内実施が原則という点など)は満たす必要があるため、検査の実施体制もあわせて確認しておくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
委託の検査センターを使っている場合はあきらめるしかないんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
一律にあきらめる必要はありません。委託契約に基づいて院内で実施され結果が速やかに報告される場合や、尿路系疾患が強く疑われる患者について採尿後4時間以内に検査・速やかな報告がなされる場合など、例外的に算定できるとされているケースもあります。自院の委託の形態がどの条件に当てはまるかは、確認が必要な項目です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や検査の実施体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。