みらい(新人医療事務)
先輩、病理の会計で「液状化検体細胞診加算」という項目があるんですけど、これって前に教えてもらった「婦人科材料等液状化検体細胞診加算」と同じものですか?名前がすごく似ていて混乱しています…。
あおい(元・医療事務)
似ていますが、別の加算ですよ。今回の「液状化検体細胞診加算」は85点の加算で、区分番号N004「細胞診(1部位につき)」の「2 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの」に対応する加算です。令和8年度(2026年度)の診療報酬点数表でも、注2として規定されています。以前お話しした婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点)は「1 婦人科材料等によるもの」に対応する別の加算なので、区分番号がそもそも違います。
みらい(新人医療事務)
区分が違うのは分かりました。でも、どちらも「固定保存液に回収した検体から標本を作製する」加算ですよね?何が一番の違いなんですか?
あおい(元・医療事務)
一番の違いは「算定候補になるタイミング」です。婦人科材料等液状化検体細胞診加算は「採取と同時」に標本作製・診断した場合が条件でした。今回の液状化検体細胞診加算(85点)はその逆で、採取と同時ではなく、いったん診断した後に再検が必要になった場合に限って算定候補になります。ここを混同すると取り違えの原因になるので、順番に確認していきましょう。
点数区分を確認する
みらい(新人医療事務)
まず土台になる点数から教えてください。
あおい(元・医療事務)
N004「細胞診(1部位につき)」には2つの区分があります。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 婦人科材料等によるもの | 150点 |
| 2 | 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの | 190点 |
あおい(元・医療事務)
このうち「2 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの」を実施し、かつ後述する条件を満たした場合に、液状化検体細胞診加算として85点が所定点数に加算されます。
| 加算名 | 対象区分 | 加算点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 液状化検体細胞診加算 | N004の「2 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの」 | 85点 |
| (参考)婦人科材料等液状化検体細胞診加算 | N004の「1 婦人科材料等によるもの」 | 45点 |

みらい(新人医療事務)
区分2の「穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等」って、具体的にどんな検査を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(留意事項通知)では、次のように説明されています。
一次資料の引用(留意事項通知・区分2の範囲)
「2」の「穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等」とは、喀痰細胞診、気管支洗浄細胞診、体腔液細胞診、体腔洗浄細胞診、体腔臓器擦過細胞診及び髄液細胞診等を指す。
あおい(元・医療事務)
つまり婦人科材料に限らず、喀痰や体腔液など幅広い検体が対象になる区分です。液状化検体細胞診加算(85点)は、このどれかの検体について、後述する条件を満たしたときに算定候補になります。
算定できるタイミングが最大のポイント
みらい(新人医療事務)
「後述する条件」が気になります。具体的にはどんな条件なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(留意事項通知)では、この加算について次のように定められています。
一次資料の引用(留意事項通知・算定要件)
「注2」に規定する液状化検体細胞診加算は、採取と同時に作製された標本に基づいた診断の結果、再検が必要と判断され、固定保存液に回収した検体から再度標本を作製し、診断を行った場合に限り算定できる。採取と同時に行った場合は算定できない。
あおい(元・医療事務)
条件は3段階に分けて考えると分かりやすいです。まず①採取と同時に作製した標本で一度診断していること。次に②その診断結果、再検が必要と判断されたこと。そして③固定保存液に回収しておいた検体から、あらためて標本を作製して再度診断したこと。この3つがそろって初めて、液状化検体細胞診加算の算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
ということは、最初から「保存液に入れた検体だけ」を使って標本を作った場合は対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうですね。あくまで「採取と同時に作った標本で一度診断し、その後に再検が必要になった」という経緯が前提です。逆に、採取したその場で固定保存液から標本を作製して診断した場合は、この加算の対象にはなりません。
似た名前の加算・逆の条件に注意
「液状化検体細胞診加算(85点・区分2向け)」は再検時に限って算定候補になる加算です。「婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点・区分1向け)」は反対に「採取と同時」が条件で、後日の再検査には使えません。名称が似ているため、レセプトチェックの際は区分番号(1か2か)とタイミング(同時か再検か)の両方を確認してください。
みらい(新人医療事務)
「採取」という言葉が何を指すのかも気になります。今回の再検で使うのは前に採取した検体ですよね?
あおい(元・医療事務)
良いところに気づきましたね。実はこの点について、厚生労働省の疑義解釈でも確認されています。
一次資料の引用(疑義解釈・平成24年度)
質問: N004細胞診の注の液状化検体細胞診加算の通知に「採取と同時に作製された標本に基づいた診断の結果、再検が必要と判断され、固定保存液に回収した検体から再度標本を作製し、診断を行った場合に限り算定できる。採取と同時に行った場合は算定できない。」とあるが、この「採取」とは、どの項目を示しているのか。 回答: 採取とは、医科点数表のどの項目を算定するかに関わらず、患者から検体としての細胞をとることをいう。
あおい(元・医療事務)
つまり「採取」は、どの検査項目で算定したかに関係なく、患者さんから細胞を採ること自体を指す、という考え方です。この疑義解釈は平成24年度公表のものですが、今回確認した令和8年度の留意事項通知の条文と矛盾する内容ではなく、当サイトが収集している一次資料の範囲では、この解釈の前提が変わったことを示す記載は見当たりません。
併算定・回数の考え方
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんで、何回も算定できるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
N004細胞診自体は1部位につき算定する点数です。液状化検体細胞診加算も、区分2の細胞診に対して「再検が必要と判断されるたびに」発生し得る加算という位置づけになります。ただし実務上は、同一部位・同一検体について繰り返し再検が必要になるケースは限られますので、カルテと病理報告書を突き合わせて、再検の経緯が記録されているかを1件ずつ確認するのが基本です。
みらい(新人医療事務)
特殊染色加算とはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
特殊染色加算は、区分「2」の細胞診について特殊染色を併せて行った場合に、1部位ごとに50点を加算する規定です。液状化検体細胞診加算とは加算の趣旨が異なり、標本作製の方法(特殊染色をしたかどうか)に着目した加算です。区分2の細胞診に両方の加算がそれぞれの条件を満たせば、組み合わせて検討する余地はありますが、当サイトが収集している一次資料の範囲では、それぞれの算定要件は別個に確認する必要があります。
区分をまたぐ加算の混同に注意
区分「1 婦人科材料等」と区分「2 穿刺吸引細胞診等」は、それぞれ別の加算体系(45点加算・85点加算・特殊染色加算)を持っています。どの区分の細胞診に、どの加算が対応するのかを取り違えないよう、レセプト入力時に区分番号から確認する習慣をつけると安全です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料(令和8年度点数表・留意事項通知、および平成24年度の疑義解釈)の範囲では、液状化検体細胞診加算(85点)について、点数や算定要件の変更を示す記載は確認されていません。前回改定(令和6年度)時点の資料が当サイトの収集範囲に十分含まれていないため、「変更なし」と断定するのではなく、「今回参照した一次資料の中では変更点が見当たらなかった」という確認範囲としてお伝えします。
改定差分の確認状況(確認日: 2026年7月)
令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、液状化検体細胞診加算の新設・廃止・点数変更・算定要件変更は確認されていません。平成24年度の疑義解釈(「採取」の定義)も、今回確認した条文と矛盾せず参照可能な状態です。前回改定からの変更を詳しく確認したい場合は、厚生労働省が公表する「個別改定項目について」等の資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院で算定候補かどうかを確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- N004細胞診の「2 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの」を実施したかを確認する
- 採取と同時に作製した標本で、一度診断を行っていたかを確認する
- その診断結果、再検が必要と判断されたかを確認する
- 固定保存液に回収した検体から標本を再作製し、あらためて診断したかを確認する
- 上記をすべて満たしていれば、液状化検体細胞診加算(85点)の算定候補として整理する

みらい(新人医療事務)
図を見ると、③で「再検が必要と判断された」が抜けると、そこで算定候補から外れるんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。カルテ・病理報告書に「再検の判断」と「再検の実施日」の両方が記録として追える状態にしておくと、後から確認しやすくなります。
院内で確認しておきたいこと
細胞診の標本作製・再検を院内の臨床検査室で行っているか、外部の衛生検査所へ委託しているかによって、記録の残し方や算定主体が変わることがあります。委託先とのやり取りで「再検が必要と判断された経緯」がカルテ・報告書上で追える運用になっているか、一度確認しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
この加算だけを単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、液状化検体細胞診加算は、N004細胞診の「2 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの」(190点)に対する加算ですので、区分2の細胞診の算定が前提になります。単独では算定できません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算に関して施設基準の届出は求められていません。ただし、他の病理診断関連加算とは要件が異なるため、組み合わせを検討する際は個別に確認してください。
みらい(新人医療事務)
婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点)とはどう違うんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
婦人科材料等液状化検体細胞診加算は区分1(婦人科材料等)向けで「採取と同時」の標本作製が条件でした。今回の液状化検体細胞診加算(85点)は区分2(穿刺吸引細胞診等)向けで、採取と同時ではなく再検時の標本作製が条件になり、タイミングの条件が逆になっている点が最大の違いです。
みらい(新人医療事務)
外部の衛生検査所に標本の再作製を委託している場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
委託の形態によって、算定できる保険医療機関やカルテ・報告書での記録の残し方が変わってくる可能性があります。この点は個別の運用に関わる確認になりますので、委託契約の内容や自院の算定実務と照らし合わせて確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や再検の記録状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠としています。
参考資料(令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・区分番号N004 細胞診) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・区分番号N004関連部分)
- 令和8年度診療報酬改定に係る医科診療行為マスターの変更等について(社会保険診療報酬支払基金) https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/tensuhyo/kihonmasta/kihonmasta_01.files/r08kaitei_20260401_s.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その11)医科 問9(平成24年度・「採取」の定義について) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html#qa-2032