みらい(新人医療事務)
院長から「うちの有床診療所、栄養管理実施加算って取れるんじゃないか」って言われたんですけど、正直よくわかっていなくて…。教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですよ。まず結論から言うと、栄養管理実施加算は算定候補になり得る加算です。ただし対象になる入院基本料や施設基準がはっきり決まっているので、順番に確認していきましょう。令和8年度の告示・留意事項通知をもとにお話しします。
みらい(新人医療事務)
お願いします! そもそも、どういう患者さんに関係する加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
対象は、有床診療所入院基本料(区分番号A108)または有床診療所療養病床入院基本料(区分番号A109)を算定する診療所に入院している患者さんです。告示・留意事項通知には「区分番号A108に掲げる有床診療所入院基本料又は区分番号A109に掲げる有床診療所療養病床入院基本料を算定する診療所である保険医療機関に入院している患者について算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「診療所」って明記されているんですね。うちは有床診療所なので、まずそこは条件に合っていそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。逆に言うと、病院(有床診療所以外の入院基本料)にはこの区分の栄養管理実施加算は使えません。この点は最初に確認しておきたいポイントです。
この加算はどんな加算?
みらい(新人医療事務)
そもそも何を評価している加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
入院患者ごとに作成された栄養管理計画に基づいて、多職種が共同で栄養管理を行っていることを評価する加算です。留意事項通知には「栄養管理実施加算は、入院患者ごとに作成された栄養管理計画に基づき、関係職種が共同して患者の栄養状態等の栄養管理を行うことを評価したものである。当該加算は、入院患者であって、栄養管理計画を策定し、当該計画に基づき、関係職種が共同して栄養管理を行っている患者について算定できる。当該診療所以外の管理栄養士等により栄養管理を行っている場合は、算定できない」とあります。
みらい(新人医療事務)
「関係職種が共同して」ってところが気になります。管理栄養士だけで完結する話じゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。管理栄養士を中心にしながら、医師や看護師など複数の職種が関わって栄養管理を行っていることが評価のポイントです。当該診療所以外の管理栄養士が関わっているだけでは算定候補になりません。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
気になる点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では「地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者について、栄養管理実施加算として、1日につき12点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号B001の10に掲げる入院栄養食事指導料は、算定できない」とされています。1日につき12点、と覚えておいてください。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 栄養管理実施加算 |
| 点数 | 1日につき12点 |
| 対象医療機関 | 有床診療所入院基本料(A108)/有床診療所療養病床入院基本料(A109)を算定する診療所 |
| 対象患者 | 上記入院基本料を算定し、栄養管理計画を策定・実施している入院患者 |
| 併算定の扱い | 入院栄養食事指導料(区分番号B001の10)は同時に算定できない |

みらい(新人医療事務)
併算定できない項目があるんですね。入院栄養食事指導料と両方取れると思っていました。
あおい(元・医療事務)
資料上、その組み合わせは明確に算定できないとされています。レセプトを作るときは、この加算を算定した日に入院栄養食事指導料を重ねて請求していないか、確認が必要です。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準通知には「栄養管理実施加算の基準。栄養管理を担当する常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること」と示されています。
みらい(新人医療事務)
常勤で1名、ですね。非常勤の管理栄養士だけだと基準を満たさない、という理解でいいですか?
あおい(元・医療事務)
資料の文言上は「常勤の管理栄養士」とされています。非常勤配置のみで足りるかどうかは、資料の範囲では明確に断定できないので、実際の配置形態については地方厚生局への確認が必要です。
見落としやすいポイント
「管理栄養士がいる」だけでは足りません。常勤かどうか: 非常勤のみの配置だと基準を満たさない可能性があります。多職種連携の実施記録: 医師・看護師等が共同で栄養管理を行っている記録が残っているかも確認しておきたいところです。
届出
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていたら、それだけで算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準に適合しているだけでは算定候補にはなりません。地方厚生局長等への届出が必要です。届出関係の通知では、有床診療所の栄養管理実施加算の届出には所定の様式(様式12の8)を用いることとされています。この様式には、栄養管理を担当する常勤の管理栄養士の氏名・勤務時間・備考を記載する欄が設けられています。
みらい(新人医療事務)
届出が済んでいないと、施設基準を満たしていても算定候補にはならないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。「体制は整っているが届出がまだ」という状態はよくあるので、届出済みかどうかは必ず確認してください。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、入院初日に栄養管理計画を策定できないケースについてです。留意事項通知には「救急患者や休日に入院した患者など、入院日に策定できない場合の栄養管理計画は、入院後7日以内に策定したものについては、入院初日に遡って当該加算を算定することができる」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
7日以内に計画を作れば、入院初日にさかのぼれるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただしこれは「7日以内に策定した場合」という条件付きです。策定が遅れるほど、遡りの取り扱いが認められるかの確認が必要になります。
みらい(新人医療事務)
食事を提供していない患者さんの場合はどうなりますか?中心静脈栄養だけの患者さんもいますよね。
あおい(元・医療事務)
その点についても留意事項通知に記載があります。「当該加算は、食事を供与しておらず、食事療養に係る費用の算定を行っていない中心静脈注射等の治療を行っている患者であっても、栄養管理計画に基づき適切な栄養管理が行われている者であれば算定対象となること」とされています。食事の提供がないことだけを理由に対象外と判断しないよう注意してください。
算定タイミングの確認ポイント
栄養管理計画の策定が入院から7日を超えている場合や、栄養管理を行っているのが当該診療所以外の管理栄養士等である場合は、算定候補と言い切れません。日々の記録と計画書の作成日を突き合わせて確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲で確認したところ、栄養管理実施加算そのものの点数・対象医療機関・施設基準(常勤管理栄養士1名以上配置)について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(一次資料ベース)。有床診療所入院基本料の注10に規定する12点の加算という位置づけは、令和8年度の告示・留意事項通知でも維持されています。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、ということが逆に安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし、同じ「栄養管理」という言葉を含む加算が令和8年度にも別区分として存在しているので、そちらとの混同には注意してください。次の章で説明します。
前回→今回の位置づけ
令和6年度: 有床診療所入院基本料等の注加算として12点。令和8年度: 同じく有床診療所入院基本料等の注加算として12点(一次資料の範囲で変更未確認)。名称・点数・対象医療機関の骨格は継続しています。
混同しやすい近縁の加算に注意
みらい(新人医療事務)
「栄養管理」って名前の加算、他にもいくつかある気がします。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。名前が似ている加算がいくつかあるので、区別して確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
どんな加算があるんですか?
あおい(元・医療事務)
まず入院栄養管理体制加算です。こちらは病棟に常勤管理栄養士を配置して栄養管理体制を確保していることを評価するもので、入院初日・退院時に算定する仕組みです。対象となる入院基本料の区分や算定回数の考え方が、栄養管理実施加算(1日につき算定)とは異なります。次に周術期栄養管理実施加算です。こちらは手術の前後に必要な栄養管理を行い、声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術を行った場合に270点を加算する手術加算で、名称は似ていますが対象となる麻酔の種類も点数もまったく別の加算です。さらに経腸栄養管理加算という加算もあります。こちらは療養病棟入院基本料を算定する患者について、経腸栄養を開始した場合に入院中1回、7日を限度として1日300点を加算するもので、栄養管理実施加算とは対象の入院料・算定回数・点数がすべて異なります。
加算名の取り違えに注意
「栄養管理実施加算」「入院栄養管理体制加算」「周術期栄養管理実施加算」「経腸栄養管理加算」は名称が似ていますが、対象となる入院基本料・算定単位・点数がそれぞれ異なります。レセプトの摘要欄や届出書類には、正式名称と区分番号を確認したうえで記載してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの診療所で何から確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいです。
自院で確認する順番
- 有床診療所入院基本料(A108)または有床診療所療養病床入院基本料(A109)を算定しているか確認する
- 栄養管理を担当する常勤の管理栄養士が1名以上配置されているか確認する
- 入院患者ごとに栄養管理計画を作成し、多職種が共同で栄養管理を行っている記録があるか確認する
- 地方厚生局長等への届出(様式12の8)を提出済みか確認する
- 同日に入院栄養食事指導料を重ねて算定していないか確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、うちの事務長にもそのまま相談できそうです。
あおい(元・医療事務)
施設基準を満たしていても届出が漏れているケース、逆に届出はしているのに日々の記録が追いついていないケースもあるので、体制と記録の両方を見ていくのがポイントです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよく見落とされるところってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ
常勤要件の見落とし: 管理栄養士を配置していても、非常勤のみで常勤者が不在のケースがあります。計画策定の遅れ: 救急入院などで栄養管理計画の策定が入院後7日を超え、遡り算定の要件を満たせないケースがあります。併算定の重複: 入院栄養食事指導料と同日に重ねて算定してしまうケースがあります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問させてください。非常勤の管理栄養士しかいない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の文言は「常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること」とされています。非常勤配置のみで足りるかどうかは資料の範囲では明確に判断できないため、要確認としておくのが安全です。
みらい(新人医療事務)
入院初日に栄養管理計画を作れなかった場合は、もう算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
入院後7日以内に策定すれば、入院初日に遡って算定できるとされています。ただし7日を超えた場合の扱いは資料の範囲では確認できないため、こちらも要確認です。
みらい(新人医療事務)
病院(有床診療所ではない入院基本料)は対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は有床診療所入院基本料(A108)または有床診療所療養病床入院基本料(A109)を算定する診療所とされています。病院の入院基本料には、この区分の栄養管理実施加算は使えません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。