みらい(新人医療事務)
先輩、検体検査の加算コードを見ていたら「嫌気性培養加算」というのが出てきたんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
区分番号D018細菌培養同定検査に対する加算のひとつですよ。同じ検体で一般培養と一緒に嫌気性培養を行った場合に、所定点数へ137点を上乗せできる加算です。令和8年度(2026年度)の点数表でもこの点数が定められています。
みらい(新人医療事務)
「一般培養と一緒に」というのがポイントなんですね。単独で嫌気性培養だけ行った場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは誤解しやすいところなので、この記事でしっかり整理していきますね。対象・点数・注意点の順に見ていきましょう。
D018細菌培養同定検査と嫌気性培養加算とは
みらい(新人医療事務)
そもそもD018細菌培養同定検査って、どういう検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
検体から細菌を培養して、どんな菌がいるかを同定する検査です。検体を採取した部位によって点数が分かれていて、口腔・気道・呼吸器、消化管、血液・穿刺液、泌尿器・生殖器、その他の部位、簡易培養の6区分があります。嫌気性培養加算は、この1〜6のどの区分で検査を行った場合でも、条件を満たせば追加できる加算です。
みらい(新人医療事務)
どの区分にも上乗せできるということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし単独の加算コードとして独立して算定するのではなく、D018の1〜6のいずれかを算定したうえで、条件を満たしたときに137点を加算する、という構造です。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示。D018細菌培養同定検査の注1)には「1から6までについては、同一検体について一般培養と併せて嫌気性培養を行った場合は、嫌気性培養加算として、137点を所定点数に加算する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「同一検体について一般培養と併せて」というのが必須条件なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、ここが一番の確認ポイントです。次の章で対象や点数を具体的に見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
この加算、どんな医療機関で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
D018細菌培養同定検査を実施できる医療機関であれば、診療所・病院を問わず算定候補になります。入院・外来のどちらの患者でも対象です。在宅療養の患者を対象にした加算ではなく、検体検査そのものに紐づく加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
特定の疾患の患者に限られる、というわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。対象患者を限定する規定は、当サイトが確認できた一次資料の範囲では見当たりません。実際に一般培養と嫌気性培養を同一検体に対して行ったかどうか、という検査の実施内容で決まる加算です。
確認ポイント: 対象は診療所・病院どちらも
入院・外来ともに対象: D018を算定する入院・外来患者いずれも対象になり得ます。 特定疾患の縛りはなし: 当サイトが確認できる一次資料の範囲では、対象疾患を限定する記載はありません。 在宅医療の加算ではない: 検体検査(D018)に付随する加算であり、在宅療養指導管理料などとは別枠です。
点数の仕組み(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数の全体像を見せてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
D018本体の点数と、嫌気性培養加算の位置づけを表にまとめました。
| 区分 | 検体・内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| D018「1」 | 口腔、気道又は呼吸器からの検体 | 180点 |
| D018「2」 | 消化管からの検体 | 200点 |
| D018「3」 | 血液又は穿刺液 | 240点 |
| D018「4」 | 泌尿器又は生殖器からの検体 | 190点 |
| D018「5」 | その他の部位からの検体 | 180点 |
| D018「6」 | 簡易培養 | 60点 |
| 注1加算 | 嫌気性培養加算(1〜6に加算) | +137点 |
| 注2加算(参考) | 真菌培養加算(1〜6に加算) | +122点 |
みらい(新人医療事務)
嫌気性培養加算は、あくまで「1〜6」の点数に上乗せする加算で、単独では算定しないということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。同じ注に真菌培養加算(122点)という兄弟のような加算もあります。こちらは同一検体で一般培養と真菌培養を併せて行った場合の加算で、真菌培養加算として別ページで整理しています。嫌気性培養加算と真菌培養加算は同時に算定候補になることもあります。

みらい(新人医療事務)
図で見ると、D018の点数に嫌気性培養加算137点が積み上がるイメージがよく分かります。
あおい(元・医療事務)
そうですね。では次に、施設基準や届出が必要かどうかを確認していきましょう。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
加算というと施設基準の届出が必要なイメージがあるんですが、嫌気性培養加算もそうですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、嫌気性培養加算そのものに専用の施設基準や事前の届出を求める規定は確認できていません。D018細菌培養同定検査を実施できる体制があり、実際に同一検体で一般培養と嫌気性培養を併せて行っていれば、算定要件を満たす候補になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでも安心して算定していい、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは言い切れません。「届出が不要そうだから何も確認しなくていい」ではなく、実際に嫌気性培養を実施した記録が残っているか、検査部門・外部委託先とのやり取りで嫌気性培養の実施が確認できるかを、自院で必ず確認してください。届出の要否については、最終的に地方厚生局への確認も含めて自院で判断することをおすすめします。
届出の考え方
届出が必須の施設基準加算ではないとしても、「嫌気性培養加算=無条件で算定できる」という意味ではありません。同一検体での一般培養との併施という算定要件を、検査記録で確認できることが前提になります。
算定タイミング・除外規定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
一番大事なのは、「嫌気性培養だけを行った場合」は加算の対象にならない、という除外規定です。厚生労働省の留意事項通知(D018細菌培養同定検査に関する取扱い)には「嫌気性培養又は真菌培養のみを行った場合は、1から6までの所定点数のみ算定し、注1又は注2の加算は算定できない」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
つまり、一般培養をせずに嫌気性培養だけをオーダーしたケースでは、137点の加算は算定候補にならないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。検査部門への依頼内容が「嫌気性培養のみ」だったのか、「一般培養と嫌気性培養を併せて」だったのかを、検査依頼票や検査結果報告書で確認する必要があります。同じように、真菌培養だけを行った場合も注2の真菌培養加算は算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
レセプトの記載でも何か注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。診療報酬明細書の記載要領に関する通知(別表Ⅴ)では、嫌気性培養加算を算定した場合は摘要欄(「検査・病理」欄)に略号「嫌培」を記載する取扱いが示されています。算定した際は、この記載も忘れずに行ってください。
よくある取り漏れ
併算定の記録漏れ: 一般培養と嫌気性培養を同一検体で行った記録が、検査結果報告書に明確に残っていないケース。 単独実施との混同: 嫌気性培養のみを依頼したケースを、うっかり注1加算の対象として算定してしまうケース。 摘要欄記載の漏れ: 加算を算定したのに、レセプトの摘要欄に略号「嫌培」の記載が漏れているケース。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、嫌気性培養加算の点数(137点)や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記載は確認できていません(確認日: 2026年7月)。点数・算定要件ともに令和8年度時点の一次資料で確認できる内容を、この記事ではそのまま整理しています。
みらい(新人医療事務)
「確認できていない」というのは、変更が全くない、と言い切れるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。当サイトが参照できる資料の範囲での確認結果、という意味です。改定の詳細な経緯まで確認したい場合は、厚生労働省が公表している個別改定項目の資料や、告示・通知の原文にあたることをおすすめします。
前回改定との比較の考え方
令和6年度(2024年度)改定: 当サイトが確認できる一次資料の範囲では、嫌気性培養加算に関する固有の変更点は見当たりません。 令和8年度(2026年度)改定時点: 137点(D018の1〜6に加算)という点数・算定要件が、現行の告示・留意事項通知で確認できます。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院がこの加算の算定候補になるか、どう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくとスムーズです。
自院で確認する順番
D018細菌培養同定検査(1〜6のいずれか)を算定する検体があるか確認する その検体について、一般培養と嫌気性培養を併せて実施したか、検査依頼票・結果報告書で確認する 嫌気性培養(または真菌培養)のみの実施ではないか、単独実施のケースを除外する 算定候補であれば、レセプト摘要欄(検査・病理欄)に略号「嫌培」を記載する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、単独実施のケースを取り違えることもなさそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特にステップ2と3は、検査部門との連携が重要なポイントになります。院内で培養検査を行っている場合も、外部の検査機関に委託している場合も、依頼内容が「一般培養+嫌気性培養」なのか「嫌気性培養のみ」なのかを、報告書の記載で必ず確認してください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうな点をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
嫌気性培養加算は、D018の「6 簡易培養」にも加算できますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1は「1から6までについては」と定めているため、簡易培養(6)も含めて対象になり得ます。ただし簡易培養で実際に一般培養と嫌気性培養を併せて実施しているかどうかは、個別の検査内容によります。自院の検査運用で確認してください。
みらい(新人医療事務)
真菌培養加算と嫌気性培養加算は同時に算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
同一検体で一般培養・嫌気性培養・真菌培養をすべて併せて実施していれば、注1の嫌気性培養加算と注2の真菌培養加算がどちらも算定候補になり得ます。真菌培養加算については真菌培養加算のページで詳しく整理しているので、あわせて確認してみてください。
みらい(新人医療事務)
検査を外部の検査機関に委託している場合でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
外部委託かどうかを理由に一律で対象外になる、という記載は当サイトが確認できた資料の範囲ではありません。ただし、委託先からの報告書で「一般培養と嫌気性培養を併せて実施した」ことが確認できるかどうかは、自院で必ずチェックしてください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。検査の実施内容や記録の状況を整理しながら、確認すべきポイントを一緒に見ていけます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。