導入初期加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
「導入初期加算」って名前だけ見ると何の加算か分かりにくいんですが、どういう加算ですか?
あおい(元・医療事務)
在宅自己注射指導管理料(C101)の注2・注3に規定されている加算です。患者さんが新しく在宅自己注射を始めるときの最初の指導に対して、初回指導を行った月から3か月を限度に、月1回580点を所定点数に加算できます。
みらい(新人医療事務)
「新しく始める患者さん」が対象なんですね。すでに何年も自己注射を続けている患者さんは対象外ですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。導入初期加算は「新たに在宅自己注射を導入した患者」に対する加算です。継続してすでに自己注射を行っている患者さんの通常の指導には算定できません。この区別が最初のポイントです。
みらい(新人医療事務)
なるほど。在宅自己注射指導管理料そのものと、加算の関係も整理したいです。
あおい(元・医療事務)
在宅自己注射指導管理料は、自己注射の内容や回数に応じて所定点数(例えば1以外の場合で月27回以下なら650点)が決まります。導入初期加算は、その所定点数に「上乗せ」する形で加算する仕組みです。単独では算定できません。
対象になるのはどんな患者・場面ですか?
みらい(新人医療事務)
対象患者について、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
告示の注1では、「別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者以外の患者に対して、自己注射に関する指導管理を行った場合に算定する」とされています。入院中の患者は対象外で、外来・在宅の患者が対象です。
みらい(新人医療事務)
除外されるケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。同一月に外来腫瘍化学療法診療料や外来化学療法加算を算定している患者については、在宅自己注射指導管理料自体を算定できないとされています。まずベースとなる管理料の対象患者かどうかを確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
導入初期加算に固有の要件は何かありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、「新たに在宅自己注射を導入した患者に対し、3月に限り、月1回に限り算定する」と明記されています。処方の内容に変更があった場合は、これとは別に1月を限度として1回だけ追加算定できる、という規定もあります。
導入初期加算の対象になり得る場面(令和8年度)
- 患者が新たに在宅自己注射を導入し、初回の指導を行った月から3か月以内である
- 対面診療で指導管理を行っている(オンライン診療は対象外)
- 処方内容の変更(対象注射薬の変更等)があり、当該指導を行った月から1か月以内である
点数・算定単位の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を表で確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示に基づく点数です。導入初期加算は在宅自己注射指導管理料の所定点数に上乗せする加算で、単独の点数ではありません。
| 区分 | 点数 | 算定単位(令和8年度) |
|---|---|---|
| 導入初期加算(注2・注3) | 580点 | 初回指導月から3月を限度・月1回。処方内容変更時はさらに1月を限度に1回 |
| (参考)バイオ後続品導入初期加算(注4) | 150点 | バイオ後続品初回処方月から3月を限度・月1回 |
| (参考)在宅自己注射指導管理料 複雑な場合(1) | 1,230点 | 月1回 |
| (参考)在宅自己注射指導管理料 1以外の場合・月27回以下(2イ) | 650点 | 月1回 |
| (参考)在宅自己注射指導管理料 1以外の場合・月28回以上(2ロ) | 750点 | 月1回 |

みらい(新人医療事務)
バイオ後続品導入初期加算というのもあるんですね。導入初期加算と同時に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象が異なる加算です。導入初期加算は「新たに在宅自己注射を導入した患者」への加算、バイオ後続品導入初期加算は「バイオ後続品を新たに処方した患者」への加算です。それぞれの要件に該当するかを個別に確認する必要があるので、詳しくは加算チェッカーや公式資料での確認をおすすめします。
届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した一次資料の範囲では、導入初期加算やバイオ後続品導入初期加算について、施設基準の届出を求める規定は見当たりませんでした。在宅自己注射指導管理料自体も、地方厚生局への施設基準届出を前提とする加算ではないという整理です。
みらい(新人医療事務)
届出は不要でも、何か満たすべき体制はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。在宅自己注射指導管理料の算定要件として、導入前に入院または2回以上の外来・往診・訪問診療により医師が十分な教育期間をとって指導を行うこと、指導内容を詳細に記載した文書を作成して患者に交付することが留意事項通知に定められています。届出は不要でも、この指導プロセスと記録が実質的な要件になります。
届出不要=無条件算定ではない
届出が不要とされていても、対象患者の該当性・対面診療の実施・指導内容の文書交付など、算定要件そのものは満たす必要があります。「届出がないから確認しなくてよい」わけではない点にご注意ください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
実際に算定するときに、特に注意すべきタイミングのルールを教えてください。
あおい(元・医療事務)
大きく3つあります。1つ目は「3か月・月1回」という上限です。初回指導を行った月から起算して3か月以内の期間に限り、月1回だけ算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
2つ目は何ですか?
あおい(元・医療事務)
処方内容の変更に関する規定です。処方された注射薬(特掲診療料の施設基準等の別表第九に掲げる注射薬)に変更があった場合は、注2の3か月ルールとは別に、変更に係る指導を行った月から1か月を限度として1回だけ追加の算定候補になります。ただし、留意事項通知では、先発バイオ医薬品とバイオ後続品の変更や、同一のバイオ後続品間での変更、過去1年以内に処方したことがある注射薬への変更については、この加算の対象にならないとされています。
みらい(新人医療事務)
3つ目は?
あおい(元・医療事務)
対面診療が前提という点です。留意事項通知には「導入初期加算並びにバイオ後続品導入初期加算は、対面診療を行った場合に限り、算定できる」と明記されています。在宅自己注射指導管理料そのものは情報通信機器を用いた場合(オンライン診療)の点数も定められていますが、導入初期加算はオンライン診療での算定対象には含まれていません。
算定上の注意点(令和8年度)
- 3か月・月1回の上限を超えて算定しない(処方内容変更時の追加1回を除く)
- 処方内容変更による追加算定は、対象となる変更の範囲が限定されている(バイオ医薬品間の変更や1年以内の再処方は対象外)
- 導入初期加算は対面診療の場合に限り算定候補(オンライン診療での実施分は対象外)
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが確認できる一次資料の範囲では見つかっていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。今回確認した令和8年厚生労働省告示第69号における導入初期加算の点数(580点)と算定要件の文言は、従来から継続している内容です。
みらい(新人医療事務)
それでも念のため確認したほうがいいですよね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。当サイトが保有する一次資料は令和8年度改定分が中心のため、令和6年度時点の告示・通知との一字一句の突き合わせまでは確認できていません。点数・要件に変更がないと考えられる場合でも、実際の請求前には最新の告示・留意事項通知や「個別改定項目について」で確認することをおすすめします。
改定差分の確認状況(令和8年度・前回比)
- 点数(580点): 変更は確認されていません
- 算定単位(3月限度・月1回、処方内容変更時1回追加): 変更は確認されていません
- 施設基準・届出: 令和8年度時点で届出を求める規定は確認されていません
関連加算: セットで確認しておきたい加算
みらい(新人医療事務)
併せて確認しておくといい加算はありますか?
あおい(元・医療事務)
まずベースとなる在宅自己注射指導管理料です。導入初期加算は、この管理料を算定していることが前提の加算なので、まず管理料側の算定要件を満たしているかを確認します。
みらい(新人医療事務)
他にはどうですか?
あおい(元・医療事務)
バイオ後続品を扱う患者であれば、バイオ後続品導入初期加算も確認しておくとよいです。導入初期加算とは対象・要件が異なる加算ですが、在宅自己注射指導管理料の同じ注に規定されている加算なので、混同しないよう区別して確認することが大切です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れや誤りがあれば知りたいです。
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、3か月の期間が過ぎた後も継続して加算してしまうケースや、逆に処方内容変更による追加1回の算定候補があるのに気づかず算定していないケースです。もう一つ、情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)の回に導入初期加算を算定してしまう例も見られます。
よくある取り漏れ・誤りの例
- 初回指導月から3か月を超えた月にも継続して算定してしまう
- 処方内容変更(対象となる注射薬の変更)があったのに、追加1回の算定候補を確認していない
- オンライン診療(情報通信機器を用いた場合)の回に算定してしまう
- 指導内容を記載した文書の患者交付が漏れている
自院での確認手順
みらい(新人医療事務)
実際にうちの患者さんで算定候補になるか確認するとき、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 患者が「新たに在宅自己注射を導入した」患者に該当するか確認する
- 導入前に入院または2回以上の外来・往診・訪問診療で十分な教育期間・指導を行い、指導内容を文書で交付したか確認する
- 指導管理を対面診療で行っているか確認する(オンライン診療の回は対象外)
- 初回指導を行った月から起算して3か月以内で、当月まだ導入初期加算を算定していないか確認する
- 処方内容の変更があった場合は、変更に係る追加1回の算定候補があるか確認する
- 判断に迷う場合は加算チェッカーや公式資料、審査支払機関で最終確認する

よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな質問もまとめて確認したいです。「うちは在宅自己注射の患者が少ないから関係ない」と言われることがあるんですが。
あおい(元・医療事務)
患者数の多い少ないに関わらず、新たに在宅自己注射を導入する患者が1人でもいれば算定候補になり得ます。件数が少ない医療機関ほど、確認漏れが起きやすい面もあるので、対象患者が出たタイミングで都度確認する運用がおすすめです。
みらい(新人医療事務)
「導入初期加算」と「バイオ後続品導入初期加算」、名前が似ていて混同しそうです。
あおい(元・医療事務)
どちらも在宅自己注射指導管理料の加算ですが、対象が異なります。導入初期加算は「新たに在宅自己注射を導入した患者」、バイオ後続品導入初期加算は「バイオ後続品を新たに処方した患者」への加算です。両方に該当する場面もあり得るため、それぞれの要件を分けて確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
処方内容の変更で追加算定できるケースを、もう少し具体的に知りたいです。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、処方された特掲診療料の施設基準等の別表第九に掲げる注射薬に変更があった場合が対象とされています。ただし、先発バイオ医薬品からバイオ後続品への変更、バイオ後続品間で先発バイオ医薬品が同一のものへの変更、過去1年以内に処方したことがある注射薬への変更は対象外とされています。個別の薬剤変更が該当するかは、公式資料や加算チェッカーで確認することをおすすめします。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。実際の算定判断の際は、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・別表第一 C101 在宅自己注射指導管理料) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号 C101 在宅自己注射指導管理料) 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」ページから最新版をご確認ください: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの患者さんが導入初期加算の算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。初回指導の時期や処方内容の変更有無、対面診療かどうかなどを入力すると、確認すべきポイントが見えてきます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・診療内容・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。