みらい(新人医療事務)
先輩、病理の会計で「婦人科材料等液状化検体細胞診加算」っていう項目を見つけたんですけど、これって何の加算ですか?名前が長くて全然イメージがわかなくて…。
あおい(元・医療事務)
婦人科の細胞診検査に関する加算ですね。子宮頸部などから採取した検体を「液状化検体細胞診(LBC: Liquid-Based Cytology)」という方法で処理して標本を作った場合に、通常の細胞診の点数に上乗せできる加算です。令和8年度(2026年度)の診療報酬点数表でも、区分番号N004「細胞診(1部位につき)」の注1として規定されています。
みらい(新人医療事務)
LBC…液状化検体細胞診ってどういう検査なんですか?普通の細胞診と何が違うんでしょう?
あおい(元・医療事務)
通常の細胞診は、採取した検体をスライドガラスに直接塗抹して標本を作ります。一方でLBCは、採取した検体をいったん固定保存液に回収してから、その液の中の細胞を使って標本を作製する方法です。細胞の重なりが少なく、より均一な標本ができるため、判定精度の向上が期待できる手法として婦人科がん検診などで広く使われています。今回の加算は、この「固定保存液に回収した検体から標本を作製して診断した場合」に限って算定できる、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
なるほど。じゃあ、どんな医療機関でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関を限定する規定はありません。診療所・病院のどちらでも、外来・入院のいずれの場面でも対象になり得ます。当サイトが収集している一次資料の範囲では、施設基準を満たして届け出る必要がある加算ではなく、対象医療機関側の要件(人員配置や設備の届出)は設けられていません。ただし、実際に細胞診の標本作製・診断を院内で完結できる体制(自施設での病理診断)か、外部の衛生検査所等に委託しているかによって、算定できるのがどちらの保険医療機関になるかが変わってきますので、そこは自院の運用に照らして確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
届出はいらないんですね。てっきり細胞診関係は届出が必要なものが多いと思っていました。
あおい(元・医療事務)
そうですね、病理診断管理加算のように届出が必要な加算もありますが、この婦人科材料等液状化検体細胞診加算自体は届出不要の加算として扱われています。届出が不要だからといって算定要件が緩いわけではなく、後で説明する「採取と同時に行うこと」という要件はしっかり満たす必要があります。
点数と算定単位を確認する
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
まず土台になるN004細胞診の点数を確認しておきましょう。N004「細胞診(1部位につき)」には大きく2つの区分があります。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 婦人科材料等によるもの | 150点 |
| 2 | 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの | 190点 |
あおい(元・医療事務)
このうち「1 婦人科材料等によるもの」を実施し、かつ固定保存液に回収した検体から標本を作製して診断した場合に、婦人科材料等液状化検体細胞診加算として45点が所定点数に加算されます。1部位につき45点で、区分1(150点)の算定が前提になります。
| 加算名 | 対象区分 | 加算点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 婦人科材料等液状化検体細胞診加算 | N004の「1 婦人科材料等によるもの」 | 45点 |

みらい(新人医療事務)
あれ、図を見ると右側にも似たような加算がありますね。「液状化検体細胞診加算 85点」って書いてある方です。これも婦人科材料等液状化検体細胞診加算と同じものですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、それは別の加算なので注意してください。区分「2 穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるもの」に対応する加算で、こちらは点数も85点と異なります。名前も似ているので、レセプトチェックの際に取り違えやすいポイントです。この記事のテーマである婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点)は、あくまで区分「1」にだけ対応する加算だと覚えておいてください。
似た名前の加算との違いに注意
「婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点・区分1向け)」と「液状化検体細胞診加算(85点・区分2向け)」は名称が似ていますが対象区分も点数も異なります。後者は今回のテーマではありませんので、レセプトの区分(1か2か)を必ず確認してください。
算定できるタイミングが最大のポイント
みらい(新人医療事務)
45点の加算そのものは分かりました。でも「固定保存液に回収した検体から標本を作製すれば必ず算定できる」と考えていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこが一番間違えやすいところです。一次資料(留意事項通知)では、この加算について次のように定められています。
一次資料の引用(留意事項通知)
「注1」に規定する婦人科材料等液状化検体細胞診加算は、採取と同時に行った場合に算定できる。なお、過去に穿刺又は採取し、固定保存液に回収した検体から標本を作製し診断を行った場合には算定できない。
あおい(元・医療事務)
つまり、検体を「採取したそのタイミングで」固定保存液に回収して標本作製・診断まで行った場合に限って算定できる、ということです。逆に、過去に採取・保存しておいた検体を後日になって標本作製・診断した場合は、この加算の対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
え、待ってください。「液状化検体」って保存液に入れておくものですよね?後から標本を作る方が普通なイメージがあるんですが…。
あおい(元・医療事務)
良い疑問です。実は、似た名前の「液状化検体細胞診加算(85点)」の方が、まさにその「後から」のケースに対応しています。留意事項通知ではこう説明されています。
一次資料の引用(留意事項通知・比較対象の加算)
「注2」に規定する液状化検体細胞診加算は、採取と同時に作製された標本に基づいた診断の結果、再検が必要と判断され、固定保存液に回収した検体から再度標本を作製し、診断を行った場合に限り算定できる。採取と同時に行った場合は算定できない。
あおい(元・医療事務)
まとめると、区分「1 婦人科材料等」の加算(今回のテーマ)は「採取と同時」が条件、区分「2 穿刺吸引細胞診等」の加算は逆に「採取と同時ではなく、再検時」が条件です。条件がちょうど逆になっているので、算定担当者の間でも混同が起きやすいところです。
よくある取り違えポイント
婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点・区分1)は「採取と同時」の標本作製が条件。過去に採取・保存した検体を後日標本作製した場合は、この加算の対象にはなりません(区分2の液状化検体細胞診加算とは条件が逆になる点に注意)。
併算定・回数の考え方
みらい(新人医療事務)
同じ月に何度も算定できるものなんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
N004細胞診自体は1部位につき算定する点数です。婦人科材料等液状化検体細胞診加算も、区分1の細胞診に付随する加算ですので、対象となる標本作製・診断の実施ごとに考えることになります。ただし、同一月内に同一患者へ複数回の細胞診が発生するケースは限られますので、実務上は「1回の婦人科材料等細胞診の実施につき、条件を満たせば45点」という単位で確認するのが基本です。
みらい(新人医療事務)
特殊染色を追加した場合とかはどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
特殊染色加算は、区分「2」の細胞診について特殊染色を併せて行った場合に、1部位ごとに50点を加算する規定です。区分「1 婦人科材料等」に対する特殊染色加算という規定は、当サイトが収集している一次資料の範囲では確認できていません。区分をまたいだ加算の組み合わせを検討する際は、それぞれの区分の要件を混同しないよう注意してください。
区分をまたぐ加算の混同に注意
区分「1 婦人科材料等」と区分「2 穿刺吸引細胞診等」は、それぞれ別の加算体系(45点加算・85点加算・特殊染色加算)を持っています。どの区分の細胞診に、どの加算が対応するのかを取り違えないよう、レセプト入力時に区分番号から確認する習慣をつけると安全です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料(令和8年度点数表・留意事項通知)の範囲では、婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点)について、点数や算定要件の変更を示す記載は確認されていません。前回改定(令和6年度)時点の資料が当サイトの収集範囲に含まれていないため、「変更なし」と断定するのではなく、「今回参照した一次資料の中では変更点が見当たらなかった」という確認範囲としてお伝えします。
改定差分の確認状況(確認日: 2026年7月)
令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、婦人科材料等液状化検体細胞診加算の新設・廃止・点数変更・算定要件変更は確認されていません。もし前回改定からの変更を詳しく確認したい場合は、厚生労働省が公表する「個別改定項目について」等の資料もあわせてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院で算定候補かどうかを確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- N004細胞診の「1 婦人科材料等によるもの」を実施したかを確認する
- その検体を固定保存液に回収して標本を作製したかを確認する
- 標本作製・診断が「採取と同時」に行われたか(後日の再検査ではないか)を確認する
- 上記をすべて満たしていれば、婦人科材料等液状化検体細胞診加算(45点)の算定候補として整理する

みらい(新人医療事務)
図を見ると、途中で「採取と同時ではない」となったら算定候補にならないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。標本作製・診断の実施タイミングがこの加算の一番の分かれ目になりますので、カルテと病理報告書の日付・検体採取日を照らし合わせて確認するのが確実です。
院内で確認しておきたいこと
細胞診の標本作製を院内の臨床検査室で行っているか、外部の衛生検査所へ委託しているかによって、加算の算定主体や記録の残し方が変わることがあります。委託先とのやり取りで「採取と同時」に標本作製されたことがカルテ・報告書上で追える運用になっているか、一度確認しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
この加算だけを単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、婦人科材料等液状化検体細胞診加算は、N004細胞診の「1 婦人科材料等によるもの」(150点)に対する加算ですので、区分1の細胞診の算定が前提になります。単独では算定できません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料の範囲では、この加算に関して施設基準の届出は求められていません。ただし、病理診断管理加算など、同じ病理診断の枠組みの中には届出が必要な加算も別途ありますので、他の加算とセットで確認する際は要件が混ざらないよう注意してください。
みらい(新人医療事務)
外部の衛生検査所に標本作製を委託している場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
委託の形態によって、算定できる保険医療機関やカルテ・報告書での記録の残し方が変わってくる可能性があります。この点は個別の運用に関わる確認になりますので、委託契約の内容や自院の算定実務と照らし合わせて確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省・支払基金の公式資料を根拠としています。
参考資料(令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・区分番号N004 細胞診) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号・区分番号N004関連部分)
- 令和8年度診療報酬改定に係る医科診療行為マスターの変更等について(社会保険診療報酬支払基金) https://www.ssk.or.jp/seikyushiharai/tensuhyo/kihonmasta/kihonmasta_01.files/r08kaitei_20260401_s.pdf