この加算はどんな時に関係する加算ですか
みらい(新人医療事務)
「迅速微生物核酸同定・定量検査加算」ってレセプトで見かけたことがあるんですが、正直どういう場面で算定候補になる加算なのか自信がなくて…。あおいさん、教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。これは、D023微生物核酸同定・定量検査という検査区分の中の、特定の検査結果を、検査をした当日のうちに患者さんへ説明して、さらに文書でも情報提供した場合に、100点を所定点数に加算できるというものです。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づく整理になります。
みらい(新人医療事務)
「特定の検査結果」というのがポイントなんですね。D023って、結構いろいろな検査が入っている区分ですよね?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。D023には核酸検出系の検査がたくさん並んでいるのですが、この加算の対象は「6・7・13・14」という番号の検査のうち、さらに一部の検査結果に限られています。ここを丁寧に確認しないと、算定候補かどうかの判断を誤りやすいところです。
対象になる検査結果を具体的に見てみましょう
みらい(新人医療事務)
じゃあ、6・7・13・14って具体的にはどの検査なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(医科点数表 別表第一)の記載を、そのまま確認してみましょう。まず点数表の並びはこうなっています。
| 番号 | 検査名(D023) | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 6 | マイコプラズマ核酸検出、インフルエンザ核酸検出、RSウイルス核酸検出 | 291点 |
| 7 | レジオネラ核酸検出 | 296点 |
| 13 | 百日咳菌核酸検出、肺炎クラミジア核酸検出、百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出、ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出 | 360点 |
| 14 | 抗酸菌核酸同定、結核菌群核酸検出 | 410点 |
みらい(新人医療事務)
表を見ると、6番の中にもインフルエンザとかRSウイルスとか、いろいろな検査名が並んでますね。この中のどれでも加算の対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこが今回いちばん注意してほしいところです。医科点数表の注には、こう書かれています。
一次資料の注(そのまま引用)
「注 6(マイコプラズマ核酸検出に限る。)、7、13(百日咳菌核酸検出及び百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出に限る。)又は14(結核菌群核酸検出に限る。)に掲げる検査の結果について、検査実施日のうちに説明した上で文書により情報を提供した場合は、迅速微生物核酸同定・定量検査加算として、100点を所定点数に加算する。」
あおい(元・医療事務)
つまり、同じ「6番」の中でも加算の対象になるのはマイコプラズマ核酸検出だけで、同じ表に並んでいるインフルエンザ核酸検出やRSウイルス核酸検出は、この加算の対象としては確認できていません。同じように13番も、百日咳菌核酸検出と百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出だけが対象で、同じ13番の中の肺炎クラミジア核酸検出やヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出は対象外の可能性があります。14番も、結核菌群核酸検出だけが対象で、同じ14番の抗酸菌核酸同定は対象に含まれていない書き方になっています。
みらい(新人医療事務)
同じ番号の中でも対象・対象外が分かれるって、レセプト入力のときにすごく間違えそうです…!
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは検査担当者・レセプト担当者どちらも見落としやすいポイントなので、図でも整理しておきますね。

対象になる医療機関・患者の場面
みらい(新人医療事務)
この加算って、うちみたいな診療所でも算定候補になりますか?入院患者さんでも大丈夫なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できている範囲では、診療所・病院のどちらも対象で、外来・入院どちらの患者さんについても算定候補になり得ます。在宅療養の場面(訪問診療など)は、この加算の対象としては確認できていません。
みらい(新人医療事務)
入院患者さんでも対象になるんですね。似たような検査加算で、入院患者は対象外というものもあった気がするんですが…。
あおい(元・医療事務)
よく覚えていましたね。外来迅速検体検査加算という別の加算では、留意事項通知に「現に入院中の患者については算定できない」という規定がはっきり書かれています。一方で、今回の迅速微生物核酸同定・定量検査加算の注文言には、そうした入院患者を除外する記載は見当たりません。ただし、これは別の加算どうしの話であり混同してはいけないので、自院での適用は必ず一次資料と審査支払機関側の運用で確認してください。
別の加算と混同しないための注意
迅速微生物核酸同定・定量検査加算と外来迅速検体検査加算は、名称も点数も算定対象も異なる別の加算です。どちらも「検査結果を当日説明し文書で提供する」という仕組みは似ていますが、対象検査・点数・入院/外来の扱いが違うため、レセプト入力時に取り違えないよう注意してください。
施設基準・届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、施設基準の届出とか必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できている範囲では、この加算そのものについて、事前の施設基準の届出は不要とされています。ただし、加算の対象になっている個々の検査(D023の各区分)自体に、実施方法や対象患者についての個別の留意事項が定められている場合があるので、そちらは別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、あとは運用面をきちんと整えればいいということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出が不要な分、逆に「検査実施日のうちに説明した」「文書で情報提供した」という2つの要件を、日々の運用の中できちんと実施・記録できているかが、算定候補になるかどうかの分かれ目になります。
算定のタイミングと記録で気をつけたいこと
みらい(新人医療事務)
具体的にどんなタイミングで気をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の注に書かれている条件を分解すると、次の2つがポイントです。1つ目は「検査実施日のうちに」説明すること。検査した日を過ぎてから説明した場合は、この加算の要件を満たせない可能性があります。2つ目は、口頭説明だけでなく「文書により情報を提供した」こと。渡した文書の記録や控えを残しておくことが大切です。
算定タイミングの注意
「検査実施日のうちに説明し、文書で情報提供した」という条件を満たしているかどうかは、カルテやレセプトの記載だけでなく、実際の運用(いつ・誰が・どんな文書を渡したか)まで確認しないと判断できません。算定候補であっても、最終的な算定可否は自院の記録と審査支払機関の判断によります。
みらい(新人医療事務)
なるほど。じゃあ、実際に自院で確認する順番をまとめてもらえますか?
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- D023微生物核酸同定・定量検査の6・7・13・14のいずれかを実施したか確認する
- 実施した検査が、6は「マイコプラズマ核酸検出」、13は「百日咳菌核酸検出」または「百日咳菌・パラ百日咳菌核酸同時検出」、14は「結核菌群核酸検出」に該当するか確認する(同じ番号内の対象外の可能性がある検査と混同しない)
- 検査結果を検査実施日のうちに患者へ説明したか確認する
- 説明内容を文書で情報提供し、その記録が残っているか確認する
- 上記が満たされていれば算定候補。最終的な算定可否はレセプトコンピュータの設定・審査支払機関側の判断も含めて確認する

令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったりしたんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも大事な視点ですね。当サイトが収録している一次資料(医科点数表 別表第一・留意事項通知)の範囲では、迅速微生物核酸同定・定量検査加算そのものについて、前回改定(令和6年度)からの点数・対象検査・算定要件の変更は確認されていません(確認日:2026年7月)。ただし、D023の中の個々の検査項目自体は、技術の追加や点数の見直しが行われることがあるため、この加算の対象範囲(6・7・13・14)に変わりがないか、今後の改定のたびに一次資料で確認していくことをおすすめします。
改定確認のポイント
点数表の「D023の6・7・13・14」という対象範囲そのものが変わっていないかは、加算の点数(100点)が変わっていなくても見落としやすいところです。改定のたびに、対象番号と、その中のどの検査名が加算対象かを一次資料で再確認しましょう。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で取り漏れがちなパターンって、どんな感じなんでしょう?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみましょう。
よくある取り漏れ
D023の6番でマイコプラズマ核酸検出を実施し、当日結果を説明したのに、文書での情報提供を忘れてしまい、加算の要件を満たせなくなるケース。13番で百日咳菌核酸検出と肺炎クラミジア核酸検出を同時に行った際、対象に含まれていない可能性がある肺炎クラミジア核酸検出の分まで加算候補としてしまい、対象を混同するケース。検査結果の説明が検査実施日の翌日以降になってしまい、「検査実施日のうちに」という条件を満たせなくなるケース。
みらい(新人医療事務)
同じ番号の中でも対象・対象外が混じっているから、これは本当に注意しないといけないですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。だからこそ、検査担当・レセプト担当の両方が、対象になる検査名を正確に共有しておくことが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですね。いくつか挙げてみましょう。
みらい(新人医療事務)
D023の6番でインフルエンザ核酸検出だけを実施した場合も、この加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の注では、6番のうち加算の対象になるのはマイコプラズマ核酸検出に限るとされています。インフルエンザ核酸検出やRSウイルス核酸検出は、同じ6番の検査ではありますが、この加算の対象としては確認できていません。
みらい(新人医療事務)
入院患者さんに実施した場合でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できている一次資料の範囲では、入院患者を除外する記載は見当たらないため、入院患者についても算定候補になり得ます。ただし、最終的には自院のレセプトコンピュータの設定や審査支払機関側の運用も踏まえて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認できている範囲では、この加算自体に事前の施設基準の届出は求められていません。ただし、対象となる個々の検査の実施方法自体に留意事項が定められている場合があるため、そちらは別途確認しておくと安心です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。