みらい(新人医療事務)
あおいさん、超音波検査のレセプトをチェックしていたら「造影剤使用加算」という項目を見つけたんですけど、これはどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
超音波検査(D215)の「2」断層撮影法、または「3」心臓超音波検査を実施するときに、造影剤を使用した場合に付く注加算です。所定点数に180点を上乗せするしくみですよ。
みらい(新人医療事務)
断層撮影法と心臓超音波検査、どちらでも対象になりうるということですね。うちのクリニックでも算定候補になりそうか、確認していいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。この記事では令和8年度(2026年度)の一次資料をもとに、点数・対象・注意点を整理していきますね。ただし最終的な算定可否は、自院の記録内容や実施状況を踏まえてご確認いただく前提でお願いします。
造影剤使用加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
条文ではどんなふうに定義されているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、次のように定められています。
告示の該当条文(令和8年度)
造影剤使用加算の根拠: 「2又は3について、造影剤を使用した場合は、造影剤使用加算として、180点を所定点数に加算する。この場合において、造影剤注入手技料及び麻酔料(区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔に係るものを除く。)は、加算点数に含まれるものとする。」(令和8年厚生労働省告示第69号 D215 注1)
みらい(新人医療事務)
「2又は3について」というのは、断層撮影法と心臓超音波検査のことですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。D215超音波検査は「1」Aモード法から「5」血管内超音波法まで区分がありますが、造影剤使用加算の対象になるのは「2」断層撮影法と「3」心臓超音波検査の2つの区分だけです。「1」Aモード法、「4」ドプラ法、「5」血管内超音波法は、条文上この加算の対象には含まれていません。
みらい(新人医療事務)
対象外の区分もはっきりしているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に「5」血管内超音波法については、別の条文で造影剤関連の費用の扱いが定められているので、後ほど注意点として整理しますね。
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
D215超音波検査を実施できる保険医療機関であれば、診療所・病院を問わず対象になり得ます。当サイトが確認した範囲では、外来・入院どちらの場面でも、断層撮影法または心臓超音波検査で造影剤を使用していれば候補になります。
みらい(新人医療事務)
患者さんの疾患による制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
疾患名での限定は、確認できた一次資料の範囲では見当たりません。あくまで「実施した検査区分(2または3)」と「造影剤を使用したかどうか」が条件になっている点がポイントです。造影剤を使用した経緯を診療録に記載しておくと、後から算定根拠を示しやすくなります。
みらい(新人医療事務)
訪問診療のような在宅の場面ではどうですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトの整理では、造影剤使用加算そのものに在宅・訪問診療向けの特別な取り扱いを定めた記載は見当たりません。もととなる断層撮影法「イ 訪問診療時に行った場合」を実施し、そのうえで造影剤を使用していれば区分としては対象になり得ますが、この点は個別に確認していただくのが安全です。
点数の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
断層撮影法・心臓超音波検査の点数と、加算の180点の関係を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
表にするとこうなります。
| 区分(D215) | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 2 イ 訪問診療時に行った場合 | 断層撮影法・月1回に限り算定 | 400点 |
| 2 ロ(1) その他の場合・胸腹部 | 断層撮影法 | 530点 |
| 2 ロ(2) その他の場合・下肢血管 | 断層撮影法 | 450点 |
| 2 ロ(3) その他の場合・その他 | 頭頸部、四肢、体表、末梢血管等 | 350点 |
| 3 イ 経胸壁心エコー法 | 心臓超音波検査 | 880点 |
| 3 ロ Mモード法 | 心臓超音波検査 | 500点 |
| 3 ハ 経食道心エコー法 | 心臓超音波検査 | 1,800点 |
| 3 ニ 胎児心エコー法 | 心臓超音波検査・施設基準届出医療機関で月1回限り | 300点 |
| 3 ホ 負荷心エコー法 | 心臓超音波検査 | 2,010点 |
| 注1 造影剤使用加算 | 2または3のいずれかを算定する場合に、造影剤を使用 | +180点 |

みらい(新人医療事務)
どの区分でも一律180点が乗る、というイメージでいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文が「2又は3について」と区分全体を指しているので、断層撮影法・心臓超音波検査のどの内訳(胸腹部でも、経胸壁心エコー法でも)であっても、条件を満たせば加算の対象になり得ます。ただし実際の運用は個別の症例・記載内容によるため、算定候補として整理したうえで、最終的には自院で確認していただく形になります。
施設基準・届出について(確認事項)
みらい(新人医療事務)
この加算を取るのに、施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが確認した告示の該当条文には、造影剤使用加算そのものに個別の施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。
施設基準・届出は確認事項です
造影剤使用加算に固有の施設基準・届出を明記した条文は、当サイトが確認した範囲では見つかっていません。ただし、D215超音波検査そのものを実施する保険医療機関としての一般的な要件(検査機器・記録要件など)は満たしている前提です。届出の要否は改定や運用の変化で変わる可能性があるため、正式には地方厚生局への確認をお勧めします。
みらい(新人医療事務)
「施設基準なし」と言い切らないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。資料に書かれていないことを「不要」と断定するのではなく、「見当たらない=要確認」として扱うのが安全です。なお「3」の「ニ」胎児心エコー法自体は施設基準の届出が必要な区分ですが、これは胎児心エコー法という検査区分そのものの要件であり、造影剤使用加算の要件とは別の話として整理しておくとわかりやすいです。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングや回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
造影剤使用加算そのものについて、回数制限を明記した条文は当サイトが確認した範囲では見当たりません。上乗せ元の断層撮影法・心臓超音波検査の算定単位(部位ごと、訪問診療時は月1回など)に準じて考えることになります。
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
大事な注意点が2つあります。まず、造影剤注入手技料と麻酔料の扱いです。
造影剤注入手技料・麻酔料は加算点数に含まれます
告示の条文には「造影剤注入手技料及び麻酔料(区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔に係るものを除く。)は、加算点数に含まれるものとする。」と明記されています(令和8年厚生労働省告示第69号 D215 注1)。つまり通常の造影剤注入手技料・麻酔料は180点の中に含まれ、別立てで算定する候補にはなりません。ただしL008の声門上器具または気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔に係る麻酔料はこの限りではなく、条文上は加算点数に含まれない扱いです。
みらい(新人医療事務)
麻酔の種類によって扱いが変わるんですね。ここは見落としやすそうです。
あおい(元・医療事務)
その通りです。もうひとつは対象区分の話です。「5」血管内超音波法では、造影剤関連の費用の扱いが別に定められています。
血管内超音波法(区分5)は対象外の可能性があります
告示には「血管内超音波法について、呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ、血液ガス分析、心拍出量測定、脈圧測定、透視、造影剤注入手技、造影剤使用撮影及びエックス線診断の費用は、所定点数に含まれるものとする。」と定められています(令和8年厚生労働省告示第69号 D215 注5)。造影剤使用加算の対象自体が「2又は3について」に限られているため、「5」血管内超音波法で造影剤を使用しても、造影剤使用加算を別途算定する候補にはならない可能性が高いと考えられます。「1」Aモード法、「4」ドプラ法についても、同様に条文上の対象範囲には含まれていません。
みらい(新人医療事務)
断層撮影法や心臓超音波検査以外の区分では、そもそも対象になりにくいということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。同じ超音波検査でも区分が違えば取り扱いが変わるので、レセプトの摘要欄にどの区分を算定したか記載しておくと、後から見返しやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の一次資料(告示)の該当条文の範囲では、造影剤使用加算に関する新設・廃止・点数変更・対象区分変更の記載は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。180点という点数、「2」断層撮影法・「3」心臓超音波検査を対象とする範囲についても、変更を示す記載は見当たりませんでした。
前回改定(令和6年度)との対比について
前回改定(令和6年度)時点の該当条文について、当サイトで個別に照合できる資料は確認できていません。今回確認できたのは令和8年度の一次資料のみのため、「変更なし」と断定するのではなく、「令和8年度の条文では新設・変更を示す記載が見当たらない」という整理にとどめています。改定内容の詳細は、厚生労働省の「個別改定項目について」等の公式資料でもあわせて確認できます。
みらい(新人医療事務)
「変わっていなさそう」ではなく「変更の記載が見当たらない」という言い方なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。資料にないことを根拠に「変わっていない」と言い切るのではなく、確認できた範囲を正直にお伝えするようにしています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックで算定候補になるか、どんな順番で確認したらいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで見ていくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- D215超音波検査の「2」断層撮影法または「3」心臓超音波検査を実施したか確認する
- その検査で造影剤を使用したかどうかを確認する
- 実施した区分が「1」「4」「5」に該当していないか確認する(該当する場合は対象外の可能性があります)
- 麻酔を行った場合、L008の声門上器具または気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔に該当するかどうかを確認する
- 診療録に造影剤を使用した旨と実施区分を記載し、算定候補として整理する
- レセプトの摘要欄への記載要否も含めて、自院・審査支払機関に確認する

みらい(新人医療事務)
区分の切り分けが最初の関門なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。次に、よくある取り漏れも見ておきましょう。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場では、どんな取り漏れが多いんですか?
取り漏れになりやすいケース
区分の混同: 「2」断層撮影法・「3」心臓超音波検査以外(「1」「4」「5」)で造影剤を使用したケースを、そのまま造影剤使用加算の対象として扱ってしまうケースが想定されます。 麻酔料の扱いの見落とし: L008の声門上器具・気管挿管による閉鎖循環式全身麻酔以外の通常の麻酔料は、加算点数に含まれるため、別立てで算定できません。この違いを見落として二重に算定してしまうケースが想定されます。 記載漏れ: 造影剤を使用した旨や、どの区分(断層撮影法か心臓超音波検査か)で使用したかが診療録に読み取れないと、算定根拠を後から示しにくくなります。
みらい(新人医療事務)
どれも「条文の対象範囲を丁寧に読む」ことでカバーできそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。同じD215超音波検査には、ほかにもパルスドプラ法加算や胎児心エコー法診断加算、微小栓子シグナル加算といった注加算があります。加算単体で覚えるより、D215全体の区分構造の中で位置づけを理解しておくと、取り漏れも防ぎやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、3つ整理しますね。
みらい(新人医療事務)
Q.造影剤を使用した超音波検査であれば、どの区分でも造影剤使用加算の対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
A.対象になるのはD215超音波検査の「2」断層撮影法と「3」心臓超音波検査に限られます。「1」Aモード法、「4」ドプラ法、「5」血管内超音波法は、条文上この加算の対象には含まれていません。特に「5」血管内超音波法は、造影剤関連費用が所定点数に含まれる別の定めがあるため、対象外の可能性が高い区分です。
みらい(新人医療事務)
Q.造影剤注入手技料や麻酔料は別に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A.告示の条文には「造影剤注入手技料及び麻酔料(区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔に係るものを除く。)は、加算点数に含まれるものとする」と明記されています。通常の麻酔料は加算点数に含まれ別立てで算定する候補にはなりませんが、L008の声門上器具・気管挿管による閉鎖循環式全身麻酔に係る麻酔料はこの限りではありません。
みらい(新人医療事務)
Q.施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A.当サイトが確認した告示の該当条文には、造影剤使用加算固有の施設基準・届出の記載は見当たりませんでした。未確認事項として扱い、正式な取り扱いは地方厚生局や審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
だいぶ整理できました。ほかの検査系の加算とあわせて見ておくと、レセプトの点検もしやすくなりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。D215超音波検査の区分ごとにどんな注加算があるかを一覧で把握しておくと、算定漏れの発見にもつながりますよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。実施した検査区分や麻酔の内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。