みらい(新人医療事務)
「退院時薬剤情報管理指導連携加算」という届出票を見つけたんですが、これって何の加算ですか? うちは小児科の病棟があるので気になってます。
あおい(元・医療事務)
これはA307小児入院医療管理料の「注6」に規定されている加算ですよ。令和8年度の点数表では、小児慢性特定疾病の児童等または医療的ケア児が退院するときに、医師または薬剤師が薬の説明をして、その情報を保険薬局へ文書で引き継いだ場合に算定候補になる項目です。
みらい(新人医療事務)
「注6」ということは、単独では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。あくまでA307小児入院医療管理料を算定している病棟が土台にあって、その上に乗る加算という位置づけです。まずは自院の病棟がA307の届出病棟かどうかが出発点になります。
この加算はどんな場面で算定候補になるのか
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では対象がかなり具体的に書かれています。まず読んでみますね。
対象医療機関・対象患者の一次資料
「小児入院医療管理料を算定する病棟に入院している患者が対象であり、当該病棟に入院している児童福祉法第6条の2第3項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である患者又は同法第56条の6第2項に規定する障害児である患者について算定する。」
みらい(新人医療事務)
つまり「小児慢性特定疾病医療支援の対象になっている子」か「医療的ケア児にあたる障害児」のどちらかということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。しかもA307を算定する病棟に入院していることが前提なので、他の入院料を算定している病棟の患者さんは対象になりません。届出病棟かどうか、対象患者の要件に当てはまるかどうかの両方を確認する必要があります。

点数を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
点数はどのくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、退院の日に1回に限り150点です。テーブルにまとめますね。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 加算名 | 退院時薬剤情報管理指導連携加算 |
| 所属区分 | A307小児入院医療管理料「注6」 |
| 点数 | 150点 |
| 算定回数 | 退院の日に1回に限り |
| 対象 | 病院(入院)のみ。診療所・外来は対象外 |
| 届出 | 不要(当サイトが収録している一次資料の範囲では届出は不要と整理されています) |
みらい(新人医療事務)
届出がいらないのはちょっと意外です。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただ届出が不要でも、算定要件を満たしているかどうかは別問題です。ここからは要件を具体的に見ていきましょう。
算定要件を具体的に見る
みらい(新人医療事務)
実際にはどんな行為をすれば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の留意事項通知に、かなり細かく書かれています。まず全体像を引用しますね。
算定要件の一次資料(留意事項通知)
「『注6』に規定する退院時薬剤情報管理指導連携加算は、当該保険医療機関の医師又は医師の指示に基づき薬剤師が、小児慢性特定疾病の児童等又は医療的ケア児の退院時に、当該患者又はその家族等に対し退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導を行い、当該患者又はその家族等の同意を得て、患者又はその家族等が選択する保険薬局に対して当該患者の調剤に関して必要な情報等を文書により提供した場合に、退院の日に1回に限り算定する。」
みらい(新人医療事務)
「医師又は医師の指示に基づき薬剤師」ということは、薬剤師単独ではなく、医師の指示があれば薬剤師が担当してもいいということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。指導する側は医師か、医師の指示を受けた薬剤師のどちらでも構いません。そして指導するだけでは終わらず、「患者又はその家族等の同意」を得たうえで、患者・家族が選ぶ保険薬局に対して調剤に必要な情報を文書で渡す、というところまでがセットの要件です。
みらい(新人医療事務)
文書には何を書けばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも一次資料に具体的な指定があります。続けて引用しますね。
情報提供文書の記載事項(一次資料)
「保険薬局への情報提供に当たっては、『薬剤管理サマリー(小児版)』(日本病院薬剤師会)等の様式を参照して、以下の事項を記載した情報提供文書を作成し、作成した文書の写しを診療録等に添付すること。ア 患者の状態に応じた調剤方法 イ 服用状況に合わせた剤形変更に関する情報 ウ 服用上の工夫 エ 入院前の処方薬の変更又は中止に関する情報や変更又は中止後の患者の状態等に関する情報」
みらい(新人医療事務)
「薬剤管理サマリー(小児版)」という様式を参照するんですね。作った文書の写しを診療録に貼っておく必要もあると。
あおい(元・医療事務)
はい。この4項目(調剤方法・剤形変更情報・服用上の工夫・入院前処方薬の変更や中止に関する情報)が抜けていると、情報提供の中身として不十分と判断される可能性があるので、記録の段階で確認しておきたいところです。

算定にあたっての注意点
みらい(新人医療事務)
気をつけておくべき注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
大きく2つあります。まず文書の渡し方、それから算定回数の考え方です。一次資料の表現をそのまま見てみましょう。
文書の交付方法・算定回数・死亡退院に関する注意(一次資料)
「当該文書の交付方法は、患者又はその家族等が選択する保険薬局に直接送付することに代えて、患者又はその家族等に交付し、患者又はその家族等が保険薬局に持参することでも差し支えない。患者1人につき複数の保険薬局に対し情報提供を行った場合においても、1回のみの算定とする。また、死亡退院の場合は算定できない。」
みらい(新人医療事務)
保険薬局に直接郵送しなくても、患者さんや家族に渡して持って行ってもらう形でもいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただし複数の薬局に情報提供したとしても、算定できるのは1回だけという点は見落としやすいので注意してください。それから、死亡退院の場合は算定できないと明記されています。退院時指導という行為の性質上、当然といえば当然ですが、確認漏れが起きやすいポイントです。
みらい(新人医療事務)
併算定については何か決まりがあるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
一次資料で確認できる範囲では、この加算自体に他の加算との併算定を明示的に制限する記載は見当たりません。ただし、A307小児入院医療管理料の他の注加算との関係や、同時期に算定する他の指導料との重複がないかは、個別のケースで確認が必要です。算定候補かどうかを判断する最終的な線引きは、自院の記録内容と公式資料に照らして確認していただくのが確実です。
似た名前の加算・指導料との違いに注意
みらい(新人医療事務)
「退院時薬剤情報管理指導料」という名前も見たことがあるんですが、これと同じものですか?
あおい(元・医療事務)
名前は似ていますが、別の項目なので注意してください。退院時薬剤情報管理指導料は区分番号B014の指導料で、90点、診療所・病院どちらでも対象になります。一方、今回の退院時薬剤情報管理指導連携加算は、小児入院医療管理料(A307)の「注6」に規定された加算で、150点、病院の入院のみが対象です。所属する区分表も点数も対象施設も異なるので、混同しないようにしたいところです。
みらい(新人医療事務)
名前が似ているだけに、レセプトの記載を間違えそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「B014」と「A307注6」のどちらの話をしているのか、区分番号で確認する癖をつけておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちのようなケースだと、どの順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 自院の病棟がA307小児入院医療管理料の届出病棟かどうかを確認する
- 退院する患者が小児慢性特定疾病医療支援の対象、または医療的ケア児(障害児)にあたるかを確認する
- 退院時に医師または医師の指示を受けた薬剤師が、退院後の薬剤の服用等について指導を行っているかを確認する
- 患者・家族の同意を得たうえで、選択された保険薬局に対して情報提供文書を作成しているかを確認する
- 「薬剤管理サマリー(小児版)」等の様式を参照し、ア〜エの4項目が記載されているか、文書の写しが診療録に添付されているかを確認する
あおい(元・医療事務)
この順番で1つずつ潰していけば、算定候補になるかどうかの見通しが立てやすくなります。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れしやすいポイントも教えてください。
取り漏れが起きやすいポイント
指導を行った記録は残っているのに、保険薬局への文書提供の記録(写し)が診療録に添付されておらず、算定要件を満たしているか判断できないケースがあります。指導の実施記録と、情報提供文書の写しの両方をセットで保管しておくと確認がしやすくなります。
対象患者の判定に関する取り漏れ
小児慢性特定疾病医療支援の対象かどうか、医療的ケア児(障害児)にあたるかどうかは、患者ごとの認定状況によって異なります。A307の対象病棟に入院しているというだけで自動的に算定候補になるわけではなく、患者個別の対象要件の確認が必要です。
改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定と比べて何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが収録している一次資料(A307の告示・留意事項通知)の範囲では、退院時薬剤情報管理指導連携加算について、前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません。ただし、当サイトの収録範囲が改定の全項目を網羅しているわけではないため、詳細な経緯を確認したい場合は、厚生労働省の個別改定項目資料もあわせてご確認いただくことをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と決めつけずに、確認できた範囲での話ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に点数据え置きに見えても、要件や様式の細部が変わっていることもあるので、気になる場合は最新の告示・通知を直接確認するのが確実です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
外来の小児患者でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。この加算はA307小児入院医療管理料の「注6」に規定されたものなので、対象は入院患者に限られます。外来では算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
薬剤師だけで指導しても大丈夫ですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「当該保険医療機関の医師又は医師の指示に基づき薬剤師」とされているので、薬剤師が担当する場合は医師の指示に基づいていることが前提になります。指示の記録も含めて確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
保険薬局が遠方で直接送付できない場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、保険薬局に直接送付する代わりに、患者・家族に文書を交付して持参してもらう方法でも差し支えないとされています。状況に応じて選べる形になっています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。