みらい(新人医療事務)
あおいさん、「迅速フィブリノゲン測定加算」っていう加算を見つけたんですけど、これって何のための加算なんですか?聞いたことがなくて…。
あおい(元・医療事務)
これは令和8年度(2026年度)の改定で新しくできた加算ですよ。フィブリノゲン製剤を投与する前に、フィブリノゲンの値をその場ですぐ測って、投与していいかどうかを判断するための検査に対する評価なんです。だから初めて聞くのは自然なことですよ。
みらい(新人医療事務)
フィブリノゲン製剤の「投与前チェック」みたいなイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。後天性低フィブリノゲン血症の患者さんに対して、フィブリノゲン製剤を使う前に、手術室のような検査室以外の場所で、その場でフィブリノゲンの量を測る場合に算定候補になる加算です。厚生労働省の告示にも「フィブリノゲン製剤の適応の可否を判断する目的で、手術室等の場所でフィブリノゲン半定量又はフィブリノゲン定量を実施した場合は、迅速フィブリノゲン測定加算として、150点を所定点数に加算する」と明記されています。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちみたいな診療所でも対象になりますか?それとも病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが整理している範囲では、診療所・病院のいずれでも算定候補になり得ます。入院・外来のどちらの場面でも対象になり得ますが、在宅医療の場面は対象外として整理しています。ただし実際に算定候補になるかどうかは、後天性低フィブリノゲン血症の患者さんに対して、手術室等の検査室以外の場所でフィブリノゲンを測定する体制があるかどうかで変わってきます。
みらい(新人医療事務)
「後天性低フィブリノゲン血症」の患者さんって、具体的にどんな場面で出てくるんですか?
あおい(元・医療事務)
手術中の大量出血や産科危機的出血などで、フィブリノゲンが急激に低下する場面が想定されます。ただし、この記事の一次資料の範囲で確認できるのは「後天性低フィブリノゲン血症の患者に対して」という条件までで、それ以上の個別の病態の細かい線引きは書かれていません。資料にない具体例を補って断定することは避けたいので、対象患者の該当性は自院の診療内容と照らして個別に確認することをおすすめします。

点数・区分番号
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
表にまとめますね。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| D006「4」 | フィブリノゲン半定量、フィブリノゲン定量、クリオフィブリノゲン | 23点 |
| D006「4」注 | 迅速フィブリノゲン測定加算(要件を満たした場合に「4」の所定点数に加算) | 150点 |
みらい(新人医療事務)
この150点は、単独で算定できる点数なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、単独では算定できません。告示の「注」に書かれている加算なので、D006の「4」フィブリノゲン半定量又はフィブリノゲン定量を実施したうえで、要件を満たした場合に、その所定点数(23点)に上乗せする形で算定候補になる点数です。点数の考え方としては、基本検査分の23点に加算150点を合わせた173点という構成になります。マスターコードは当サイトの整理では「160244470」として収録されています。
単独算定はできない加算です
迅速フィブリノゲン測定加算は、D006「4」フィブリノゲン半定量又はフィブリノゲン定量の実施が前提の加算です。この加算だけを単独で算定することは想定されていません。
算定の条件(一次資料ベース)
みらい(新人医療事務)
どういう条件を満たせば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知(令和8年3月5日保医発0305第6号)には、次のように書かれています。「「4」の「注」に規定する迅速フィブリノゲン測定加算は、後天性低フィブリノゲン血症の患者に対するフィブリノゲンの投与の適否の判断を目的として、手術室内等、検査室以外の場所に設置された検査機器を用いて、「4」のフィブリノゲン半定量又はフィブリノゲン定量を実施した場合に限り算定できる。なお、検査の実施に当たっては、関係学会の定める指針を遵守すること。」
みらい(新人医療事務)
確認したいんですが、①対象患者は後天性低フィブリノゲン血症の患者、②場所は手術室内等、検査室以外の場所、③そこに設置された検査機器を使うこと、④目的はフィブリノゲン製剤の投与の適否判断、この4つで合っていますか?
あおい(元・医療事務)
はい、その4点は一次資料に書かれている条件そのものです。加えて「検査の実施に当たっては、関係学会の定める指針を遵守すること」という一文もあるので、測定にあたって関係学会が定める指針に沿っているかどうかも、確認しておきたいポイントになります。
取り違えやすいポイント
通常の検査室でフィブリノゲン半定量・定量を実施した場合は、この加算の対象にはなりません。あくまで「手術室内等、検査室以外の場所に設置された検査機器」を使って迅速に測定した場合に限られる、という条件が一次資料に明記されています。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準はいるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算について施設基準の届出を求める記載は見当たりません。算定要件として書かれているのは、対象患者・実施場所・検査機器・関係学会の指針遵守についてで、施設基準の届出手続きに関する記載は確認できていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしで算定していいってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは断定しない方がいいところです。「資料の範囲では届出の記載が見当たらない」というだけで、今後の疑義解釈や訂正通知で追加の取扱いが示される可能性もゼロではありません。届出の要否は、最終的に自院で最新の告示・通知や地方厚生局の案内を確認したうえで判断してください。
施設基準・届出は要確認
資料の範囲で施設基準・届出の記載が見当たらないことと、「届出が一切不要」であることは同じではありません。最新の告示・通知・地方厚生局の案内で必ず確認してください。
令和8年度改定での変更点(新設の経緯)
みらい(新人医療事務)
この加算、いつからあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定で新設された加算です。厚生労働省の「個別改定項目について」(令和8年2月13日公表)には、「迅速なフィブリノゲン測定に係る評価の新設」という項目名で掲載されていて、「フィブリノゲン製剤の適正使用の観点から、同剤の投与に際し必要となる迅速なフィブリノゲン測定を行う場合について、新たな評価を行う」と説明されています。改定案・現行の対比表でも、現行(改定前)の欄は「(新設)」と記載されていて、前回改定(令和6年度)時点ではこの区分は存在しなかったことが確認できます。
みらい(新人医療事務)
つまり令和6年度の点数表にはこの加算がなかったんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。前回改定(令和6年度)から今回の令和8年度改定にかけて、新しく追加された加算という位置づけになります。フィブリノゲン製剤の適正使用を推進する目的で新設された、という点は公式資料に明記されている事実です。ここから先の「有利・不利」といった評価は、一次資料に書かれている範囲を超えるので、この記事では踏み込みません。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるか確認するには、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとわかりやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象になりそうな患者が後天性低フィブリノゲン血症に該当するか、診療録・検査結果で確認する
- フィブリノゲン製剤の投与の適否を判断する目的で測定を行っているか確認する
- 測定場所が手術室内等、検査室以外の場所に設置された検査機器かどうかを確認する
- D006「4」フィブリノゲン半定量又はフィブリノゲン定量を実施しているか確認する
- 検査の実施が関係学会の定める指針に沿っているか確認する
- ここまで満たしていれば算定候補。最終判断は自院の届出状況・審査支払機関への確認も含めて行う
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、通常の検査室でフィブリノゲンを測定したケースをそのまま加算対象と思い込んでしまうパターンです。あくまで「手術室内等、検査室以外の場所に設置された検査機器」で測定した場合に限られる、という条件を見落とさないようにしたいですね。
関係学会の指針の確認も忘れずに
留意事項通知には「検査の実施に当たっては、関係学会の定める指針を遵守すること」という条件も明記されています。測定の目的や場所だけでなく、この指針の遵守状況もあわせて確認しておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
ほかに医療事務の人がよく疑問に思いそうなことってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理しておきますね。
みらい(新人医療事務)
Q. 外来でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトの整理では外来・入院いずれの場面でも算定候補になり得るとしていますが、在宅医療の場面は対象外として整理しています。実際に該当するかは、後天性低フィブリノゲン血症の患者に対して手術室内等、検査室以外の場所で測定したかどうかという条件で判断が必要です。
みらい(新人医療事務)
Q. フィブリノゲン半定量とフィブリノゲン定量、どちらでも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. はい、一次資料では「フィブリノゲン半定量又はフィブリノゲン定量」のいずれを実施した場合も対象と書かれています。
みらい(新人医療事務)
Q. 令和6年度以前にも似た加算はありましたか?
あおい(元・医療事務)
A. 前回改定(令和6年度)時点の点数表には対応する区分がなく、令和8年度改定で新設された加算です。以前に類似の加算を算定していた場合でも、混同しないよう区分番号や算定要件を今回のものと照らして確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する検査系の加算として、外来迅速検体検査加算 も一緒に確認しておくと理解が深まります。ただしこちらは対象・要件が異なる別の加算なので、混同しないようにしてくださいね。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。