みらい(新人医療事務)
先生、「国際標準病理診断管理加算」っていう名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
病理診断料(N006)にもともとある「病理診断管理加算1」または「病理診断管理加算2」を算定している医療機関が、さらに国際規格の認定を受けている場合に上乗せできる加算ですよ。令和8年度(2026年度)の改定で新設されました。
みらい(新人医療事務)
上乗せ、ということは単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。まず病理診断管理加算1か2の届出・算定が前提にあって、そこにさらに条件を満たすと10点が加算される、という2段構えの仕組みです。1つずつ整理していきましょう。
この加算は何のための加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも「病理診断管理加算」自体がどういうものか、まず教えてください。
あおい(元・医療事務)
病理診断を専ら担当する常勤の医師が病理診断を行い、その結果を文書で報告した場合に、施設基準に応じて加算されるものです。当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号)では、次のように定められています。
病理診断管理加算の根拠(告示)
病理診断管理加算1: 組織診断を行った場合138点・細胞診断を行った場合69点 病理診断管理加算2: 組織診断を行った場合368点・細胞診断を行った場合184点 (別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が対象)
みらい(新人医療事務)
なるほど、ここまでが「土台」なんですね。その上に「国際標準」がつくとどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、病理診断管理加算1または2を算定した場合に、国際標準病理診断管理加算として10点を所定点数に加算する、という規定です。つまり「病理診断の管理体制」に加えて「国際的な技術能力の認定」を受けている医療機関を、追加で評価する仕組みと言えます。
対象医療機関・対象患者や場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?診療所でも関係ありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している範囲では、診療所・病院のいずれも対象で、外来・入院どちらの場面でも算定候補になり得ます。ただし在宅医療の場面は対象になっていません。前提として、病理診断を専ら担当する常勤の医師が院内に勤務していることが必要です。
みらい(新人医療事務)
患者さんの病気の種類とかは関係ないんですね?
あおい(元・医療事務)
そうですね。特定の疾患に限定した加算ではなく、病理診断料を算定する診療行為全体にかかる「体制評価」の加算です。組織診断・細胞診断のどちらにも上乗せの対象になり得ます。
点数・コード

みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?表で見たいです。
あおい(元・医療事務)
いいですよ。土台になる病理診断料と、そこに積み上がる加算を並べてみます。
| 区分 | 点数 | 備考(令和8年度) |
|---|---|---|
| N006病理診断料 組織診断料 | 520点 | 基本部分 |
| N006病理診断料 細胞診断料 | 200点 | 基本部分 |
| 病理診断管理加算1(組織診断) | 138点 | 注4・施設基準あり |
| 病理診断管理加算1(細胞診断) | 69点 | 注4・施設基準あり |
| 病理診断管理加算2(組織診断) | 368点 | 注4・施設基準あり(常勤医師要件が加算1より厳格) |
| 病理診断管理加算2(細胞診断) | 184点 | 注4・施設基準あり |
| 国際標準病理診断管理加算 | 10点 | 注6・加算1または2を算定した場合の上乗せ |
みらい(新人医療事務)
10点だけ見ると小さく感じますけど、加算1・2の点数に上乗せされるものなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。単独の点数の大小だけでなく、「土台の加算をすでに算定しているか」が前提になる点を押さえておくといいですよ。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準がいちばん気になります。何を満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
まず前提として、病理診断管理加算1または2の施設基準(病理診断を専ら担当する常勤の医師の配置など)を満たして届け出ていることが必要です。そのうえで、国際標準病理診断管理加算に固有の施設基準として、公式の疑義解釈では次のように説明されています。
施設基準の一次資料(疑義解釈)
質問: 「N006」病理診断料の「注6」に規定する国際標準病理診断管理加算の施設基準に「国際標準化機構が定めた病理診断に関する国際規格に基づく技術能力の認定を受けていること」とあるが、どのような認定が必要なのか。 回答: ISO15189に基づく臨床検査室の認定について、「病理学的検査」を対象として認定を取得することが必要。
みらい(新人医療事務)
ISO15189……臨床検査室の国際規格ですよね。病理学的検査の分野で、この認定を受けているかどうかがポイントということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。一般的な「臨床検査」全般の認定を持っているだけでは足りず、「病理学的検査」を対象区分に含めて認定を取得していることが条件として示されています。認定の取得状況は、認定機関発行の証明書等で確認するのが確実です。
届出要否
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。病理診断管理加算1・2の届出に加えて、国際標準病理診断管理加算についても地方厚生局長等への届出が求められます。届出済みであれば算定候補になりますが、届出を行っていない場合は、たとえISO15189の認定を実際に受けていても算定はできません。
届出前の算定に注意
施設基準に実質的に適合していても、届出が受理される前の期間は算定候補になりません。認定の取得日と届出の受理日、双方の記録を残しておくことをおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングとか、他の加算との関係で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
国際標準病理診断管理加算は、病理診断管理加算1または2を算定した場合にあわせて算定する加算です。単独では算定できず、また加算1・2のどちらを算定したかにかかわらず、上乗せは一律10点という整理です。回数の考え方も、土台となる病理診断料・加算1または2の算定回数に連動します。
併算定・回数の確認は必ず一次資料で
悪性腫瘍病理組織標本加算など、N006にはほかにも複数の注加算があります。同一月内の算定回数や組み合わせの可否は、個々のケースで確認が必要な部分が多いため、公式資料や審査支払機関への確認をおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度のときはどうだったんですか?
あおい(元・医療事務)
令和6年度(2024年度)改定の時点では、国際標準病理診断管理加算という区分自体が存在していませんでした。当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和8年度(2026年度)改定で新設された加算です。
みらい(新人医療事務)
新設ということは、4月から使えるようになったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが少し特徴的なところで、厚生労働省が公表している「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」では、国際標準病理診断管理加算は「令和8年6月1日」施行の新設項目として整理されています。多くの項目が令和8年4月1日から施行される中で、この加算は施行日がずれている点に注意が必要です。
施行日の整理(一次資料ベース)
令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストでは「令和8年6月1日 特掲診療料 新設 国際標準病理診断管理加算」と記載されています。届出のスケジュールを確認する際は、改定の基準日(4月1日)と、この加算固有の施行日(6月1日)を混同しないようにしてください。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
うちの病院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 病理診断管理加算1または2の届出をすでに行っているか確認する
- 病理診断を専ら担当する常勤の医師の配置状況が、加算1・2それぞれの施設基準を満たしているか確認する
- 臨床検査室としてISO15189の認定を、病理学的検査を対象区分に含めて取得しているか確認する
- 認定証等の書類をそろえたうえで、地方厚生局長等へ国際標準病理診断管理加算の届出を行う
- 届出が受理された日以降の分から、算定候補として扱う
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理してみます。
取り漏れやすいポイント
加算1・2の届出なしでの算定: 国際標準病理診断管理加算は単独の届出だけでは成立しません。土台となる加算1または2の届出・算定が前提です。 ISO15189の対象区分の見落とし: 臨床検査室として認定を受けていても、対象区分に「病理学的検査」が含まれていない場合は、この加算の施設基準を満たしていない可能性があります。 施行日の見落とし: 令和8年4月の改定と施行日(6月1日)が異なるため、届出提出のタイミングを取り違えないようにする必要があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
Q. 病理診断管理加算1と2、どちらでも上乗せできるんですか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが収録している一次資料の範囲では、加算1・加算2のいずれを算定した場合でも、国際標準病理診断管理加算として10点が加算されると整理されています。加算1・2による点数の違いはありますが、上乗せの10点自体は共通です。
みらい(新人医療事務)
Q. ISO15189の認定は病院全体で必要なんですか?それとも検査室単位ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 疑義解釈では「臨床検査室の認定」として、「病理学的検査」を対象とした認定の取得が必要とされています。認定の範囲・単位の詳細は認定機関の基準にもよるため、自院の認定証の対象範囲を確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
Q. 令和6年度改定のときと比べて、対象患者や算定要件に変化はありますか?
あおい(元・医療事務)
A. 令和6年度(2024年度)改定時点ではこの加算自体が存在しなかったため、「変更点」というより「新設」という位置づけになります。前回改定(令和6年度)からの主な変更は、区分そのものの新設であり、それ以外の対象患者要件などは当サイトが収録している範囲では確認されていません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。