みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトに「血流予備能測定検査加算」っていう項目が出てきたんですけど、これって何の検査の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは血管造影の検査に関係する加算ですよ。区分番号E003「造影剤注入手技」の「3」動脈造影カテーテル法の注に規定されている加算で、血流予備能測定検査を実施した場合に400点を所定点数に加算する、という内容です。令和8年度(2026年度)の点数表をもとに、一緒に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「動脈造影カテーテル法の注」っていうのがよくわからないです。どういう位置づけの加算なんですか?
この加算は何のための加算ですか?
あおい(元・医療事務)
まず土台になっているのがE003「造影剤注入手技」の「3」動脈造影カテーテル法です。ここには「イ」主要血管の分枝血管を選択的に造影撮影した場合と、「ロ」イ以外の場合の2つの区分があります。血流予備能測定検査加算は、この「3」の下に「注」として規定されている加算で、動脈造影カテーテル法を実施したうえで血流予備能測定検査も行った場合に、400点を上乗せするものです。
みらい(新人医療事務)
「イ」と「ロ」、両方とも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、条文を見るとそうなっています。「イ」の注1にも、「ロ」の注にも、それぞれ「血流予備能測定検査を実施した場合は、血流予備能測定検査加算として、400点を所定点数に加算する」と書かれています。つまり、動脈造影カテーテル法のどちらの区分で算定していても、血流予備能測定検査を実施していれば加算の候補になるということですね。

みらい(新人医療事務)
なるほど、基本の手技点数に上乗せする「注加算」なんですね。金額もあわせて教えてください。
点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度点数表のE003「造影剤注入手技」に基づく点数は、表にするとこうなります。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| E003「3」イ | 動脈造影カテーテル法・主要血管の分枝血管を選択的に造影撮影した場合 | 4,320点 |
| E003「3」ロ | 動脈造影カテーテル法・イ以外の場合 | 1,180点 |
| 血流予備能測定検査加算 | イ・ロいずれの場合も、血流予備能測定検査を実施した場合に加算 | +400点 |
あおい(元・医療事務)
あくまでこの400点は「動脈造影カテーテル法」の所定点数に対する加算なので、単独では算定できません。動脈造影カテーテル法本体の点数(イなら4,320点、ロなら1,180点)とセットで確認する加算、という理解になりますね。
みらい(新人医療事務)
単独の検査項目じゃなくて、あくまで「上乗せ」なんですね。じゃあうちみたいな診療所でも対象になり得ますか?
どんな医療機関で算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、この加算そのものに「病院限定」「診療所は対象外」といった記載はありません。動脈造影カテーテル法自体は診療所・病院のどちらでも、外来・入院いずれの場面でも行われうる手技なので、実施した医療機関の区分に応じて算定候補になり得ます。ただし在宅の場面(訪問診療など)で実施する性質の検査ではないため、在宅医療の算定項目としては想定されていません。
みらい(新人医療事務)
「対象になり得る」であって、無条件にすべての医療機関が対象になるわけではない、ということですよね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。動脈造影カテーテル法そのものを実施していない医療機関であれば、当然この加算も出てきません。あくまで「E003の3を算定する場面で、血流予備能測定検査もあわせて行ったかどうか」がポイントになります。実際に算定できるかどうかは、自院で実施した検査内容とレセプトの記載を照合して確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
施設基準とか届出は、この加算のために別に出さないといけないんですか?
施設基準や届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(告示)のE003「3」の注を見る限り、血流予備能測定検査加算そのものに固有の施設基準や届出の要件は書かれていません。当サイトの整理でも、この加算については施設基準の届出・特掲診療料の施設基準に係る届出は求められていない扱いにしています。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでも何も気にしなくていいってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは言い切れません。届出が不要というのはあくまで「この加算固有の届出」の話であって、動脈造影カテーテル法という手技自体を安全に実施できる体制(血管造影用カテーテルを使った手技を行える設備・体制)が前提になっているはずです。留意事項通知でも「3」の動脈造影カテーテル法・「4」の静脈造影カテーテル法は「血管造影用カテーテルを用いて行った造影剤注入手技をいう」と定義されていますので、この定義に当てはまる手技として実施しているかは、自院で確認が必要です。
届出不要=何もしなくていい、ではない
血流予備能測定検査加算そのものに独立した施設基準の届出は求められていません。ただし、土台となる動脈造影カテーテル法(血管造影用カテーテルを用いた造影剤注入手技)を実施した実績・記録があるかどうかは、レセプト記載の根拠として自院で確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングとか、回数の制限はありますか?併算定で注意することがあれば知りたいです。
算定のタイミングや回数制限で注意することは?
あおい(元・医療事務)
回数制限については、留意事項通知に手がかりがあります。「3」の「イ」(主要血管の分枝血管を選択的に造影撮影した場合)については、「主要血管である総頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、気管支動脈、腎動脈、腹部動脈(腹腔動脈、上及び下腸間膜動脈をも含む。)、骨盤動脈又は各四肢の動脈の分枝血管を選択的に造影撮影した場合、分枝血管の数にかかわらず1回に限り算定できる」とされています。つまり分枝血管を何本撮影しても、動脈造影カテーテル法「イ」自体は1回分の算定という扱いです。
みらい(新人医療事務)
分枝血管をたくさん撮影しても、加算が増えるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。血流予備能測定検査加算も、この「イ」または「ロ」の算定に対して1回分の注加算として整理するのが自然です。分枝血管の本数や検査回数に応じて400点が何度も積み上がる、という性質のものではありません。
似た名前の別の加算と混同しない
E003「3」動脈造影カテーテル法「イ」の注には、血流予備能測定検査加算(400点)とは別に、頸動脈閉塞試験(マタス試験)を実施した場合の頸動脈閉塞試験加算(1,000点)という、名称も点数も異なる加算が併記されています。頸動脈閉塞試験加算は「イ」の注2として規定されており、血流予備能測定検査加算とは対象になる検査も点数も別物です。レセプトで名称を取り違えないよう、どちらの検査を実施したかを条文単位で確認してください。
みらい(新人医療事務)
名前が似ているわけじゃないけど、同じ「注」の中に並んでいるから混同しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。あわせて注意したいのが、「3」の動脈造影カテーテル法と「4」の静脈造影カテーテル法の違いです。留意事項通知では「『3』の動脈造影カテーテル法及び『4』の静脈造影カテーテル法とは、血管造影用カテーテルを用いて行った造影剤注入手技をいう」と定義されていますが、血流予備能測定検査加算はあくまで「3」動脈造影カテーテル法の注に規定されたものなので、「4」静脈造影カテーテル法の算定に対してこの加算を付けるのは条文上の位置づけが異なります。

みらい(新人医療事務)
なるほど、条文の階層をちゃんと見ないと、どの加算がどこにぶら下がっているのか分からなくなりますね。ところで、改定のたびに点数とか変わったりしていないんですか?
令和8年度改定での変更点
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点について、当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号ほか)の範囲では、血流予備能測定検査加算の新設・廃止・点数変更を裏付ける記載は確認できていません(確認日: 2026-07-23)。現行の令和8年度の点数表では、E003「造影剤注入手技」の「3」動脈造影カテーテル法の注として400点の加算が規定されている、というのが確認できる事実です。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と決めつけているわけじゃなくて、「一次資料で確認できる範囲では変更が見当たらない」ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。改定年度をまたいで比較する一次資料が手元にない場合は、「変更なし」と断定せず、確認できた範囲を明示するようにしています。もし過去の届出内容や算定実績と差異があるようでしたら、支払基金・国保連合会や厚生労働省の告示・通知の原文であわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときは、どういう順番で見ていけばいいですか?
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- E003「造影剤注入手技」の「3」動脈造影カテーテル法(イ・ロ)を実施したかどうかをカルテ・レセプトで確認する
- その手技とあわせて、血流予備能測定検査を実施した記録があるかを確認する
- 頸動脈閉塞試験(マタス試験)加算など、名称の似た別の注加算と混同していないかを条文単位で確認する
- 400点の加算を動脈造影カテーテル法の所定点数(4,320点または1,180点)に上乗せする形でレセプトに反映されているかを確認する
- 最終的な算定可否について、自院の届出状況や公式資料、審査支払機関への確認が必要かを判断する
みらい(新人医療事務)
よくある取り漏れとか、逆に付け間違いって、どんなケースがありますか?
よくある取り漏れ
動脈造影カテーテル法とセットで確認する
血流予備能測定検査加算は単独の検査コードではなく、E003「3」動脈造影カテーテル法の実施が前提になる注加算です。血流予備能測定検査だけを見て加算の要否を判断せず、動脈造影カテーテル法「イ」「ロ」いずれで算定しているかとあわせて確認すると、取り漏れや付け間違いに気づきやすくなります。
頸動脈閉塞試験加算との区別
同じ「イ」の注に規定されている頸動脈閉塞試験(マタス試験)加算(1,000点)は、血流予備能測定検査加算(400点)とは別の検査に対する別の加算です。検査オーダーと実施記録を照合し、どちらの検査を行ったかを条文の注番号ベースで確認してください。
みらい(新人医療事務)
だいぶ整理できてきました。自分でも確認する方法ってありますか?
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や実施した検査内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する画像診断領域の加算としては、時間外緊急院内画像診断加算 もあわせて確認しておくと、画像診断まわりの加算の見落としを防ぎやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。