みらい(新人医療事務)
「複数名精神科訪問看護・指導加算」って名前を初めて見たんですけど、これって普通の訪問看護の加算と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科の患者さんに対する訪問看護・指導で、看護師等を複数人同行させたときに算定候補になる加算ですよ。正式には「精神科訪問看護・指導料(I012)」の注4に規定されている加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表がベースになっていますので、まずはその位置づけから確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「注4」ってことは、単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)または(Ⅲ)の算定要件を満たしている日に、追加で複数名を同行させた場合の上乗せ加算という位置づけです。当サイトが整理している一次資料には、次のように記載されています。
一次資料の記載(算定要件)
「注1及び注2に規定する場合(いずれも30分未満の場合を除く。)であって、複数の看護師等又は看護補助者を訪問させて、看護又は療養上必要な指導を行わせた場合は、複数名精神科訪問看護・指導加算として、同一日に、当該加算又は区分番号C005-1-2に掲げる同一建物居住者訪問看護・指導料の注4に規定する複数名訪問看護・指導加算を算定する患者(同一建物等居住者に限る。)の合計人数に応じて次に掲げる区分に従い、1日につき、いずれかを所定点数に加算する。ただし、ハの場合にあっては週1日を限度とする。」(令和8年度・告示)
この加算はどんな場面で算定候補になるの?
みらい(新人医療事務)
「複数名」ってどういう組み合わせのことを言うんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の留意事項では、次のように条件が説明されています。
留意事項の記載
「『注4』に規定する複数名精神科訪問看護・指導加算は、精神科を担当する医師が、複数の保健師等又は看護補助者による患家への訪問が必要と判断し、患者又はその家族等に同意を得て、当該医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師又は看護師と保健師等又は看護補助者が、患者又はその家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合(30分未満の場合を除く。)は、1日につき『注4』のイからハまでのいずれかを算定する。」(令和8年度・留意事項通知)
あおい(元・医療事務)
ポイントは3つです。1つ目は精神科を担当する医師が「複数名での訪問が必要」と判断していること。2つ目は患者さんやご家族の同意を得ていること。3つ目は同行するのが1回30分未満ではないことです。この3つがそろっていて初めて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
医師の判断と同意が前提なんですね。うちの訪問看護記録にその判断根拠が残っているか、確認してみます。
点数はどう決まるの?(同行者の職種と人数区分)
あおい(元・医療事務)
点数は「誰が同行したか(イ・ロ・ハ)」と「同一建物内の対象人数」、そして「1日の実施回数」の組み合わせで決まります。まず区分の考え方を整理しますね。
| 区分 | 同行者 | 回数の考え方 | 加算の限度 |
|---|---|---|---|
| イ | 保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士 | 1日の実施回数(1回・2回・3回以上)に応じて算定 | 特段の回数限度の記載なし |
| ロ | 准看護師 | 1日の実施回数(1回・2回・3回以上)に応じて算定 | 特段の回数限度の記載なし |
| ハ | 看護補助者 | 回数区分なし(人数区分のみ) | 週1日を限度 |
あおい(元・医療事務)
一次資料には「精神科訪問看護・指導を行う保健師又は看護師に保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が同行する場合はイを、准看護師が同行する場合はロを、1日当たりの回数に応じて算定する。また、看護補助者が同行する場合はハを所定点数に加算すること。」(令和8年度・留意事項通知)とあります。

みらい(新人医療事務)
なるほど、まず「誰が同行したか」で表を選ぶ感じですね。イの場合の点数を見せてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。イ(保健師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士が同行)の場合の点数はこちらです。
| 同一建物内の人数 | 1日に1回の場合 | 1日に2回の場合 | 1日に3回以上の場合 |
|---|---|---|---|
| 1人又は2人 | 450点 | 900点 | 1,450点 |
| 3人以上9人以下 | 400点 | 810点 | 1,300点 |
| 10人以上19人以下 | 340点 | 688点 | 1,105点 |
| 20人以上49人以下 | 300点 | 607点 | 975点 |
| 50人以上 | 270点 | 546点 | 877点 |
みらい(新人医療事務)
准看護師さんが同行するロの場合は違う点数になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ロ(准看護師が同行)の場合はこちらになります。
| 同一建物内の人数 | 1日に1回の場合 | 1日に2回の場合 | 1日に3回以上の場合 |
|---|---|---|---|
| 1人又は2人 | 380点 | 760点 | 1,240点 |
| 3人以上9人以下 | 340点 | 680点 | 1,120点 |
| 10人以上19人以下 | 280点 | 560点 | 922点 |
| 20人以上49人以下 | 250点 | 500点 | 823点 |
| 50人以上 | 220点 | 440点 | 724点 |
みらい(新人医療事務)
看護補助者さんが同行するハは、また違う仕組みなんですか?
あおい(元・医療事務)
ハは回数区分がなく、人数区分だけで決まります。そのかわり週1日が限度です。
| 同一建物内の人数 | 加算点数(週1日を限度) |
|---|---|
| 1人又は2人 | 300点 |
| 3人以上9人以下 | 270点 |
| 10人以上19人以下 | 210点 |
| 20人以上49人以下 | 190点 |
| 50人以上 | 160点 |
みらい(新人医療事務)
表がいくつもあって最初は戸惑いそうですが、「同行者は誰か」→「人数区分」→「回数区分」の順で見ていけば整理できそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。どの区分になるかは自院の訪問看護記録と当日の同行者・人数・回数の実績から判断が必要ですので、算定候補として整理する際は表を見ながら1件ずつ突き合わせることをおすすめします。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するのに、事前の届出とか施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが整理している情報では、この加算自体に個別の届出や施設基準の設定はありません。ただし、これはあくまで当サイトの整理範囲での確認結果ですので、前提となる精神科訪問看護・指導料(I012)自体の算定要件や自院の実施体制については、必ず自院の届出状況や公式資料で確認が必要です。
断定はできません
届出・施設基準の要否は制度改正や個別事情で変わり得るため、この記事の記載だけで「届出不要」と判断せず、必ず自院の届出状況・公式資料で最終確認してください。
算定するうえでの注意点
みらい(新人医療事務)
気をつけないといけないポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の注意点には、次のように明記されています。
算定できないケースの明記
「看護補助者が同行する場合には、週1日を限度として所定点数に加算する。単に2人の保健師等又は看護補助者が同時に精神科訪問看護・指導を行ったことのみをもって算定することはできない。保健師又は看護師と同行する看護補助者は、常に同行の必要はないが、必ず患家において両者が同時に滞在する一定の時間を確保すること。」(令和8年度・一次資料)
あおい(元・医療事務)
つまり「たまたま2人で訪問した」というだけでは算定候補になりません。医師の指示・患者家族の同意・そして患家での同時滞在時間の確保、この3点が記録として残っているかどうかが確認のポイントになります。
みらい(新人医療事務)
記録の残し方も大事なんですね。同時滞在の時間まで書いてるかどうか、うちの記録様式を見直してみます。
紛らわしい加算名にご注意
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算を見かけたことがあるんですが、混同しないほうがいいですか?
あおい(元・医療事務)
はい、そこは特に注意が必要です。「複数名精神科訪問看護・指導加算」(精神科訪問看護・指導料I012の注4)と、一般の訪問看護で使われる「複数名訪問看護・指導加算」(在宅患者訪問看護・指導料C005の注7、同一建物居住者訪問看護・指導料C005-1-2の注4)は、名前が似ていますが要件が異なる別の加算です。一次資料では次のように整理されています。
一般の複数名訪問看護・指導加算(C005系)の要件
「在宅患者訪問看護・指導料の『注7』又は同一建物居住者訪問看護・指導料の『注4』に規定する複数名訪問看護・指導加算は、特掲診療料の施設基準等第四の四の二の(1)に規定する複数名訪問看護・指導加算に係る厚生労働大臣が定める者に該当する1人の患者に対して、患者又はその家族等の同意を得て、看護師等と他の看護師等又は看護補助者(以下『その他職員』という。)の複数名が同時に訪問看護・指導を実施した場合に、1日につき(中略)算定する。」(令和8年度・留意事項通知)
あおい(元・医療事務)
ご覧のとおり、C005系の複数名訪問看護・指導加算は「厚生労働大臣が定める者に該当する1人の患者」という対象患者の限定が明記されています。一方、この記事で扱っている複数名精神科精神科訪問看護・指導加算(I012注4)の一次資料には、そのような対象患者の限定は記載されておらず、精神科訪問看護・指導料の注1・注2に該当する場合であることが要件として書かれています。名前が似ているため、算定候補を整理するときはどちらの区分番号(I012か、C005/C005-1-2か)の話をしているのか、条文の主語を必ず確認してください。
あおい(元・医療事務)
なお、一次資料では「同一建物居住者訪問看護・指導料の注4に規定する複数名訪問看護・指導加算を算定する患者(同一建物等居住者に限る。)の合計人数に応じて」区分を判定する、という記載もあります。つまり人数区分を数えるときに、精神科版と一般版の対象患者数を合算して判定する場面がある、という点だけは接点がありますが、算定できる加算そのものが同じというわけではありません。
あおい(元・医療事務)
より詳しい精神科訪問看護・指導料(I012)本体の算定要件は、精神科訪問看護・指導料 のページでも確認できます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更点は、当サイトが確認できる一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年7月)。改定の詳細は個別改定項目の解説資料等でも公表されることがありますので、点数や算定要件が変わっていないか、直近の告示・留意事項通知でも自院で確認しておくと安心です。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 精神科訪問看護・指導料(I012)の注1又は注2に規定する場合を算定しているか確認する
- 複数の看護師等又は看護補助者を訪問させたか(30分未満の場合を除く)を確認する
- 精神科を担当する医師の判断・指示、患者又は家族の同意が記録に残っているか確認する
- 同行者の職種(保健師・看護師等/准看護師/看護補助者)を確認し、イ・ロ・ハのどの区分かを判定する
- 同一建物内の対象人数と1日の実施回数を確認し、該当する点数区分を突き合わせる
- 看護補助者が同行するハの場合は、週1日の限度を超えていないか確認する

よくある取り漏れ
単なる同時訪問との混同
医師の指示や患者・家族の同意の記録がないまま、結果的に2人で訪問しただけの日を算定候補に含めてしまうケースです。一次資料に「単に2人の保健師等又は看護補助者が同時に精神科訪問看護・指導を行ったことのみをもって算定することはできない」と明記されているとおり、判断根拠と同意の記録がセットで必要です。
同時滞在時間の記録漏れ
看護補助者が同行するハの区分では、「必ず患家において両者が同時に滞在する一定の時間を確保すること」が求められています。同行はしたが同時滞在の時間が記録されていない、という取り漏れが起こりやすいポイントです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をまとめてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。よくある疑問をいくつか挙げますね。
みらい(新人医療事務)
看護補助者が同行した日は、いつでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
看護補助者が同行する場合(ハの区分)は週1日が限度と一次資料に明記されています。同じ週にすでに算定していないか、まず確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所でもこの加算は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
精神科訪問看護・指導料(I012)の算定要件を満たしていれば、診療所・病院を問わず算定候補になり得ます。ただし個別の実施体制や届出状況は自院で確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
同一建物内の人数は、どの範囲の患者さんを数えるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「同一建物内」の人数区分に応じて点数が変わると整理されています。当日その建物内で精神科訪問看護・指導を実施した対象人数の数え方に迷う場合は、留意事項通知の該当箇所や審査支払機関に確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。